JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
く
2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★ Director ドン・ルース Cast ベン・アフレック グウィネス・パルトロウ ジョー・モートン ナターシャ・ヘンストリッジ トニー・ゴールドウィン ジョニー・ガレッキ アレックス・D・リンク 短評 実生活でも恋人だったアフレックとパルトロウのラブストーリー。『ゴースト・ニューヨークの幻』で横領悪役を演じたゴールドウィンは、今回、パルトロウの夫役であるが、映画始まってすぐに飛行機事故で死んでしまう。『ゴースト〜』のイメージが強すぎて、普通の人(いい人)と思えるまで時間がかかった。この映画の役として見れるようになったとことろで彼は死んでしまった。この映画でいい感じだったのが、ゲイを演じたガレッキ。彼はズケズケ、トーカーだが、アフレックをコケにしているようで結果的には世話をしてるのである。パルトロウとの関係の発展に助力しているのだ。最後にパルトロウ、今回は地味ーな役、ファッションだったんだが、彼女の魅力は出ないようだ。彼女はやはりお嬢様なのだろうか?一方、ヘンストリッジ。彼女も『スピーシーズ』シリーズでは綺麗で圧倒されたんだが、この映画ではいまいち。ルース監督には女性の魅力を引き出す力はないかも。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ロバート・アルトマン Cast グレン・クローズ ジュリアン・ムーア リヴ・ターラー クリイス・オドネル チャールズ・S・ダットン パトリシア・ニール 短評 『相続人』でちょっと失敗?だったアルトマン監督の作品だ。アン・ラップという人の初映画脚本である。初のスクリーンプレイとは思えないが、映画と関係してきているからであろう。アルトマンが監督なので、初脚本も問題はない、監督の意向が反映されていそう。ダットンは『ニック・オブ・タイム』でもそうだが、お人好しの役がぴったり。今回は重大な秘密を持つカギとなる人物。クローズはニール演じるクッキーの自殺を第1発見者だったことから殺人事件にでっち上げる。お家の世間体やメンツを重んじるためである。そんな彼女の嘘が街のみんなが知らない重大な秘密、どんでん返しを引き出すことになるのである。彼女は結局体裁や格好を重んじるのである。彼女が演出する“サロメ”という演劇。教会で催すのであるが、演出家としての自分の名前はしっかり看板にしてる。なんか、笑ってしまうのだが、クローズは可哀想すぎるよ。今回も、最後は檻の中・・。もう最後の最期で最悪の状況を得てエンドクレジットにつなげる彼女の毎度の演技。これだけ、多いともう、狙ってるやろといいたくなる。フォーチュン・クッキーとはおみくじ入りクッキーのことらしい。タイトルの付け方は上手い。 1967年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director テレンス・ヤング Cast オードリー・ヘプバーン アラン・アーキン リチャード・クレンナ エフレム・ジンバリスト・Jr サマンサ・ジョーンズ ジャック・ウェストン ジュリー・ヘロッド 短評 スージー(A.ヘップバーン)は入れ替わり立ち代り彼女のアパートを訪れる男達(A.アーキン、R.クレンナ、J.ウェストン)により危険な状況にさらされる。男達の内の一人マイクは彼女の夫サム(E.ジンバリスト.Jr)の友人を装い、近所で起こった殺人事件の容疑がサムに及ぶかもしれない、サムが持ち帰った人形を探し出す必要があると人形を手に入れるため芝居を打つ。人形の中のヘロインを手に入れようとするロート(A.アーキン)の悪党ぶりがいい。そんなロートに盲目というハンディキャップを負いながら抵抗するスージーの頭脳戦がサスペンスフルに描かれる。監督は『007/サンダーボール作戦』『007/ロシアより愛をこめて』『007/ドクター・ノオ』の初期ボンド映画で有名なT.ヤング。スージーのアパートの一室のみの空間を舞台としたスリルはなかなかのもの。盲目のスージーが真実を見抜いていく中で表現して見せた。人形を持っていたグロリア(J.ヘロッド)という少女の存在がストーリー展開に効いている。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director リドリー・スコット Cast ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリバー・リード リチャード・ハリス デレク・ジャコビ ジャイモン・ハンスウ 短評 『インサイダー』で社会派ドラマを演じ、演技派俳優としても認められたラッセル・クロウがスペクタクル映画に挑戦。ブトブトだった体が逞しくなっていた。それもローマ時代の剣闘士のためである。彼が演じる将軍は架空だが、『ムーン・ライト・ドライブ』でなかなかの演技を見せているフェニックスは、実在の人物コモドゥス皇帝である。実際のコモドゥスもこの映画同様大したことのない皇帝で特になにをするでもなく、ただただ剣闘士の戦いに娯楽として興じていたそうだ。コモドゥスの父親にあたるアウレリウス皇帝は思慮分別のあったとされ、この映画ではハリスが演じる。アウレリウス皇帝がそもそも人を見抜く力を持ち、自らの子供よりも忠実な家来(クロウ演じる将軍)に皇位を譲る分別を見せたことから悲劇は始まる。コモドゥスは父の考えを知ったときから非道の道を歩み始め、まず父親を死に至らしめる。将軍の処刑を企み、将軍の家族を惨殺したコモドゥスはにっくき敵である。処刑は逃れたものの奴隷となり、剣闘士(グラディエーター)としての生活を余儀なくされる将軍。彼と共に復讐を遂げるまで戦いに力が入る。コロシアムの迫力は流石CGIといったとこ。剣闘士ファイトのシーンは迫力満点。 クリフハンガー 1955年 アメリカ/フランス おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director レニー・ハーリン Cast シルヴェスター・スタローン ジョン・リスゴー マイケル・ルーカー ジャニン・ターナー レックス・リン キャロライン・グッドオール レオン ミシェル・ジョイナー ラルフ・ウェイト ポール・ウィンフィールド 短評 『ドリヴン』『ディープ・ブルー』『ロング・キス・グッドナイト』『ダイ・ハード2』のR.ハーリン監督はロッキー山脈を舞台にロッククライミングのスリリングを見せてくれるが・・。山岳救助隊員のゲイブ(S.スタローン)が同僚のハル(M.ルーカー)とハルの恋人サラをロープ一本で救出に行く導入部は手に汗もの。落ちそうになサラを片手で支えるシーンは緊迫感あり。そりゃ、結局サラは『ダイ・ハード』のハンス(A.リックマン)のようなアングルでカメラに捕らえられ名落ちていくんだから観てる者はマジです。スリルが続く連続活劇という意味を持つクリフハンガーという題名をつけているわけだから、この後も岩壁のアクションを続けてくれる。しかし、ゲイブは『ダイ・ハード』のジョン(B.ウィリス)バリの薄着、その上なんの装備もつけず、素手で岩場を登ろうとも『ランボー』のS.スタローンは不死身だし、犯罪組織の悪党どもが一人、また一人と落ちてはいくが、落ちていくことを期待していることもあり導入部ほどのスリルはない。悪党のドンはクエラン(J.リスゴー)である。容赦なく始末する非情な凄みはあるが、大金を奪おうと組織したチームのリーダーとしての統率力は無い。内通者として現金輸送の情報を提供したトラヴァース(R.リン)はこの作戦に参加したことをぼやき、嘆くありさま。3つあったキャッシュ入りのトランクは次々にゲイブに始末され、分け前減っていく中で、仲間も次々に減っていくし、クエラン自らも始末する。自分だけとなった時にも残った一つのトランクに固執し往生際悪い。ジェシー(J.ターナー)を人質に取ることが出来、「(この状況が)わかったか!」というまでに有利な状況にありながら、ゲイブがジェシーを大切に思う気持ちを利用できないのだ。結局ゲイブの要求に従い、ジェシーを解放してしまう。全てを失い体を張って、ヒーロー・ゲイブに立ち向かい、奈落に落ちていく様は型にはまった死にっぷりではあるが、どこか情けない。 2000年 フランス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director マチュー・カソヴィッツ Cast ジャン・レノ ヴァンサン・カッセル ナディア・ファレス ドミニク・サンダ カリム・ベルカドラ ジャン=ピエール・カッセル ディディエ・フラマン フランソワ・レヴァンタル フランシーヌ・ベルジェ フィリップ・ナオン 短評 M.カソヴィッツは監督だけでなく、脚本も行ったということだが、なかなかセンスがある。ハリウッド的にはだけど。ただ、ちょっと気になる点はある。原作を知らないので、それが、脚本に忠実だったためなのか、脚本の段階で悪くなったのかは判らないが・・。閉鎖的に暮らす学園都市集団。この集団の優秀な子孫を求めるが故の子供さらいなどこれに関する悪行。彼らの犠牲になった人間が起こす事件を探っていくという設定自体は面白い。しかし、事件の猟奇性が際立ち、犯人の心情描写が薄くなってしまったのは残念。アクションに趣を置くとこうなってしまわざるを得ないのも事実であるが。ただ、迫力の雪崩シーンの前後、犯人が特定され始めてからの部分が時間的にも、J.レノやV.カッセル演じる刑事と犯人とのやり取りもあっさりと終わりすぎ。ここは犯人の演技で心情をじっくり描きこんで欲しかった。しかし、フランス映画ということでイメージするねっとり感はなく、好テンポで刑事ものとしての娯楽性はバッチリ。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ロン・ハワード Cast ジム・キャリー テイラー・マムセン ジェフリー・タンバー クリスティン・バランスキー モリー・シャノン ビル・アーウィン アンソニー・ホプキンス(ナレーター) 短評 『アポロ13』のハワード監督が、『スプラッシュ』などでも見せているファンタジーの世界に挑んだ作品。ハワードの作品では『エドTV』が結構お気に入りである。今回のこの映画はDr.スースの“グリンチはどうやってクリスマスを盗んだか”を原作としたもので、アメリカではまず、誰でも知っているそうである。グリンチには、『マスク』でもメイキャップキャラクターを演じたキャリー。今回も緑色である。もうこれはキャリーの為にあるようなキャラクターだ。彼は地でいってるんじゃなかろうかという感じ。幻想的な街フーヴィルも良くできているし、グリンチが飼っている、トナカイの角をつけられる犬が最高。フーヴィルの村人が大切にしている温かい心というものも、キャリーの演技により臭くなることもなく、見ることが出来る。ただ、マムセン演じる女の子はかわいかったものの、最近マジで大人顔負けの演技を見せる子供達にあって、そう上手とは言えなかったかな? 2000年 アメリカ/中国 おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director アン・リー Cast チョウ・ユンファ ミシェール・ヨー チャン・ツィイー チャン・チェン チェン・ペイペイ 短評 『いつか晴れた日に』『ウェディング・バンケット』でハートウォームなドラマを監督したA.リーが描く名剣“グリーン・デスティニー”をめぐる映画。ワイヤーアクションを存分に取り入れたアクションものである。確かにワイヤーで吊られ行うアクションは上下方向に幅を持たせ流れるようなダンスに通じる動きを生んでいる。『世界中がアイ・ラブ・ユー』でみられるようにミュージカルとしてならこの動きは面白さが加わりいい演出だと思うが、吊られているという感じが思いっきり露呈しすぎて本作には向かない。吊られた状態で足をばたばたさせるのは滑稽である。竹林のシーンも『ハルク』で見せたように緑色に拘る監督だけに美しさは目を見張るものの、天上人のように飛び回るリー・ムーバイ(C.ユンファ)、イェン(Z.ツィイー)に納得はいかない。これまでにないアクションに挑戦した功績は認めるが、名剣にまつわる人間描写、互いに惹かれあいながら気持ちを表せないリーとシューリン(M.ヨー)のもどかしさ、リーがイェンを弟子にと望む理由めいたものが伝わってこない。第一、名剣としての扱いに不満もある。奪い奪われする流れがあっさりしすぎて仰々しさがなさすぎる。ストーリーはちょっとお寒い。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director フランク・ダラボン Cast トム・ハンクス デヴィッド・モース ボニー・ハント マイケル・クラーク・ダンカン ジェームズ・クロムウェル マイケル・ジェッター グレアム・グリーン ダグ・ハッチソン サム・ロックウェル バリー・ペッパー ジェフリー・デマン パトリシア・クラークソン ハリー・ディーン・スタントン ウィリアム・サドラー ゲイリー・シニーズ 短評 F.タラボン監督が『ショーシャンクの空に』と同じスティーブン・キング原作を映画化したのはまたまた刑務所もの。舎房Eブロックの死刑囚と看守のの物語は死刑囚が電気椅子まで歩む緑色の廊下グリーンマイルを題名とする。看守主任ポール(T.ハンクス)が担当するEブロックに幼女姉妹虐殺の罪で死刑宣告されたジョン・コーフィ(M.C.ダンカン)が送られてくる。でかい体のわりにおとなしく臆病なコーフィには触れた相手を癒すことが出来る不思議な力を持っていることが次第に分かってくる。尿道炎に苦しむポールはコーフィに治癒され気持ちよく尿を足すことが出来る。その苦しみから恍惚への表情の変化はこちらが尿意を感じるほど生々しく上手い。ドラクロア(M.ジェッター)の飼っていたネズミ・Mrジングルスの命を救ったり、刑務所長ムーアズ(J.クロムウェル)の脳腫瘍で苦しむ妻メリンダ(P.クラークソン)も完治させる。癒すという行為をキラキラしたものや黒いもやもやを吸ったり吐いたりという形で表現したのは面白い。吸い取ったり、吐き出したりされる病毒は人に移っていくのだ。吸い込み溜め込んだ病毒をコーフィに吐き出されて狂し、ついには廃人となるパーシー(D.ハッチソン)を除いて他看守ブルータル(D.モース)らはいい人だ。ポールはコーフィの手を通じて同じEブロックの凶悪犯ウォートン(S.ロックウェル)が本当の犯人であることを知る。真実を知り処刑から救おうとするポールら看守達と疲れて終わりにしたいと処刑を受け入れるコーフィが電気椅子に向かう姿に胸が痛くなる。無実であるコーフィが被害者の厳しく殺意的な目の中で処刑される姿は人間の罪を背負って死んで行ったように思える。彼の軌跡の力に触れたポールとMr.ジングルスはゆっくりとコーフィの死をかみしめながら老いていく。全てを終わらせたいとするポールではあるが、まだまだグリーンマイルは見えてこない。しかし、死を本当の意味で覚悟できる彼にとってのグリーンマイルは穏やかであるに違いない。電気椅子による処刑の焼き焦げた肉の臭いがしてきそうな位えぐいシーンもあるが、俳優の演技にも後押しされた暖かい映画である。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ロジャー・カンブル Cast サラ・ミシェル・ゲラー ライアン・フィリップ リース・ウィザースプーン セルマ・ブレア ルイーズ・フレッチャー ジョシュア・ジャクソン エリック・メビウス ショーン・パトリック・トーマス スウージー・カーツ クリスティーン・バランスキー デボラ・オフナー タラ・リード ハータ・ウェア 短評 恋愛を操ることで人を陥れること楽しむ主人公が義理の関係にある姉弟という設定は怪しさを生んでいる。贅沢三昧のキャスリン(S.M.ゲラー)とセバスチャン(R.フィリップ)は名門進学校に通う。彼らの企みは金持ちの遊び感覚で行われるプレイなのである。が、キャスリンの次なる目的は自分から別の女セシル(S.ブレア)に乗り換えられたことに対する復讐となる。一方、お嬢様アネット(R.ウィザースプーン)の処女を奪えるかどうかの賭けをしながらホントに恋に落ちてしまうセバスチャン。そのセバスチャンにまで嫉妬するキャスリン。遊びに興じきれず、マジになってしまうところが子供なのだ。所詮は高校生。プレイボーイとプレイガールはその生き様をを全うしてこそカッコイイのだ。嫉妬や未練を持ったり表してはいけない。プレイボーイ道を捨てアネットへの誠意を選ぶセバスチャンだが、やり直しはきかず交通事故に遭い死に至る。セバスチャンの心意が確認できたアネット。彼の死を乗り越えキャスリンより逞しくなったがごとくジャガーを颯爽と走らせる彼女の姿、表情が印象的に心に残る。 1993年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ジョン・タートルトーブ Cast リオン ダグ・E・ダグ ラウル・D・ルイス マイク・ヨバ ジョン・キャンディ レイモンド・J・バリー ピーター・アウターブリッジ ポール・クール 短評 ”クール・ランニング”とは平穏な旅という意味らしい。初めて雪を見るようなジャマイカの選手が氷上のスポーツ・ボブスレーに挑戦するドタバタストーリー。カルガリーオリンピックで活躍したジャマイカチームの実話を映画化したもの。決して平穏な旅とはいえないが非常に楽しいスポコンものである。卵にキスして幸運を信じる彼らはレゲエサウンドに乗ってテンポ良く、そして、ソリをかついでゴールする感動の場面に導いてくれる。金メダリストながら不正を働き落ちぶれてしまっているが、ジャマイカチームへの誘いを受けるコーチをキャンディが演じる。『大混乱』『大災難』『ホームアローン』等に出ているキャンディならではの役柄。タートルトーブは『フェノミナン』『あなたが寝てる間に・・』を監督している。数少ないサンドラ・ブロックの成功作として『あなたが寝てる間に・・』を監督しているだけに、ハートフルな映画であれば、ヒット作とする能力あり。最後に余談であるが、ゆでたまごを食べるときには、カプッといく前にキスを忘れないようにしよう。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director デヴィッド・ウィンクラー Cast ジョナサン・シェック ハーヴェイ・カイテル ブリジット・フォンダ グレッチェン・モル 短評 『すべてをあなたに』いや僕にとっては『キルトに綴る愛』での出演印象の方が強いジョナサン・ジャックとくせものオヤジ・カイテル二人が、過去に家族を失うという心の傷を負う男を演じる。この二人が、どこかしらハートフルで変な旅をする。カイテル演じる役はエルビスにそっくりという設定の男。彼は映画の中でのそっくりショーでエルビスの歌を披露するし、ショー会場では似てると評価されている役。カイテルは役としてだけでなく、自らもその気になってなりきってたと思われる。その辺のオッサンがプレスリー気取りで”リメンバー・ザ・キング”というセリフを連呼しているだけにしか見えないが、これがまた、つらい過去にしがみついてる男に、グッドなテーストを醸し出している。エルビスの命日とオヤジの不幸を絡めたり、偶然出会った二人の間でもシェック演じる男の不幸で実はつながっていたという設定もわざとらしくなく、素直に見ることが出来た。が、これも、メークをすれば、以外にもマリリン・モンローに似ていたブリジット・フォンダに気を取られていたからかもしれない。一方、シェック演じた男の死別した妻を演じるモルは『ギター弾きの恋』にも出演していたが、今よりちょっと昔という背景が似合う。つらいことがあっても前向きに生き、人生はやり直しがきくんだ、自分を許したまえという映画。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ティム・ロビンズ Cast ハンク・アザリア エミリー・ワトソン ビル・マーレイ ジョン・タトゥーロ スーザン・サランドン ジョン・キューザック アンガス・マクファデン 短評 『ボブ・ロバーツ』で社会派ドラマをひねりの利いた風刺により作り上げたティム・ロビンズが、大不況により暗く閉ざされていた頃のアメリカ社会を描く。ロックフェラー(ジョン・キューザック)をはじめとする資本家と貧しい労働者との間では芸術に求めるものも違い、政府は民衆から派生する共産主義思想や資本家への権力集中をファシズムと捉える思想運動を抑え込もうとする。それは自由であるはずの芸術表現をも支配することになる。『クレイドル・ウィル・ロック』とは“ゆりかごは揺れるという”オーソン・ウェルズ(マクファデン)演出、マ−ク・ブリッツスタイン(アザリア)作曲の舞台。ニューディール製作の下進められたシアター・プロジェクトであったこの作品が非米的であるということで突如中止になるという史実からロビンズが脚本化。“ゆりかごは揺れる”を作曲したブリッツスタインは、公園で警察に解散させられる組合集会の場に居合わせる。これがまさしく作品誕生の瞬間である。逆境の中からパワフルなアートが生まれるんだろう。今回もサランドンは登場していたが、いまいちインパクトが無かった。そんな中で、マーレイ扮する腹話術師は味のあるキャラだった。人物設定もさることながらマーレイの起用は流石。昔ながらの芸風でショーの世界にしがみつき、現役にこだわる彼が仕事にありつけたものの、新人の育成を任されてしまうというのはもの悲しく寂しいが、それだけに終わらせず、仕事斡旋所の受付嬢(ショーン・キューザック)に憧れ、日々通う姿はどこかお茶目である。そして、マーレイとキューザックの間には粋なラストも用意されていた。しかし、『ボブ・ロバーツ』で見せたようないたずらっぽいひねりに欠ける。ロビンズにはどうしても期待或いは要求するものが高くなってしまう。 2001年 オーストラリア おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director サイモン・ウィンサー Cast ポール・ホーガン リンダ・コズラウスキー サージ・コックバーン アレック・ウィルソン ジェア・バーンズ ジョナサン・バンクス エイダ・タトゥーロ 短評 この映画、オーストラリアで観た。映画の中で流れる民族音楽は、映画館の外の町の中で聞こえてくることの多いものである。それだけに雰囲気は楽しめたんじゃないだろうか。ただ、字幕がないためにストーリーを本当に理解できているのかどうかは分からない。実生活でも夫婦のミックことホーガンとコズラウスキーは当然出ている。そして、このシリーズ3では、子供も有した夫婦役である。今回ミックはクロコダイルのハンティングを行っておらず、クロコダイル見学ツアーガイドをしていた。そして、前作同様アメリカのL.A.にいって文明ギャップによりコメディを展開していくのである。今回L.A.に行く理由は、コズラウスキー演じる役のおとっちゃんは新聞社の社長だが、L.A.支店をコズラウスキーに任せようというもの。前の支店長が死んだんだが、その死が訳アリで、ミックが例のマイペース、ほのぼのアクションで解決してくれる。そして、動物との意志疎通能力もムツゴロウさんを越え、ドリトル先生なみ。ここ2,3年携帯電話のコンビニエンスさを痛感しているが、どうやらそれは今も尚独自の文化を貫く(着ている服で判断)アボリジニの人にも同様のようで、映画の中で携帯を愛用していた。 1998年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director レオン・ポーチ Cast ジュード・ロウ エレナ・レーヴェンゾーン ティモシー・スポール ケリー・ファックス ジャック・ダヴェンポート コリン・サーモン リック・ラモント 短評 バンパイアもの。ジョン・カーペンター監督の『ヴァンパイア最期の聖戦』やスティーブン・ノリントン監督の『ブレイド』に見られるようなアクションではない。そしてフランシス・コッポラ監督の『ドラキュラ』のように、ドラキュラ伯爵を描いたものでもない。ジュード・ロウが出演するわけだからアクションにはなり得ず、アート感覚映画である。バンパイアの刹那を描くという意味では『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の路線であり、妖しの世界をロウが見事に演じている。“クロコダイルの涙”とは見せかけの涙という事らしく、実際、ワニが獲物を食べるときに涙を流すらしい。経験論哲学者ベーコンからの引用らしいが、ワニが涙を流してみせるような分別であり、自分を戒めることになる。ジュード・ロウ扮する青年は巧みに女性の心を捉え、自分を愛してくれる彼女たちの血を吸うのである。でなければ死んでしまうのである。しかし、この映画で面白いと思えたのが、ロウが餌食とした女性からコレクティングしている結晶である。それは、彼が言うには激怒、絶望、怨恨が形になったものであるらしい。自分を愛してくれているはずの女性から得られる感情ではないとわけで、彼はそれを求めることで不幸になっていく。彼の危険な香りに魅了されるのはレーヴェンゾーンやファックスなどが演じたロウの餌食となった女性だけでなく、彼を殺人犯として睨んでいた警部(スポール)もである。その警部の存在も結構良かった。ただ、映画は最初、交通事故現場からいきなり入り、また、ロウの表情からの謎めいた感じが良かっただけに、以降終わりまでスリルっぽさをもう少し出して欲しかった。 2000年 イギリス おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director アイリーン・リッチー Cast イアン・ハート ショーン・マッギンレイ ニーアム・キューザック ルース・マッケイブ ユアン・スチュアート ショーン・マクドノー キャスリン・ブラッドレイ 短評 女っ気の無いことに焦りを感じているアイリッシュ田舎野郎が、聖マルタ祭のダンス・パーティーにアメリカ女性を招待すべく女の子募集の公告を出す。このことが町中にばれてしまうことから町の様子が変わっていく。で、こんなことを考えるようになるきっかけが、映画上映会で見た『テン』。実は『十戒』のはずだったのだ。映画『テン』に出てくるのセクシーな肉体でみんなは驚く。結局、不謹慎であるということで上映は中止されるのである。なんと純朴な町。ハート演じる肉屋は店で働くブラッドレイの存在を意識していない。彼女が自分に好意を抱いていることも分からない。しかし、町の女性が招待したスペイン男達とマルタ祭で踊っているのに対し、男達はアメリカ女性が来ることもなく孤独。そしてブラッドレイが最愛の人だと気付くのである。人はそんなもんである。つまり、自分から失われるかもしれなくなって初めて気付くのである。それは人でも物でも一緒。都合がいいのである。『フルモンティ』をはじめ、なんかちょっとおとぼけしたとんちんかんな姿を描くイギリス映画がしっくりくる。しばらくはイギリス映画というだけで高得点をつけそうだ。ただ、今回最後シーンでのアメリカ女性の登場は頂けない。私にとっては要らないシーンだ。 1995年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ショーン・ペン Cast ジャック・ニコルソン デヴィッド・モース ロビン・ライト パイパー・ローリー リチャード・ブラッドフォード ロビー・ロバートソン 石橋凌 カリ・ウーラー アンジェリカ・ヒューストン 短評 ショーン・ペンが監督する映画。社会派演技が得意のショーンだけあって、監督作も交通事故による悲劇に引きずられる被害者、加害者を描く。まず、石橋凌を出演させているのに驚き。これは日本人であるからのインパクトで内容的な効果、影響はない。本題に戻るが、娘を事故で亡くし、モースに復讐心を燃やす父親は、ニコルソンのイメージから狂気を抱いているようにしか感じない。シリアスな悲しみが少し欠けてしまったように思う。ところが、それでも最後に向け次第に交通事故によるやるせなさが伝わってくるのはペンによる抑えた演出によるのか。事故を起こした加害者でありながら彼の立場に引き込まれていくのはデビッド・モースの持つどこかしらやさしい印象によるためであろうし、彼の演技は良かった。事件に対しては加害者に絶対的厳しい考えを持つのであるが、そうではない見方をさせられたからにはペンの才能を認めざるを得ない。しかし、映像的に色々なテクニックを使っていたのには、彼が役者上がりの監督だということで鼻についてしまった。“真実を知る勇気はあるか”のコピーで有名な『アンブレイカブル』に出ていたロビン・ライト=ペン。ここではロビン・ライトの名のままなのでペンとまだ結婚してないのだろうが、夫婦となる二人の関係ゆえのキャスティングだったのだろう。 1989年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director エドワード・ズウィック Cast マシュー・ブロデリック デンゼル・ワシントン モーガン・フリーマン ケイリー・エルウィズ ジミー・ケネディ アンドレ・ブラウアー ジョン・フィン ドノヴァン・リーチ 短評 D.ワシントンがアカデミー助演男優賞を獲得した映画。以降、『マーシャル・ロー』『戦火の勇気』でぱっとしなかったE.ズウィック監督作であるが、題材が実話を基にした黒人開放問題であるためにずっしりと重たい作品となっている。南軍が構えた要塞突撃の先陣により壮絶な最後を務めた54連隊の物語である。54連隊は奴隷から逃亡した黒人により組織された隊である。南では奴隷であった彼らが北では軍服を着て戦う。を南北戦争において北軍戦力に黒人がかなり貢献していたことが分かる。しかし、M.ブロデリックが演じる大佐率いる54連隊の要塞に攻め寄る場面はあまりの犠牲に虚しさをも感じる。黒人に対し、比較的理解を示してきた大佐だけに、身分制度では開放されても、経済的に開放されたわけではない黒人の将来を考えた上での決断に思える。犠牲の大きさを感じながらも、この要塞は当然陥落したのだと思ってみていたのだが、連隊の1/3を失いながら結局要塞は落とせなかったことを知ってびっくりした。兵隊という存在に対してすら人間としての尊厳を得られるものと考える黒人はかわいそうであるし、ものすごく理不尽な時代であったと感じて止まない。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★ Director シドニー・ルメット Cast シャロン・ストーン ジェレミー・ノーザム ジーン・ルーク・フィゲロア ジョージ・C・スコット キャシー・モリアーティ 短評 ジーナ・ローランズが主演の映画「グロリア」のリメイク。マフィアから子供を守り抜く、グロリア(ストーン)は凄くセックスアピールが強い。その分、切羽詰まったところが欠けていたと思う。子供をマフィアから連れだし逃げるのだが、緊迫感がない。その上、子供(フィゲロア)がグロリアの苦労を分かっちゃいない。ある程度は協力精神を持てよと言いたくなる。とにかくグロリアの内なるエネルギーをもうちょっと感じたかった。 |