12月28日
食品偽装
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この一年、年始から年末まで食品偽装事件の話題には尽きませんでした。不二家に始まり船場吉兆に終わったといった感じです。これらの事件に対する世間の反応を見てみると、これは飽くまで主観的な見方でしかないのですが、厳しく追及された事件と、寛容に受け止められた事件があるような気がします。例えば、ミートホープや船場吉兆に対しては徹底追求がなされ、ミートホープは経営破綻しました。一方で、石屋製菓(「白い恋人」)や赤福は、どちらかと言えば世間の反応は寛大だったような気がします。
特に徹底して追及されたのがミートホープでした。同社は、牛肉のみを使っているかのような表示を出しておきながら、実際には他の肉を使っていた上、牛肉に似せるため着色していたというような、極めて悪質な手口だったため、批判も強く同情も得られなかったのでしょう。しかもこの偽装によって上げられた利益も大きく、経営破綻によって多くの従業員が解雇されたことも、批判の材料になったのかもしれません。また、それまで学校給食を請け負っていたり、大手食品メーカーに材料を供給していたりしたことから、信頼を得ていたことに対する反動なのかもしれません。
「白い恋人」の石屋製菓や、「赤福餅」の赤福も、長期に亘って期限切れの材料を使っていたり、回収した商品を再出荷していたりしたことが判明しました(石屋製菓…賞味期限の先延ばし、黄色ブドウ球菌等の検出、赤福…製造日の偽装、返品商品の再出荷等)。しかし、これらの銘菓は地元の住人や観光客の愛着が強いこともあってか、批判のみならず営業再開を望む声も聞こえます。これらの菓子類は、シーズンによって需要にばらつきがあり、需要ピーク時の供給を確保するために製造日や賞味期限を偽装した、という意味合いが大きいようです。やはり経営者自らの「悪意」が、ミートホープや船場吉兆の方がより強く感じられるのでしょうか。
これらの事件を通して、多くの人が食品の安全性について再認識したことでしょうが、それでも日本人の食品に対するこだわりには、まだ少し欠ける部分があるような気がします。それは例えば、食品自給率が40%を切っていることからも窺われます。率直なところ、自給率40%というのは、危機的状況だと思うのです。しかも、必ずしも自国内で生産できない(生産量の小さい)食品を輸入しているわけではなく、国内でも多く生産されているものを、敢えて輸入する、しかも品質より価格を重視して、より環境負荷をかける形で輸入する、ということを国民が安易に受け容れている現状が、一連の食品偽装を引き起こしたことの、潜在的な遠因だったのではないか、と考えているのです。
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