9月 … 長月・建戌月(けんじゅつげつ)・晩秋・祝月(いわいづき) |
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9月19日
慣れ
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慣れというのは恐ろしいものでして、一度慣れてしまうと、それが良いことであろうと悪いことであろうと、そのことを続ける影響や意義や本来の目的を忘れて、ひたすらやり続けてしまう。例えば、新入社員が最も失敗しやすい時期は、入社直後よりも寧ろ数ヶ月〜1年くらい経過して、少し仕事に慣れてきた頃であるとも言われています。「初心忘るるべからず」という言葉は、そういう慣れによる気の緩みを戒める意味があるわけです。
さて、ここ最近、連日のように食品の安全性に関するニュースが報じられています。まず、輸入された「事故米」を食用や加工用に転用して利益を上げていた会社が、三笠フーズ以外にも複数発覚しています。そして、中国では粉ミルクに有害物質が含まれており、しかもそれは故意に行われていたことがわかりました。更に、肉や魚、特に鰻の産地偽装は、これだけ話題になっていながら、未だ繰り返し行われているようです。中国の粉ミルクの事件では、既に死者を含む健康被害が出ています。
しかし、日本で次々に発覚した事故米の転用や鰻の産地偽装では、今のところ健康被害は出ていません。実際、食用に転用された事故米からはカビによる有毒物質は検出されていないそうですし、残留農薬も基準値を上回っているものの直ちに健康被害につながるレベルではなかったようです。産地偽装も、外国産のものを国産であると偽って表示したことが、健康被害に直結するわけではありませんし、偽装された輸入品も日本で流通させるのに必要な検査は受けているはずです。
要するに、日本企業による食品安全に関するこれらの事件は、いずれも消費者の健康にはそれほど影響するものではないし、味が大幅に変わるわけでもない(輸入品と国産品では確かに味が異なるが、一般消費者がすぐに気づくレベルではない故に偽装が可能となった)。そのことが、不正行為を長期化させたのです。誰でも最初、悪いことを始める時は緊張するものです。万一発覚してしまうと、自分自身が職を失い、会社も消費者・投資家・取引先・従業員からの信頼を失うことになります。それが、いざ思い切ってやってみると、健康被害も出ないし、味もほとんど変わらないから消費者からの指摘もない。農林水産省など所轄官庁の検査も簡単にすり抜けられる。やがて回数を重ねるうちに、不正行為に慣れてしまい、日常の業務の中で、当たり前のように不正を行うようになります。
世の中のほとんどの不祥事は、慣れによるものだと思います。例えば建築物の耐震偽装も、自動車のリコール隠しも、教員採用や昇進時の贈収賄も、慣れてしまって罪の意識がなくなってしまったことが問題をより大きくしました。やはり社会に出て働いている人は、その仕事を続ける限り、初心を持っていなければなりません。
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9月10日
福田内閣の実績
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「辞め方が無責任」「たいした実績もない」と国民から厳しい評価をされた福田内閣ですが、そんな福田内閣にも大きな実績があります。環境問題への対応、薬害肝炎被害者の救済、対中国外交や毒餃子問題への対応などもそうですが、中でも最大の功績として、公文書管理の徹底化が挙げられます。公文書管理については、世間の注目度はあまり高くないようですが、これは民主主義の根本をなす重要なことです。
安倍内閣にしろ福田内閣にしろ、小泉内閣の後処理のようなことをしていました。小泉首相は非常に良いタイミングで安倍首相にバトンタッチしたため、支持率を大きく落とすことはありませんでした。しかし、安倍内閣に交代した途端、その矛盾が噴出した形です。その上、年金記録問題や閣僚の失言など、様々な問題が重なり、支持率を急速に落とし、首相の健康状態も悪化してしまうという結果になりました。もしこれらの問題が小泉首相の在任中に起こっていたら、当然内閣の支持率に影響したはずであり、小泉内閣が高い支持率のまま任期を終えられたのは、運が良かったという要素もあるでしょう。
現在、小泉構造改革の続行の是非について、非とする世論が強くなっています。要するに、小泉内閣のやり方に国民がNOを示したわけですが、一方で小泉氏の人気自体はあまり落ちていない。このことは、小泉内閣の支持率が、政策よりも人物人気によって支えられていた側面をよく示していると思います。
さて、公文書管理の件ですが、小泉・安倍・福田政権を通して最大の功績の一つではないかと思います。そして、近いうち誕生するであろう新首相が、福田氏以上に公文書管理を重視するとは考えにくいです。そして、国民の公文書への関心も、それほど高くならないことでしょう。しかし、薬害肝炎問題も、年金記録問題も、海上自衛隊の航泊日誌誤破棄の問題も、文書管理の在り方につながってくるわけです。更に近年、CSR意識の高まりにより、官庁のみならず民間企業の中にも情報公開を重視するところが増えています。内閣や国民の関心が高くなくとも、今後、公文書管理の強化は避けて通れません。このことが国民一人一人の生活に関わってくることだからです。
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