4月 … 卯月・卯の花月・初夏・清和月(せいわづき)・鳥月 |
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4月25日
女性専用車
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最近になって、東京や大阪の大都市周辺を中心に、私鉄やJRの列車に「女性専用車」を設定する路線が増えてきました。私の近所を走る京成線でも、ラッシュ時に限り編成のうち1両が女性用となりました。
女性専用車の目的は、当然、主として女性をターゲットとした犯罪、痴漢や暴力から女性客を守ることで、女性に限らず子供や障害者なら男性でも乗車することができます。実際のところ、女性専用車は過去の一時期存在していました。戦直後に国鉄が、女性と子供の専用車両を導入したのですが、すぐになくなってしまいました。
女性専用車にはメリットとデメリットがあります。メリットは導入目的である「女性を(男性による)痴漢や暴力等の犯罪から守ることができる」ということです。デメリットは複数ありますが、そのうち最もよく耳にするのは、「混雑を助長する」ということです。女性専用車が設定されているのは主としてラッシュの時間帯(深夜に導入されている線区もあります)。女性より男性の乗客の方が多いため、女性専用車以外の混雑はかなり大きくなると思われます。
そして、デメリットに関しては、混雑のみにとどまらず、もっといろいろな弊害が考えられます。
(1) 全ての乗客が平等に運賃を支払っているにも関わらず、女性や子供のみが優遇されていると考えられる、という点。
(2) 痴漢犯罪は現実的には冤罪がかなり多く含まれているのに、それを防止することができない、という点。
(3) 女性による犯罪は防止できない、という点。
(1)に関しては、男性は専用車を利用できない一方、女性はどの車両にも乗れるという不平等によるものです。この場合、混雑緩和の目的も考慮して男性専用車を導入すれば解決するのかもしれませんが、恐らくそのような動きは今後もないでしょう。(2)に関しては、痴漢の場合は「被害者」を名乗る人(主として女性だが男性もかなりいる)は「加害者」とされる人(多くは男性)よりも圧倒的に有利であり、手続き上の煩雑さもあって、多くの「加害者」男性が冤罪に目を瞑ってしまうという問題が背景にあります。これも男性専用車があれば防げるかもしれません。(3)に関しては、結局のところ女性による犯罪は女性専用車では防げないという根本的な問題です。
賛否両論ある女性専用車の導入ですが、これらの理由により私としてはどちらかと言うと否定派です。当然、世論としては、女性には賛成派、男性には反対派の方が多いと思われますが、反対理由はその不公平性によるものが大きいと思われますので、ここは一つ混雑緩和のためにもJRや私鉄各社には男性専用車の導入を検討して頂きたいものです。
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4月15日
反日デモ
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このところ、連日のように中国の若者による反日運動が報道されています。ここ数週間で反日運動が突然激化してしまった原因や背景はいろいろと考えられますが、直接的には教科書検定(特に扶桑社版日本史教科書の近代に関する記述等の問題)に端を発しているようです。加えて、尖閣諸島を巡る領土問題、日本の国連常任理事国加入、東シナ海ガス田開発などが絡んでいます。
ただ、近代になって、列強諸国による中国の租借地植民地化が進んで以来、日中関係は常にギクシャクしてきました。日本軍が中国侵略を行っていた当時は反日運動など現在の比ではなかったことでしょうし(相手が日本だけとは限らなかったでしょうが)、それに対する弾圧も激しかったことでしょう。最近突如激化した反日運動は、別に珍しいことではないのです。ただ、近年はこのような暴動に発展することはなかったでしょうし、中国各都市で一斉に勃発したのも特徴的です。
よく新聞やニュース番組で指摘されるのは、今回のデモや暴動が、主に若い世代の人によって、各地で同時多発的に起こっており、それにはインターネットが大きな役割を果たしている、ということです。一部の反日思想の人がネット上に発信した情報が、多くの人の反日感情を昂ぶらせ、結果暴動に発展した、と。日本ではこのようなデモが暴動になったり同時多発的に起こったりすることもないでしょう。
ただ、今回のデモが単に中国人の強いナショナリズムのみによって発展したとは思えません。暴動や日系企業のWebサイト侵入・改竄が果たして自国のためになると本気で思っているのでしょうか?実際のところ、過度に感情的になった末、教科書問題や領土問題を名分にとにかく日本叩きに走ってしまい、半ばわけもわからず暴動に及んだ、或いは今なら許されるだろうと勘違いして遊び半分でWebサイトの改竄をした、というのが現実のように思えてなりません。現に日本人留学生に対する暴行や日系企業・大使館への器物破損など、明らかな犯罪も多発しており、本当に「中国のため」を思ってデモを行ったなら、このような犯罪が多発するわけがありません。
その上、これらの犯罪行為に対して中国政府は日本に責任を転嫁するようなコメントを発しており、暴動の当事者を擁護するような姿勢を見せているのみならず、被害現場の海外メディア取材拒否や日本人留学生に対する暴行の虚偽発表など、情報統制によって一連の反日行動が海外に報道されることを防いでいるようです。
実は私は中国政府による「デモの原因は日本政府の歴史認識の甘さにある」というコメントは、必ずしも間違ってはいないと考えています。が、それは反日デモの名を借りた犯罪行為を容認するものであってはならないことを、中国政府にはよく自覚してほしいと思っています。
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4月10日
大学のレベルと「学歴」(後編)
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一応、前回からの続きなのですが…。
日本の大学は、欧米の大学に比べて「入りにくくて出やすい」と言われているようです。私は海外留学の経験があるわけでもありませんし、知人に海外の学生がいるわけでもないので、その真意のほどはわかりませんが、確かに日本の大学、特にいわゆる難関校については、入試は難しいし、かと言って卒業しにくいわけでもないですね。
入りにくいから、高校時代はかなり受験勉強に打ち込むことになります。進学実績を売り物にしている一部の私立進学校などは、まるで大学への中継地のようになってしまっています。高校での3年間は、受験勉強以外にもいろいろな経験や知識を得るべき時間なのですが、その大部分が受験勉強に費やされるというのはあまりに勿体ないことです。そして大学に受かってしまうと、あとは就職するだけです。大学にも定期試験やレポート課題などがあるのですが、それらが単に単位を得るための手段でしかなくなり、自分が興味を持ったことを主体的に究めていこうという学生は少なくなってきたように思えます。本来、大学というのはのんのんと定期試験やレポートをこなしながら機械的に単位をもらう場所ではなく、自分で興味の対象を見つけ、その分野に明るい先生を見つけ(必ずしも見つかるとは限らないけど)、その興味の対象を究める方法を探るのが大学生の勉強のはずなのです。定期試験や単位は形式的なものなので、それをこなすだけで満足しているようでは大学生として不十分でしょうし、逆にかならずしも試験で良い評価をもらうことが大学生活の全てでもありません。
ですから、大学というのは、授業を通して一方的に情報を受ける場所ではないのです。まず授業などで情報を得、次にその情報を自分なりに発展させ、更に新たに外部に向けて情報発信していかなければならない。その活動こそ学生としての質であり、レベルの高い大学というのは学生の質が高い大学のことなのではないでしょうか。大学でいかに質の高い、密度の濃い活動をしているかということは、必ずしも入試問題の難易度とは一致しないですし、就職実績とも一致しないのです。
小中学校=高校への中継地点、高校=大学への中継地点、大学=就職への中継地点、就職=会社員になること、という図式ができてしまった現在、別に大学生としての質が高くなくても最終的に大企業の社員になれればよい、という、少々ズレた大学像・大学生像が世間一般に染み渡ってしまったような気がします。優れた学術論文を多分野にわたり発表している大学より、大企業に多くの卒業生を送り込んでいる大学の方が、世間一般の評価が高くなってしまうのです。そんなことなら大企業はもっと高卒の人を採用した方がいいでしょう。大学卒なんて高卒より4年も歳とっていながら必ずしも高卒よりよく働くとは限らないし、そのくせ人件費も高くつくことでしょう。それに、より若いうちから職業のスキルを身につけさせておくことは良いことです。そうではなくて、飽くまで大学卒でなければ採用しない、というのであれば、企業の人事担当の方には、なるべく質の高い大学4年間を送った卒業生を社員に採用するよう心掛けてほしいものです。
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