雑記帳
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(05年7月、06年2月、07年10・11月の雑記はありません)

8月 … 葉月・建酉月(けんゆうげつ)・仲秋・秋風月



8月23日   タクシーチケットから環境問題など
 国土交通省がタクシーチケットの利用を中止してみたら、1ヶ月でタクシー利用が9千万円以上減少したとのこと。「今まで公務員のタクシーの無駄遣いが多すぎた」とか「利用を中止して当然」といった意見はネット上でもよく見かけます。
 確かに1億円近い経費節減になったことは評価できると思うし、逆に今までそれだけの無駄遣いがあったのも反省すべき点ではあるでしょう。しかし、同時にそれだけ多くの公務員が、深夜残業を強いられていたということ。タクシー利用中止により、「終電までに仕事を終えなければならなくなった」ことは、まあ「タクシーがあるから日付が変わっても残業していてよい」という態度よりはよほど良いのだろうけど、仕事の量自体が減ったわけではないのです。
 要するにタクシーチケットの問題は、公務員の過剰な勤務量であるわけで、これが解決しないことには、単に公務員がタクシーを使わなくなったに過ぎません。勤務時間は8時間のはずですので、そのことを前提としていない勤務量を1人の公務員に割り当てることは、本来違法となるはずです。しかし、マスコミはタクシーの問題ばかり報じ、その根底にある公務員の激務の見直しの必要性について、あまり報じようとはしていないようです。
 しかも、勤務時間を適正にすることは、環境負荷低減にもつながります。例えば1日20時間使用していた照明や空調を15時間にするだけで、単純に考えれば使用電力は25%減。これを民間企業(特に大企業)にも拡大すれば、民生部門(オフィス)の温暖化ガス6%減はそう難しいことではないと思うのですが…(但し、ガス総排出量に占める民生部門の割合は大きくありません。特に排出量が大きいのは石油・石炭による火力発電と自動車です)。
 勤務時間を適正化することは、家庭生活の在り方に変化をもたらす可能性も大いにあります。例えば、家事や育児と仕事との両立が可能になることで、既婚女性の社会進出が促進されます(これはそう簡単にはいかないと思いますが)。逆に、男性も家事や育児に接する機会が増え、家庭進出が促されるかもしれません。

 いずれにせよ、勤務量の適正化が社会にもたらす変化は小さくないはずです。タクシーを使えなくなった中央官庁の職員の中には、仕事が終わらないため休日出勤を強いられる人が多くなったとのこと。これが健全な勤務の状態でないことは確実でしょう。せっかくタクシーチケットの利用を中止したのだから、ついでに休日出勤も原則中止してしまえばいいのです。だいたい公務員の人件費にも税金が使われているわけですから。

8月12日   北京五輪
 オリンピック自体は、各国の第一線で活躍するスポーツ選手たちが実力を発揮する場ですし、スポーツ選手にとって最大の目標になるわけですから、大いに意義がありますし、また経済的な効果も非常に大きいものがあります。ですが、北京五輪の開会式をテレビで見ていた方の中には、多少なりとも違和感を覚えた方が少なくないと思われますが、いかがなものでしょうか。

 巨大なスタジアム“鳥の巣”にしてもそうですし、あの派手な演出の開会式にしてもそうですが、あれだけのものを作れる経済力が今の中国にはあるんですね。なのにどうして貧富の差が縮まらないのでしょう。
 沿岸部を中心とする大都市と、内陸部の地方では大きな経済力の差がありますし、都市部の中でも高所得者と低所得者の差は相当に大きいものです。途上国においては、貧富の差はどこも大きいのですが、中国はその差が特に著しく感じられます。
 加えて、中国はアメリカなどと並んで、強い選手が多いです。選手の絶対数が多いので、メダリストも多くなるのは当然ですが、それだけの選手を育成できる環境が整っているということです。

 北京五輪は、様々な問題を抱えたまま開催されました。人権問題、情報統制、環境問題など、国際的にも批判を浴びていますが、中国政府はそれらについて一向に改善しようとせず、工場の北京からの移転などでお茶を濁し、それですらオリンピック終了までの期間限定の施策です。チベットで、新疆ウィグルで流血の事態となり、世界各地でデモが行われている現状を、中国政府はどのように認識しているのでしょうか。
 派手な開会式、巨大なスタジアムを作るお金の一部を、貧困に苦しむ内陸部の農民のために使うことはできなかったのでしょうか。恐らくそうすれば、巨大な鳥の巣を作るより、各国から高く評価されたかもしれません。正直なところ、今は開会式が派手で豪華であるほど高く評価されるような時代ではないはずです。



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