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2月 … 如月・衣更着・仲春・梅見月



2月26日   ニセ科学
 先日の朝日新聞に、ニセ科学に関する記事があったのですが、私も、ニセ科学が根強く支持されている理由が未だ全く理解できません。
 ニセ科学というのは、科学的に実証されていない(≒真実ではない)にもかかわらず、いかにも真実であるかのように広く信じられているもののことでして、代表的事例として血液型性格診断が挙げられます。血液型が人間の性格や人格形成に影響しないことは科学的に明らかでして、例えば、骨髄移植によって血液型が変わっても、本人の性格は(血液型の変化を原因としては)変化しません。
 しかしどうしたことか、ニセ科学が広く信じられているのみならず、それをビジネスの道具として使う企業が多いのは、大いに疑問です。例えば少し前に話題になった「マイナスイオン」は、その定義がはっきりしていないにもかかわらず癒しの効果などが宣伝され、それにつられて高額の商品を買ってしまった人は多いと思われます。しかも、そのマイナスイオンとやらがどのようなものなのか、全く説明がなされていない商品が大部分です。

 ところで近年、表現規制の是非が話題になっておりますが、私自身は表現の自由は最大限に認めるべきであると考えております。若者による凶悪事件が起こるたび、その原因をテレビゲームなどに押し付けようとする傾向はマスコミなどの報道によく現れていたものですが(最近若干軌道修正がなされてきたような気もします)、そもそもゲームと犯罪を直接的に結びつける要因は、科学的には実証されておらず、大部分が推測の域を出ないものです。従って、このような報道も一種のニセ科学であるということになるのかもしれません。
 ですがその一方で、もっと規制すべき情報が、別の部分にあるのではないか、というのが私の考え方です。それが「ニセ科学情報に対する規制」です。科学的に根拠のない情報に関しては、必ず「この情報は科学的根拠を伴っておりません」と文字か音声で断りを入れる。例えば、血液型占いを雑誌に掲載する場合は「この占いは科学的に実証されておりません」と入れなくてはならない。テレビで謎の生物を取り上げる場合にも「この生物の存在は科学的な実証が得られていません」と断らなくてはならない。どうでしょうかね、こういうアイディアは。
 実際、ニセ科学が人権問題や犯罪に結びつく可能性は否定できません。血液型性格診断が人間関係に影響して学校でトラブルが発生したり、マイナスイオンが詐欺の道具に使われたりすることを未然に防ぐには、ニセ科学の情報に対する正しい理解を求めることが必要です。ニセ科学の情報を発信したり受容したりすること自体は、続けて構わないでしょう。重要なのは、それが科学的に正しくないということをよく理解することです。

2月11日   (続)運輸部門の温暖化対策
前回よりつづき)
 実際のところ、自動車をなるべく使わない生活が可能か否かということは、一概には言えません。例えば、都市部と農山村では交通事情も異なります。公共交通の恩恵にあずかれない地方では、自動車に頼らざるを得ません。ですので、ただ単に「自動車の利用頻度を減らせ」の一言で済む話でもありません。一方、都市部では公共交通へのシフトはそれほど難しくありません。
 そこで、実現可能な範囲で自動車からの温暖化ガス排出を効果的に削減する施策として、3つの方針が考えられます。1.都市内部での自動車の利用を抑制する、2.地方の在住者の自動車への依存度を下げる、3.自動車が化石燃料に依存しないようにする、です。

1.都市内部での自動車の利用を抑制する
例えば、走行距離に応じて課税できるような制度を整備する、或いは都市部で販売されるガソリンの税率を高くする。その税収の一部で地下鉄やバスの事業者を補助し、地下鉄やバスなどに割引運賃を設定する。

2.地方の在住者の自動車への依存度を下げる
現状、公共交通の不便な地域が多いため、自動車利用をなくすことは困難。そのためパーク&ライドを推進し、その環境作りのため、結節点(駅やバス停など)の駐車場の無料化や、バス・鉄道の割引運賃を設定する。

3.自動車が化石燃料に依存しないようにする
これは、電気自動車や燃料電池車の普及を待つしかないですね。普及しつつあるハイブリッド車も、ガソリンに依存せざるを得ないのは従来の車と変わりませんし。

 いずれにせよ、現状の車社会からの根本的な転換が迫られるでしょう。しかし、現在、高速道路の料金を休日普通車(ETC)限定で1000円均一にしようとする案が議論されています。恐らくこれが実現すると、今後2年間の自動車からの温暖化ガス排出量は飛躍的に増加すると考えられます。与党はこれをどう考えているのかよくわかりませんが、少なくとも自動車からの温暖化ガス排出量削減に関して認識が甘いことは確かでしょう。そんなことをするより、公共交通機関の運賃を下げる(公共交通で使える金券を給付する、など)方がよほど効果があるでしょう。



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