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10月23日   こんにゃく
 最近まで、小泉改革のもと必要以上の規制緩和がなされ、一部行き過ぎた規制緩和に反対する声も上がっていたようですが、ここに来て規制を強化する方向に変わってきたような気がします。
 もっとも、従来の規制緩和もかなり作為的なものがあり、場合によっては規制強化も議論されてきました(ゲームやアニメの表現など)。まったくもって身勝手なものです。

 で、このところ話題に上がる「こんにゃくゼリー」。窒息する可能性があるから規制せよ、とのこと。
http://www.j-cast.com/2008/10/14028560.html
 しかし、この記事で述べられている如く、実際には食品による窒息死の件数としては、餅、米、パンなどの穀物の方がずっと多いのです。穀物の方が食べる頻度が大きいから件数も大きくなる、というのは、確かにその通りです。ですが、「こんにゃくゼリーの死亡率の方が、餅より高い」とする数値的根拠は、実はありません。
 そして、野田消費者行政担当大臣の「もちはのどに詰まるもの、という常識を多くの人が共有している」という言い訳じみた反論も疑問です。今やこんにゃくゼリーものどに詰まる可能性があるという情報を、多くの人が共有しています。メーカー側も、梱包に注意を表示したり、カップを出しやすい形状に改良したりと対策を行ってきました。

 にもかかわらず、どうして行政は規制にこだわるのか。
 私としては、国にしろ地方にしろ、行政のこのような性格によるものではないかと考えています。

1.住民・国民に対して「何等かの策を講じている」というポーズを示したい。
2.一度決めた方針を改めたくない。

 さて、私は今まで、国土交通省、内閣府、鉄道沿線自治体、鉄道事業者などに対して、通勤電車のいわゆる「女性専用車」の撤廃要望を何度か送りつけてきました。しかし、それに対する回答は、論理的整合性や具体性に欠ける、あまりにお粗末で稚拙なものでした。先日、札幌市営地下鉄で女性専用車導入が予定されたことを受け、札幌市交通局に計画撤回要望を送ったのですが、そのメールの最後にこう付け加えました。

 * * * * *

「お役所仕事」という言葉があります。よくマイナスイメージで語られることが多いですが、公務員の仕事ぶりや待遇などについて、一部住民・国民がこの言葉を使って一方的に非難しているのを見ると、官庁・公務員の実態を理解せず一面的な見方をしているようで、公務員の知人も多い自分としては不快に感じることがあります。しかし一方で、女性専用車に関する要望や問合せに対する回答を見ると、こういうところにお役所仕事の杜撰さが現れているように思えてなりません(国交省などは典型例です)。事業活動やその評価に関して、P→D→C→Aのサイクルというのがありますが、女性専用車が東京の京王電鉄で導入されてから既に7年ほど経っているのに、未だC=検証の段階に達していません(寧ろそれを拒んでいます)。そして現に、賛成派と反対派の溝はますます深まっているようです。当初、鳴り物入りで登場したはずの女性専用車について、どうして利用者・住民の合意が得られず対立が続くのか、事業者・行政は徹底的に検証すべきだと思います。貴局は現時点でまだ導入していないのですから、両者からの合意の得られる防犯策とはどのようなものか事前によく検討し、更に繰り返し検証を重ねて頂きたく、強くお願い致します。

 * * * * *

 公務員の仕事について、「お役所仕事」という言葉を使った非難を耳にすることがあるのですが、私としては、一般の公務員の仕事ぶりや待遇について「怠惰だ」とか「優遇されすぎている」などと感じることはほとんどありません。寧ろ、安月給でよくやっている、と感じることもあります。しかし、先ほど挙げた2つの傾向──「住民・国民に対して「何等かの策を講じている」というポーズを示したい」・「一度決めた方針を改めたくない」──は、「お役所仕事」の弊害の典型例だと、常日頃思っているのです。

 もし、こんにゃくゼリーの販売継続を求める消費者の声を無視し、半ば強行的にこんにゃく規制を行うのであれば、日本の消費者行政は典型的な「お役所仕事」と言えるでしょう。だいたい、こんにゃくよりも、餅よりも、自動車の方が事故の危険性はよほど高いではありませんか。例えば、時速100キロ制限の高速道路を140キロで走っていた車が事故を起こしたとして、常識的に考えて自動車の最高速度を100キロに規制しようという動きがあって然るべきではありませんか。しかし今のところ、そういった動きはほとんど見られません。こんにゃくや、ゲームや、そういったものよりももっと緊急に規制すべきものがあるように感じられてなりません。

10月2日   麻生さんと小泉さん
麻生氏が新たに首相になりましたが、国民からの人気はかなり高いようです。内閣発足直後の支持率が、小泉・安倍・福田より低いことが報じられていますが、特に若年層からは支持が厚いらしいです。
引退した小泉氏も相変らず人気があります。恐らく今も多くの人が小泉氏の再登板を願っているのではないでしょうか。確かに彼は、あの喋り方、ライオンのような風貌、強行的な改革で、支持者を固めました。
小泉新自由主義改革の負の部分が表面化してきたのは、小泉氏が首相を降りた直後でした。そのしわ寄せは安倍内閣を苦しめ、更に年金記録問題など何十年と蓄積されてきた問題がこのタイミングで表面化し、結局安倍氏は体調を崩してしまいました。よほど首相の仕事が重かったのでしょう、降板後の安倍氏は以前の顔色に戻ったような気がします。よく安倍氏は小泉氏の政策を後継しているとも言われますが、正しくは小泉新自由主義の反動としての新保守主義だとの意見もあります(ex.渡部治氏)。
そして麻生内閣に至り、以前の小泉改革路線はほとんど針路変更されることになりました。格差問題や、食品などを輸入に依存することの危険性を多くの国民が認識するところとなり、小泉改革の負の面はようやく実感されてきたといったところでしょうか。それでも小泉人気が未だ高いのは、途中、安倍氏と福田氏を挟んでいるからでしょう。特に福田氏など、私としては評価できる点も多いのですが、突然の辞任などマイナスイメージが強くなってしまい、国民人気は下がってしまいました。
で、反小泉改革の麻生氏の人気を支える人が、小泉人気を支える人と同じという、皮肉な結果になってしまったようです。もっとも、その大部分は人物人気と思われます。結局、小泉→安倍→福田→麻生の4内閣の人気の高低を見ていると、支持率は人物のインパクト次第なんだな、と思います。



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