JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
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1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director リサ・チェロデンコ Cast アリー・シーディ ラダ・ミッチェル パトリシア・クラークソン ガブリエル・マン ビル・セイジ アン・ドゥオン タミー・グライミス 短評 写真の持つ芸術面を見れた気がする。ルーシー(A.シーディ)はかつて才能を認められ成功したフォトグラファーであるが、以後周りの要求に自らの求めるものとのずれを感じ、表舞台から遠ざかっていた。そんな彼女は対照的に過去の栄光にすがる女優グレタ(P.クラークソン)と互いによりすがり生きる。シド(R.ミッチェル)はルーシーの才能を再び表に出そうとする。ルーシーやグレタはドラッグの世界にすがる弱さをピュアに演じていた。すごく重たい感じのする映画だった。心のフィルター無しではいくらカメラのファインダーを通しても写真は単なる記録になる。被写体を見て撮り手の気を感じることの出来る写真がある。撮られてる意識や撮ってる意識を感じさせたらだめ。シドの姿を自然な衝動で撮影するルーシーの純粋さが痛いほど伝わってくる。純粋な愛がもたらした写真という造詣が雑誌(商業)に利用されるなんてルーシーに耐えられるわけないのだ。ルーシーがファインダーを通して撮影するものは無防備な彼女の心なのである。ルーシーを演じたシーディはデミ・ムーア、ロブ・ロウ等と共にブラッド・パックと呼ばれるアイドルだったが、次第に地味な女優活動となっていった。彼女の実生活とダブルところがある。 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ゴア・ヴァービンスキー Cast ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ ジョナサン・プライス ジャック・ダヴェンポート リー・アレンバーグ ブライ・クーパー 短評 『マウス・ハント』『タイムマシン』『ザ・リング』のG.ヴァービンスキー監督が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでレゴラス役を演じたO.ブルームと、『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でアミダラ王女の影武者を務める侍女を演じた『ベッカムに恋して』のK.ナイトレイを、惹かれ合うウィル(ヒーロー)とエリザベス(ヒロイン)に抜擢し、海賊アドベンチャーを描く。共にブレイク中の二人だが、個性的要素がなく影の薄いカップルとなっていた。一方、フヒョヘ口調でなめたような態度ながら正義感を持ち、痛い目に遭っていながらひょうひょうとし、それでいてどこか信念めいたものを持っているかのような一匹狼の海賊ジャック・スパロウ(J.デップ)のキャラは面白い。デップの演技が一番の売りといってもいい。奪おうとする船に忍びよるため、スパロウとウィルは海中散歩?する。ボートを逆さに空気を溜め即席アクアラングをつくり、そこに頭を突っ込んでいる、そんな姿がおちゃめで面白い。常に酔っ払っているかのような振りと目の周りに黒くアイラインを施した容姿が新しいタイプのヒーローを創り出した。スパロウに対する敵が、かつて彼を裏切ったバルボッサ(G.ラッシュ)である。強烈なデップの演技に対抗しなければならないというのは気の毒であるが、悪者でありながらどこか憎めないという難しい役をこなしていた。バルボッサら海賊はアステカ・ゴールドを盗んだため、生きる屍となる呪いをかけられている。しかし、子供など低年齢層もターゲットとしたディズニーの映画だけにゾンビ姿は恐くない。てなわけで、スパロウとバルボッサ以外のパイレーツ達が“俺たちゃ海賊だ”ばりのキャラクターであり、これも子供向けっぽいのはしかたがないのだ。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ロバート・レッドフォード Cast ウィル・スミス マット・デーモン シャーリーズ・セロン ジャック・レモン J.マイケル・モンクリーフ ブルース・マックギル ジョエル・グレッチ 短評 『リバー・ランズ・スルー・イット』『モンタナの風に抱かれて』に続くR.レッドフォード監督作。フライフィッシングや乗馬を通して、自然と人間の触れ合いを描くレッドフォードは、次にゴルフを選択した。ゴルファー・ジュナ(M.デーモン)は、若くして天才ゴルファーとして栄光を手に入れるも、第一次世界大戦の戦地において心に傷を負い、自分を見失ってギャンブルや酒に浸る。そんな彼の元に、昔彼女だったアデール(C.セロン)の企画であるエキジビションマッチの依頼が来る。ジュナに本物のスウィングを思い出させ、ゴルファーとして勝利に導くのがバガー・ヴァンス(W.スミス)である。バガー・ヴァンスはキャディーとしてジュナを支えるが、彼のアドバイスはテクニックに関することではなく、精神論である。テニスやサッカーなどと比べ、自分との戦いの要素が強くなるゴルフを通し、魂や自然のリズムについても訴えかける。ボビー・ジョーンズ(J.グレッチ)、ウォルタ−・ヘーゲン(B.マックギル)という実在のプロゴルファーも登場し、彼らの演技はなかなか威厳を持たせ、ヒーローを格好良く見せてくれた。現実の世界にも、タイガー・ウッズやグレッグ・ノーマンなどスーパーヒーローとさえいえるプロゴルファーがいる。莫大な賞金を得て超羨ましく格好いい彼らだが、バガー・ヴァンスが映画の中で言う、「ゲームに勝つことは出来ない、ただプレーあるのみ」のセリフ通りの境地に達しているのであろうか?ただ、我々素人がゴルフを他のスポーツと違った意味で楽しむことが出来るのは、ヴァンスが語った自分との戦いの要素が強いからかもしれない。ゴルフコースという自然の中で、ジュナという主人公自身の印象は、特に強く残っていない、これは自然に溶け込んでいたと評価して良いんだろうか。 1990年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ジョン・シュレシンジャー Cast メラニー・グリフィス マシュー・モディーン マイケル・キートン ティッピー・ヘドレン マコ ノブ・マッカーシー アミール・モクリ ダン・ヘダヤ 短評 『2番目に幸せなこと』のJ.シュレシンジャー監督がクセ者M.キートンをサイコ男に起用した部屋の貸借関係をめぐるサイコスリラーである。“パシフィック・ハイツ”とはドレイク(M.モディン)とパティ(M.グリフィス)のカップルがサンフランシスコに家を購入した高級住宅街のこと。修繕費など家の費用が嵩むことから部屋を間貸ししなくてはならない。英語をしゃべれない人のいい日本人ワタナベ夫妻(マコ、N.マッカーシー)とヘイズ(キートン)である。このヘイズが夜な夜なハンマーやノコギリの音を立て、部屋の鍵は代える、契約金の振込みを行わない等の奇妙な行動をとる。間借り人の居住権を逆手に取り、いやがらせによるサイコ振りを発揮。ワタナベ夫婦は非常にいい人達であるが、ヘイズのようなサイコに相対すに頼りには全くならない。恐がってサーッと出て行ってしまう。嫌がらせ、挑発に怒り殴りかかってしまうドレイクはヘイズの策略にはまり、自ら立ち退き訴訟の被告となってしまう。ヘイズがいなくなった部屋にあった1枚の写真を手がかりに、バティは彼が泊まるホテルを突き止め、復讐する。ヘイズの資金源クレジットカードの差し押さえに至らすのである。パディに恨みを持ち再び襲いに来るヘイズを返り討ちにする。パディとドレイクの反撃部分はあれよあれよと終わってしまい、なんだか安直すぎる。それに、ヘイズがなぜ嫌がらせ間借り人になっているのかがいまいち納得できない。だけど、キートンの演技によりアブナイ、サイコぶりが映画をスリリングにしている。 1967年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ジーン・サックス Cast ロバート・レッドフォード ジェーン・フォンダ シャルル・ボワイエ ミルドレッド・ナトウィック ハーバート・エデルマン テッド・ハートレイ マーベル・アルバートソン 短評 『サボテンの花』『おかしな二人』のG.サックス監督が、弁護士ポール(R.レッドフォード)とコリー(J.フォンダ)の新婚生活を軽いタッチのコメディとして描く。旦那のことなんか仕事の事を始め、深く考えない。ただただ人目をはばかることなくいちゃつきまくるコリー。かわいんだけど、家庭を支えなければならないと責任を持つ男には扱いが大変だ。コリーからは「真面目すぎる。もっと人生を冒険的に楽しめないの」とののしられる。それでも、ポールは立派だと思う。アパート屋上に住み、自分の部屋に行くのに遠慮なく自分達の部屋を通っていくベラスコ(C.ボワイエ)のことは好きになれないポールだが、文句も言わず付き合っている。多少面白くない表情が出たってしょうがない。明日が大事な裁判だと言っているのにコリーのわがままにも付き合う。最後には彼のやさしさに気付くコリーなのだが。ポールの可愛さがコリーの魅力を上手く引き出している。ベラスコに加え、コリーの母バンクス夫人(M.ナットウィック)もほのぼのとした良い味を出している。常識的な行動をとる一方でコリーの風変わりな発想にまんざらでもなく付き合っていく。ポールとコリーの間で中間的な立場で二人を取り持つ重要なキャラだ。ポールとコリーの喧嘩の最中にやって来る電話工事屋(H.エデルマン)は面白かった。 2002年 フランス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director フランソワ・オゾン Cast ダニエル・ダリュー カトリーヌ・ドヌーヴ イザベル・ユペール エマニュエル・ベアール ファニー・アルダン ヴィルジニー・ルドワイヤン リュディヴィーヌ・サニエ フィルミーヌ・リシャール 短評 女8人と聞くだけで圧倒される。ところが観てみると意外と面白い。クリスマス、マルセル邸に集まった女たちは主人マルセルの死という事件に出くわす。それも殺人事件である。旦那マルセルの共同経営者と浮気をしているギャビー(C.ドヌーヴ)、持株のことでマルセルとの間でいざこざのある祖母(D.ダリュー)、お金の援助をせがむマルセルの妹ピレット(F.アルダン)などそれぞれいわく付。限られた空間内の怪しい人物から犯人を詮索していくのはアガサ風。しかし、ここに探偵のような進行役といえるキャラクターはいない。8人の女達がそれぞれ互いを詮索しながら勝手に自分の思いを語り出すのだ。その結果、秘密である真実が明かされていく。娘スゾン(V.ルドワイヤン)は妊娠しており、お腹の子の父親はマルセルだという。メイドのルイーズ(E.ベアール)はマルセルとずっと愛人関係にあったという。おいおいと突っ込みを入れたくなるような事実が次第に判明するため、観ている者を驚きの連続で飽きさせない。彼女達自身の気持ちを突然歌い、踊りながら表現するのも面白い。そんなミュージカルシーンの素人がやってる風の演出がなんとも憎めない。突拍子も無い展開がいい味を出しているのだ。ギャビーとピレットのレズプレイもその一つ。突然女同士で絡み合う。最後は一番怪しくないギャビーの次女カトリーヌ(L.サニエ)とマルセルが仕組んだ狂言だったことが分かるが、こんな女たちの何を確かめたかったのだろう。皆の思いに絶望したとして自殺するマルセルだが、狂言で得たものは何だったのだろう?どっちかといえば主人マルセルの人間性を疑いたくなる事実であったと思われる。自分の正体が皆に、或いはカトリーヌにばれてしまったことによるショックが原因だったんだ。 1991年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★ Director ロン・ハワード Cast カート・ラッセル ウィリアム・ボールドウィン ロバート・デニーロ ジェニファー・ジェイソン・リー スコット・グレン レベッカ・デモーネ ドナルド・サザーランド 短評 密閉された空間で火が回り、炎が酸素を食い尽くした状態で燃え続けると、燃焼した物質から可燃性ガスが生じる。その状態でドアなど開けると酸素が入っていくことにより、酸化剤が供給されることになり、一気にガスに点火、爆発が起こる。これがバックドラフト現象だ。シカゴの消防士を描いているが、これがもうかっこいい。兄スティーブン(K.ラッセル)と弟ブライアン(W.ボールドウィン)の兄弟ドラマ。二人の父親(ラッセル二役)は殉職した消防士というありがちな設定ではあるが、ドラマティックにするには欠かせない設定。一方、消防活動に対する予算の削減、行政などシリアスな面も描いている。放火方法から犯人を追いかけるサスペンス的要素もある。炎を読み、犯人を追いかける捜査官リムゲール(R.デニーロ)はクール。また、拘留中の放火犯ドナルド(D.サザーランド)はサイコ的存在。ドナルドとの取引で、放火魔の心理面から犯人捜査を進めていく様はFBI的でいかにもアメリカ。そして何と言っても、『コクーン』や最近では『グリンチ』を監督したR.ハワードの作品だけあってハートウォーミング。そして“料理の鉄人”でもおなじみの音楽がチャレンジ精神や闘志をかきたて、魂を揺さぶる。♪FIGHTING 17TH♪、♪BROTHERS♪、♪BURN IT ALL♪、コーラスの入る♪YOU GO,WE GO♪なんて鳥肌もの。♪FAHRENHEIT 451♪も♪SHOW ME YOUR FIRETRUCK♪も素晴らしい。音楽担当のハンス・ジンマーあっぱれ。 1982年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director エイミー・ヘッカリング Cast ショーン・ペン ジェニファー・ジェイソン・リー フィービー・ケイツ ジャッジ・ラインホルド ロバート・ロマナス ブライアン・バッカー レイ・ウォルストン 短評 われらが青春アイドルスターのフィービー・ケイツ出演の懐かしい映画。同様のアイドルスターであるソフィー・マルソーが今も尚メジャー作品に出演しているのに対し、フィービーの方は寂しい限り。しかし、この映画、今現在ビッグなスターたちが数多く出演している。ニコラス・ケイジもちょこっと出てるし、フォレスト・ウィッテカーも。監督エイミー・ヘッカリングは『クルーレス』でも、アリシア・シルヴァーストーンを起用し、男の待ち望むアイドルスターを作り出していた。スターの登竜門と言える。リッジモント高校を舞台としたSEX体験を中心とした恋や青春ものなのだが、出演者たちがおじさん、おばさんになった後、彼らが以前どのような青春スターだったのかという見方も面白い。ジェイソン・リー演じる主人公の兄を演じるラインホルドが、時を経て『ビバリーヒルズ・コップ3』や『サンタクロース』に出演してもなお、同じ様なキャラクター表現を貫いていることに驚き。ラインホルトのイメージはこの時期に出来あがっている。代わり映えしないともいうが・・。俳優についての感想ばかりになってしまったが、とにかく映画は気楽に見れました。 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director マイケル・ベイ Cast ウィル・スミス マーティン・ローレンス ガブリエル・ユニオン ジョルディ・モリャ ピーター・ストーメア テレサ・ランドル ジョー・パントリアーノ マイケル・シャノン ジョン・セダ オレッグ・タクタロフ 短評 『パール・ハーバー』『アルマゲドン』『ザ・ロック』のM.ベイ監督とジェリー・ブラッカイマーが送る『バッドボーイズ』の第二弾。親の残した莫大な遺産で豪勢な独身生活を送るマイク(W.スミス)と妻と子供を持ちマイホームパパに目覚めつつあるマーカス(M.ローレンス)、彼らの暴れっぷりに苦悩しながらもバックアップするハワード警部(J.パントリアーノ)は前作からの出演。立場、もともとの考えは違うものの、結局は向こう見ずな捜査、犯人追跡に至る彼等。悪者を除くためならマイアミの街をどんなに破壊しようと、民間車を横転、追突させようと構わないのだ。そこまでして追うのは麻薬密輸を牛耳るタピア(J.モリャ)。ロシアンマフィアのアレクセイ(P.ストーメア)を圧倒する凄みを魅せるものの、追い詰められてキューバに逃亡。マイク、マーカスらTNTは異国キューバにおいても暴れまわる。マイアミとキューバの民間人をいったい何人殺してるんだろうか。ハマーでキューバの山斜面に立ち並ぶ小屋を一掃しながら駆け下りるシーンはスピード感もあり凄い。しかし、あれだけの建物をなぎ倒したんだからいっぱい人が死んでいるはず。麻薬を密造している小屋なんだから死んだとしても悪い人間だったんだとするのか。アクションの凄さは認めるが、生命に関わるレベルにまで壊しすぎなのだ。観ていて飽きないほどの展開をアクションによって繰り広げてはいるが、ストーリーは肯けない。マイクとマーカスからは“共に生き、共に死ぬ、生涯のバッドボーイだ”なんてかっこのいいセリフを聴く事が出来る。しかし、そのわりには悪ノリするだけの間柄でメンタル的な部分での深い繋がりが感じられない。 1970年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director フランクリン・J・シャフナー Cast ジョージ・C・スコット カール・マルデン マイケル・ストロング カール・ミカエル・フォーグラー スティーヴン・ヤング フランク・ラティモア エド・ビンズ 短評 なんというてもパットン将軍演じたG.C.スコットの演技に尽きる。戦争オタクでロマンチスト。だが、口の悪さ、軽さが才ある戦略家として評価されない。そんなどこか憎めないキャラに作り上げようとするF.J.シャフナー監督の意向にピッタリだ。パットン将軍の人物を描き込みつつ進められる第二次世界大戦のアフリカ戦線からシチリア島侵攻、ノルマンディー上陸、バルジ作戦で知られるドイツ侵攻に至るまでの戦争のリアルで無惨な描写は見られず、モンゴメリー大将(M.ベイツ)やブラッドリー大将(K.マルデン)など戦略家達を英雄的に扱ったもの。敵であるロンメル元帥(K.M.フォーグラー)を引き立て描くことにより更に登場人物の魅力は増大したと思う。しかし、不幸な史実を描き方には限界があるのかもしれない。1970年アカデミー作品賞、主演男優賞(G.C.スコット)、監督賞、脚本賞等受賞しているだけあって面白かった。 1988年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★★ Director ヴィンセント・ギャロ Cast ヴィンセント・ギャロ クリスティナ・リッチ アンジェリカ・ヒューストン ベン・ギャザラ ケヴィン・コリガン ロザンナ・アークエット ミッキー・ローク ジャン=マイケル・ヴィンセント 短評 監督、脚本、主演、音楽をこなした多彩なV.ギャロの能力に感心させられた映画である。画家や写真家としても活躍している彼はビジュアル面でも才を生かしている。色を抑えちょっとダークな感じにしたビジュアルの中で、ビリー(ギャロ)とレイラ(C.リッチ)の繊細で優しいラブストーリーを展開している。刑務所を出所したビリーはおしっこをするにもいろんな障害が待ち受ける悲運な男である。傲慢な父親(B.ギャザラ)とバッファロー・ビルズのこと以外全く関心がない母親(A.ヒューストン)といういかれた両親を持ち、親の愛情に飢えたビリーが可哀想である。刑務所に入ることになったのもスーパーボール勝利に縁のないバッファロー・ビルズがゴールキックで逆転勝利というチャンスを得た1991年スーパーボールのため。ビリーはバッファローに1万ドルを賭けたのだ。結果はNFL史上語り継がれることになったスコットのミスキック。払えない大金を賭けてしまったビリーは刑務所へ。こんな馬鹿な行動に出たのもビリーの優しさゆえである。NFLチームの優勝を母親に見せてやりたいという気持ちの表れである。たとえ、自分の誕生とバッファロー・ビルズの優勝の日が重なり、母親に「ビリーなんて生まなきゃよかった」なんてことを言われようと、ビリーはバッファロー・ビルズを応援する。それでも実家に戻ることを願い、両親には結婚していると偽っているビリーはレイラを拉致し、夫婦を装うことを強要する。家を訪問すると自分より家族と上手く接するレイラ(ビリーはレイラにウェンディという名を強いる。)とは対照的に、今回の帰省でも両親と上手く関われなかった打撃は大きい。唯一自信を持っているボーリングをしに行っても、ストライクを連発し、ガッツポーズと共に気分が乗ってる自分をよそにタップダンスを踊るレイラ。そして彼女がちょいと投げるとストライクが出る。得意技もアピールしきれないのである。さらには、立ち寄ったデニーズで女性(R.アークエット)と出会う。その女性はボーリング場ロッカーに貼ってあった写真の人で、ウェンディという名であること、彼女だと説明したが、実は彼女でもなんでもなく自分が付きまとっていただけで相手にされてなかったことが明らかになる。いたたまれなくなってレイラを置きざりにデニーズを出ようとするも、トイレのためにまたデニーズに戻らなくてはならない不運。彼がデニーズのトイレで一人言う「もう生きられない」というセリフが悲しくもおかしい。それでもクリスマスに自分の写真を両親に送ろうとするぐらいホントに優しいビリー。ビリーに惹かれるレイラは彼に愛を打ち明ける。レイラと過ごすホテルでの入浴シーン、ベッドシーンはビリーのナイーブさが面白く描かれていて今後忘れることのない印象的なシーンである。愛してくれる人の存在を初めて認識したビリーがココアと共にハート型クッキーを買い求めるラストシーンでは、見知らぬおとっちゃまにも奢ってしまうテンションの高さ。ムチムチボディーの天使を見つけたビリーはさわやかで温かい。ハッピーエンドはやっぱりいい。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ナンシー・マイヤーズ Cast メル・ギブソン ヘレン・ハント マリサ・トメイ ローレン・ホリー ベット・ミドラー マーク・フォイアスタイン ヴァレリー・ペリン アラン・アルダ ローガン・ラーマン 短評 商品広告会社のやり手ニック(M・ギブソン)の上司として、ライバル会社からダーシー(H・ハント)が引き抜かれる。しかし、今や広告によって大きくマーケティングを動かせるのは女性の興味を引く商品。女性をターゲットとした市場はでかいのである。たばこ広告では大きな利益は得られない。過去にニックが仕事を奪われたことのあるダーシーへの会社の期待は大きい。ニックにとって勝ち目の無い勝負に差し出された救いの設定は、電気ショックにより女性の考えが分かるようになるということ。ダーシーの頭の中のアイデアを盗みとっていくニック。だが、女心が分かる男に次第に惹かれるダーシー。最初ライバルであった男女がいい関係になる話は良くある。『スコルピオンの恋まじない』もその一つだ。この映画でもW.アレンの上司としてヘッドハンティングされていたH.ハント。やり手のキャリアウーマンのイメージが強くなってきた。女心が筒抜けで聞こえてしまうことで、珈琲ショップで働くローラ(M.トメイ)とのセックスシーンのように面白い場面はたくさんあるし、ギブソンの演技も面白くて上手い。ただ、女心を盗み見していた男がハッピー・エンドを迎えるのには無理がある。なのにこの映画では、全てを打ち明けられたダーシーにニックを軽蔑するようなところは見られない。それもニックが“Great Kisser"だと分かってしまった後だから仕方無いんだろうか? 1990年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ジョン・バダム Cast メル・ギブソン ゴールディ・ホーン デヴィッド・キャラダイン ビル・デューク スティーヴン・トボロウスキー ジョーン・セヴェランス ジェフ・コーリイ 短評 『張り込み』シリーズ、『ドロップ・ゾーン』『アサシン』『ショート・サーキット』のJ.バダムが監督。『アサシン』は結構シリアスだったが、やっぱりJ.バダムは喜劇、M.ギブソンとG.ホーンも一緒とくればコメディ度もアップ。この主演二人のちょこまか度はピカイチ。それが、最後の動物園でのアクションに生かされる。オートバイやカーアクション、果てはセスナ機なども登場するが、あまりにおちょけが過ぎるため緊張感が持てない。リラックスして見れるアクションムービーである。これではスタントマンの体を張った演技も虚しい限り。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ローランド・エメリッヒ Cast メル・ギブソン ヒース・レジャー ジョエリー・リチャードソン ジェイソン・アイザック クリス・クーパー チェッキー・カリョ ルネ・オーベルジョノワ トム・ウィルキンソン ドナル・ローグ レオン・リッピー アダム・ボールドウィン 短評 アメリカの独立戦争を描いた映画。史劇であるのに事実と違うといったことが取りざたされている。イギリス軍のコーンウォリス将軍(T.ウィルキンソン)が実名で登場。現れることはないが、ワシントンの戦果等は映画の中で語られる。一方、ベンジャミン(M.ギブソン)等は史実を元に創られた人物である。ベンジャミンや冷酷非情な大佐ウィリアムス(J.アイザック)は実在人物の合成キャラであるらしい。ドキュメントでも何でもなければ真実を描かなければならないというものではない。史劇であっても本当だと思ってないし、ディテイルにあっては言わんやおや。もちろん、イギリス人や黒人それぞれの立場で見れば、映画だといって他人事的に鑑賞は出来ないだろうが、映画とはそういう物である。映画のテーマは家族愛とパトリオット(愛国心)。でも、アメリカで昔から住んどったインディアンなどネイティブアメリカンならまだしも、イギリスからやって来た移民アメリカンのこの気持ちが正当な愛国心なんだろうか?当然、遠い本国からの納得いかん政治に怒りはあろうけれども。『インディペンデンス・デイ』『ゴジラ』のR.エメリッヒが監督するからには、興行的なものを意識した出来になっちゃうのは当たり前。ヒーロー・ベンジャミンは戦争を否定し、独立戦争に反対しながらも、家族を失うことで鬼神のごとく軍を引き連れアメリカを独立に導く。村人を教会に閉じ込め焼き殺す政府軍ウィリアムス大佐の非道さと対比しながらヒロイズムを極める。映画の中で正義があれば、一方、悪を存在させねばならない。だが、史実に基づいた映画であるわけだから両極端に人物を描き過ぎるとのは如何なものか。史劇はスケールアップを目指し、ダイナミックに描けば迫力を感じる。しかし、大砲の弾をミクロタイムで捉えたCG表現には、そんなに効果があったとは思えんなあ。隊列を組み、敵どうし互いに向き合って前列から銃で撃たれて倒れていくという消耗戦だけは理解できない戦術だ。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ローランド・ジョフィ Cast パトリシア・アークエット ドーモット・マルロニー ルイーズ・パーカー エレン・デジェネレス ドン。ジョンソン 短評 アークエット演じるサンドラ。夫の兄との浮気に快感をむさぼる。しかし、彼女の狙いは夫の兄にかけられた保険金。そんな兄を演じるのが映画『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』のドン・ジョンソン。とにかく周りの人間がこれまた全て欲望丸出し。保険金を得るための騙し合いが軽快で最後まで釘付けだった。そして最後の結末は・・・満足しちゃった。どんでん返しの多さがちょっと気になったりするのであるが。サンドラが好きな曲が「サウンド・オブ・ミュージック」。こんな曲が殺しを実行する時に流れるのである。凄く効果的である。まるで、映画『フェイス・オフ』に使われた「虹のかなたに」のよう。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★ Director ロジャー・クリスチャン Cast ジョン・トラヴォルタ バリー・ペッパー フォレスト・ウィッテカー キム・コーツ リチャード・タイソン サビーヌ・カーセンティ マイケル・バーン クリスチャン・テシエ 短評 『ノストラダムス』のR.クリスチャン監督作。サイクロ宇宙人に征服されてしまう地球人のバカなこと。そしてわずか数分で地球を征服したこの宇宙人も大して利口ではない。むしろバカである。そして地球のガスに犯されないように鼻につけた清浄機の紐がぶらぶらとぶら下がって実に間抜けな格好である。人間の記憶をも垣間見、コントロールする技術を持っていながら、設定とはうらはらにパアにしか見えない。原作があるようだが原作でも登場しているキャラはこんなもんであるのかどうかが気になってしょうがない。臆病で計画性、主体性もなく裏切る宇宙人を演じたF.ウィッテカーの演技は馬鹿馬鹿しくて、超恥ずかしい、忘れ難いものとなるだろう。 1992年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★ Director ヴィク・アームストロング Cast ドルフ・ラングレン ジョージ・シーガル クリスチャン・アルフォンソ ジェフリー・ルイス ケン・フォーレ ミシェル・フィリップス バート・レムゼン 短評 『ロッキー4/炎の友情』『ユニバーサル・ソルジャー』等でダンマリ悪役が確立した感のあるD.ラングレンが主役サンティ。体はデカく体力にものを言わすことは出来るが、しゃべりはだめ。S.スタローン以上にセリフを抑えた役柄で勝負しなければならないはずである。今回の映画もセリフがそんなに多いというわけではないが、仲間の女房とは寝る等という設定のプレイボーイである。喋りも出来ない筋肉くんが女性と情事に至るだろうか。暴行行為なら有り得るが。確かに女房の旦那も大したことないおっちゃんのため、大した魅力はいらんが・・。ヒーローの人格、内に秘める心情を表現するという点ではJ−C.バン・ダムの方がまだましだ。おっちゃんとは車泥棒仲間であり、女房も共有していたというわけであるが、このおっちゃんに、裏切られ、罠にはめられたたことから復讐劇としてストーリーは展開する。刑務所を脱走し、美人警官リタ(C.アルフォンソ)を無理やり連れて逃げながら昔の仲間に仕返ししに行く。リタとはいい関係になっていくんだが、軽いんだよね。とにもかくにも砂漠を走り回るカーチェイスシーンだけしか後に残らない感じの映画である。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★ Director ジョエル・コーエン Cast ビリー・ボブ・ソーントン フランシス・マクドーマンド ジェームズ・ガンドルフィーニ アダム・アレクシ=モール マイケル・バダルコ キャサリン・ボロウィッツ リチャード・ジェンキンス スカーレット・ヨハンソン ジョン・ポリト トニー・シャローブ 短評 コーエン兄弟がモノクロのフィルム・ノワール調で挑む、無口で淡々とした床屋エド・クイン(B.B.ソーントン)の皮肉な運命を面白悲しく描いた映画。他のキャストでは、エドの女房ドリス(『赤ちゃん泥棒』『ミラーズ・クロッシング』『ファーゴ』のF.マクドーマンド)、ドライクリーニングの商売を持ちかけエドの人生を狂わしたトリヴァー (『ミラーズ・クロッシング』『バートン・フィンク』のJ.ポリト)、エドの義兄で床屋のオーナー、フランク(『ミラーズ・クロッシング』『オー・ブラザー!』のM.バダルコ)等コーエン映画でお馴染みの渋い俳優達がシニカルな面を引き出す。最初は思い通り、途中からは思いがけず上手く事が運んだに思えたエドであるが途中から予想出来ない展開でピンチに!エンジェルとしてエドが努め入れあげるバーディ(S.ヨハンソン)が車での帰途でしたこととは!さらには、死体であがったトリヴァーからエドのサインのある契約書が発見され、デイヴ(J.ガンドルフィーニ)とトリヴァーを殺害したとされる。家を担保に雇ったやり手弁護士リーデンシュナイダー(T.シャローブ)も裁判途中で降板。最後は電気椅子である。しかし、どの事態に至っても無口で動じた風を見せないエドがいい。コーエン兄弟は用意した驚きの展開にゆったりとした対応をする。床屋のポールに象徴されるどこかしら悠久のようなものの中の運命を感じる。バーディの思わぬ大サービスに驚き事故ってしまうところのゆっくり車が飛ぶシーンはまさにそれ。また、モノクロのフィルムにはベートーベンの曲が印象的に使われる。エドがバーディに魅了されたのは彼女が♪ピアノソナタ第8番「悲愴」♪を弾く姿。他にも♪ピアノソナタ第14番「月光」♪、♪ピアノソナタ第23番「熱情」♪が使われている。 1990年 イギリス/アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director バーナード・ローズ Cast キーファー・サザーランド エミリー・ロイド パッツィ・ケンジット キース・アレン リズ・フレイザー アレクサンドラ・ピッグ ラルフ・ノセック 短評 ロンドンのハマースミス地区を舞台に、映画スターを夢見るジョージナ(E.ロイド)とシカゴ出身のギャングをぶって見せるリッキー(K.サザーランド)の犯罪に刺激を求め落ちていく6日間を『不滅の恋/ベートーヴェン』の監督B.ローズが描く。最初は盗み。最後は殺人にまで及ぶ。米陸軍を脱走したリッキーは“シカゴ・ジョー”と呼ばれカポネの子分だとして大物を気取る。ギャングにも憧れるジョージナと出会うは軽犯罪は起こすも、それでも無難であったリッキーを破滅へと向かわせる。凄ぶるリッキー、ほんとはスーパー強盗にもビビル小心者。どこか危ないジョージナに魅了されながら、彼女に臆病を指摘され、そそのかされて強盗殺人にまで及ぶ。ギャングの顔を隠して通うジョイス(P.ケンジット)は純真な娘で、リッキーにはときめきが無かったのだろうが、警察に捕まる直前にもジョイスのもとへ行く。それは刺激に相対する安定、安らぎを求める心の表れである。そういう二面性を描きながら、エスカレートする犯罪をたたみかかけるように展開するのは上手い。リッキーのかく汗の量が増えると共に破滅に向かっていくクライマックスは盛り上がる。一方、逮捕後の取調べでリッキーとジョージナ二人の刺激からは程遠い素性が明かされ、自分を偽った虚空の6日間を強調したラストの演出もいい。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director スティーブン・ソマーズ Cast ブレンダン・フレイザー レイチェル・ワイズ ジョン・ハナ フレディ・ボース アーノルド・ヴォスルー オデッド・フォール パトリシア・ヴェラスケス ザ・ロック 短評 古代からの神秘を求めるアドベンチャーがILMのCGIテクにより凄い迫力で見れる。登場人物は前作と同じ人物が演じているため、人物の把握がしやすいし、それぞれの俳優もそれらしくなっている。特にフレイザー、冒険家リックとして凄くさまになってきた。また、『スターリングラード』でジュード・ロウの相手役ターニャに扮したワイズも断然良くなった。今回はリックと結婚し、8歳の子供を持つ。ハナも頼りないけど欠かせない役でポイントを抑えていた。今回見逃せないのが、ヴォスルー演じるイムホテップと、ヴェラスケス演じる女性がアナクスナムンとして再生した後の関係。リックとエヴリンの関係と対比しながら、アクションに上手く男と女のロマンを絡めている。とにかく次から次へと現れる迫力あるシーンに退屈しない。お友達の鷹を失った(殺された)フォールも正義のヒーローとして格好良かった。一方、監督のソマーズは脚本も書いているそうで、大衆が喜ぶところをよく心得ています。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ロバート・ロドリゲス Cast イライジャ・ウッド ジョシュ・ハートネット ジョーダナ・ブリュースター クレア・デュヴァル ファムケ・ヤンセン パイパー・ローリー サルマ・ハエック クリストファー・マクドナルド 短評 S.ハエックはちょい役で登場。R.ロドリゲス監督とは『デスペラード』でも組んでいた。この映画、キャストが凄い。『姉のいた夏、いない夏』『ワイルド・スピード』のJ.ブリュースター、『コップランド』のR.パトリック、『ノイズ』『17歳のカルテ』のC.デュヴァル、『X−メン』『TATARI タタリ』『相続人』のF.ヤンセン、『フラバー』のC.マクドナルド、E.ウッド、J.ハートネット。よくこれだけ集まった。みんな生物に寄生されグロい姿を披露。ストーリーはというと、E.ウッドが見つけた生物が次々に人間に寄生していく展開。その人間が水を欲しがるようになるのは、寄生生物に水が不可欠であるため。DRUGが脱水症状を引き起こすことから、DRUGを吸い、寄生されているか否かの診断を行うというのは面白かった。誰が宿主なってしまったのかを楽しむ映画である。なのに、ストーリー進行と共にみんな寄生されてしまったのでは、だめじゃん。それに、ドラッグ吸引回避のための方法がが鼻穴のふたでは、“どうやったんだろう?”と注目していただけに落胆は大。また、親分死んだら、みんな元の正常な体に戻れるというのも納得いかん。 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★ Director ロン・シェルトン Cast ハリソン・フォード ジョシュ・ハートネット レナ・オリン マスターP ブルース・グリーンウッド マーティン・ランドー ロリータ・ダヴィドヴィッチ ルー・ダイアモンド・フィリップス キース・デヴィッド イザイア・ワシントン ドワイト・ヨアカム グラディス・ナイト メレディス・スコット・リン エリック・アイドル スモーキー・ロビンソン ロバート・ワグナー 短評 『さよならゲーム』『ティン・カップ』でK.コスナーにお付き合いした感のあるR.シェルトン監督。今回は刑事もの映画であるが、二人の刑事ジョーとK.C.を演じるのがH.フォードとJ.ハートネットという新旧大物スターであるということが一番のアピール点である。ストーリーはというと、不動産業に精を出すジョーとヨガのインストラクターという副業を持つK.C.。若者らしくハリウッド俳優になるという夢を持つK.C.ではあるが、刑事職に対する拘りが見られない。そんな彼らに追われる犯人もしょぼい。人気ラップ・グループとのいざこざから殺人事件を起こしてしまった犯人はレコード会社社長サルティン(I.ワシントン)なのだが、ジョー達に目をつけられた彼はまるでチンピラのように逃げ回る。ハリウッドなんかでは刑事が副業を営むのはごく普通のことなのだそうだが、公職に就く者がこれでいいのか。ショービズの街とはいえ、型破りであることを面白いとばかりは言ってられない。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director アルバート・ブルックス Cast シャロン・ストーン アルバート・ブルックス アンディ・マクダウェル ジェフ・ブリッジス ジェームズ・キャメロン 短評 芸術想像の神ミューズ。たしか踊りや詩それぞれの分野に長けた神が9神いたと思うが、脚本や監督業に長けた神はいたっけか?とにかくハリウッドのヒットメーカー達は、ミューズのお導きがあっての現地位らしい。という発想は面白く、本人役で出演しているマーチン・スコセッシやロブ・ライナーが映画ファンを楽しませてくれた。『アウト・オブ・サイト』ではお金を狙われる役だったA.ブルックス。落ち目の脚本家スティーブンの役で、ミューズであるというサラ(S.ストーン)に振り回される。ホテルでの我が儘ぶりは、ハリウッドで有名なJ.ロペスも真っ青。ミューズは我が儘なのだ。J.トラボルタが天使を演じていた『マイケル』を思い出してしまった。映画の中ではいまいちの脚本家を演じるブルックスであるが、この映画の監督、脚本をやっている。話の中にひねりも加えていたし、なかなかよろしいんじゃないでしょうか。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ノーマン・ジェイソン Cast デンゼル・ワシントン ヴィセラス・レオン・シャノン デボラ・カーラ・アンガー リーヴ・シュレイバー ジョン・ハンナ ダン・ヘダヤ 短評 ワシントンの演技に脱帽。彼はルービン・ハリケーン・カーターを見事に演じきった。『遠い夜明け』や『マルコムX』等といった社会派映画で重みを与えてきたワシントンなら当然か。体つきも完全にボクサーになっとった。それにしてもこれが事実だなんて、考えたら酷過ぎる。黒人であるが故に無実で投獄。まあ、偏見とはいえ、「こんな仕打ちあり?」と言いたくなる。でも、こんな運命を背負いながら、ハリケーンの獄中での真摯な態度には感動した。だから彼が筆した自伝がシャノン演じる少年の心を揺さぶってのだと思う。ハリケーンは最後、無実を勝ち取るが少年を含めハリケーンの無実を信じ活動するカナダ人によってもっと早くに救われていたのかもしれない。どんなに、辛い目に会おうとも自分を理解してくれる人間によってどれほど救われるか。人を信じることが出来ることがどれほど心の幸せ、解放に通じるかをしみじみ味わうことが出来た。『夜の大走査線』を監督したジェイソン。またまた問題作を見せてくれた。 1955年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director アルフレッド・ヒッチコック Cast エドマンド・グウェン ジョン・フォーサイス シャーリー・マクレーン ミルドレッド・ナトウィック ローヤル・ダーノ 短評 一人の死体をめぐる騒動をほのぼのと描いた映画。禁猟区に狩に出かけた老船長(E.グウェン)が倒れた男を発見する。遺留品から彼の名がハリーであることを知る。自分が兎と間違えて撃ち殺したと思った老人は実にのんびりと死体隠しを画策する。この死体は次々と街の人間に見つかるもいずれの人間ものん気に対応する。この後ハリーを殺したという人物が現れることから死体を埋めたり掘り返したり、犯罪隠蔽のためにハリーは死体の状態で災難に遭う。ホントなら殺人ということでのほほんとはしてられないところだが、ハリーの妻(S.マクレーン)と画家(J.フォーサイス)、老船長とおばさんはハリーの死体をあっちにこっちに動かしながらも、それとは別に自分達の新しい恋に浮かれる。絵が売れた代金の代わりにダブルベッドを要求したなんていうユーモアで盛り上がってる場合でないでしょうと突っ込みたくなるのもこの映画の魅力。A.ヒッチコックの描くコミカルなサスペンスとして異色の一本。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director クリス・コロンバス Cast ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン リチャード・ハリス マギー・スミス アラン・リックマン イアン・ハート ロビー・コルトレーン ジョン・クリース ワーウィック・デイヴィス リチャード・グリフィス ジョン・ハート フィオナ・ショウ マギー・スミス ジュリー・ウォルターズ トム・フェルトン ハリー・メリング デイヴィッド・ブラッドリー 短評 『アンドリューNDR114 』の監督でもあったC.コロンバスは『ホーム・アローン』『ホーム・アローン2』のイメージが強い。『ホーム・アローン』は面白いが、ファミリーで楽しむ映画である。『ベビーシッター・アドベンチャー』のような落ち着きのない映画になるのではと、ある意味心配したのだが、見たあとの印象は違っていた。世界中で読まれたJ.K.ローリングの原作に忠実であり、児童文学である原作を既読の大人であれば子供をも鑑賞対象としたこの映画にも充分入り込める。既読者の一人であった私も本が描いていた世界はこんなんだろうと凄く納得してしまった。特にクディッチ?というスポーツなど本を読んでたときにはイメージしきれなかったが、この映画でそれを体験できた。もちろん映画でいきなりこの話を知ったのなら賢者の石を守っているトラップを子供ごときが解決していくのかと、納得いかないとこもあると思うが、本で読むとハリーたちに成り代わって主観的にこれらを体験できるので、設定の無理を感じることは少ない。前置き部分に当たるところもいきなり映画を見たのでは、バーノンおじさん(R.グリフィス)、ベチュニアおばさん(F.ショー)、息子ダドリー(H.メリング)との間の微妙なやり取りも映画の上映時間から省略されていて良く分からないかもしれない。ただ、梟が封筒をどっさり運んで来るけどなんなのってことになるだろう。この映画は本を読まずして見る映画ではない。人物がはっきりと視覚的にも描かれる映画では、クィレル先生(I.ハート)の表現が難しいと思われるが、彼の演技も良かったし、スネイプ先生(A.リックマン)にも助けられて上手く表現できていた。 2002年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director クリス・コロンバス Cast ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン リチャード・ハリス マギー・スミス クリスチャン・コールソン アラン・リックマン ロビー・コルトレーン フィオナ・ショウ ジョン・クリーズ トム・フェルトン マシュー・ルイス ケネス・ブラナー ジェイソン・アイザックス ミリアム・マーゴリーズ マーク・ウィリアムズ シャーリー・ヘンダーソン ジェマ・ジョーンズ 短評 魔法使いファンタジーの第2弾。嫌気のさしたダーズリー一家(R.グリフィス、F.ショー、H.メリング)の意地悪から再び夢のようなホグワーツ魔法魔術学校へ。1年生から2年生になり、ハリー(D.ラドクリフ)達キャラも1年成長しているのだが、それ以上にハーマイオニー(E.ワトソン)を含め、演じるワトソン達子供の身体的急成長が目立つ。子供から少年少女へ、すごく大人っぽくなった。成長期の彼らは声代わり等体の変化が著しい時期なのだ。第2話はマルフォイ家が敵、ライバルとして大きな存在となってきたことことが重要な要素だろう。父ルシウス(J.アイザックス)、スリザリン僚のなまいき野郎ドラコ(T.フェルトン)のいかにも悪役っていうような親子は存在感が出てきた。そしてトビーめ。屋敷しもべである。マルフォイ家でのお勤めはつらい、卑屈にならざるを得ない運命でありながら、ホグワーツで起きようとする災いからハリーを守ろうとする。自分はさておき、やさしさを見せるあたりがトビーの魅力である。しかし、映画のトビーめはダーズリー家の大事なお客の頭にケーキを落とす。原作ではホグワーツに行くと聞かないハリーにケーキを落としていた。ダーズリー家のお客に与える印象としては原作のセンスの方が良いように思える。映画はやりすぎだ。輪廻転生サイクル(灰の中からの誕生→雛→成長→燃焼→灰→灰の中からの誕生)が面白い、癒しの効力を持つ涙を流す不死鳥フェニックスも重要なキャラ。不死鳥をペットとしているダンブルドア校長(R.ハリス)、マグゴナガル先生(M.スミス)、ハグリッド(R.コルトレーン)は、ハリーたちが校内に存在するといわれる“秘密の部屋”の謎に迫るのを暖かく見守る。秘密の部屋にたどり着いたハリーが見たものは昔の生徒トム(C.コールソン)と大蛇。亡霊トムの本当の正体があの闇の魔法使いヴォルデモートなのである。ヴォルデモートを倒したことで、ダンブルドア校長を失脚させようとするマルフォイ家の陰謀も抑えられ一件落着。しかし、トビーめをマルフォイ家から自由にしてやったハリーのやり方はインチキ臭い。児童向けとはいえ、最近の子は納得しないだろう。蛇語を話せることで自分がスリザリンの資質を持っていると悩むハリー、ダンブルドア校長は真のグリフィンドール生のみが組み分け帽子から剣・ゴドリック・グリフィンドールを出せるのだと説き伏せる。優しくゆっくりと語りかけるR.ハリスの演技は彼しか考えられない程味がある。本作を最後に亡くなったのが惜しい。第三作でハリスの演技が見れないのが残念だ。ちょこまかと重みのないロックハート(K.ブラナー)が忘却術にかかった後の原作にもないオチがエンドロール後に見られる。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★ Director マイケル・ベイ Cast ベン・アフレック ジョシュ・ハーネット ケイト・ベッキンセール アレック・ボールドウィン キューバ・グッティング・Jr. ジョン・ボイト ダン・エイクロイド 短評 はっきり言って日本人をもっと真面目に描けよと言いたい。真珠湾攻撃は相手を騙しての奇襲作戦であるので、日本側に正当性は見いだせず、市民や戦艦から逃げ出し投げ出され、海に浮かぶ兵士をも標的にしていた日本軍の攻撃は心苦しい。アメリカ側の目で見ていると非常に複雑な思いである。戦争史に基づくストーリーを自国でなく敵国側から見、鑑賞するのは難しいし、それだけ説得力を持った描写が不可欠である。その意味でちょっと残念である。また、見た目は格好いいカップルではあるが陳腐な出会いのため中身の感じられない、アメリカのパイロット、看護婦が主人公である。M.ベイとブラッカイマーのコンビが生み出す映画は世間の評価もあり、商業主義が強く感じられるようになってしまった。これを払拭するには良質の高芸術価値映画をたとえ一本でも制作してもらうしかない。だが大衆を誘惑し映画館に足を運ばせる手腕は素晴らしい。興行成績も重要ではあるだろうからその辺は上手いと言える。稼げば官軍といったところか。興行以外にいいところもあった。特撮及びその迫力である。零戦や戦艦アリゾナは見応えあった。これで得点を稼いだ。制作費は1億ドルより遙か上なのに他の映画と同じ料金とは有り難いことです。 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ポール・ハンター Cast チョウ・ユンファ ショーン・ウィリアム・スコット ジェイミー・キング カレル・ローデン ヴィクトリア・スマーフィット マコ ロジャー・ユアン マーカス・ジーン・ビレー 短評 とてつもない力を秘める巻物を守るチベット・モンク。BULLETPROOFモンクとは防弾モンクという意味みたいだ。不死身であるため弾丸すら恐れることは無い。強力なパワーを得たモンクは病老とは縁のない60年を送る。巻物を受け継いだ僧(C.ユンファ)は60年を経て3つの予言を満たす後継者は一体どこにいるのか?巻物を託すべく探す。チベット仏教思想を伝える予言は西洋の領域にいるとは思えないが、世界征服欲から巻物を狙うストラッカー(C.ローデン)に追われていることもあって、アジアを離れニューヨークをうろつく。そのニューヨークには映画館にバイトをしながら住み込み、映画スターを師とし独学でカンフーを学ぶカー(S.W.スコット)という男がいた。僧が気にかけるカーの格闘能力の可能性という意味では分からないことはない。しかし、カーはスリを働く若者だ。当然、巻物を託せる資質を備えているとは思えないが、彼に教えを説いていくのもストーリーには欠かせない。カーはストリートギャング団の一人ジェイド(J.キング)に好意を持つようになる。マフィアの娘という境遇ながら慈善行為に惹かれるジェイドの存在は巻物を守る後継者としてとても重要なカギとなっている。エーッと突っ込みを入れたくなるカギが最後に明かされる。予言の一つに浄土の愛を求めて戦うとある。浄土とはジェイドだった。ジェイドにアタックするカーの行為が奇跡の力を継承するに必要だったのだ。巻物をカー達に託した後に見せるユンファ扮する僧の老け姿と共に滑稽である。『トゥーム・レイダー』シリーズのようなRPGの世界は駄洒落で幕を閉じた。 2002年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★ Director ポール・トーマス・アンダーソン Cast アダム・サンドラー エミリー・ワトソン ルイス・ガスマン フィリップ・シーモア・ホフマン メアリー・リン・ライスカブ 短評 P.T.アンダーソンが描くはただのラブストーリーではない。『ブギーナイツ』『マグノリア』を監督しあっと言わせた彼は、音(音楽)、カラー、出来事に違和感を持たせながらアンバランスに展開させる。映画のところどころに挿入されるキラキラの映像、サイケデリックな映像がバリー(A.サンドラー)らの心理を浮き立たせる。ブルーのスーツが際立つバリーはいいやつではあるが、7人の姉を持つ末っ子という境遇がもたらすであろうストレスから暴力的に切れる一面を持ち悩む。大人になり切れないバリー。仕事は倉庫を借り、トイレ吸盤棒の販売業を営むこと。信じられないほどプリン買い込みマイレージを貯めるのであるが、食品会社に「購入した食品のクーポン券に対するマイレージ特典が大きすぎるのでは」と確認をした上で、どの食品を買うのが得かを調べる真面目な徹底ぶり。心配しながらもテレフォンセックスサービスを利用してしまい、お決まりのようにサービスを利用したゆすり屋ディーン(F.S.ホフマン)とのトラブルを抱えるいかにもな現代人振り。ところが、切れると姉の家の窓ガラスは割る、レストランのトイレはぶち壊すというような暴力性により、ディーンらとのやばそうなトラブルを自分一人で解決してしまう。そんなバリーに疑問をどっか抱きながら買い物にまで付き合う共同経営者ランス(L.ガスマン)の人のよさが好感。未だに子ども扱いする姉達に圧倒され、切れるか、泣き出すことでしか表現できなかったバリーに初めて理解者が現れた。初め逆光シルエットでバリーの前に登場するリナ(E.ワトソン)である。シルエットでなくなり、はっきり見えても若いのか老けているのか年齢不詳のリナはバツイチであることが分かるくらいで謎めいた女性だ。突拍子も無いバリーの行動を問いただしたり責めたりしないのだ。そんなバリーとリナのシルエットに対比させたバックのカラーリングと左右に行き来する人たちのシルエットにより演出されたキスシーンが美しい。絵的な感動の要求度が高いキスシーンとして忘れらいほどの出来であること含め2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞作だけのことはある。 2000年 韓国 おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director キム・ジウン Cast ソン・ガンホ チャン・ジニョン パク・サンミョン チャン・ハンソン キム・ガヨン キム・スロ シン・グ チョン・ウンイン イ・ウォンジョン 短評 「あしたのジョー」に出てくる白木ジムの白木葉子、「修羅の門」の神武館孫娘の舞子など格闘技道場の娘は格闘技を通じて、プライド、夢、涙など男の心、ロマンを理解した存在なのである。例えば「るろうに剣心」の神谷薫は一人で道場を受け継ぎ、維持していこうとけなげに頑張る。彼女達は男を理解し応援するヒロインは実にかわいい存在だ。成績ドベの情けない銀行員イム・デホ(S.ガンホ)が通い始めたかつてウルトラタイガーマスクだった男チャンが経営するプロレスジムの娘ミニョン(C.ジニョン)がヒロインである。イムのバックドロップのあわせ稽古に付き合ったり、イムが拾ってプレゼントした野花を捨てることなく大事に持っていたりとかわいいのである。なのに、せっかく魅力的なキャラクター設定を生かしきれていない。ミニョンの存在はもっと大きく取り上げて良かった。イムが憧れる同僚の彼女チョ(K.ガヨン)との関係もシンプルだが、あっさりし過ぎ。一方通行の二人にミニョンを絡めると面白かったと思う。銀行員イムの上司は敵役となっているが、社会人としてなっていないイムからして上司の気持ちも分からなくはない。だからといって、部下にヘッドロックをかけていじめるなんて子供じみている。この上司にして、この部下イムありだ。ラストに見せた上司へのタイマンはよろしくない。むしろ、上司がつっかかってきても相手にしないという心の成長を見せて欲しかった。スポ根というほど一生懸命でなく、男女間もあっさりとした気楽に観れる映画だ。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director リドリー・スコット Cast アンソニー・ホプキンス ジュリアン・ムーア レイ・リオッタ フランキー・R・フェイゾン ジャンカルロ・ジャンニーニ フランチェスカ・ネリ ヘイゼル・グッドマン 短評 トマス・ハリス原作の『羊たちの沈黙』。いつからラブストーリーになったん。どっか(『スターリングラード』)のキャチコピーを借りると“愛するクラリス。今日も僕は君のために、また一人、人(いやなやつ)を食う”と言ったところか。それほどまでにハンニバル・レクターとクラリスは特別の関係になってしまった。レクター(A.ホプキンス)はクラリス(J.ムーア)のイブニングドレス姿に心を奪われたのか、クラリスを傷つけられない。自らの腕を犠牲にして再逃亡する。といっても、ホプキンス、映画『タイタス』で既に自らの腕を切り落とす練習(?)はしていたので、大したことではないか。犬に顔の皮を食べられたお金持ちメイスンは、もはや誰かわからんメイクで登場する人物だが、演じている俳優はなんとG.オールドマンじゃんか。知らなかった。メイスンはまず犬に食われ、最期は豚に食われて生涯を終える。なんと悲惨な。彼だけではない。司法のお偉いさんポール(R.リオッタ)やバッツィ刑事(G.ジャンニーニ)も最期は悲惨である。といっても彼らみんな大した人間でもなく、どうしょうもない人間なんだが・・。猟奇殺人者としての凄みは『ザ・ウォッチャー』のキアヌ・リーブスと違い、流石ホプキンスといったところ。『ザ・セル』のヴィンセント・ドノプリオは悪くなかったが、彼は映画の中では殆ど気を失った状態であった。殺人を続けていった時にどうだったかは想像に頼るしかない。しかし、スコット監督の描写は、ちょっと私にはどぎつすぎる。そういう話なんだからしょーがないんだろうけど。 |