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欲望 

黄泉がえり 

48時間 

 


欲望

1966年

イギリス/イタリア

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director ミケランジェロ・アントニオーニ

Cast   デヴィッド・ヘミングス  ヴァネッサ・レッドグレーヴ  サラ・マイルズ  ジェーン・バーキン  フェルシュカ

短評

カメラマンのトーマス(D.ヘミングス)がカップルを盗み撮りしたことから足を踏み入れていくサスペンスの世界。カメラに収めたものは殺人事件であり、スリリングに進められていく。一方、ところどころに現れるパントマイムはトーマスが入り込んでいく世界が不思議な虚構であるかのように感じさせる。盗み撮りのネガを返して欲しいと頼みに来たジェーン(V.レッドグレーヴ)はオバさんではあるが、組織に属するような力強い女性であるようでいて怪しい哀愁も持ち合わせていた。カメラマンとして成功を得ながらも、モデル志望の二人の女の子と遊び興じる姿に表されるように、芸術家としての信念を失い現実をさまようトーマス。スキャンダルとはいえ、真実を追うことに活力を見出すことには理解できる気がする。だが、スクープによりもたらされた新しい世界もまたつかみ所の無い幻想であった。パントマイムによりテニスを演じる集団と共に、目に見えないボールを追うトーマスの姿が余韻を感じさせるラストとなっている。


黄泉がえり

2002年

日本

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director 塩田明彦

Cast   草薙剛  竹内結子  石田ゆり子  哀川翔  山本圭壱  伊東美咲  忍足亜希子  東新良和  長澤まさみ  市原隼人  寺門ジモン  RUI  伊勢谷友介  北林谷栄  田中邦衛

短評

想い続けることにより黄泉がえる死んでいったはずの愛する人たち。だが、死んだ当事のままの姿で蘇る彼らとの喜びの再会は、一方で社会を困惑させる。厚生省勤務の川田平太(草薙剛)が阿蘇周辺で起こっている不思議な現象を調査する。医学的見地から調査しようとして、厚生省の平太が出向いているのだろうか。だが、単に阿蘇が故郷の平太は個人的に動いているようにしか見えず、彼の属する組織は見えてこない。帰郷した平太は死んだ親友・俊介(伊勢谷友介)のフィアンセ葵(竹内結子)と再会する。というか会う為に戻ったのだ。現地では多くの人間が黄泉がえる。未亡人の玲子(石田ゆり子)は残された娘を育てながら飲食店を営んでいる。英也(山本圭壱)は玲子を慕い飲食店経営を助ける。そんな彼らの前に死んだはずの夫・周平(哀川翔)が蘇る。だが、周平は自分がいなくなってからの英也の存在がどれほど大切だったかを知る。一方、いじめを苦に自殺した中学生の克典(市原隼人)は葬式会場に蘇る。想ってくれる人がいれば蘇れる。孤独から自殺した克典にも愛してくれる同級生・直美(長澤まさみ)がいた。自分をを必要としていた直美の存在に救われる克典。黄泉がえりを通して初めて通じ合った彼ら二人は儚くてピュアだ。俊介の蘇りを望むも叶わぬ葵。実は葵が黄泉がえっていたのだという『シックス・センス』のようなオチ。最後まで蘇らなかった俊介。この世の人間ではなかった葵の想いでは無理だったのか。いや物語が進むにつれ、自分を見ていてくれて平太の存在に気付く葵。いまや葵の心は平太に向いていた。また、俊介の体の一部を持って平太も蘇りを望んだはずである。だがその想いも葵のためであった訳で、そんな想いでは俊介は黄泉がえらせることは出来ないのだろう。黄泉がえりを通して語られる多くの愛には重みと深みがあり、それぞれが切ない群像劇だ。ただ、草薙剛と山本圭壱はまだまだ演技力不足。♪RUI「月のしずく」♪は心に響くが、コンサートシーンはインパクト強すぎて主題歌の域を超えている。平太と葵のシーンがRUIに流れてしまった。


48時間

1996年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ウォルター・ヒル

Cast   ニック・ノルティ  エディ・マーフィ  アネット・オトゥール  ジェームズ・レマー   ソニー・ランダム  デニース・クロスビー  フランク・マクレー  デヴィッド・パトリック・ケリー

短評

『ストリート・オブ・ファイヤー』のW.ヒル監督が、映画デビューとなるE.マーフィの魅力をN.ノルティとのコンビで見事引き出している。この映画では刑事と囚人というコンビだが、相反するキャラクターがコンビを組み、はちゃめちゃでいながら事件を解決していくという設定は面白い。これで味を占めたヒルは、この後ロシア刑事役A.シュワルツェネッガーとアメリカ刑事役J.ベルーシのコンビもの『シュワルツェネッガー/レッドブル』を監督する。『リーサル・ウェポン』シリーズで、M.ギブソンとD.グローヴァーによる白人刑事と黒人刑事のコンビでうけた。ただ、違うタイプの人間がコンビを組めば何でもいいのかというと、同じくC.シーンとC.タッカーによる白人、黒人刑事のコンビの映画『ランナウェイ』はこけた。監督はこれまた、J.チェンとC.タッカーによるアジア人、黒人刑事のコンビもの『ラッシュ・アワー』をヒットさせたB.ラトナーだけに、監督はラトナーで同じ、C.タッカーはどちらにも出ている、というように比較検討すると『ランナ・ウェイ』の失敗はC.シーンのためか?そんなことはさておいて、このように漫才刑事ものが面白いと思わせ、ゾロ作品を作らせることとなったあたり、『48時間』の功績は大きい。ヒル監督のハードボイルドへのこだわりは、この後の出演映画ではトーカティブなE.マーフィの演技をまずまず抑えていた。刑事と囚人という立場からノルティが優位であるが、マーフィも負けていない。喧嘩も本気で殴りあう。だが、時々マーフィに謝るノルティがいいのだ。器用に立ち回るマーフィに対し、ぶきっちょなノルティの味が出る。コメディの要素を盛り込みながら男をハードボイルドに描き抜いた映画である。