11月 … 霜月・神楽月・神帰月(かみきづき)・雪待月 |
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11月27日
常識を覆すということ
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「常識」という言葉の定義は「健全な一般人が共通に持っている、または持つべき、普通の知識や思慮分別」(『岩波 国語辞典』)。私が思うに、この言葉には2つの意味があります。その1、誰もが知っている事実。その2、大多数の人が持つ考え方の方向性や概念。前者は絶対的なもの、後者は相対的なものです。
具体例を挙げますと、その1については、例えば「キーボードやマウスはパソコンの入力デバイスである」ということ、「メルカトール図法の地図は赤道から南北に遠ざかるほど縮尺が大きくなる」ということ、「常用対数とは10を底とする対数のことである」ということ、…などなど。その2については、例えば「戦争は悪である」ということ、「交通ルールは絶対に守らなくてはならない」ということ、「天広直人氏の作品は美しい」ということ、などなど。
「戦争は悪である」ということは常識ですが、少なくとも日本においてこれが常識となったのは第二次大戦後のことです。数十年前の戦前戦中、戦争に参加して「鬼畜米英」を打倒したり、周辺国を占領して「暴支傭懲」することは悪ではなく美徳だったわけです。「交通ルールは絶対に守らなくてはならない」というのも常識ですが、例えば急病人を病院まで運ぶ場合など、事故を起こさない範囲で必要に迫られて交通ルールを破ることは十分にあり得ます。急病人を搬送するとき、交通ルールを遵守していたため病院に到着するのが3分だけ遅れ、その3分の遅れで病人が命を落としてしまった場合など、寧ろルールを破っても人を一人助けるべきだった、などということもあるでしょう。
さて、「常識を覆す」という言葉では、「常識」という語が「その2」に近い意味で使われています。即ち「既成概念を覆す」ということです。ただ、既成概念を覆したとき、その成果物が全く使い物にならなかったり、非現実的なものになってしまったりしては意味がありません。人間は誰もが既成概念に囲まれながら生活している故、そこから一歩外れたモノは、よほど優れたモノでない限りボツになってしまうわけです。
フジテレビ系で、「ニューデザインパラダイス」という深夜番組が放送されています。この番組では、毎週、日常生活でありふれたモノを、常識を覆すカタチに作り替えています。作り替えるのはデザイナーやアーティストなど。第一線の現場で活躍中の人や、最近話題を集めた人です。彼らの手で、ボウリングのピンや、横断歩道や、救急車のサイレンなどを新しいデザインに作り替える。その時、デザインすることによって本来そのモノがもつ機能をより高めることを目的としているため、単に見た目を奇抜にするというだけではダメです。常識を覆すモノは、従来のモノより使いやすく、また使って楽しく、より機能的になっている。デザイナーの仕事というのは、モノをより機能的に作り替えることなのです。
常識に縛られて生活している人間にとって、常識を覆すことが如何に難しいか、それを可能にする人が如何に有能であるか、ということが、実感できるテレビ番組の紹介でした。
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11月20日
通販
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先日の深夜アニメ「ローゼンメイデン」に、一瞬ですが、ジャパネットたかたの高田社長のような人物が出てきましたね。あの独特な風貌は、誰が見ても高田社長とわかるでしょう。『もえたん』の例文もそうでしたが、ジャパネットはなにかと濃ゆいネタに取り上げられることが多いようです。
さて、そのジャパネットですが、私は今まで通販というものをほとんど利用したことがありません。聞くところによると、通販にかなりはまりこんでいる人も多いようですね。特に既婚の女性でたいして使いもしないものを大量に買い込んでいる人が多いとか。確かにテレビや雑誌などで見る商品は、どれも魅力的に思えてしまいます。写真写りが良いというのもあるでしょうけれど、キャッチコピーが上手なのでしょう。通販の商品は、写真はあっても消費者が実際に手にとって品定めすることができませんから、商品説明を読んで、自分がそれをどのように使うか検討しなくてはなりません。その検討が甘いと、ついつい必要のない物を買ってしまうことになります。売る側は当然たくさんの商品を売りたいですから、いかにも消費者が買いたくなるようなキャッチコピーを考えます。しかもそのコピーには、(まあ多少の誇大な表現はあったとしても)事実に反することはまず書いてありません。ですから、コピーに書かれていることをよく理解し、本当にそれが自分にとって必要なのかを検討して、初めて購入に至るのが正しい判断です。そうすれば、通販というのは非常に役に立つものです。店に出向く必要もありませんし、たいていキャッシュレスですし。
通販にはまって無駄遣いを繰り返す人は、ほとんど詳しい商品説明を読んだり聞いたりしていません。業者の巧妙なキャッチコピーや写真が消費意欲を駆り立て、「うまいこと乗せられた」人がうっかり買ってしまうというのが通販の落とし穴なのですが、消費者側もよく本当に必要な物なのかを検討しなくてはならないし、それは消費者自身の責任です。
よく、無駄遣いを通販の業者や宣伝方法の所為にして、一方的に通販を批判する人がおりますが、その前に自身が通販で無駄遣いをしないよう常日頃心掛けておくべきなのです、確かに通販業者の中には、かなり際どい商売と申しますか、いたずらに消費者の購買欲を煽る業者や、方の目をかいくぐっているような業者もありますが、特にテレビでCMを放映しているような業者はしっかりしているところが多いです。ですから、買う買わないの最終判断が消費者自身にあり、よく商品を審査する必要があることを、通販はまり組の皆さんにはよく覚えていてほしいものですね。
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11月14日
武装勢力を制するには武力を以てるすしかないのか
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人間は愚かな動物です。何しろ常時、世界中のどこかで常に戦争を起こして殺し合っているわけですから。人間以外、同種で殺し合いをする動物なんていません。いや、いるにはいるのですが、それは自分の命(遺伝子)を守るためです。例えば熱帯魚としてよく知られているグッピーは、オス同士を同じ小さい水槽に入れておくと、どちらかが死ぬまで闘うそうです。でも、それも自分の遺伝子を守るという、あらゆる生物に共通した、生きていくことの最大目的を達成するための手段です。人間が続けている戦争とは訳が違います。
戦争は自分の遺伝子を守るためではなく、自分の属する国や軍(集団・組織)のために命を投げ出しているわけです。もしかしたら、それは即ち間接的には自分の遺伝子を守るためなのかもしれません。しかし、そうだとしたら、人間はそこまで愚かな方法をもってしか自分の遺伝子を守る術をなくしてしまったのか、ということになるでしょう。しかも皮肉なことには、人間は高度な科学技術をもつ高等動物ですが、その科学技術の中には、もともと戦争に用いることを目的とする、軍事技術から発展したものも多く含まれています。人を殺すためなら技術開発への負担を惜しまなかったわけです。
さて、米・イラク軍がファルージャを制圧したようです。これは過激な武装勢力を排除するためで、イラクに平和を戻すための軍事行動なのですが、暴力を振るう勢力を制圧するには暴力を以てする、というのは、できることなら今後は最終手段ということにしてほしいものです。今回のファルージャ制圧が、軍事行動を以てするほか有効な方法がなさそうなことは十分理解できます。しかし、イラクでの戦争は既に終結しているはずなのに、一向に平和は戻らず、治安は改善せず、寧ろだんだん状況が悪い方に傾いてきているように思えます。香田さん監禁殺害などの外国人人質事件が頻発しているのも、まるで平和回復・治安回復のための軍事行動が招いた悪循環の現れであるように見えてしまいます。
至上命題である平和の回復のための最善の方法は、武力を用いないことです。特に、大国が武力を捨てることです。にもかかわらず、大国ほど武力を誇示したがる傾向があるというのは、何とも残念なことです。
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11月4日
天皇発言
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先日の秋の園遊会で、天皇陛下が学校行事での国旗掲揚・国歌斉唱について、「強制しないことが望ましい」と発言されましたね。天皇自ら国旗・国家問題に触れることについて、多くのメディアが「異例の発言」としていますが、別におかしなことではなく、ごく当たり前なことを発言されたにすぎません。
このことについては、天皇ご自身の発言よりも、寧ろその後の各方面の反応が取り沙汰され、話題を呼んでいたようです。まず宮内庁の考え方としては「国旗や国歌は自発的に掲げ、歌うのが望ましいという“一般的な常識を述べたもの”」としており、現在の学校現場の方針に反するものではないという見解のようですが、どうやら天皇の発言は一部学校現場での半強制的な国旗掲揚・国歌斉唱を遠回しに批判しているように、私には思えてなりません。更にその後、東京都の石原知事が「一般的に強制するかしないかの問題とこれ(学校現場での指導)は違う」と発言していますが、どうやら知事も天皇の発言に少々動揺しているように聞こえてしまいます。
私は別に、学校での国旗掲揚・国歌斉唱に反対しているわけではなく、寧ろ生徒や職員が自発的に行うのは、一つの理想的なあり方だと思っています(国旗・国歌を積極的に推進するのが理想的、ということではなくて、国旗・国歌に対してはっきりした考え方をもって行動を起こす、ということが理想的な形である、ということです)。即ち生徒や職員自らの意志に反する国旗・国歌の強要は、今の天皇の理想に反する、と。そういうことですね、園遊会での発言は。
結果的に各方面に動揺をもたらしてしまった天皇発言でしたが、別にこの発言があったからと言って今すぐ何か策を講じなくてはいけない、というわけではありません。今後の学校現場で国旗掲揚・国歌斉唱を行う際の、一つの指針として、今回の天皇発言を念頭に置いてもらえれば、と思っております。
なんだか文章がぐちゃぐちゃになってしまいました。「ローゼンメイデン」見ながら書いたもので。
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11月3日
楽天イーグルス
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プロ野球・パリーグの新規参入は楽天に決まったのですが、これで球界再編の動きも一段落というわけではなさそうです。新規球団は必然的に当面多額の赤字を抱えることとなり、それに耐えうる経営体力を備えるのはライブドアよりも楽天、というのが審査結果だったようですが、楽天でもライブドアでも、結果的にはあまり変わらなかったような気もします。
一連の球界再編の発端となったのは、慢性的な赤字を抱える近鉄球団とオリックス球団の合併話が出てからと思われがちですが、実際のところ全ての球団が経済的に困窮していることは既にかなり以前からわかりきっていたことです。そしてその原因も、ストレートな言い方をしてしまうとお金の流れが巨人に偏っており、他球団はそれにすがるしかないという巨人軍依存の構造にあることは、前々から疑う余地はありません。にもかかわらず、各球団幹部はそのような脆弱な球界の構造を是正しようともせず、相変わらず巨人人気にあやかろうとし、そのことが徐々にファンを遠ざけているという事実に気づいていなかった(気づいていたとしても見て見ぬふりをしていた)ことは明白です。球界再編の火種は、もうずっとずっと昔から潜在していたわけです。
近鉄グループは、球団以外にも様々な分野で危うい状況になっています。それは本業である鉄道業を見ればすぐにわかります。ここ数年、近鉄線は値上げを繰り返し、結果、JR等他社線との並行区間で他社よりかなり高い運賃を設定することになってしまったのです。その上、一部のローカル線を廃止して他の鉄道会社に譲渡し、或いは全駅の駅業務を子会社に委託する形にするなど、いろいろと試行錯誤している様子が窺えます。志摩スペイン村(パルケエスパーニャ)の経営状態も決して良好とは言えません。
近鉄・オリックス以外の各球団も、決して本業が絶好調とは言えない状況です。ダイエー、西武なども同様に本業が危機的状況です。ただ、いずれの球団の本業も、バーチャル空間を商売道具にしてはいません。ダイエーは全国に店舗を構えてモノを流通させています。西武や阪神は鉄道という公共インフラを運営しています。読売や中日は新聞その他情報メディアを作り、流通させています。それらの業種に比べ、近年になって雨後の筍のようににょきにょき出てきてバーチャル空間での商取引等で実績を上げてみたところで、一度経営危機に陥ってしまったら再起不能、球団経営どころではなくなるのではないか、との不安があります。
楽天が、もし今後一切球団を見捨てず、たとえ経営難に陥ってもしっかり立ち直れるような基盤を作るには、インターネット事業以外に安定した収益を得られる事業を始めることでしょう。仙台の人の多くは、楽天を歓迎しているようです。ここはしっかり、仙台市民の期待に応えてあげる必要があります。
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