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スコルピオンの恋まじない

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス

スターリングラード

スターゲイト

スチュアート・リトル 

ステイン・アライブ

ストレイト・ストーリー

ストレンジ・デイズ−1999年12月31日−

スナッチ

スパイキッズ

スピーシーズ/種の起源

スピード2

スペース・カウボーイ

すべての美しい馬

すべては愛のために

スモール・ソルジャーズ

スライディング・ドア

 


スクール・オブ・ロック

2003年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director リチャード・リンクレイター

Cast   ジャック・ブラック  マイク・ホワイト  ジョーン・キューザック  サラ・シルヴァーマン  ジョーイ・ゲイドス・Jr  ミランダ・コスグローヴ  ケヴィン・クラーク  レベッカ・ブラウン  ロバート・ツァイ  マリアム・ハッサン  ケイトリン・ヘイル  アレイシャ・アレン

短評

ロックを心から愛し、他からみれば悪ノリでしかない自分の行動もバンドを愛すればこそだと我が道を突き進むデューイ(J.ブラック)。親友ネッド(M.ホワイト)の部屋に居候状態で家賃も滞納。家賃は滞納しても楽器は売らず、ロックのCDに埋もれて暮らすデューイは面白い。目を剥き、髪を振り乱してロックを表現する男は滞納した家賃のためにエリート小学校の代用教員を依頼されたネッドになりすます。教員資格も何にも無いデューイが、♪ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」♪を奏でる子供達に音楽の才を見出し、クラシック楽器をエレキックな楽器に変えてバンド結成を画策するのだ。それまで子供達には自習ばかりを強要し子供達を教育する気など全く無い男が、ロックを本気で教え始める。ロックへの入れ込み度が違いすぎて仲間からバンドを追い出されたけれども、子供達とバンドを組み、ロックを楽しむことが出来る。自己中心的な行動ではあっても好きなことには熱意がこもり、真剣に教えることになる。最高を目指す姿勢が、生徒個々の才能や魅力を見抜いていく。それぞれ役割を任される生徒達は、バンド・バトルに向けクラス一体になる。一生懸命に取り組む子供の姿にロックに反対していた親やマリンズ校長(J.キューザック)も心を動かされる。マリンズ校長も実のところは♪スティーヴィー・ニックス「エッジ・オブ・セブンティーン」♪を好む人間なのだ。好きなことにうんちくを唱え教えることが出来ることが如何に幸せかと言わんばかりにデューイが生き生きしている。それもJ.ブラックの歌唱、サンキュー先生(西田敏行)ばりの過剰な演技があってこそのデューイというキャラクター造詣だ。ロック史を語る彼の瞳には熱い炎が、またある時にはロックへの陶酔が宿る。コミカルな表情の中に見られる真剣なまなざしのように、映画を通して、一見ロックという不真面目そうな活動の中に教える楽しさ、教えられる楽しさという教育の真髄を見て取れる。一方、“スクール・オブ・ロック”開校という最後のオチも良かった。


スコア

2001年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director フランク・オズ

Cast   ロバート・デ・ニーロ  エドワード・ノートン  マーロン・ブランド  アンジェラ・バセット  ゲイリー・ファーマー  ポール・ソールズ

短評

金庫破りとしてのプロへのこだわりを持ち、パーフェクトに仕事をこなすベテラン、ニック(R.デ・ニーロ)と英国女王の杓を盗むために必要な内部情報を知る若い相棒ジャック(E.ノートン)が絡む。盗品を金に変えるブローカー・マックス(M.ブランド)もコンビとして加わってはいるが、ブランドはかなり太っており、動くのもしんどそう。曲者演じのノートンだけに、デ・ニーロとの掛け合いに見劣りはしない。ダイヤルで開けられない金庫の開け方などに感心したりもできる。頑丈に出来た金庫に対しニックが言うせりふも英語だとかっこいい。「Somebody built it.  Somebody unbuilt it.」。単に開けられるという意味なんだけど・・。ジャックはニックを出し抜き杓を独り占めしようと企む。しかし、奪った杓の確認をすることなく、偽物を持ち逃げるのだ。確認するのなんていろはのいだろう。F.オズは『イン&アウト』の監督だが、初めてのビッグ映画。


スコルピオンの恋まじない

2001年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director ウディ・アレン

Cast   ウディ・アレン  ヘレン・ハント  シャーリーズ・セロン  ダン・エイクロイド  エリザベス・バークレイ  ウォーレス・ショーン  デヴィッド・オグデン・スティアーズ

短評

保険調査員C.W.ブリッグス(W.アレン)が、リストラ担当として入社してきたキャリアウーマンで徹底した合理主義者のフィッツジェラルド(H.ハント)に対抗する。その姿がアレンならではオトボケ中年であって愉快。見た目はさえない眼鏡男のアレンだが、監督・脚本でもある彼は自分をプレイボーイ役に配し、頑張ってぶっている。この配役ギャップもアレン・コメディに一躍なしているのは分かっていてのことだろうが・・。インチキ魔術師ヴォルダン(D.O.スティアーズ)がかける催眠術が恋の魔法となり、皮肉言い合う仲から次第に惹かれあうようになる。フィッツジェラルドとブリッグスの「私に近寄ると去勢するわよ」、「嫌な女だと思っていた」なんて言い合っている会話が、催眠術により「こんない夢中になったのはあなたしか・・」なんて甘いムードになるんだから面白い設定のロマンチックストーリーである。また、一ひねりしたラブストーリーであるだけでなく、犯罪映画でもある。この映画の犯罪は催眠術を利用して行われ、魔法のキーワードが「コンスタンチノーブル」「マダガスカル」なんていうことからどこか怪しく、愉快で楽しい。コメディっぽく作られることの多いアクション犯罪映画とも違う。どちらかといえばこってりしたコメディで、最近多く見られるハイテンポのコメディ映画とも一線を画したものになっている。ヴォルダンが宝石を盗むために利用されるブリッグスとフィッツジェラルドのどこか真面目に見えない催眠術のかけられ方、アレンとハントの演技が逆にいい味出して上手い。


スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス

1999年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ジョージ・ルーカス

Cast    リーアム・ニーソン  ユアン・マクレガー  ナタリー・ポートマン  ジェイク・ロイド  イアン・マクディアミッド  ペルニラ・アウグスト  アーメッド・ベスト  レイ・パーク

短評

ラズベリー賞を賑わした映画となり、その中で、見事ワースト助演男優賞を獲ったジャー・ジャー・ビンクス(声A.ベスト)の悪ふざけ、おっちょこちょいが確かにじゃまで、彼は余計なキャラだった。しかし、全体的には楽しめる映画である。将来ダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカーの少年期を描く。ルーク・スカイウォーカーをジェダイに育てるオビ・ワン=ケノービ(E.マクレガー)とアナキン(J.ロイド)が出会う。といってもオビ・ワンよりオビ・ワンの師匠クワイ=ガン・ジンとの間で話は進むが・・。『スター・ウォーズ』では欠かせないドロイド、C−3POがアナキンに組み立てられている状態の姿で登場。エピソード1の悪役はダース・モールであるが、R.パーク演じるこの悪役はメイク、衣装もさることながらライトセイバーも双刃でかっこ良かった。赤色のライトセイバーを扱う殺陣シーンは圧巻。こういった辺りは『スター・ウォーズ』をシリーズとして楽しむ部分である。フォースを持つジェダイの騎士は死してなお伝説性を帯びなければならない。そういう意味ではクワイ=ガン・ジンも赤鬼様ダース・モールもインパクトはあった。ダース・モールには1作で死ぬことなく、カリスマを持った悪役として君臨して欲しかったが、オビ・ワン=ケノービに後を託してクワイ=ガン・ジンが死ぬというストーリーに、一人だけ死なすわけにはいかんかったんだろう。真っ二つになって死んでいった。しかししかし、今にして思えばオビ・ワン=ケノービはを演じたA.ギネスは素晴らしいおじいちゃんで、お面をかぶっていたダース・ベイダーを除けば最高のジェダイの騎士だった。威厳があった。ルークのお母ちゃんアミダラ王女はいろんな服を持っている。着せ替え人形となったN.ポートマンの七変化も楽しむべし。


スターゲイト

1994年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director ローランド・エメリッヒ

Cast   カート・ラッセル  ジェームズ・スペイダー  ジェイ・デヴィッドソン  ヴィヴェカ・リンドフォース  アレクシス・クルス  ミリー・アヴィタル  レオン・リッピー  エリック・アヴァリ

短評

無口な特殊部隊、軍人を演じさせたらこの人『ソルジャー』のK.ラッセルである。今回も部隊仲間に言えぬ極秘任務を抱え、黙って行動する大佐を演じる。指令を全うするためだけに猛進するK.ラッセルに対し、遺跡として発掘されたスターゲイト・輪を論理的、アカデミックに解明していく応じていく言語学者演じるのがJ.スペイダーである。眼鏡をかけたスペイダーは知的であり、R.エメリッヒ監督の求めたユーモアも持ち合わせた魅力あるキャラクターとなっていた。『ユニバーサル・ソルジャー』の大成功により、SF映画監督として認められたはずなのにその次作にしてはB級っぽい映画である。この後には『パトリオット』『GODZILLAゴジラ』『インデペンデンス・デイ』を監督し、メジャー入りを果たしている。この映画が評価されたわけである。ストーリーはエジプト文明と関わらせながら太陽神ラーのルーツを遥か彼方異空間に求めたのは面白い。石板の文字を解明しながら未知世界へアドベンチャーし、高度文明を持つ敵との戦いまで盛り込まれている。ただ、敵のボスが女か男かわからないような俳優であるのがいかん。男であって欲しいのだが如何なんだろう。そして、環の向こうに行ってから地球側のやきもきしたところ、送り出した隊を心配する様子が一度も見せられないところにこの映画がいまいち緊迫感を有しない理由であったように思える。


スターリングラード

2001年

アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director ジャン=ジャック・アノー

Cast   ジュード・ロウ  ジョセフ・ファインズ  レイチェル・ワイズ  ボブ・ホスキンス  エド・ハリス  ロン・パールマン  ガブリエル・マーシャル=トムソン

短評

ナチス・ドイツとソ連の第二次世界大戦の重大なポイントとなったのが、スターリングラードの戦いで、登場人物のヴァシリ・ザイツェフもケーニッヒ少佐もそしてターニャも実在の人物で、ヴァシリに至っては国家的ヒーローで、歴史博物館にライフルが保存されているそうだ。J.−J.アノーの脚本で映画化された今回の映画は、独裁者のもと、むなしく、多くの命が物のように扱われる戦時の中で、ヴァシリ(J.ロウ)とケーニッヒ少佐(E.ハリス)のスナイパー合戦を英雄的に扱う一方、政治士官ダニロフ(J.ファインズ)とヴァシリの複雑な関係も上手く描いている。ヴァシリの腕を認め憧れるところから、徐々に戦争のコマとして、彼を扱い、自らもそのコマとして任務を全うしようとする意識の変化は、文学の才を持ち文学的自由を目指していたはずのダニロフからすると、その変化は非常に悲しいではないか。そしてヒロイン、ターニャ(R.ワイズ)とのトライアングルな関係。ただでさえ暑苦しい目をしたファインズ演じるダニロフは、この映画で、熱い思いや嫉妬を含めた目線でターニャを見つめるのである。ターニャにお魚を持ってきて、なめるように見てたっけ。ヴァシリとケーニッヒのスナイパー合戦は、スーパー技術と頭脳戦により、見応えがあったんだけど、最期が頂けん。ケーニッヒさん、最期まで気を抜いたらあかんやろ、それまでスナイパーらしく念入りな行動をしていたのに。ハッピーエンドにするのはいいにしても、ちょっと露骨すぎたかな。ヒーローものでロマンスだとして楽しむべき。


スチュアート・リトル

1999年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director  ロブ・ミンコフ

Cast    ジーナ・デイビス  ヒュー・ローリー  ジョナサン・リップニッキー  マイケル・J・フォックス(声)  ネイサン・レイン(声)

短評

これはスチュワートのかわいさに尽きる。このスチュワートの声はマイケル・J・フォックスである。闘病生活で知られるフォックスの声を聞けただけでも意味あり。しかし、スチュワ−トの声はもうちょっと若い声がいいかも。それにしてもCGは凄い。スチュワートの体毛までリアリティである。『ファングルフ/月と心臓』の狼のCGでは体毛の表現があと一歩という感が否めなかったが、スチュアートはほぼ完璧。けなげなスチュワートに感情移入しないわけがない。


ステイン・アライブ

1983年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director  シルベスタ・スタローン

Cast    ジョン・トラボルタ  シンシア・ローズ  フィノラ・ヒューズ  スティーブ・インウッド  ジェリー・ボバッソ  フランク・スタローン

短評

「フラッシュダンス」にも出ていたローズ。ダンスは得意みたいである。トラボルタのあのダンス、歩きながらの腰の動きにはかなわんだろうが。『パーフェクト・カップル』『将軍の娘』で見せたあのデブデブのトラボルタではあんな超セクな動きはもう出来んだろうが・・・。トラボルタを軽くあしらうヒューズもダンサーだそうだ。映画の終わりのブロードウェイ舞台で見せるトラボルタとヒューズの葛藤、ダンスに影響し、相手を放り投げるは転けるは、もう練習してたはずの演出は滅茶苦茶やんか。それなのに観客は評価するのか?この映画にはスタローンの弟が出ていて、彼はミュージシャン(役でもそう)で、歌も提供してたと思うけど、思い出すのは「若葉のころ」で有名なビージーズの『ステイン・アライブ』。どっから出してんだという声がたまんないんだよね。ロッキー(スタローン)は単純サクセスストーリーを書くの得意だし、昔はこういうので満足できる感性だったんだよ。観客も。この私もそうだった。


ストレイト・ストーリー

1999年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director  デヴィッド・リンチ

Cast    リチャード・ファーンズワース  シシー・スペイセク  ハリー・ディーン・スタントン  ジェームズ・カダー  ウィリー・ハーカー  エヴェレット・マッギル

短評

『エレファント・マン』のD.リンチがR.ファーンズワース演じるマイペースお爺さんの一人旅を描く。この旅が、のんきでゆったりしたものである。というのも移動手段がトラクターなのだ。なんとおしゃれな旅なんだろう。「赤毛のアン」でマシュー役を原作以上に優しく演じていたファーンズワースならではの演技。道中で出会う人々との交流も実に温かい。何より忘れてならないのが、ラストの長年交流を断っていた兄との再会。久しぶりにあった彼らの行動はおっとり、静かである。兄ちゃんがトラクターに目をやり、トラクターでここまで来たのかと訊ねる。この会話だけで充分である。そして広がる星空。このラストシーンで感動をかみ締めることが出来る。映画の始め、家の壁を移した後、カメラは大空に上がり上空からのショットとなる。このショットが、これから映画がトラクターに乗った彼のみを描写するのに効果的であった。空から見た広い視野からある一人の老人に目を向けるのである。


ストレンジ・デイズ−1999年12月31日−

1995年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director  キャスリン・ビグロー

Cast    レイフ・ファインズ  アンジェラ・バセット  ジュリエット・ルイス  トム・サイズモア  マイケル・ウィンコット  ヴィンセント・ドノフリオ  グレン・プラマー

短評

ジェームズ・キャメロンが原案・脚本した(彼は製作でもある)ロサンゼルスを舞台に、五感を記録・再現するディスクをめぐる殺人事件を扱ったSF映画。監督は『ハートブルー』のビグローであり、なかなかのもの。今回元警官で、他人の体験を体感できるディスクの闇ソフトを売買するファインズが出演する映画としては『クイズ・ショウ』と張りの出来。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』でも共演のルイスとサイズモアも頑張っている。特にルイスは娼婦役やデビューを控える歌手を体を露出しながら体当たり演技。彼女はちょっとプッツンした役がやけに似合う。話は、1999年12月30日からカウントダウンの興奮に包まれた街の2000年の幕開けまでを描いていることからの副題である。ディスクを提供してくれる女性が身の危険を言い残して殺され、犯罪に警察が絡み、警官時代からの友人で今は探偵・サイズモアが真犯人。これらは定番中の定番である。また、手掛かりとなるのはファインズが日頃扱う闇のディスクであるが、ファインズの元へ届く差出人不明の1枚。それは何者かにレイプされ殺されていく過程を記録したもので、その変質めいた犯罪手口は、ニコラス・ケイジの『8mm』を思い出す。(『8mm』の方が制作年は後)。『ストレンジ・デイズ』は記憶媒体がディスクだが、殺す側の高揚感と殺される側の恐怖が同時に収められた倒錯的なものという点は同じ。SFではあるが、特撮などに固執せず、犯罪、社会性など役者の演技でシリアスに描けている点は評価できる。


スナッチ

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director  ガイ・リッチー

Cast    ベネチオ・デル・トロ  アラン・フォード  ラデ・シェルベッジャ  ビニー・ジョーンズ  スティーブン・グレアム  レジー・ジェイムズ  デニス・ファリーナ

短評

ガイ・リッチー監督、なかなか面白かった。結構良かった。でも点数が辛いのは『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』が良すぎて要求が高くなってしまったからだ。しかし、彼の笑いのセンスは好きだ、いや彼と言うよりイギリスのセンスに合うような気がする。『ロック・ストック〜』では、カード賭博で失った金を取り戻そうとする青年グループの一人を演じていたジェイソン・ステイサスやビニージョーンズなども続いて出ている。ジョーンズは弾丸を浴びながら敵を倒したという役であるが、なかなかシリアスコメディが似合う。ただ、僕は前回の子連れの殺し屋役の方が味があって好きだが。また、闇ボクシングのプロモーター役のステイサスは今回、靴の汚れを気にして、泥のつきそうな所では、靴を布でくるんで履くというコメディエンスな着こなしをきめていた。ブラッド・ピットもズボンの裾をブーツの中に入れていたし。ピットの方はボクシングをする事からくる着こなしなんだろうけど、彼らの仕草、行動になんか好感が持てる。あと、車に退かれようと拳銃で撃たれようと立ち上がる武器商人役のシェルベッジャもダークな笑いを与えてくれた。このジャンルはガイ・リーチーの独壇場か?と言いたいが、『ベリー・バッド・ウェディング』の監督・脚本のピーター・バーグにもブラックでシニカルなコメディでの活躍を期待している。


スパイキッズ

2001年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director  ロバート・ロドリゲス

Cast    アントニオ・バンデラス  カーラ・グギーノ  アレクサ・ヴェガ  ダリル・サバラ  アラン・カミング  テリー・ハッチャー  トニー・シャローブ  ダニー・トレホ

短評

『デスペラード』のR.ロドリゲス監督が再度A.バンデラスを主演とした作品。『グリマーマン』に出演していたA.ヴェガが子供スパイとして弟と活躍するお話。お父さん(バンデラス)とお母さん(C.グギーノ)にスパイの話を聞かされて育てられいたが、両親がスパイだったと判明し、成り行きで子供ながらにスパイとして活躍する。A.カミング扮する悪党達に両親が捕まり、彼らの望む「第三の脳」のために彼らの手がヴェガら姉弟に及ぶのがきっかけ。両親が所有するスパイグッズを使用し両親を助け出す。このグッズが007のボンドグッズに劣らない優れもので結構楽しめる。まず、『M:I−2』のT.クルーズ、イーサン・ハントがかけていたようなモニター付サングラス、かんだ後に使用するためプラスティック爆弾かと思ってしまう電気ショックを与えるガム、小型であることがカッコイイ、潜水艦に高速ジェット。ロケット搭載のバッグを背負うことで007のように飛ぶことだって出来るのだ。もともと子供がスパイになるというドリーミーな映画なだけに夢を持ってなんにも拘らずに観ればすっごく楽しい。J.ダンテ監督の『スモール・ソルジャーズ』を観るような感じで観るべし。


スピーシーズ/種の起源

1997年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director ロジャー・ドナルドソン

Cast   ベン・キングズレー  マイケル・マドセン  アルフレッド・モリーナ  フォレスト・ウィテカー  マーグ・ヘルゲンバーガー  ナターシャ・ヘンストリッジ  ミシェル・ウィリアムズ

短評

『追いつめられて』『カクテル』『ダンテズ・ピーク』『13デイズ』のR.ドナルドソンが新種の生命の恐怖を描く。新しい生命体は宇宙からのメッセージ通りに人間が作ったもの。人間を恐怖に陥れる地球外生命体ならこの人に任せてくれ。『エイリアン』のキャラクターデザイナー・H.R.ギーガーである。前衛的なデザイナーの創り出すクリーチャーはグロテスクである。そして、新しい生命体シル(M.ウィリアムズ)は人類を脅かす程強い。だが、シルに求めたのはグロさだけでなかった。科学者フィッチ(B.キングズレー)は宇宙からの情報DNAと人間のDNAを結合させ誕生したシルには人間的な特徴を有する部分が出来た。特に、セクシーに成長したシル(N.ヘンストリッジ)によりエロチズムを強調した。そこがこの映画の魅力と言ってよい。R.ドナルドソンは種を繁栄させるために襲われる人間の男がヘンストリッジ演じるシスに欲情しては餌食となっていくのを描く。シル追跡チームとして状況を把握していたはずのメンバーの一人、異文化行動学権威アーデン(A.モリーナ)が上記犠牲者の一人になったのが情けない。まして初の子作り貢献者になったのだ。笑うに笑えない。その時、他のメンバーのプレストン(M.マドセン)と分子生物学者ローラ(M.ヘルゲンバーガー)はお楽しみ中でした。あなた達はいったい!と思う中、霊能力者ダン(F.ウィテカー)だけは真面目でした。とにかく残されたメンバーの頑張りにより、シルを殺すことは出来たが、子供産み落とされており『GODZILLA/ゴジラ』のような余韻であるのは言うまでも無い。


スピード2

1997年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★

Director ヤン・デ・ボン

Cast   サンドラ・ブロック  ジェイソン・パトリック  ウィレム・デフォー  テムエラ・モリソン  ブライアン・マッカーディー  グレン・プラマー  ローヤル・ワトキンス  コリーン・キャンプ

短評

前作のバスジャックからシージャックに題材は移る。『スピード』で輝かしいデビューを飾ったJ.D.ボン監督ではあるが、『ツイスター』を経てラズベリー賞に多くノミネートを果たした本作に行き着く。本作では脚本をも担当したが、脚本のセンスはいいとは言えない。K.リーヴスは降板となったのにも関わらず、前作のキャラにこだわったことも失敗の要因だろう。テンポのいいBGMが永遠流れ続け、次から次へシーンが変わり、登場人物も実に忙しないが、そのわりに緊迫感がない。また、ペラペラ喋りが多いので締りがない。アニー(S.ブロック)の深みのない演技が非常に気になる。また、ヒロインを前作からの続きキャラにしたため、ヒロイン中心に見てしまい、アニーの恋人でヒーローのSWAT隊員アレックス(J.パトリック)は存在感が薄っぺら。悪役も凄みがない。客船の会社に対し病気故の自らの虚弱体質への理解がないと逆恨みし、シージャックするも、客船で行われるジュエリーコンベンションのための宝石を宝石を狙っている。宝石を手にする時は単なるこそ泥。凄みなんてあるわけない。コンピューターにより客船をコントロール出来ていると思い込んでるのに、思わぬ抵抗に会う。なんか間抜けなんだよね。それが、アレックスに水上飛行機に乗り込まれた時に見せる間抜けな驚きの顔やタンカーの塔に水上飛行機串刺しになった時に見せる鼻血姿に象徴される。そんな悪役がガイガー(W.デフォー)だ。


スペース・カウボーイ

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director クリント・イーストウッド

Cast    クリント・イーストウッド  トミー・リー・ジョーンズ  ドナルド・サザーランド  ジェームズ・ガーナー  ジェイムズ・クロムウェル  マーシア・ゲイ・ハーデン

短評

男のロマンを描いた映画だ。男のロマンをBGMのジャズが粋に見せている。男はいくつ年をとろうとも子供のような夢を持ち続ける。そして子供なのだ。そんなお年寄りグループをイーストウッド、ジョーンズなど4人が演じる。かつて宇宙を夢見ながら宇宙への飛行が断ち切られた彼らが老人となってなお宇宙を目指す。単にご高齢の老人青春ストーリーというだけでなく、故障したロシア衛星に関わる陰謀などのサスペンス、ジョーンズとハーデン間のオッサンええ加減にせいよと言うべきラブストーリーをもバランス良く織り交ぜている。さすが、イーストウッド。4人の不良老人の友情、イタズラなど、観客が喜ぶことを分かっている。病に冒されているジョーンズが宇宙の危機に際してとるだろう行動は誰でも予想できるが、予想させて尚、あの終わり方である。月に腰掛けたままのジョーンズ、顔は見えないが、彼のバイザーには地球が映っている。そこで流れるのが“フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン”。渋い。渋すぎる。


すべての美しい馬

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director ビリー・ボブ・ソーントン

Cast   マット・デイモン  ヘンリー・トーマス  ペネロペ・クルス  ルーカス・ブラック  ルーベン・ブレイズ  ミリアム・コロン  ブルース・ダーン  ロバート・パトリック  サム・シェパード

短評

『シンプル・プラン』『バーバー』のB.B.ソーントンの監督作。役者としては一癖あるソーントンだが、この映画はごく普通。特別変わった描写があるわけではない。ストーリーは、牧場主であった父を失い、遺産の相続主である母の意向で牧場を売却し、牧場経営が不可能となった息子をM.デーモンが演じる。彼はカウボーイの生活が諦めきれず、友人(H.トーマス)とメキシコに牧場生活を求めに行く。しかし、道中で一緒になった青年との出会い等が刑務所生活へ落とし込む。馬の調教では凄い才能を持っている彼らだが、不幸への道は避けられるものではなかった。取り立てて彼らの中の何が悪いでもなくである。しいて言えば、牧場主には禁止されながらもB.クルス演じる娘と関係するに至ったことだろうか。しかし、この関係も禁断の愛でありながら特にドラマチックなときめきも無かった。まれにみるどうでもいいカップルであった。また結局、アメリカに戻り牧場生活に落ち着くデーモンとトーマスの姿に何が言いたい映画であったのか分からなかった。


すべては愛のために

2003年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director マーティン・キャンベル

Cast   アンジェリーナ・ジョリー  クライヴ・オーウェン  ライナス・ローチ  テリー・ポロ  ノア・エメリッヒ  エリック・ヴァン・ウェイジンゲン

短評

『バーティカル・リミット』『マスク・オブ・ゾロ』『007/ゴールデンアイ』等アクションを手掛けることの多いM.キャンベル監督は国連組織UNHCRが行う世界数千万人の難民援助活動というシリアスな題材を描く。エチオピア、カンボジア、チェチェンを舞台とした難民キャンプには、飢餓と病気、戦争に苦しむ難民を援助するも成すすべなく死に行く者を見ずにはいられない厳しい現実がある。だが、映画の主題は慈善パーティで衝撃的に出会うサラ(A.ジョリー)と医師ニック(C.オーエン)のラブ・ストーリーである。華やかなパーティの中、難民の少年を連れ出し現実を突きつけたニックの、偽善であるとの訴えにショックを受けるサラは身を投げ出しての奉仕活動を決意する。命すら危険にさらす彼らの奉仕活動はなかなか出来ることではない敬意を表するものだ。しかし、一方で援助の先に光が見えてこない現実を痛感する。それは政権をめぐる争いが絶えず、難民を生み出す原因の一つ武器弾薬が流れ込んでいることだ。目の前の難民を救いたいが故にCIA資金に手をつけ、危ない活動に関わるニックには“そうではないだろ”という腹立たしさを感じる。ニックの方針に異議を唱える一方で、目の前の事態にも真摯に行動、援助を続けるエリオット(N.エメリッヒ)の正義には心が揺さぶられる。残念なこととして少し述べたいことがある。シリアスな問題を背景としたヒロイン、ヒーローのラブストーリーとしては不道徳すぎないかということだ。ヘンリー(L.ローチ)の妻であるサラは旦那と息子をロンドンに置いて、ニックのいる難民キャンプに向かう。プラトニックなまま終わればまだいいが、ニックとの間に二人しか承知しない娘を儲けるのだ。ヘンリーは資金を必要とし、家族を長期置き去りに危険な場所に向かうサラの活動をいやいやとはいうものの理解を示してくれる旦那ではないか。♪シューマン「トロイメライ」♪を練習する娘を見つめるニック。別の男の子供であることを知らないヘンリーがカッコウの雛を育てるホオジロのように思えてかわいそうである。危険を隣り合わせとした尊い奉仕活動が行わる異国の地を家族と住むロンドンにはない刺激的な不倫の場にはして欲しくなかった。


スモール・ソルジャーズ

1998年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ジョー・ダンテ

Cast   グレゴリー・スミス  キルステン・ダンスト  ジェイ・モーア  フィル・ハートマン  ケヴィン・ダン  デヴィッド・クロス  アン・マグナソン  デニス・リアリー  ディック・ミラー  ウェンディ・スカール  ジェイコブ・スミス  トミー・リー・ジョーンズ  フランク・ランジェラ  アーネスト・ボーグナイン  ジョージ・ケネディ  クリント・ウォーカー  ブルース・ダーン  ジム・ブラウン  クリストファー・ゲスト  ハリー・シェアラー  マイケル・マッキーン  サラ・ミシェル・ゲラー  クリスティーナ・リッチ

短評

『グレムリン』シリーズ、『インナースペース』『メイフィールドの怪人たち』のJ.ダンテ監督が描くアクションはフィギュア同士の戦争だ。オモチャのやることとなめてはいけない。アーチャー(F.ランジュラ)をボスとするゴーゴーナイトとチップ・ハザード(T.L.ジョーンズ)を隊長とするコマンドー・エリートという二つのグループの争い。アーチャーやハザード隊長他フィギュア達のキャラクター造詣が良く成されている。これらフィギュアは元々は単なる人形だった。だが、開発提案したアーヴィン(D.クロス)とラリー(J.モア)は、社長ギル(D.レアリー)から、動きや喋ることの機能を持たせろと要求を受け、彼らは誤って軍需用チップを組み込んでしまう。このチップが凄い。コマンドー・エリートは武器や、女性型フィギュアロボットまで作りあげる。南米のゲリラも興味を持つだろう程巧みな出来のおもちゃとなる。学習能力により賢くなるだけではない。コマンドー・エリートは好戦的、ゴーゴーナイトは戦いを避けゴミの中に身を隠すというような性格まで反映している。ゴーゴーナイトに手助けするアラン(G.スミス)もコマンドー・エリートにとっては敵だ。真面目にミッションをこなしていくコマンドー・エリート達の兵隊オタク姿が魅力的。ハザードはアランに挑む手段としてクリスティを人質として確保する。下半身が無くなっても喋り続けるコマンドー・エリート、フィギュアでなければ正視し難いシーンもある。だが、女型フィギュアに捕らえられて横にされるクリスティの姿にはガリバー旅行記を、模型のヘリにハザードが乗って攻撃してくるシーンでは♪ワーグナー楽劇「ニーベルングの指環」より「ワルキューレ」♪流れるまさに『地獄の黙示録』、こんな遊び心が嬉しい。アンテナにより電磁波から守られ奇跡的に助かったゴーゴーナイト達が帆船の模型に乗って旅立とうとするアランとの別れのシーンではJ.ダンテ監督の子供心が伝わってくる。それは夢の国ゴーゴンへの憧れである。


スライディング・ドア

1997年

アメリカ・イギリス

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director ピーター・ホーウィット

Cast   グウィネス・パルトロウ  ジョン・ハンナ  ジョン・リンチ  ジーン・トリプルホーン  ザラ・ターナー

短評

ヘレン(パルトロウ)が、その電車に乗れた時、乗れなかった時。恋の様子が変わる。それは、1枚のドアから始まる。ドアの向こうとこちらでは違う運命が待っている。ちょっとした事象が人生にどれだけ影響するのか。パラレルワールド。二つの違った運命を同時進行で描き、絡め合う手法は見事だ。ヘレンの恋人(リンチ)は浮気をしている。電車に乗り込むことの出来たヘレンは、彼の浮気に気付き早々に傷つくもハンナ扮する男性と出会い新しい恋が始まる。もう一方の電車に乗れなかったヘレンは、リンチとの関係をズルズル続けることとなる。ただ、映画はこれで終わらない。電車に乗ったヘレンは病院に入院することとなるが、電車に乗ることの出来なかった彼女も同じ病院に入院することになる。そして電車に乗り遅れたヘレンはなと、病院でハンナと出会うのである。運命の人というのはたとえどんなに回り道をしようとも出会う定めにあるのだ。それにしてもパルトロウはハイセンスである。どんな服もイキに着こなす。また、ハンナは決して美男ではないが何とも言えない魅力を持っている。