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(05年7月、06年2月、07年10・11月の雑記はありません)

12月 … 師走・建丑月(けんちゅうげつ)・晩冬



12月28日   食品偽装
 この一年、年始から年末まで食品偽装事件の話題には尽きませんでした。不二家に始まり船場吉兆に終わったといった感じです。これらの事件に対する世間の反応を見てみると、これは飽くまで主観的な見方でしかないのですが、厳しく追及された事件と、寛容に受け止められた事件があるような気がします。例えば、ミートホープや船場吉兆に対しては徹底追求がなされ、ミートホープは経営破綻しました。一方で、石屋製菓(「白い恋人」)や赤福は、どちらかと言えば世間の反応は寛大だったような気がします。
 特に徹底して追及されたのがミートホープでした。同社は、牛肉のみを使っているかのような表示を出しておきながら、実際には他の肉を使っていた上、牛肉に似せるため着色していたというような、極めて悪質な手口だったため、批判も強く同情も得られなかったのでしょう。しかもこの偽装によって上げられた利益も大きく、経営破綻によって多くの従業員が解雇されたことも、批判の材料になったのかもしれません。また、それまで学校給食を請け負っていたり、大手食品メーカーに材料を供給していたりしたことから、信頼を得ていたことに対する反動なのかもしれません。
 「白い恋人」の石屋製菓や、「赤福餅」の赤福も、長期に亘って期限切れの材料を使っていたり、回収した商品を再出荷していたりしたことが判明しました(石屋製菓…賞味期限の先延ばし、黄色ブドウ球菌等の検出、赤福…製造日の偽装、返品商品の再出荷等)。しかし、これらの銘菓は地元の住人や観光客の愛着が強いこともあってか、批判のみならず営業再開を望む声も聞こえます。これらの菓子類は、シーズンによって需要にばらつきがあり、需要ピーク時の供給を確保するために製造日や賞味期限を偽装した、という意味合いが大きいようです。やはり経営者自らの「悪意」が、ミートホープや船場吉兆の方がより強く感じられるのでしょうか。
 これらの事件を通して、多くの人が食品の安全性について再認識したことでしょうが、それでも日本人の食品に対するこだわりには、まだ少し欠ける部分があるような気がします。それは例えば、食品自給率が40%を切っていることからも窺われます。率直なところ、自給率40%というのは、危機的状況だと思うのです。しかも、必ずしも自国内で生産できない(生産量の小さい)食品を輸入しているわけではなく、国内でも多く生産されているものを、敢えて輸入する、しかも品質より価格を重視して、より環境負荷をかける形で輸入する、ということを国民が安易に受け容れている現状が、一連の食品偽装を引き起こしたことの、潜在的な遠因だったのではないか、と考えているのです。

12月16日   (仮)博物館訪問シリーズ1・朝霞市博物館
朝霞市博物館
 朝霞市博物館は、JR北朝霞駅・東武朝霞台駅から徒歩15分ほどの場所にある、市立の人文系博物館です。平成7年に建物が完成し、翌年開館しました。

 入口を入ってすぐのところに休憩スペースのようなところ(ラウンジ)があり、外の池が見えます。水車も回っています。
 この館の常設展示は、考古、歴史、民俗、美術工芸の4分野となっていますが、私が訪ねた時は常設展示室のうち半分を企画展示に充てていたので、美術工芸と民俗の一部(稲作関係)の展示が撤去されており、考古、歴史、民俗の半分と企画展“「もんじょ」と「ぶんしょ」−古文書解読と記録保存−”を見学できました。
 考古関連は、先史時代から平安・鎌倉辺りまでの出土品を中心に、竪穴住居の原寸大復元なども展示されています。
 歴史関連は、近世から近現代にかけての交通を中心に、文書や模型などを展示しています。これは、江戸時代に朝霞が川越街道の宿場町(膝折宿)であり、また新河岸川舟運の拠点でもあったことなど、朝霞が交通の要衝であったためです。膝折宿や河岸場の模型はよくできていて、模型の中で再現された様々な場面の解説をモニタで見ることができます。膝折宿本陣関連、舟運関連、東上鉄道(東武東上線)関連の史料など、一貫して交通がメインテーマになっています。
 民俗関連は、地域と水の関わりがテーマになっています。朝霞は江戸時代から昭和初期まで水車を動力として活用しており、伸銅工業が発達しました。この伸銅工業と、稲作関連が民俗展示ですが、企画展のため稲作関連は見ておりません。

 建物は2階建になっていて、1階は展示室とオフィススペース、講座室や図書室など、2階が収蔵庫になっています。見学に要する時間は、急ぎ足なら20分もあれば十分でしょう。じっくり見ると1時間くらいかかりますが。
 駅から歩くと少し時間がかかるのですが、タクシーを使うほどでもなく、東洋大学を目印にして歩けば迷わず辿り着けると思います。

 展示以外にも、講座や体験教室、講演会などのイベントを開催していますが、少々不便を感じるのは、Webサイトでイベントの詳細が公開されていないことです。市の広報誌で広報されていますが、市民以外がイベントの詳細を知るには直接博物館に問合せるなどの方法しかなく、市外の人の参加についてハードルが高くなってしまっています。



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