JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
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1998年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ポール・グリーングラス Cast ケネス・ブラナー ヘレナ・ボナム・カーター ジェンマ・ジョーンズ スー・ジョーンズ・デイヴィス ホリー・エアー 短評 運動ニューロン疾患という難病により車イス生活を強いられるカーター演じるジェーン。ジェーンの相手をするリチャード(ブラナー)。彼は保護観察処分の代わりに社会奉仕活動をさせられる羽目に。ジェーンは車イスの生活ながら気が強い。リチャードも手を焼くジェーンの夢は、ロストバージンを死ぬまでに。ロストバージン作戦開始、銀行強盗まで計画して、いざ、ジゴロ相手にロストバージンというときにはドキドキしてしまった。なんで、俺が・・・ドキドキしてるねん。しかし、何かが違うねん。そう、愛されていなければダメやねん。一方、リチャードは空を飛ぶことを夢見、飛行機作りに夢中だった。彼は自作の飛行機で飛ぶことを決意する。ジェーンを乗せて。ヴァージンフライトである。ブラナーとカーターは実生活でもパートナー。『相続人』で失敗だったブラナーもここでは頑張っていた。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★ Director ジョン・G・アビルドセン Cast ジャン=クロード・バンダム パット・モリタ ダニー・トレホ ガブリエル・フィッツパトリック ラリー・ドレーク ヴィンセント・シアヴェリ プリシア・ポインター 短評 『ロッキー』『ベスト・キッド』の栄光よどこに?アビルドセンは完全に時代に乗り遅れてしまった。単純すぎている上に、ニュー感覚に欠けるのだろう。パット・モリタと共にB級路線を行くしかないのか。しかし、ヴァン・ダム最近ベッドシーンが多くないかい?これは、サービスなのか。『キックボクサー』などの頃のヴァン・ダムが懐かしいよ。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★ Director フランク・コラチ Cast ドリュー・バリモア アダム・サンドラー クリスティーン・テイラー アレン・コヴァート アンジェラ・フェザーストーン マシュー・グレイヴ ビリー・アイドル スティーヴ・ブシェミ 短評 ジュリア(D.バリモア)のクルッと跳ね上がったショートな髪型がめちゃキュート!ぽっちゃり度合いも最高。ウェディング・シンガー・ロビー(A.サンドラー)、この職業がストーリー上笑いや、喜び、夢の表現に欠かせない鍵なっている。面白い設定である。ロビーが恋人リンダ(A.フェザーストーン)に結婚式当日逃げられ、自暴自棄になって盛り上げなければならない結婚式をめちゃくちゃにする。その時、ロビーが指名した彼と同類項の真の愛が得られない連中、彼が表現するところのでぶっちょ、もみあげ彼女、テーブル9の人達とのかけあいが嬉しい。最初はむっとしながらも、マイクを向けられればその気になって「最低!」と歌ってしまう。そんな彼らのノリが楽しい。傷心のロビーに続き、結婚を夢見るジュリアもフィアンセのグレン(M.グレイヴ)が女癖の悪いプレイボーイだと知ることになりショックを受ける。そんなロビーとジュリアは当然のように惹かれながらもすれ違い。だが最後は飛行機のファーストクラスから“ジュリアに捧げる歌”引っさげて現れ決めてくれる。ビリー・アイドル(本人役)のサポート付きである。「そりゃ心打たれるにきまっとるやろ」と誰でもが言いたくなる必殺の登場。『ウォーターボーイ』の監督でもあるF.コラチはこの映画でもA.サンドラーと組む。サンドラーはあまり馬鹿役にならず、お馬鹿度はこの映画程度に抑えるべし。一癖持ちのS.ブシュミが最初では酔っ払ってくだを巻く新郎の兄役、最後は意外なウェディングシンガー役で映画を微妙な味付けで締めてくれていた。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director アダム・シャンクマン Cast ジェニファー・ロペス マシュー・マコノヒー ブリジット・ウィルソン=サンプラス ジャスティン・チェインバース アレックス・ロッソ ジュディー・グリア 短評 結婚式のプランナーとしてトップにのぼりつめた女性(ロペス)が、クライアントの花婿に惹かれるという話。ただし、花婿(マコノヒー)であることは、出会った後に分かるという展開だが。この話、もちろんロペスにとってハッピーエンドで終わるのだが、花嫁(ウィルソン)よりロペスを選ぶというより、結婚自体に疑問を持ち取りやめるという結末は、ロペスとマコノヒーにとっては都合のいい展開。ロペスに結婚をキャンセルされた幼なじみ(チェインバース)位だろうか?ちょっと悲しい思いをしたのは。ストーリー作りがちょっと安易。人を傷つける行動は良くないし、私も好きではないが、結婚が決まっている人間に恋をするというのは、傷つく者無しに結末はない。なのに、・・・なんじゃこれはと、すかされた感じ。しかし、ロペスの持つ魅力とマコノヒーのそれにより、前半部分はロマ・コメといわれるものの中ではいい感じの出来だった。ロペスのキャリアウーマンとしての格好良さと、その所々に魅せる女の子らしいかわいらしさが、これまでのヒロインには見られなかったものだ。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director 矢口史靖 Cast 妻夫木聡 玉木宏 三浦哲郁 近藤公園 金子貴俊 平山綾 眞鍋かをり 竹中直人 杉本哲太 谷啓 柄本明 短評 オカマバーのママさんが榎本と気付かなかった。すっぴんで表れた時には意外でびっくりした。眞鍋かをりが演じる若い女先生は男子高校生にとって憧れであり、女先生が顧問の部活に入りたい!それがシンクロナイズドスイミングであっても私ならヤル。さらにはたとえ新体操であっても。シンクロはパンツはいてるやないか。恥ずかしいことなんてなんもない。この映画本番直前になって最後、主役が恥ずかしさから怖気ずく。『フルモンティ』のR.カーライルを思い出す。こちらはストリップ、フルチンなので主人公の気持ちも分かるが。竹中直人と榎本明が出演するとこうなっちゃうだろうって感じが全体に感じられる映画。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★ Director ジョー・シャーパニック Cast キアヌ・リーブス ジェームズ・スペイダー マリサ・トメイ アーニー・ハドソン クリス・エリス 短評 『ハート・オブ・ウーマン』で、ギブソンとメンタル的満足からグッドなセックス体験をするコーヒーショップ店員(女優志望)を演じたトメイが出演していた。他の映画のこと語ってどうする。何故って、この映画いまいちでした。連続殺人鬼をリーブスが演じ、話題性はあった。彼も精一杯踊ったりして、猟奇さを表現するつもりであったのだろうが、失敗。リーブスは踊りが下手。また、踊り下手だなあと思ってみていると、殺人ターゲットである女の子を追っかける姿やFBI捜査官(スペイダー)からのランナウェイもちょっとダサいような。リーブス及びリーブスを追跡するスペイダーとの関係もちょっとストーカーっぽくて、精神面の描写、殺人鬼に対する恐怖がちゃんと描けていれば、なかなかいい映画になったであろうが、ほんとに残念。『コピーキャット』や『羊たちの沈黙』のような殺人鬼のインパクトがないのである。それはリーブスのせいだといってもいいだろう。スペイダー演じる捜査官としての能力も中途半端。犯人を追いつめていく過程で彼が能力を誇示できたのは、写真鑑定のみ。その写真も、リーブス扮する殺人鬼が送りつけてきた唯一の手掛かりで、写真から多々情報を得ようってのは当たり前で、誰でもがやることじゃんか。それにしても孤独な女の子をターゲットにするのは許せん。 1961年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ロバート・スティーヴンソン Cast フレッド・マクマレイ ナンシー・オルソン トミー・カーク エリオット・リード キーナン・ウィン エド・ウィン 短評 ロビン・ウィリアムズ、マーシャ・ゲイ・ハーデン出演、レス・メイフィールド監督によりリメイクされた『フラバー』のオリジナル。フラヴァとはブレイナード教授(F.マクマレイ)がベッツィ(N.オルソン)との結婚を3回もすっぽかしてまで没頭した研究の結果作り出したフライング・ラバー。エネルギーを生み、ゴムのように弾力のある物質の実用化を目指し工夫をするブレイナードはフラヴァを靴底に貼り付けてジャンプして利用する。ついにはフラバァを使った空飛ぶT型フォード自動車が完成する。空飛ぶフォードは実業家ホーク(K.ウィン)にとっては金儲けのネタ。大学の融資を条件にフラヴァの独占を企む。息子ビフ(T.カーク)と空飛ぶフォードの強奪を図る彼らは憎めない悪党。また、ベッツィをめぐる恋のライバル・アシュトン教授(E.リード)との三角関係がフラヴァをめぐる陰謀、ドタバタに上手く絡んでいる。コミカルに描こうとする恋模様は、素朴に描くことが出来る時代を舞台として味が出る。 1985年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ジョン・グレン Cast ロジャー・ムーア クリストファー・ウォーケン タニア・ロバーツ グレイス・ジョーンズ パトリック・マクニー パトリック・ボーショー フィオナ・フラートン アリソン・ドゥーディ デスモンド・リュウェリン 短評 シリーズ14作目。後に『007/リビング・デイ・ライツ』『007/消されたライセンス』ではティモシー・ダルトンと組んだJ.グレン監督が、『007/ユア・アイズ・オンリー』『007/オクトパシー』に引き続きR.ムーアとのコンビによるボンド映画。『ディア・ハンター』『バットマン リターンズ』『スリーピー・ホロウ』のC.ウォーケンがマイクロチップの開発から市場制覇のため、アメリカのシリコンバレー壊滅を企む悪役に扮する。シリコンバレーなどに正規のルート(市場)を押さえられているゾリンは、人為的に地震を起こすという大きな企みの一方で、競走馬の足にチップを埋め込みせこい金儲けも行う。体内に埋め込まれたチップによる投薬でレース中のスタミナ・コントロールするというもの。ストーリーの上では取り上げることの無いことではあるが、こんなことを検査出来ない競馬協会、それでいいのか?ボンドと行動を共にするステイシー(T.ロバーツ)が適度に足手まといになるが、ボンドの工作活動におけるスリルへの貢献度は低い。TV「チャーリーズ・エンジェル」で有名なT.ロバーツ、こういったジャンルはいけるかと思いきや今ひとつであった。一方悪役ボンドガール・メーデー(G.ジョーンズ)は角刈りの髪型からして凄くワイルドで迫力あり。悪役のゾリンに追うところが大きい映画だったが、ずっと冷酷非道だった彼も最後に愛機・ゾリン印の飛行船に乗ってからは実にあっけなく死んでいった。そこが残念。 1984年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ジーン・ワイルダー Cast ジーン・ワイルダー ケリー・ルブロック ギルダ・ラドナー チャールズ・グローディン ジョセフ・ボローニャ ジュディス・アイヴィ デボラ・メイ 短評 『ヤング・フランケンシュタイン』のG.ワイルダーが監督と主人公テディ役を務める。クリクリお目めのワイルダーがビルの駐車場で見かけた赤いドレスの女・シャーロット(K.ルブロック)に一目ぼれ。高層マンションの壁にへばりついている赤いガウンのテディの姿から始まり、映画はこのような事態のきっかけとなったシャーロットとの出会いの場面に戻る。気になるシャーロットへのアプローチ、電話のかけ違いから誤解を生む会社の女性社員ミルナー(G.ラドナー)とのやり取りが面白い。テディのトボケた受身とミルナーが行う報復[テディ車への引っかき傷つけ、アンテナをぐちゃぐちゃぐにょぐにょ、事務書類へインクをこぼしての擦り付け]が絶妙の味を出している。シャーロットとの浮気を援助する友人達は、機転を利かしながらテディの窮地を救う。そんな友人の一人バディには『ベートーベン』シリーズのC.グローディンが扮している。グローディンはここでも人がいい。最後に高層マンションのシーンに行き着く作りはコーエン兄弟の『未来は今』のようである。ただワイルダーの方は風刺というのはなく単なるコメディである。スティーヴィー・ワンダーの♪I Just Called to Say I Love You(心の愛)♪は1984年アカデミー歌曲賞を受賞している。 1990年 イタリア/アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★ Director ジュゼッペ・トルナトーレ Cast ティム・ロス プルイット・テイラー・ヴィンス メラニー・ティエリー クラレンス・ウィリアムズ三世 ビル・ナン ピーター・ヴォーガン イーストン・ゲイジ コリー・バック 短評 1900年に生まれた天才ピアニスト。人物観察による即興演奏は素晴らしくあまりに的確な描写に笑ってしまう。“ダイヤモンドin歯男”、最初のジャズアーティストでもあるジェリー・ロールに参ったと言わせたあの汗まみれの演奏も良かったが、なんと言っても“The Legend of 1900”という伝説を魅惑的にさせる嵐に大きく揺れる船中でのピアノのダンス。弾きながらピアノと優雅なスケートをしているようで忘れることの出来ないシーンとなった。ピアニストを演じるT.ロスとペット男P.T.ヴィンスの演技は見事。互いの生き方を理解し合った友情が心にしみる。また、1900が最後まで船に残ったのも陸の大きすぎる世界に自分が飲み込まれるのを恐れ、純粋に芸術と接することの出来る船の中の生活から飛び出すことが出来なかったからである。陸に立ったならC.ウィリアムスV演じたジェリーのようになってしまうのだ。船に残るという切ない思いは、M.ティエリー演じる女性への憧れと共にエンリオ・モリコーネの甘美な音楽によりロマンチックに描かれていた。その音楽“1900のテーマ(CD中曲名)”が録音されたレコードも劇中では最も大切なアイテムとして扱われ、芸術家の魂、愛する者への思い、思慕が結晶したものとして言葉では表せないことを語っていた。 1954年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★★ Director アルフレッド・ヒッチコック Cast ジェームズ・スチュワート グレイス・ケリー レイモンド・バー セルマ・リッター ウェンデル・コーリイ 短評 足を骨折し、車椅子生活となったジェフ(J.スチュアート)は身動きが取れない。療養中のアパートの一室から出ることも出来ない。彼が目にする情報だけから推理を行っていく。これは『ボーン・コレクター』での寝たきりとなったライム元刑事、或いはアガサ・クリスティの名探偵、車椅子で生活を送るミス・マープルとよく似ている。しかし、映画のストーリーはスチュワートが生活するこの部屋、及び窓から眺められる中庭や向かいのアパートのみを舞台として進行する。これが『ボーン・コレクター』とは違い、この映画の上手いところである!自分が動けず、もたらされる情報を元に推理を進めていくのは主人公だけでなく、我々観客も同じように退屈で、窓の外に興味を示し主人公と一体化する。その結果、ラストに押し寄せる緊迫したスリルを味わうことが出来る。退屈しのぎに向かいのアパートを眺めていたスチュアートは向かいのアパ−トに住む夫婦の口論を目撃する。楽しみとなった覗きを続けているうち、言い争っていた夫婦の妻の方の姿が見えなくなったことに気付いた。今や気になってしょうがない向かいの男(R.バー)の行動はどんどん不審に思われてくる。一つ一つの出来事からゆっくり推理するスチュアート。しかし、ジェフの恋人(G.ケリー)や看護人(T.リッター)の大胆な行動により、サスペンスは一気に展開するようになる。R.パー演じる怪しい男にこちらの存在が分かったあたりの緊迫感はホントに凄い。そして、なにより、片足だけだった骨折が最後両足となって落ち着く、に始まる住人のユーモアに満ちた描写も特筆したい。双眼鏡やカメラのファインダーで覗いているかのごとき見せ方も流石。 1997年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director バリー・レヴィンソン Cast ダスティン・ホフマン ロバート・デ・ニーロ アン・ヘッシュ ウディ・ハレルソン デニス・リアリー ウィリー・ネルソン キルステン・ダンスト ウィリアム・H・メイシー アンドレア・マーティン クレイグ・T・ネルソン スージー・プラクソン マイケル・ベルソン スザンヌ・クライヤー 短評 “Wag the dog”犬を振り回せということである。スキャンダルもみ消し屋のコンラッド(R.デ・ニーロ)はハリウッドのプロデューサー・スタンリー(D・ホフマン)と結託して架空の情報をでっち上げる。戦争の可能性を匂わしたアルバニアとの緊張関係、架空のテロリストにCG合成で村を襲わせ、それをCIAに見破られても、強引にウィリアム軍曹(W.ハレルソン)を捕虜に仕立て上げ、国民感情を操作し、最後には少女淫行というセックススキャンダルを起こした大統領にも関わらず、80%以上の支持率を得るに至らせる。大統領を主人公としたストーリーでアメリカを動かしていることに自らのプロデュース力を確信する二人は、もはや情報のでっちあげによりどのようなこと(レイプ事件が起きようと、ほんとは殺人犯だったウィリアムが死ぬ事態になろうと)動じることなく次のシナリオを描いていくことが出来る。戦争にタイアップソングを用意するようなやらせがいかにもアメリカ的である。行き過ぎたショービジネスの存在を感じるアメリカ人ならではの発想がスタンリーというキャラクターに凝縮されていて面白い。こんなのを見せられると現実に報道されていることも信用出来なくなる。また、嘘は無くとも報道側の意図によるフィルターをかけられれば、我々受け取る側で誤まることも充分にありうるのだ。スキャンダルをもみ消すために戦争まででっち上げる彼らに最初は戸惑いながらもプロデュースすることにまんざらでもない大統領側近ウィンフレッド(A.ヘッシュ)も印象的。『バンディッツ』『スフィア』『スリーパーズ』『ディスクロージャー』『トイズ』『バグジー』『レインマン』『グッドモーニング,ベトナム』『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』『ナチュラル』等多くのヒット作を生み出しているB.レビンソン監督は、スタンリーの急死と共に、アルバニアとの関係が再び悪化し軍が出動したというニュースがテレビで流れるというシニカルなユーモアも最後に用意していた。 |