JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
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1967年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ウィリアム・フェルプス Cast マット・アドラー ニア・ピープルズ グレゴリー・ハリソン ジョン・フィルビン クリスティナ・レインズ 短評 『ティーン・ウルフ』のM.アドラーが主人公ニックを演じるサーファー物語。『ベストキッド』のサーフィン版といったところ。ニックはアリゾナ出身の本土男。アリゾナでのサーフ・コンテストで優勝するが、所詮は陸男。ハワイ、ノース・ショアの大波の前ではまだまだペーペーだった。ボード造りの職人チャンドラー(G.ハリソン)と出会い、彼のもとでサーフィンの技術を身につけていく。しかし、その教えは波に乗るのではなく、波を読めというもの。珊瑚の様子など海底をも頭に入れたリックのサーフはパイプライン大会の決勝に進むほどになる。波を読み、波と一体になることをモットーとし、ソウル・サーファーを自負するチャンドラーである。ニックの商業色の濃い大会参加には難色を示していたんだが、決勝当日ビーチにちゃっかり見に来てる、不正があったとはいえニック以上に試合結果に拘る姿に?マークがついたりもする。島の女の子キアニー(N.ピープルズ)と恋愛模様も深みがない。しかし、サーファーの波乗り姿をかっこよく撮りたかったのだろうW.フェルプス監督のサーフシーンのカメラワークは素晴らしく、遠距離ショットや間近でサーファーを捉えるアングルにも工夫が見られる。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ロジャー・ミッチェル Cast ジュリア・ロバーツ ヒュー・グラント リス・エヴァンス ジーナ・マッキー ティム・マッキンリー エマ・チャンバース ヒュー・ボーンヴィル 短評 プロポーズの場として記者会見を用いるのは上手かった。ウィリアム(H.グラント)の存在によって、ライトポップなラブストーリーに仕上がっている。もちろん、スパイク(R.エヴァンス)の存在は大きい。ブリーフやアンダーウェア等ちょっとだらしないビジュアル的イメージが独特のなごみを提供していた。舞台はノッティングヒル、ロンドンの中でも下町感があるところだ。そんな町で本屋を営む主人公ウィリアムを人のいい好青年として自然に印象つけている。なんといっても、主題歌である♪エルビス・コステロの「She」♪がいい。この曲は記者会見でアナ・スコット(J.ロバーツ)が、ウィリアムのプロポーズに応え、”ロンドン滞在は永遠”と発表する後にかかるのである。一気にハッピーエンドに向かう記者会見のシーンでは、ウィリアムズは記者に扮しなければならず、インタビューを装いながら二人の間でしか分からないことを確認していくのだ。『ローマの休日』をふと思い出すシーンである。 2002年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director タムラ・デイヴィス Cast ブリトニー・スピアーズ ダン・エイクロイド キム・キャトラル ゾーイ・サルダナ アンソン・マウント タリン・マニング ジャスティン・ロング 短評 主役ルーシーを演じるのがB.スピアーズ。アイドルシンガーである彼女の初主演映画であるわけだからそれほど期待できる映画ではない。シンガーであるスピアーズをオーディションに臨む若者として描けばいいとそうゆう考えは分からなくもない。ルーシーのロマンスの相手ベン(A.マウント)がバックバンドとしての助っ人で音楽に理解があるというのも分かる。だが、ルーシーの詩にベンが曲をのせ、二人即興で合わせていくのは目を覆いたくなるほど安直。それに、歌手を夢見ていたのはミミ(T.マニンダ)であって、ルーシーは突然のピンチヒッター。ベッドの上で調子よく♪マドンナの「オープン・ユア・ハート」♪を歌っている位でオーディションを受けようって言うのか?。また、オーディションを受けようっていうような人間がカラオケ大会ぐらいで歌えなくなってどうすんだとミミに言いたい。人前で歌うこと云々が問題でなかったのなら、夢であった太平洋への旅のためのお金が無くなったことがそんなにプレッシャーだったのか?。8年前に埋めたタイムカプセルを高校卒業の日に開けるルーシーとキット(Z.サルダナ)とミミ。高校生になり離れ離れになっていた3人がこの日をきっかけに、母親の写真の入ったロケット、ブライダル・バービー人形などタイムカプセルに込めたそれぞれの夢を胸にロサンゼルスへドライブに出る。その旅行で、ルーシーは実際に会うことが出来た母親(K.キャトラル)像に抱いていた夢が砕かれ、キットは信じていた婚約者に裏切られる。妊娠していたミミは事故により流産してしまう。そんな3人が8年前の友情を取り戻し、再び砂浜に埋めるタイムカプセルの中身がちょっと考えられたものだった。堕胎で担ぎ込まれた病院でつけられたネームホルダーがミミ、婚約指輪のキット、母への想いを綴った日記帳がルーシーだ。それは8年前のような夢ではなく、現実を知ることとなった証である。彼女達が一段ステップアップした記念と言えるものなのだ。 2001年 フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ダニス・タノヴィッチ Cast ブランコ・ジュリッチ レネ・ビトラヤツ フイリプ・ショヴァゴヴイツチ カトリン・カートリッジ サイモン・キャロウ ジョルジュ・シアティディス サシャ・クレメール セルジュ=アンリ・ヴァルック ムスタファ・ナダレヴィッチ 短評 セルビアやボスニア・ヘルツェゴビナだけでなくスロベニア、クロアチア等で構成されていた連邦国家旧ユーゴスラビアはややこしいところである。マケドニア、スロベニアと共に独立したボスニアは更に複雑だ。セルビア本国だけででなくボスニアにも多く暮らしているセルビア人。民族主義の高揚は同じくボスニアに住むイスラム教徒モスレム人を排除しようとするセルビア化政策は泥沼のボスニア紛争となる。そんなセルビアとボスニアの中間地帯“ノー・マンズ・ランド”を舞台とした戦争をシニカルに描いた映画。ノー・マンズ・ランドの塹壕に一人生き残り隠れるボスニア軍兵士のチキ(B.ジュリッチ)の脇で、敵生存者確認を行うセルビア軍兵士ニノ(R.ビトラヤツ)と老兵士(M.ナダレヴィッチ)は死体の下に地雷を仕掛ける。チキに撃ち殺される老兵士がセットした地雷の上に横たわるは死体ではなく、ツェラ(F.ショヴァゴヴィッチ)は生きていた。ニノだけをここから離すわけにはいかないとするチキ、地雷に横たわる自分だけを置き去りにされたくないツェラの思惑が動くに動けない三人の極限状態を描いていく。救出に来たマルシャン軍曹(G.シアティディス)が落ち着きかけた彼らを再び緊張状態にしたり、TV記者ジェーン(K.カートリッジ)が国連防備軍を動かすも、ツェラの下の地雷を撤去出来ないもどかしさのブラックなユーモアは上手い。不可能だと言っている地雷撤去作業に励む兵士を見守りながら、「彼は一つ間違ったら命が無い」「いや、既に地雷処理という職業を選ぶ間違いをしているので二つです」などという会話は最高!結局チキを射殺し、地雷を撤去できずにツェラを一人置き去りにする国連防備軍、ああ情けない。安永航一郎・作の「県立地球防衛軍」というコミックをなぜだか思い出した。 |