JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
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1998年 イタリア おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★★ Director ロベルト・ベニーニ Cast ロベルト・ベニーニ ニコレッタ・ブラスキ ジョルジオ・カンタリーニ ジュスティーノ・ドゥラーノ セルジョ・ブストリック 短評 ユダヤ人強制収容所を描いた映画。広く知られているユダヤ人の悲劇であるが、暗い映画ではなく、笑いを盛り込みながらほのぼのと描く。映画の序盤はグイド(R.ベニーニ)のちょこまかした行動が鼻につき、「なんやいったい。これはいかん」という感じやった。しかし、ちょこまかした行動はグイドお気に入りの彼女ドーラ(N.ブラスキ)の気をひくネタとして繋がっていく。グイドが求婚する時から、ジョズエ(G.カンタニーニ)子供に持つまでの時間を隔てた場面移行は素晴らしい。二人が室内ガーデンに入って、出て来ると家族三人なのである。この後、ジョズエを加えた家族三人の幸せは長く続かない。まもなく家族は強制収容所へ送られることになる。しかし彼らの家族愛に感動。ジョズエを悲しませないため、収容所内ではさもゲームが行われているかのように振る舞ったり、愛するドーラにも気遣うところを見せる。目を盗んでアナウンスをするグイドは道化であるがすっごい溢れんばかりの愛情を持つ父親であり夫だ。かつてドーラと聴きに行ったオッフェンバック・オペラのレコードを女性収容区に聞こえるようにかけ、それをドーラが聴き入るシーンはもう泣けてくる。映画の最後もお気に入り。父親グイドに守り抜かれたジョズエが最後に見た物は・・・。グイドが収容所生活はゲームなんだといい、その生活に耐え抜いたときにもらえるんだと言っていた戦車なのだ。いかにもアメリカンって感じのアメリカ人が戦車に乗って現れる。ベニーニの書いた脚本はすげえよ。 ヒナセギンさんの評価 ★★★★★★★★★ 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director エドワード・ズウィック Cast トム・クルーズ ティモシー・スポール 渡辺謙 ビリー・コノリー トニー・ゴールドウィン 真田広之 小雪 小山田シン 池松壮亮 中村七之助 菅田俊 福本清三 原田眞人 短評 『グローリー』『きのうの夜は・・・』のE.ズウィックがサムライ魂を描く。富国強兵政策のため大村(原田眞人)が日本に雇ったのが南北戦争の英雄オールグレン大尉(T.クルーズ)である。西洋式の戦い方、武器の扱い方を教え始める。近代化の波に抵抗し武士を貫こうとする勝元(渡辺謙)らの動きに焦る大村はオールグレンの制止も聴かず急造部隊を出陣させるが、勝元の軍になすすべなく敗走、オールグレンは捕虜となる。西部開拓のインディアンとの戦争において本意と異なる騎士道に遠く及ばない行為をとってしまったことに抜け殻のようなオールグレンは勝元たちの暮らす山深い村で武士道精神を目の当たりにする。惹かれていくのはオールグレンだけではない。氏尾(真田広之)ら村の人々も蛮人オールグレンの中に武士道ならぬ騎士道精神を見出していくのだ。多くを語らず魂を訴えなければならない武士道にあって、英語でオールグレンとコミュニケートする勝元の役は難しいと言える。また、夫を殺され仇であるオールグレンに次第に惹かれて行くたか(小雪)も同じくである。普通では考えられない心情変化だ。渡辺謙は英語を話しながらも、小雪は言葉少なな所作でサムライスピリットを表現していた。一方、大村演じた原田眞人の演技は今ひとつ。監督、脚本業に主を置く彼をなぜキャスティングしたんだろう。日本を描いたハリウッド映画の中で最も日本人に違和感を感じさせないものとなっていた。勝元があれだけ英語を喋るれるのか疑問を感じなくもない点等確かにあるが・・。勝元は西郷隆盛を思い起こさせる。熊本城で近代兵器にものをいわす官軍に一歩も引かぬ激戦を演じた田原坂である。昼間は圧倒的に優位な兵器に屈し陣地を奪われるも、夜陰にまぎれて切り込みを行い陣地を取り戻すといった一進一退の戦いだったのが田原坂だ。映画ではここまでリアルに戦闘を表現していなかったが、近代兵器に立ち向かう戦術は見て取れたし、ギャトリングガンに立ち向かう武士道の哀れな虚しさは伝わってきた。だが、オールグレンは生きていた。あれだけギャトリングガンの弾を浴びながら。「勝元の死に様でなく、生き様を語りましょう」と明治天皇(中村七之助)に語りたいがために不死身でなければならなかった。このセリフはむしろ西洋的な考えが盛り込まれた武士道という気もしないではないが、ギャトリングガンに刀一本で向かい倒れた者たちへの心熱くする餞である。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director テリー・ギリアム Cast ジョニー・デップ ベニチオ・デル・トロ トビー・マグワイア キャメロン・ディアス クリスティーナ・リッチ マーク・ハーモン エレン・バーキン 短評 テリー・ギリアムといえば『12モンキーズ』の成功が挙げられるが、この映画では薬物常用者の世界を映像で上手く表現してた。といっても私はLSDもエーテルもやったことはないので、あんな感じだとか実体験による評価が出来るわけではない。あんなだろうなあと見ていただけである。主人公はジャーナリストの(デップ)と弁護士の(デル・トロ)。彼らがラスベガスのバイクレースを取材に行くという話。それも、この二人モンティ・パイソン風の変わり者。そんな彼らは”薬物持ち込みは20年以上の禁固刑”という表示をよそに多量の薬物でラリってみせる。LSDは全く接することのない物質でよく分からんが、エーテルなんぞは病院のあの嫌な匂いの物質でよくあんなのやる気になるよ。そんな薬物を手当たり次第やりまくり、ラリる姿はデップもデル・トロもお見事。特にデップの横山やっさんばりのがに股歩きは凄かった。とにかくこの二人ラスベガスに何しにきたんといいたくなる。 2001年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ピーター・カッタネオ Cast ジェームズ・ネスビット オリヴィア・ウィリアムズ ティモシー・スポール ビル・ナイ レニー・ジェームズ ロン・クック クリストファー・プラマー レイモンド・ウォリング ジュリアン・バラット 短評 微妙に大人チックなセンスを散りばめたロマンス・コメディ。監督は『フル・モンティ』のP.カッタネオ。ヒロインは『シックス・センス』『ポストマン』 のO.ウィリアムズ。『ポストマン』ではボロ服を着せられ分からなかったが、この映画では刑務所における美人カウンセラー役で魅力を振り撒いている。脱走計画を企てるちょっとお間抜けで何度も服役を繰り返す泥棒(J.ネスビット)とのロマンスはイケル。脱獄を図る囚人と社会更正カウンセラーという立場故の惹かれあうことへのとまどい。ウィリアムズの演技は見事でした。そして『サウンド・オブ・サイレンス』、『マルコムX』のC.プラマー演じる刑務所所長が企画したミュージカル“ネルソン提督”は『ロック・スター』『クロコダイルの涙』のT.スポール、『シャンプー台の向こうに』のB.ナイ、R.ウォリング演じる火遊び好きのイカレ野郎、『スナッチ』のL.ジェームズ等による常識などない囚人達が演じるわけだからそれだけで面白い。ミュージカル最初の歌の出だしを稽古で何回も同じように間違うのも、普通ならしつこく思いそうなんだけど笑ってしまった。看守の対応も脱獄を予想してたにしてはお粗末で、観衆に紛れ込むなんてまず疑わないといかんだろうがと言いたいが、ラストのネスビットの行動で大目に見ましょう。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ブレット・ラトナー Cast クリス・タッカー ジャッキー・チェン エリザベス・ペーニャ トム・ウィルキンソン フィリップ・ベイカー・ホール マーク・ロルストン ツィ・マ ケン・レオン 短評 テンポがいい。むしろC.タッカーの場合、止まることのないオシャベリのためテンポは抑えられなくなるが・・。ロス市警刑事を演じるタッカーと香港警察のエリート警官演じるJ.チェンは面白い組み合わせ。調子のいいC.タッカー演じる刑事は普通ならちょこまかうざっとくなるとこだろうが、タッカー独特のハイトーンボイスのおかげでお茶目で済ます事が出来る。一方、J.チェンは真面目な刑事なんだが、時々突拍子もなくタッカーに合わせお調子になるのがちょっとね。面白いけど。 1993年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ドナルド・ペトリ Cast ジャック・レモン ウォルター・マッソー アン=マーグレット バージェス・メレディス ダリル・ハンナ ケヴィン・ポラック オシー・デイヴィス バック・ヘンリー 短評 遺作『バガー・ヴァンスの伝説』のJ.レモンと『電話で抱きしめて』が遺作となったW.マッソーコメディ・コンビは最高。とはいえ老人二人のいたずら合戦は腐った魚を車に入れたり、屋根の雪を落とす等といった実に単純なもの。このいたずらは、いい加減にしつこいと思うほど繰り返しの応酬がある。マーグレットが演じる越してきた中年美女に年寄りならではのおちゃめで迫る。二人の精一杯紳士的に気遣って接する姿がこの映画の見せ所。彼らの三角関係以外に年金の申告漏れからのお家差し押さえ問題、レモンの娘(D.ハンナ)抱える離婚問題なども絡ませておきながら、これら全ての問題をレモンが発作で倒れたことだけであっさり全て解決出来てしまうのがちょっと拍子抜け。『ロッキー』シリーズのB・メレディスが出ていたことがなぜかピックアップされ心に残っている。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★ Director シドニー・ポラック Cast ハリソン・フォード クリスティン・スコット=トーマス チャールズ・S・ダットン ボニー・ハント デニス・ヘイスバート シドニー・ポラック リチャード・ジェンキンス ポール・ギルフォイル 短評 『サブリナ』『愛と哀しみの果て』『追憶』のS.ポラックが監督するのは、やはり中年の恋物語。『ザ・ファーム/法律事務所』のようなどっから見てもっていう映画でもいまいちサスペンスを描ききれないポラックだけに、この映画でも全く謎めいた要素は見られない。墜落した飛行機にあるはずの妻の名が無く、見知らぬ男の妻として搭乗していたというサスペンスフルな出だしも無駄に終わっている。内務調査部長ダッチ(H.フォード)がまず生前の妻の不倫行為に気付き、ねちねちと拘り続ける。内部調査を職務とするダッチはほとんど仕事をほっぽりだして、妻の不倫相手だった男の未亡人・ケイ(K.スコット=トーマス)に接触し個人的な内部調査を開始する。伴侶を失い、浮気によって裏切られたもの同士互いに惹かれあっていくというストーリー。裏切られた上、亡くなってしまった伴侶のことなどスパっと見切り、ダッチとの出会いを大切にしようとするケイと、いつまでも裏切られた妻に拘り続けるダッチの恋のお話はたいした盛り上がりも無くめでたくゴール。ダッチの女々しい行動に「お前は一体ドッチなんだ」とつっこみたくなる。実に短調な映画だが、唯一意外な点といえば、ケイが信頼していた選挙スタッフ・ウェンディ(B.ハント)も実はケイの旦那と浮気していたということ。「ホント、えっ」と思ったのは、ウェンディが急に白状し始めたこの時くらい。ポラックはケイの補佐役として出演もしている。俳優としても有名なポラックだが、以外に監督/出演というのは少ない。この映画以外では『トッツィー』ぐらいだろうか? 1997年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★ Director ブレッド・ラトナー Cast クリス・タッカー チャーリー・シーン ポール・ソルビーノ ヘザー・ラクロア ジェラルド・イズミエル エリス・ニール ポール・グリーソン 短評 『ラッシュアワー』とのウケの違いはチャーリー・シーンということになる。いずれもコンビ物でタッカーがかたわれを演じる。そして、いずれもラトナー監督の作品であるためである。そして、シーンは完全にタッカーに飲まれてしまい、存在感が薄かった。カット割が多く、スピーディな仕上げを目指しているのだろうが、『ラッシュアワー』ほどスピーディさやテンポは感じなかった。『ラッシュアワー』でのかたわれジャッキー・チェンがアクション俳優であるであるため、こちらの方はラトナーの演出が生きていたが、タッカーのちょこまかトーキングとの相性も良かった。一方、シーンの存在は浮いてしまっている。彼もやはりコメディアンであるため、タッカーの対抗色とはなり得なかった。タッカー演じるキャラクターからエディ・マーフィ演じる『48時間』ともだぶるが、同じようなマシンガントークでも、マーフィのそれが下ネタが強調されたイメージであるのに対し、タッカーの方は、お茶目で愛嬌がある。最期にちょっとだけシーンの弁護をするならば、『ラッシュアワー』や『48時間』のチェンやニック・ノルティが刑事としてある程度主導権を持ったキャラであったのに対し、ネタ探しに追われるTVレポーターというシーンの受け身の役柄であったことも要因であるかもしれない。 1985年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ジョルジ・パン・コスマトス Cast シルヴェスター・スタローン リチャード・クレンナ チャールズ・ネイピア ジュリア・ニクソン スティーヴン・バーコフ マーティン・コーヴ 短評 プッツン野郎ランボーが、ベトナムジャングルで大暴れ。もう怒ると手の付けられないランボー者になるのは前作同様。ただ、前作は戦争帰還兵に対する国の対応、戦争障害に対するケアについて社会的な問題についての問いかけがあった。しかし、今回は無敵ングさだけが強調され、精神的に抱えていた病による戦闘員の哀愁はもうない。ナパーム弾で壊すは、敵などふっとばすは迫力はある。敵の銃器に対抗して、ナイフやボーガンで立ち向かうなど、武器の面白さは感じた。しかし、泥の中に擬態して襲うとか、死んだふりバズーカー攻撃など姑息な技も使っていた。 1998年 ドイツ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★ Director トム・ティクヴァ Cast フランカ・ボランテ モーリッツ・ブライブトロイ ヘルベルト・クナウプ ニナ・ペトリ アーミン・ローデ 短評 ローラの恋人から電話が・・・。裏金を運んでいた彼は間抜けにもお金を置き忘れなくしてしまった。恋人との約束を果たすことが出来なかったことが、彼のトラブルの原因だと考えるけなげな彼女は、彼にお金を届けるために、頭を使いお金作ることを考える。そしてベルリンの街を走って走って走り抜く。彼の待つスーパーマーケットまでのストーリーが3回も繰り返される。しかし、途中で出会う人との関わり合いにより、結末は変化する。最初はローラが死に、次はブライブトロイ演じる恋人が死ぬ。しかし、最後はハッピーエンド。実に痛快である。それにしてもポテンテの走り方、ストライドも長く実に格好良い。話を繰り返すことで明らかになるローラ家族の秘密。実によく考えられた展開だ。 |