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フィフス・エレメント

54 

15ミニッツ

フィールド・オブ・ドリームズ

フェイス/オフ

フォレスト・ガンプ/一期一会

フォーン・ブース

ブギーナイツ

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フィフス・エレメント

1997年

アメリカ・フランス

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director  リュック・ベッソン

Cast  ブルース・ウィリス  ゲイリー・オールドマン  ミラ・ジョヴォヴィッチ  イアン・ホルム  クリス・タッカー  リューク・ベリー  ブライアン・ジェームズ

短評

『レオン』のベッソンが再びオールドマンを起用し、監督する。原作・脚本もベッソンで、16歳の時に考えた作品。5千年に一度開かれる宇宙の扉からやってくる反生命体に対抗できるのは4つの石とフィフス・エレメントだというのだ。火、水、土、風の4つの要素、そして愛。夢見る青年が考えそうなストーリーである。哲学的知識として教わった創造の四要素、火、水、地、空気のことだ。オールドマンの髪型、タッカーの髪型は最高。といっても日常町中で見るとひいちゃいそうだが・・。あと、ジョヴォヴィッチの赤い髪など彼らのヘアースタイルには目を引かれる。これに、ウィリスのはげかけ頭を合わせてまさに十色である。音楽を担当したエリック・セラとで創った、異星人が唄うオペラと共に繰り広げられる凄まじいアクションシーンはもの凄く良かった。オペラなんだけど前衛的ミュージックが混ざってるんだよな。『ランナウェイ』『ラッシュアワー』刑事コンビもので頑張ってるタッカーは髪型だけでなく、カマっぽいトーキングでいかした演技を見せている。


54

1998年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director  マーク・クリストファー

Cast  ライアン・フィリップ  サルマ・ハエック  ネーヴ・キャンベル  マイク・マイヤーズ  セラ・ウォード  ブレッキン・メイヤー

短評

セレブリティが集うスタジオ54。ニューヨークはブロードウェーの近くにあるこの場所で、1980年前後の数年間スキャンダラスな話題で注目を浴びていたディスコ。若者が憧れる場所でもあった。マイヤーズ演じるスタジオのオーナーは実在の人物。気まぐれなオーナーではあるが、たたき上げの実力派オーナー。おバカなマイヤーズだが、なかなかよかったぞい。栄枯盛衰、どんなに栄華を誇っても終わりはある。まして、セレブリティが対象では長続きしないのは目に見えている。それにしても、エンドクレジットが流れ終わった後のミラーボール、そこまでは良かった。が、ミラーボールを支えるように出てきたネーブ・キャンベル、あれはなんぞや、あれはいらんカットやな。懲りすぎて失敗という典型や。


15ミニッツ

2001年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director  ジョン・ハーツフィルド

Cast   ロバート・デ・ニーロ  エドワード・バーンズ  ケルシー・グラマー  エイヴリー・ブルックス  メリーナ・カナカレデス  カレル・ローデン  オレッグ・タクタロフ

短評

”15分間ヒーロー”に憧れるチェコ人とロシア人。銀行襲撃はする、分け前の為に仲間を殺す、放火はするとやりたい放題の悪である。彼らはまた、精神異常が認められれば罪を問われないという司法制度をかいくぐり、マスメディアを利用し、大金を得ようとする。視聴率のためなら報道倫理の一線を越えてしまうマスメディアの抱える問題をも交えながら、バーンズ、デ・ニーロを刑事役(といっても、バーンズは消防局だが)とした刑事ヒーローものに仕上がっている。『マクマレン兄弟』のバーンズが良かったのもあるが、ヒーローを際立たせるには、悪者に求められるものは大きくなる。今回は徹底した非情、そしてイカレ具合も絶品。何と言ってもタクタロフ演じる映画オタクぶりが見事。彼は、アルティメット大会で優勝したこともある格闘家らしいが、俳優としても今回の役ではいい味を出している。自由の女神が一望できる公園で、周り全てが緊張感を持って対処している時にもカメラワーク等カメラ演出にこだわるあたり、もう大満足。息絶える自身をカメラに収めるため、演技を行ってから、本当に死んでいくシーンなどは拍手もの。ローデン演じるチェコ人のいらいらキレ気味の性格に対し、このロシア人の落ち着いてカメラ演出にこだわる性格対比が独特の犯人コンビを作り出していた。


フィールド・オブ・ドリームズ

1989年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★★

Director  フィル・アルデン・ロビンソン

Cast    ケヴィン・コスナー  エイミー・マディガン  ギャビー・ホフマン  レイ・リオッタ  ティモシー・バスフィールド  ジェームズ・アール・ジョーンズ  バート・ランカスター

短評

アメリカの文化がここにある。男が夢見るものがこの映画にある。野球というものが男の中にどれだけ根付いているかが分かる。男にはヒーローへの憧れ、親父への想い等がある。しかし、これらは言葉で語れるものではないし、語れないからこそ浪漫なのである。しかし、野球が国民的文化となっているアメリカでは、野球により互いの心の奥を通わすことが出来る。K.コスナー演じる主人公に至っては妻と娘との間でも暖かい家族愛を見せてくれる。野球を、いやベースボールを通してそれぞれが理解し合っている。それは、コスナーが野球場を作るというとてつもない夢に協力することから伺える。故人とのふれあいがノスタルジアを生み、ベースボールという題材がさらにファンタジー化する。伝説の“シューレス・ジョー”やK.コスナーのお父ちゃんが甦る。八百長疑惑で野球界を追われることになったジョーを演じるのがR.リオッタ。リオッタの濃い過ぎる程の眼がベースボールへの純朴な想いを感じさせる。彼らがトウモロコシ畑から現れて、野球をし、またトウモロコシ畑に消えていくところはやわらかなタッチで絵的に素晴らしい。畑に消えていく彼らの後姿や、K.コスナーの父親が現れてキャッチボールをするシーンは涙ものである。また、日暮れの中照明のともる夢を象徴した田舎の野球場に向かう車の列は美しく、心に残るエンディングである。


フェイス/オフ

1997年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★★

Director  ジョン・ウー

Cast    ジョン・トラヴォルタ  ニコラス・ケイジ  ジョーン・アレン  アレッサンドロ・ニヴォラ  ジーナ・ガーション  ニック・カサヴェテス  ドミニク・スウェイン  ハーヴ・プレスネル

短評

冷酷なテロ犯罪者キャスター・トロイ(N.ケイジ)と敏腕FBI捜査官アーチャー(J.トラボルタ)。彼らが互いに外科手術により顔を移植し、それぞれに成り代わるという設定を突拍子もないと言ってしまったらそれまでである。例え顔だけでなく声帯も変えられるとしても、体型やしぐさ等はどうなんだ、似せられるのかなんて言ってはいけない。ここのところを納得せずにしてこの映画は見れない。そこさえ納得すれば、仕掛けられた爆弾に対し限られた時間しかないことから、突拍子ないと思われる移植手術行為も頷けるのである。トロイはアーチャーにとってかつて息子を狙撃された仇である。二丁拳銃(トロイの持つ金の銃がかっこいい)とスローに代表されるJ.ウーのバイオレンスアクションはもちろんいい。しかし、それだけでなく家族、子供に対する愛から更には仇であるトロイの残していった子供に対する思い等心情描写も表現できている。ラスト、アーチャーが自分の顔に戻って家族の元に帰って来る姿はすりガラス越しにシルエットである。スローなところがこれまたかっこいいし、闘い終えた男の哀愁が伝わってくる。そしてドアを開けて入ってくるとアーチャーだけでなく、トロイの子供を連れているのだ。子供を受け入れるアーチャー家族の姿に涙してしまう。この映画ケイジとトラボルタの功績は大。二人とも2つのキャラクターを見事演じ分けていた。目が違うのです。ただ、細身のケイジに対しトラボルタはやっぱデブッチョだ。


フォレスト・ガンプ/一期一会

1994年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director  ロバート・ゼメキス

Cast   トム・ハンクス  サリー・フィールド  ロビン・ライト  ジェニー・カラン  ゲイリー・シニーズ  ミケルティ・ウィリアムソン  マイケル・コナー・ハンフリーズ  ハンナ・R・ホール  ハーレイ・ジョエル・オスメント

短評

ほんのちょっぴり障害を持ったためにドラマティックな生涯を送ったフォレスト・ガンプのお話。疑問を持つことなく、継続してやり通すが次々に成功を収める。アメリカンフットボール、卓球と次々にヒーローとなり、名誉勲章を得た後はババガンプシュリンプ社の社長にまでなった。わらしべ長者のよう。しかしこの長者には欲というものが全くない。雑念なく、一生懸命努力出来るガンプの集中力はただものではない。これが成功の鍵と言っていい。また、彼の純朴さはG.シーニーズが演じるダン中尉等周りの人間を幸せにしていく。S.フィールドがガンプの母として彼に分かりやすく言った言葉(かえって分かりにくい気がするが・・)“人生はチョコレートの箱のようなもの”。つまり、箱を開けて見ただけでは本当の味はわからない。味わうためにはとことんまで触れ合う必要がある。この言葉は心に沁みた。私自身、箱を開けただけで判断したり、口に入れただけですぐ吐き出したりしていないだろうかと考えてしまう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『コンタクト』のR.ゼメキス監督はこの作品でアカデミー作品賞、監督賞を、T.ハンクスは主演男優賞を獲得している。ナレーションも演技も彼は完璧だった。


フォーン・ブース

2002年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ジョエル・シューマカー

Cast    コリン・ファレル  フォレスト・ウィッテカー  ラダ・ミッチェル  ケイティ・ホームズ  キーファー・サザーランド  ポーラ・ジャイ・パーカー  アリアン・アッシュ  ティア・テサダ  ジョン・イーノス三世

短評

バットマン・シリーズ『バットマン・フォーエヴァー』『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』のJ.シューマカー監督作はニューヨーク西マンハッタンの最後の一個ながら犯罪多発のため取り壊されることになっているフォーンブースのみを舞台とした風変わりな設定。突如フォーンブースにかかってきた電話に出るスチュ(C.ファレル)。謎の電話の相手(K.サザーランド)はライフル照準器の赤い点を見せつけ、いつでも殺せることを理由に電話を切らせない。長電話に苛立つ娼婦、客引き用心棒まで出てきてスチュを引きずり出そうとするが、脅され電話を続けるスチュは出たくても出られないのだ。客引きの男は撃ち殺されるが、スチュがやったとして周りは騒然となり、取り囲んだ警官はいつでも狙撃できる態勢となる。フォーンブースに取り付けられた盗聴器のため、事情を説明できないスチュはどんどん追い詰められていく。そんな一触即発の状況は、J.シューマカーの他作品『9デイズ』『8mm』にも観られなかった緊迫感を生み出した。『マイノリティ・リポート』のファレルの、肩で風切るやり手パブリストから汗だくでぼろぼろになる妻ケリー(R.ミッチェル)や愛人パメラ(K.ホームズ)に許しを請うスチュまでの変化をフォーンブース内で見せるリアルな演技がひと時も目を離せなくさせる。終わりを迎えても電話の相手の本当の目的が何であったのかがあいまいであったのも最近の犯罪事情を得ていて恐い。フォーンブースはガラス張りであるが、中で何が起こっているのか分からない。舞台のスケールこそ違うが『ダイ・ハード』のナカトミビル内でどうなっているか分からないテロのようである。奮闘するマクレーン警部(B.ウィリス)と連絡を取り、限られた情報から内部事情を掴もうとするのがパウエル巡査(R.ヴェルジョンソン)であった。派手なアクションを中心にスリルを表現した『ダイ・ハード』に対し、1m四方程度の空間内で追い詰められる心理のみでスリル追求した映画だが、スチュがトラブルに巻き込まれていることを察知し指揮に当たるレイミー警部(F.ウィッテカー)も黒人デカであることから『ダイ・ハード』になんとなく重なる部分が多い。とにかく一気にみせる演出は上手かった。


ブギーナイツ

1997年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ポール・トーマス・アンダーソン

Cast   マーク・ウォルバーグ  バート・レイノルズ  ジュリアン・ムーア  ヘザー・グラハム  ジョン・C・ライリー

短評

ポルノ業界を描く70’Sファンクな映画。レイノルズを始め、ジョン・C・ライリー、ウィリアム・H・メイシーなど、業界に生きる彼らが凄く人間的に、個性的に描かれている。こんな業界で働きながらそれぞれ家庭的であるのがいい。ポルノ男優として頂点を極めるエディ(ウォルバーグ)の部屋は最高。ブルース・リーの写真にファラ・フォーセット。そんなお宅部屋で、エディは一人裸になりポーズを決める。とにかくエディの股の間の宝をここで活かさなきゃどうするとばかり、世界を極め、ドラッグと業界そのものと共に落ちぶれていく様をコミカルに哀愁を込めて描ききった。もうこれはポール・トーマス・アンダーソンの監督・脚本の手腕に尽きる。


梟の城

1999年

日本

おすすめ度(10点満点) ★★★

Director 篠田正浩

Cast   中井貴一  鶴田真由  葉月里緒菜  上川隆也  永澤俊矢  根津甚八  山本學  火野正平  前田玄以  マコ  筧利夫  花柳錦之輔  若松武史  馬渕晴子  田中伸子  小沢昭一  中尾彬  中村敦夫  岩下志麻

短評

忍者ならではの謀を史実に絡めて作られた面白いストーリーである。原作は直木賞を受賞した司馬遼太郎の小説である。織田信長に里を攻められ、多くの仲間を失ってしまった伊賀忍者の生き残り。時代は変わり豊臣秀吉(マコ)が天下人となったが、信長への恨みを重ね合わせた暗殺の標的とする。伊賀の裏切り者、風間五平(上川隆也)が石川五右衛門として捉えられ処刑されるという発想も面白い。秀吉暗殺の陰謀に徳川家康(中尾彬)が関わっていたという安直な流れにはあえて不満は言わない。だが、映画は原作の発想を生かしきれない部分が多い。黒阿弥(黒阿弥)や木さる(葉月里緒菜)ら伊賀の生き残り忍者の役割が薄く、葛籠重蔵(中井貴一)一人で何でも出来てしまう。そのため重蔵一人で太閤の寝所まで忍び込むも緊迫感無く、伏見城への忍びは容易であっさりしすぎ。殺さずに殴るだけで終わるシーンでの命乞いする老いぼれ太閤に拍子抜けというニュアンスに繋がらない。五平が石川五右衛門を騙る理由があったのかについても描き方に疑問。最も残念だったのは忍者ならではの対決アクションが全くといって無かった事。甲賀の摩利支天洞玄(永澤俊矢)との決闘も見どころなし。服部半蔵(根津甚八)と絡むことは出来なかったのだろうか?闘わずとも武芸者の凄みを感じさせることは出来るはずだが。曲者、前田玄以(津村鷹志)も途中から存在がしぼんでしまった。


ふたりの男とひとりの女

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director ピーター&ボビー・ファレリー

Cast   ジム・キャリー  レニー・ゼルウィガー  アンソニー・アンダーソン  モンゴ・ブラウンリー  ジェロード・ミクソン  クリス・クーパー  マイケル・ボウマン

短評

『ジム・キャリーはMr.ダマー』や『メリーに首ったけ』のファレリー兄弟がJ.キャリーと再び組んで、下ネタ、悪趣味ネタ、動物虐待ネタで笑いを狙う。しかし、笑いネタは相変わらずだが、ストーリー性がやや低下。彼らのギャグ、笑いは差別ネタや虐待ネタなどもあるため、行き過ぎとの声もある。しかし、私には彼らの引き際は上手いと感じられる。差別的思想がないから故ここまで出来るんだと思える。笑えた部分は牛ネタと指ネタ。私の笑いのツボがそこにある。間がいい。ハンクという人格が突如現れるようになったチャーリーをキャリーが演じ二人分暴れ回る(キャリーは結構このパターンが多いが、『マスク』や『ライアーライアー』も似たようなもの)。だけど、イカレた人物はキャリーだけで、『メリーに首ったけ』のようにベン・スティラーやマッド・ディロン等他コミカルなキャラとのからみがないのが残念である。『メリーに〜』のマッド・ディロンはマジでいい味出していた。大事な親指を魚に食べられるも、こっ恥ずかしいプロポーズでアイリーン(R.ゼルウィガー)を得るチャーリー。ゼルウィガーは相も変わらず『プロポーズ』と同じようなアイドル的な演技しか見せてくれないが、目を細めて見つめるその表情がかわいいことを発見。気になる存在になってしまった。最後に少し話したいのがチャーリーとアイリーンの命を狙うガーク(C.クーパー)について。何と言っても『アメリカン・ビューティー』で融通の利かない退役軍人を演じたぐらいなのでコメディでもお堅い。ウォシャウスキー兄弟、コーエン兄弟に負けないブラザーズとしてファレリー兄弟にしか描けない毒気いっぱいのユーモア映画を作って欲しい。


ブラウン・バニー

2003年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director ヴィンセント・ギャロ

Cast   ヴィンセント・ギャロ  クロエ・セヴィニー  シェリル・ティーグ リリー  エリザベス・ブレイク  アナ・ヴァレスキ  マリー・モラスキー

短評

V.ギャロが音楽、絵画等マルチに長けていることは『バッファロー’66』でよく分かった。脚本演出も最高であった。そんな彼がバイクレーサーであったことも驚きである。だが、優れた才能はこの映画ではやりすぎた感あり。バド(V.ギャロ)はガソリンスタンドの女の子ヴァイオレット(A.ヴァレスキ)を旅に誘いながら置き去りにしたり、次のレース地カリフォルニアへの道中で娼婦ローズ(E.ブレイク)を車に載せるも何もすることなく、なぜか苛立って降ろしてしまう。それは、かつての恋人デイジー(C.セヴィニー)のことを思い続けるためである。そんなイジイジした男はデイジーの実家を訪れるが、彼女の母レモン(M.モラスキー)は近所で育ったバドのことは覚えていない。不器用ながら心の内を訴えようとしても、当の相手の反応はつれなく手応え無いというのは『バッファロー’66』でも見られた。一方、カリフォルニアまでの道のりはひどく退屈。花の名前の女の子に出会って、ちょっとちょっかいを出しても大して盛り上がらない。眠りを誘うはカリフォルニアで再会するデイジーとのシーンで爆発するためだったのだ。激しいセックスシーンはびっくりだが、こんな方法でなくてもデイジーへの強い想いは伝えられただろう。そして大切な秘密、デイジーはこの世にいない存在だったことが明かされる。『シックス・センス』のような終わり方であった。バドは繊細な感受性に加え、研ぎ澄まされた第六感でこの世にいないデイジーとエクスタシーを得る。ギャロが自分の感性を疑うことなく、やりたいようにやった挑戦的な映画だ。


ブラス!

1996年

イギリス

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director マーク・ハーマン

Cast   ピート・ポスルウェイト  ユアン・マクレガー  タラ・フィッツジェラルド  スティーブン・トンプキンソン  ジム・カーター  

短評

グライムソープ・コリアリーバンドという実在のバンドがモデル。炭坑閉鎖からくる炭坑夫たちの失業不安の中、グリムリー・コリアリー・バンドの存続に悩み、ロイヤル・アルバートホールを目指していく様子を描く。炭坑夫の哀愁を描きつつコミカルな出来である。新しくバンドに加わり、バンドのヒロインであるフィッツジェラルドがバンドと初めて音あわせするシーンで彼らが演奏するのが“アランフェス協奏曲”。初めてでこんなに演奏出来るかといいたくもなるが、曲がマイハートに滲み入るお気に入りのシーンである。あと、彼らに泣かされるシーンがある。指揮者ポスルウェイトが倒れ、入院した病院の中庭で彼らは“ダニーボーイ”を演奏するのだが、暗い中炭坑用のヘッドランプで楽器を照らし出す。なんと心憎い演出でしょうか。彼らが全てをやり遂げ、凱旋するシーンでは、誇らかに“威風堂々”を演奏する。困難を克服し、最後は気高く終わってくれるこの映画はすばらしい感動を得た。


ブラッド・ワーク

2002年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director クリント・イーストウッド

Cast   クリント・イーストウッド  ジェフ・ダニエルズ  ワンダ・デ・ジーザス  ティナ・リフォード  ポール・ロドリゲス  ディラン・ウォルシュ  アンジェリカ・ヒューストン  メイソン・ルセロ  ジェリー・ベッカー  ディナ・イーストウッド

短評

C.イーストウッドが引退した元FBI捜査官マッケイレブを演じる。口数が少なくても、たまにしゃべるセリフにウィットがきくのがイーストウッド。マッケイレブは連続殺人犯を追跡中心臓発作で倒れるも、心臓移植で一命を得た男。年を取ったイーストウッドの年輪を感じさせる演技だ。鍛えているとはいっても、老体の域に入ったイーストウッドの体は手術跡を残す痛々しい体として充分に映る。一方、アランゴ刑事(P.ロドリゲス)とウォーラー刑事(D.ウォルシュ)とおちゃらけも絶妙の間だけで楽しましてくれる。グラシエラ(W.D.ジーザス)が、彼女の姉を殺害した犯人を探してほしいと現れてから話は盛り上がり、面白くなっていく。依頼を断ろうとしたマッケイブも自分の心臓が殺害されたグルシエラの姉からもらったのだとなればそうはいかない。大きな体で威圧感のあるフォックス医師(A.ヒューストン)の安静にせよという指示も聞き入れず捜査を開始する。原作はマイクル・コナリーの『わが心臓の痛み』でベストセラーとなったらしく、マッケイブが犯人像を得ていくプロセスは良く出来ており惹きこまれる。クルーザー生活の隣人バディ(J.ダニエルズ)が犯人だったという真実にも納得がいく、いい映画だった。だが、グルシエラを自分のクルーザーに招いてすぐベッドシーンを演じるマッケイブ(イーストウッド、73歳)はいかがなものか?そこに至るグルシエラは身が軽いのか?姉の心臓を持つ男に特別の感情を持ってしまうのか?


PLANET OF THE APES/猿の惑星

2001年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★

Director ティム・バートン

Cast   マーク・ウォルバーグ  ティム・ロス  ヘレナ・ボナム=カーター  クラーク・ダンカン  ポール・ジャマッティ  エステラ・ウォーレン  ヒロユキ・タガワ

短評

ティム・バートンのちょっとダークなアートセンス健在。惑星の猿居住区、落下した宇宙船のデザイン、エキゾチックな風景、もちろん猿もオリジナルよりかなりリアルで個々の違いがなされている上、中で演じている俳優の顔の特徴を残したナイス・メイクだ。ただ、この映画作りは非常に難しいと思う。というのも、オリジナルはやはりあの衝撃のラストシーン、誰もが認める凄い脚本だった。リメイクとするのであれば、最期にみんなを驚かせる場面が必要だが、オリジナルを見た者にそれが、通用するのだろうか?私にとってこの映画はこの点に関して合格点であった。ウォルバーグの不時着した惑星における猿と人間の逆転した支配関係は、自分が乗っていた宇宙母船がタイムスリップにより自分より遙か昔に同じ惑星に不時着していたことから、そのクルーと実験用動物として連れてきていたチンパンジーをはじめとする猿たちに形成され、それら子孫が不時着した星に住む人間と猿なんだとと分かる。ただ、これが衝撃のラストという訳ではない。ウォルバーグは地球に帰るのであるが、帰ってから目撃する物が猿の作った彫像物である。これにオリジナルで見た人間の作った自由の女神という彫像物に負けない強烈なインパクトを持たせたのである。逆から考えた上手い発想である。いろいろな解釈の仕方があると思うが、ウォルバーグは地球ではない別の惑星に行っていたと考える。全てが地球だとしたら上で述べた逆から考えた発想とはいえず、オリジナルでは地球の未来にたどり着いたのだが、それが、単に過去に変わった?というのではちょっと寂しい。猿の親分は地球に行って人間の文明を猿真似したというのはどうだろう。オリジナルの主人公チャールストン・ヘストンとヒロインであったリンダ・ハリスンの間の関係はもっと意志の絡みがあったように思う。それに比べるとウォルバーグとウォーレン演じる人間のヒロイン、ボナム=カーター演じる猿ヒロインとの間は凄くあっさりしていた。でも、私自身はそういったものを求めていたわけではないのでこれでいいのだが。むしろ、四足歩行などにこだわった猿の動きなどへの演出のこだわりが嬉しい。


フラバー

1997年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director   レス・メイフィールド

Cast    ロビン・ウィリアムズ  マーシャ・ゲイ・ハーデン  クリストファー・マクドナルド  レイモンド・J・バリー  クランシー・ブラウン  テッド・レヴィン  ウィル・ウィートン  エディ・マックラーグ

短評

ロバート・スティーヴンソン監督、フレッド・マクマレイ、ナンシー・オルソン出演の『うっかり博士の大発明/フラバァ』のリメイクであるこの映画は、『34丁目の奇跡』の感じとそっくり。『ブルー・ストリーク』では少しイメージが変わっていたものの、『34丁目の奇跡』と同監督L.メイフィールドである。うっかり博士はR.ウィリアムズが演じているが、適役である。研究に没頭しM.G.ハーデン演じる恋人との結婚式を3度もスッポかし、超エネルギー弾性体フラバーと巻き起こすオトボケ騒動などはウィリアムズのペースで進められる。しかし、フラバーはあまりに便利に扱われ、CGにより能力は表現されるものの、フラバーの本質が描かれていない。フラバーは物質?半生命体?いったいなんなんだろう。一方、『起動戦士ガンダム』でアムロが持っていたハローのようなウィーボの心情描写は凄い。ハローなんかよりは遥かに賢いA.I.を持つロボットである。博士でも考えていなかった自分自身(ウィーボ)のバックアップを取っていた。それも自分の再生のためでなく娘として博士に作ってもらうために。いじらしくなる。一つ言わせて貰えば、物がぶつかり合い跳ね返る際にも、法則がある。質量が大きいほうは衝突後大きな動きは見せないはず。いったいフラバーの重量は?


プランケット&マクレーン 

1999年

イギリス

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director ジェイク・スコット

Cast   ロバート・カーライル  ジョニー・リー・ミラー  リヴ・タイラー  アラン・カミング  ケン・スコット  

短評

カーライル演じるプランケッとジョニー・リー・ミラー演じるマクレーンは礼儀正しい紳士強盗。ロンドンにおける注目の的である。華麗な盗みを続ける彼らだが、美女の存在により何かが狂い始め、最後には自らの生命にも関わる。この辺りありがちなストーリー。その美女はリヴ・タイラー。彼女に演技は求めない。きれいなだけで十分だ。紳士強盗を演じる二人は、あの人気映画『トレインスポッティング』でも共演していた。この映画もうちょっと強盗としてのヒーロー像を描くべきだった。強盗シーンが少なすぎる。


ブリジット・ジョーンズの日記 

2001年

アメリカ・イギリス

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director  シャロン・マグアイア

Cast   レニー・ゼルウィガー  コリン・ファース  ヒュー・グラント  ジム・ブロードベント  ジェマ・ジョーンズ  サリー・フィリップス  シャーリー・ヘンダーソン

短評

背伸びをせず、等身大で色々自己嫌悪する部分を抱えながらも前向きに生きるブリジットに、笑い、励まされる人は多いと思う。そんなブリジットをちょっと小太りしてみせたゼルウィガーは嫌味なく演じてくれた。この手のヒロインは、格好よく描かれたヒロインよりもクサくなってしまう場合が多い。ゼルウィガーはデカ尻やボサボサ頭で惹きつけ、共感こそさせるものの冷めた感じにはさせない。『プロポーズ』からするとかなり太ったレニーではあるが、キュート度合いは維持されて、プレイボーイ役のヒューが彼女にちょっかいを出したといっても不思議はない。また、ギャグとして扱われている勘違い仮装や青色スープもブリジット周辺の登場人物のキャラクターでほのぼのと笑うことが出来た。ただ、ここまでの映画の評価がブリジットに対する共感からのものであったとしたら、良かった良かったと褒めてばかりもいられない。


プルークラッシュ

2002年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director ジョン・ストックウェル

Cast   ケイト・ボスワース  ミシェル・ロドリゲス  サノー・レイク  マシュー・デイヴィス  ミカ・ブーレム  クリス・タロア  カーラ・アレクサンダー  ルーベン・テハダ  フェイゾン・ラヴ

短評

監督、脚本は『ロック・スター』の脚本を務めたJ.ストックウェル。ストーリーよりサーフィンのテクニックやノースショアのスケールの大きいうねり(グランド・スウェル)、チューブ等を捉えるカメラワークに拘った。パイプラインのスケールは同じサーフィン映画『ノース・ショア』よりでかい。また、『ノース・ショア』ではスポンサーのつく花形サーファーへの憧れに対し、自然の織り成す波に畏敬の念を持ち、形成される波を読むソウルサーファーになれというもので、“パイプライン・マスターズ”での勝利よりも拘るべきものがあるということを語っていた。ストックウェルの描く映画は、主人公アン・マリー(K.ボスワース)が雑誌の表紙にもなるスターに憧れる姿を描く。天才少女とうたわれ、期待される一方、サーフィン中に珊瑚に激突、溺れるという事故の後遺症のため恐怖心を克服できないというジレンマに悩む姿を描く。フットボールの花形クォーターバック・マット(M.デイヴィス)と恋に落ちることで、伸び悩んでいたサーファーへの道に対する情熱を失っていく。アンの才能を認める親友エデン(M.ロドリゲス)は夢を思い出させようとするが耳を貸さない。マットとの華やかな経験に夢中になっていたアンが、親友の忠告も聞かなかったアンが再びサーファーへの自分の夢に向かい合う。ホテル客の間で行われるパーティー中に転機が訪れるのであるが、トイレで聴いた自分への中傷がだめ押しだったのは分かるが、一体パーティでの何がきっかけとなったのか?充足感を得られずただ楽しむだけという余興の中に将来の自分を見たということなのだろうが、転機としてのインパクトに薄いのである。一念発起し出場した大会でアンは再び怪我をする。大きな波に乗るサーフィンの迫力と恐怖は体感できた。アドレナリン放出をもとめ、そびえ立つ波パイプラインに向かう選手には感心するし、怪我して尚恐れに立ち向かうアンこそが見どこ。


ブルース・オールマイティ

2003年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★

Director トム・シャドヤック

Cast   ジム・キャリー  モーガン・フリーマン  ジェニファー・アニストン  フィリップ・ベイカー・ホール  キャサリン・ベル  リサ・アン・ウォルター  スティーヴン・カレル  ノーラ・ダン  エディ・ジェイミソン  ポール・サターフィールド  マーク・キーリー  サリー・カークランド  トニー・ベネット  ティモシー・ディプリ

短評

『パッチ・アダムス』『ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合』のT.シャドヤック監督が『エース・ベンチュラ』『ライアー ライアー』に次いでJ.キャリーと組んだ作品だ。次期アンカーマンが自分であると思い込んでいたTV局務めのブルース(J.キャリー)だったが、ライバルのエヴァン(S.カレル)がアンカーマンの座に就いたことを知り、『タイタニック』ネタでナイアガラの滝を観光に来たおばあさんに悪態をつく。支離滅裂なレポートに、放送禁止用語の連発し局を首になる。自暴自棄となったブルースは神様に“職務怠慢だ”と不満をぶつける。言われたままにしておけない神様(M.フリーマン)はブルースに“やってみろ”とブルースに神の仕事を預ける。半信半疑のブルースだが、興行時コピーの“一週間だけ神様になれるなら”にあるような何でも出来る万能の力を得る。ブルースが力の大きさを確信するのも『十戒』に出てくる紅海のようにスープを割ってみせることによる。オールマイティとなったニンマリ顔はさすがコメディアンの演技。♪SNAP「ザ・パワー」♪をバックにバッファローの街をイタズラして歩く。悪戯をやり終えたあとは私欲のため、アンカーマンになるための工作にパワーを使い始めるのだ。神様に次々と届く願い事。ブルースにはバッファロー住民の分しか届かないという事だったが、人間の欲には限りが無い。神の側から見ることによって叶えられるべき願い事とはどんなものかを見つめ直すチャンスを得る。自分のために毎日欠かさず祈ってくれていたグレース(J.アニストン)の大切さをブルースは知るに至り、彼女のためを思うことが出来るようになる。私欲を超えた神様が叶えてもいいと思える願い事とは・・そんな考えを持てるユーモア映画だったんだろうが、ブルースは結局この職に任されたことで自ら見出したんではなく、神様に教えてもらったに過ぎないところに、も一つ深みが得られなかった理由がある。


プルーフ・オブ・ライフ 

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★

Director テイラー・ハックフォード

Cast   メグ・ライアン  ラッセル・クロウ  デイビッド・モース  パメラ・リード  デイビッド・カルーソー  

短評

“今注目の二人が・・・鼓動を一つにする”という予告編で流れる言葉が、現実のライアン、クロウを頭に描かせ、ちょっと興ざめしてしまう。そうゆう宣伝文句は無しにしよう。この映画を観て、誘拐、身代金犯罪に絡む保険機構や企業的な対応など初めて知った。また、反政府ゲリラの横行するような国においての組織的な誘拐プロセスなど、それに対して誘拐、身代金対象となる顧客に対して安全にコンサルティング、犯人との交渉を専門業務とする企業について良く知ることが出来た。浦沢直木のマンガ“MASTERキートン”が頭に浮かぶ。クロウはキートンに勝てるか?そういえば両方ともSAS出身だ。SASは特殊任務を遂行する部隊としては最高位にあるんだろう。監督は『愛と青春の旅立ち』のハックフォード。最近では『ディアボロス』だったか。身代金交渉を行うクロウ、犯人との心理戦を行うネゴシエーターというのは、サミュエル・L・ジャクソンの『交渉人』でもそうだったようにかっこいい。度胸、頭脳、状況把握、推理、全ての面で相手の上を行くことを要求される。そしてもとSASだったという設定のクロウの最期の強行突入で見せる鍛え抜かれた体は見事。『グラディエーター』出演が役に立ったと言える。しかし、スーツ姿はイマイチか?むしろ同業者で仲間役を演じたカルーソーの方がどちらもこなしていた。最期に、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で頭から血を流しながらも華麗なダンスを見せたモース、今回は人質として山奥での捕らわれ生活ご苦労さん。舞台となった南米のテカラっていう国は実際にはないの?


ブルワース 

1998年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ウォーレン・ビーティ

Cast   ウォーレン・ビーティ  ハル・ベリー  ドン・チードル  オリバー・プラット  ポール・ソルビノ  ジャック・ウォーデン  リチャード・サラフィアン  イザイア・ワシントン  ショーン・アスティン  クリスティーン・バランスキー  ケニー・ウィッテカー

短評

『天国から来たチャンピオン』の監督W.ビーティの兼主演作品。アメリカ大統領選をコミカルに描く。現職クリントンの対抗馬として出馬するブルワース(W.ビーティ)。ところが、保険業者に暗殺してもらうことを依頼し、自殺を計画する。当然、当選しようなどとは考えていない。ところが、どうせ死ぬんだからという考えから、彼の行動は大胆になる。猛烈に政治批判を行い、毒舌であるわ、放送禁止用語は連発するわでやりたい放題。しかし、歯に衣着せぬ彼の行動は大人気。そうなってくると、自殺願望はなくなる。暗殺者から逃げなきゃならない。そんな、ドタバタが非常に面白い。それにしてもブルワース、ラップはこなすし、若い黒人女性ミーナ(H.ベリー)に恋心を抱き、彼女にのぼせていく姿は子供のような単純純真さであるし実に素晴らしい。ミーナの正体の設定などを含め、本当に面白いストーリーであった。ストーリー・脚本も手がけたビーティのセンスは凄い。


ブレア・ウィッチ2 

2000年

アメリカ

おすすめ度(10点満点)

Director ジョー・バーリンジャー

Cast   ジェフ・ドノヴァン  キム・ディレクター  エリカ・リーアセン  トリステン・スカイラー  スティーヴン・バーカー・ターナー  

短評

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の評判は両極端だ。作り物ではないリアルなものとして捉え、観たものにとっては、ドキュメンタリーで無かったというのは評価に値しないのだ。私の場合は別で、でっち上げた話を独創的なカメラ使用、カメラワークで仕上げた映画としての出来にびっくりしたのだ。そして、あのラストシーン。この映画では、前回の魔女伝説の謎を解明しようとする。監督であるバーリンジャーは、難しい仕事を引き受けた。同じ手法は取れない、その意味でもはや、成功の可能性は無かったかもしれない。そこをあえて監督した点は認めよう。魔女を上手く存在させたとは思う、つまり、自らを魔女だと語る女性(リーアセン演じる)、また、霊感を持つ女性(ディレクター演じる)の二人だ。人物設定はなかなかだと思う。そして、録画されたビデオ再生により、事件の謎を解いていくというところは上手い。この映画、前の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ではなく、なんか別の映画の続編としてなら悪くない。しかし、私にとって、前作の素晴らしさを消し去ってしまった罪は重い。『ブレア〜』の続編なんかつくる必要なかったのだ。


ブレア・ウィッチ・プロジェクト 

1999年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★

Director ダニエル・マイリック  エドゥアルド・サンチェス

Cast    ヘザー・ドナヒュー  マイケル・C・ウィリアムズ  ジョシュア・レナード  ボブ・グリフィン  ジム・キング  サンドラ・サンチェス

短評

魔女伝説のある森にカメラを持ち込み、ドキュメンタリーを製作しようとしたまま森で失踪し、その後キャビンの土台に埋まっていた彼らの荷物に入っていたカメラの映像がそのまま映像となっている。失踪後の町での出来事もストーリーの内だが、映画部分はあくまで発見された彼らのハンディカメラに映っていた映像のみである。映画以外の部分をも脚本として描く手法は斬新でインパクトがあった。ドナヒュー始め、3人が森には行っていく様子は全て彼らが撮った映像と言う設定なので、リアリティを感じる。また、最初から彼らが失踪していることが分かっているので、結末を知った上での彼らの行動に恐怖を抱く。次第に脱出不可能になっていく森の不気味さに加え、ハンディカメラの視野の狭さからくる閉塞感は凄い。次第に正気を失っていく彼らの様子に加え、ブードゥー教の様な異端信仰者の存在を思わせる木や石の創作物が恐怖を後押しする。主人公達が見ていたファインダー越しの映像は彼らの喪失感、絶望感を凄く身近に感じさせる。クライマックスがそのままエンドというのも凄く良かった。とにかく発想の素晴らしさに二重まる。


プロポーズ

1998年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director  ゲイリー・シニョール Gary Sinyor

Cast   クリス・オドネル  レニー・ゼルウィガー  ハル・ホルブルック  ジェームズ・クロムウェル  アーティ・ラング  エドワード・アズナー  ピーター・ユスティノフ  マーリー・シェルトン  マライア・キャリー  ブルック・シールズ

短評

女性とは盛んに付き合うが結婚となると逃げ出す男ジミー(C.オドネル)とお互い好き合っているのにプロポーズが得られないためにイライラが募る女アン(R.ゼルウィガー)の話。ジミーの“バチェラーの顔”がいい。つまり、独身に対する未練の顔である。その時の頭の中はムスタングの群れと共に疾走中投げ縄にかかる姿をイメージしている。独身男は自由に野を駆けるムスタングという訳。独身を謳歌するジミーも結婚という投げ縄に掛かる時が来た。遺産相続のために結婚しなければならなくなった。亡くなった祖父がジミーに1億ドルの遺産を残していたのであるが、相続の条件は30歳の誕生日午後6時までに結婚していること。だめなら会社も売り飛ばす。急きょ始まったジミーの求婚騒ぎが面白い。求婚しに行った女の子もバラエティに富んでいる。オペラ歌手を演じたM.キャリーがめちゃくちゃ素人くさい演技でいまいちだったが、タカビー女のバックリー(B.シールズ)の遺産目当に仕方なく結婚するんであって、いやいやなんだという態度が最高。そんなバックリーにも我慢できない条件の限界があって真の遺言内容を聞いて逃げ出していく。ジミーとアンが結婚にこぎつけるシーンを彩るウェディンッグドレスを着た街中の女性達の姿は、ジミーを追わえまわるのは電灯に群がる蚊のようでうっとおしい気もするが、アンがバルコニーから見下ろし言うように“綺麗”だった。そばかすがキュートなアン(ゼルウィガー)が不快を抱くジミーのプロポーズ「君の勝ちだ!」は強烈。そんなアンをサポートする妹ナタリー(M.シェルトン)も負けず劣らず可愛いかった。


ブローン・アウェイ/復讐の序曲

1998年

アメリカ

おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★

Director スティーブン・ホプキンス

Cast   ジェフ・ブリッジス  トミー・リー・ジョーンズ  スージー・エイミス  ロイド・ブリッジス  フォレスト・ウィテカー  ステフィ・ラインバーグ  カトリーン・クラーク

短評

『ロスト・イン・スペース』『ゴースト&ダークネス』『プレデター2』のS.ホプキンス監督は爆弾に通じる二人の男ジェイムズ・ドーヴ(J.ブリッジス)とギャリティ(T.リー・ジョーンズ)攻防を描く。この2人はアイルランド闘争の同志であった。多数の犠牲を避けようと爆破テロのタイミングをドーヴがずらしたがために、ギャリティの妹(ダヴの恋人)が死に、自分は逮捕されるというギャリティにしてみれば許しがたく恨めしい過去があった。007風に「ドーヴ、ジャームズ・ドーヴ」などと名乗る(こうういうのが嬉しい)ドーヴ復讐を誓うギャリティは、ドーヴの爆弾処理隊員仲間を次々に爆弾の餌食とする。ドーヴの妻ケイト(S.エイミス)に不敵に接触し、同僚アントニー(F.ウィテカー)の家に易々と侵入しへッドホンに爆弾を仕掛るギャリティは単なる爆弾オタクではない。ドーヴへ復讐を布告し追い詰めていくギャリティは悪役としての凄み充分だ。目の前で仲間が爆死し苦しむドーヴに復讐を遂げていきながら涙を流す演技を見せたジョーンズの貢献は大きい。やはり悪役がヒーローを苦しめなければならない。目の前で仲間が爆死するというもって行きようの無い虚しさ悔しさがブリッジスの演技から伝わってくる。また、ケイトが独立記念日式典で演奏している♪チャイコフスキー・序曲「1812年」♪はギャリティとドーヴの因縁対決は架橋に入り、ギャリティの復讐がクライマックスに達したことを見事に盛り上げる。あらゆる生活空間のスイッチに爆弾を作動させる可能性を持たせていることと、その仕掛けを劇画調に見せるのも面白かった。アントニーという役はドーヴを最後までサポートするという大事なキャラでありながら、中途半端、宙ぶらりんだった。