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(管理人長期出張のため、7月の雑記はありません)

8月 … 葉月・秋風月・草津月・仲秋(ちゅうしゅう)



8月7日   郵政民営化法案
 連日のようにニュースや新聞紙面を賑わわせてきた郵政民営化法案が、明日、参議院で「否決」される見込みが強くなりました。衆議院で可決された際も票差は僅かであり、もともと参議院では否決の可能性が高いと言われてきましたが、どうやら現時点では否決に向けて後戻りできない状況となってきているようです。
 そもそも何故郵政三事業を民営化させるべきと小泉首相が考えているか、最もわかりやすい理由が「郵便貯金や簡易保険の財政投融資が政治家の利権と関わってくる」とういことです。財投というのは、郵貯、簡保で集められた何百兆というカネが、地方の公営事業や特殊法人への融資に充てられるわけですから、当然、政治家の利権に絡みやすい。小泉首相はこの制度の根っこを抜き取ろうとしているわけですね。
 そして、特定郵便局という、ちょっと古くさい制度。特定郵便局というのは、全国の郵便局の大部分なのですが、その局長は公社職員でありながら、多くの場合、人事は他の職員とは区別される。即ち未だ世襲制が残っていたりするのです。そのようになってしまった理由を探ると、古く前島密の時代まで遡る必要があるのですが、ここではそういう詳しいお話は割愛しまして、とにかくこういう古い制度が公社に残っているのが気に入らない、ということなのでしょう。
 「聖域なき構造改革」によって「小さな政府」を目指す小泉内閣にとって、郵政民営化は大きな課題ですし、国民の中にも民営化自体には賛成している人が多くいます。それでも可決が困難である理由は、例えば、首相自身の政治の手法が一部議員(や一部国民)の反感を招いていること、特定郵便局局長会など自民支持層からの反発が強いこと、そしてこの法案には穴が多すぎることなどがあるでしょう。ただ、最大の理由は、各論がどうあれ「今の時点で郵便局が不便というわけでもないのに、とりたてて民営化を急ぐ必要もない」ということではないでしょうかね。
 だいたい、この法案は郵政の在り方そのものを大きく変えるものであるにも関わらず、実際に郵政の業務に携わる人の意見や郵便局を毎日利用している人の意見を取り入れたわけでもなく、上からの一方的な改革、当事者を無視した改革なのです。こういう方法で改革を推し進めると、多くの場合、どこかの部分が行き詰まります。例えば国鉄改革を見返すと、国鉄末期からJR初期にかけて、多くの赤字ローカル線が廃止・転換されました。いずれ道路四公団が民営化されますが、そうなったら地方の不採算高速道路は廃止されるかもしれません。郵政改革も例外ではなく、本来利潤追求を目的とする株式会社組織が、離島の郵便局の分室を、人件費や経費や税金を支払いながら維持していくのは並大抵のことではないのです。
 郵便局が現状を維持しようが民営化されようが、メリット・デメリットどちらもあるのです。ただ一つ言えるのは、民営化したところで一般利用者の利便性が現在以上に向上することがないのは確かです(少なくとも民営化後にできるサービス改善の多くは、公社のままでも実現可能です)。

8月6日   たばこの発ガン性はアスベストより強い
 かつて国鉄に対して、全ての特急・急行列車の車両の半分を禁煙車にするよう求めた訴訟がありました。その頃から現在にかけて禁煙車の割合は徐々に増え続けており、現在は大部分の車両が禁煙車になっています。もっとも、禁煙車であっても隣接する車両が喫煙車だと、煙が流れ込んできて非喫煙者の健康に害が及ぶとの指摘もあります。しかし、禁煙・分煙の動きは年々拡大していることは確かです。
 健康増進法が制定されて以来、特に飲食店や公共施設で分煙化が進んでいるようです。ですが、分煙が徹底されている店とそうでない店があり、対応が店によってまちまちであるうようです。自分が知るところで、一つの好例は秋葉原の中央通り沿いにあるモスバーガーです。この店は、喫煙席が完全に別室になっており、禁煙席にほとんど煙が流れ込まないようになっています。これくらい分煙が徹底してくれると、自分のような嫌煙者も気持ちよく食事できますし、喫煙者も禁煙席を気にせず喫煙できるのではないでしょうか。
 一方、困る事例は、店内が禁煙席と喫煙席に分けられていながら、その間にパーテーションがなく、禁煙席に煙が流れ込んでくる飲食店です。現在多くの飲食店がこのような状態である上、喫煙席が禁煙席より多く取られているのが一般的で、形だけの分煙化になってしまっています。マクドナルド等のファーストフード店で、客席が複数のフロアに亘っている場合、2階が喫煙席・3階が禁煙席、というようにフロアによって区分している場合もあり、これなら禁煙席に煙が流れ込むことも少ないと思われます。
 健康増進法以降もなかなか分煙・禁煙が進まないのが居酒屋です。こちらはファミレスでよく見られる、形だけの分煙すらなされていない有様です。早期の対策が望まれるところです。

 国内には、鹿児島県などに現在も多くのたばこ農家がありますし、たばこに関わる職業で生活している人も多くいるわけで、そのような人の生活を軽視するわけでは全くないのですが、もはや日本では分煙をよびかける程度の「健康増進」政策では歯が立たない状況ではないでしょうか。だいたい、発ガン性の高いアスベストがこれほどまでに問題化し、国や地方を挙げて対策に乗り出しているのに、アスベストより発ガン性が強いたばこはほとんど無視されているという現状は、片手落ちとしか言いようがありません。本来は薬物使用並に喫煙自体を規制することが望ましいのですが、まあ成人であれば自分の健康管理くらい自分で責任を持てるでしょうから、喫煙そのものを強制的にやめさせることは無意味でしょうし困難でしょう。しかし、副流煙が非喫煙者の健康を大きく害していることを、喫煙者はより強く認識し、また店や公共施設は、完全に副流煙をシャットアウトできるような内装にすることを義務化すべきでしょう。
 実は、国はJTの大株主ですし、地方にはたばこ消費税が入りますから、国も地方もなかなかたばこへの規制を強くすることができないのが実状だったりします。更にJTは喫煙のマナーアップを呼びかけており、これは厳しい言い方をすればマナー向上による喫煙のイメージアップ戦略とも言えるでしょう。そのような事例を指摘するとキリがないのですが、少なくとも非喫煙者への健康被害をゼロにすることは、国・地方・交通機関・飲食店・JTの義務と考えるべきであり、マスコミや広告代理店はそれを後押しする努力義務があると考えるべきでしょう。

8月1日   地震
 少々フライングで8月の雑記のスタートです。
 7月23日、関東で震度5強の地震が発生した時、私は都内にいました。長期出張中でしたが、たまたまこの日は仕事が入らなかったので、一時的に帰宅していたのです。とある秋葉原のメイドカフェでお茶を飲んでいたところ、突然地震に襲われましたが、都内は足立区を除いて震度4程度の揺れだったようで、店内もすぐに落ち着きを取り戻しました。
 震源にほど近い自宅も大きな被害はなく、多少物が落下した程度で済みましたが、問題は交通機関が止まってしまったことでした。都内から千葉に移動する手段がない。結局、JR総武線は数時間運転を再開せず、仕方がないので、ほどなく運転を再開した地下鉄を使うことにしました。

 大きな地震が発生した時、当然、まずは自分の身を守ることが最優先なのですが、地震がおさまった後が大変なんですね。落下物を整理しなくてはならないとか、交通機関が止まってしまったとか、エレベーターが止まってしまったとか、家族や親戚や知人の無事を確認したいとか、逆に自分の無事を伝えたいとか、…。
 震度4〜5程度の地震を実際に体感してみると、「こんなもんか」と思える程度です。実際、先日の地震では二十数人の負傷者が出ましたが、死者は出なかったですし、家屋の被害もそれほど大きくなかったようです。この程度の地震は全国で頻繁に発生しますが、震度5という数字から大きな被害のイメージが浮かぶ割には、実際のところ人的被害はそれほど大きくないのです。しかし、それが公共インフラに与える影響を考えると、それなりに大きな被害をもたらしたと言えるでしょう。防災袋に食糧や水や携帯ラジオを入れておくだけが地震対策ではありません。一般家庭レベルでの地震対策に、「電話が使えない場合はどうするか」とか、「JRが止まった場合はどうするか」とか、そういうことを頭の片隅にでも置いておけば、それは十分な地震対策になると思います。



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