JABITTの WONDERLAND YG-AKIRAの映画評論 旧掲示板「アパートの鍵貸します」 |
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2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ヤン・デ・ボン Cast アンジェリーナ・ジョリー ノア・テイラー クリス・バリー シアラン・ハインズ ジェラルド・バトラー ジャイモン・ハンスゥ 短評 墓荒らしララ・クロフト(A.ジョリー)の今度の冒険はパンドラの箱の略奪競争。開ける事で疫病を引き起こしたとパンドラの箱を狙うは生物化学兵器を設計する科学者ライス博士(C.ハインズ)。ノーベル賞を受賞しながら裏の社会に転じテロリスト相手に暗躍する。ライス博士の依頼で動く中国シンジケート等組織に対抗するには前作からお馴染みクロフトお抱えのコンピューターおたくブライス(N.テイラー)、執事ヒラリー(C.バリー)とのチームでは頼りないと、ララは昔の恋人元海兵隊員テリー(G.バトラー)をパートナーとして指名。ララとアクションでコンビを組む相手、元カレとしての相手として結構行けてたと思うが、ララとの関係に惹かれながらもトレジャーを前に裏社会への魅力を振り払えない部分の描かれ方が薄い。なんといってもテリーの採って来た行動がどっちつかずで中途半端だ。一方、『アミスタッド』『グラディエーター』『サハラに舞う羽根』で印象的だったD.ハンスゥは生命のゆりかごと呼ばれる地を探す手助けをするコーサ役だったが、こちらの演技は影が薄い。トレジャーハンターの冒険は世界を股にかけるスケールで描かれてはいるが、前作ではそれに加え、惑星が同軸上に並ぶといったスペースユニヴァース的な時間ロマンがあった。今作はただ隠された秘宝を求めればいいだけの古代遺跡ロマンに留まった。 1998年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★ Director ピーター・ウィアー Cast ジム・キャリー エド・ハリス ローラ・リニー ノア・エメリッヒ ナターシャ・マケルホーン ホーランド・テイラー ブライアン・ディレイト 短評 ドームに覆われたフロリダ。そこは、天候でさえも操れる人工の天空を持つ巨大都市となっている。その空間が人工的なものであることを知らない人間がいたら?トゥルーマン(J.キャリー)は母(H.テイラー)や妻メリル(L.リニー)を含む周りの人間が演技をし、生まれたときから自分の生活をドラマのように世界中の人が楽しんでいることを知らない。プライバシーに触れてみたいという人間の欲望を極限にまで満たそうとした結果の俗番組である。トゥルーマンが経験する、♪モーツァルト「ピアノソナタ11番のトルコ風行進曲」♪をBGMにする日常は全て役者が指示通りに動いて作られたものなのだ。独創的な設定の物語をコミカルに、ヒューマニズムに描いた映画である。起用されたJ.キャリーの持つコミカルなイメージが、真面目な演技と相まって素晴らしい映画に仕上がっている。トルーマンが最後、自分の暮らしてきた空間が作り物で、人為的な人生だったと気付くシーンは圧巻。ヨットに乗り荒れ狂う海を越え、たどり着いた壁。艇先が壁を障子を突き破るように当たる瞬間は登場人物の思いが凝縮された最高の間を持つ。そして、映画は一つのことを忘れていない。トゥルーマンが憧れるローレン(N.マケルホーン)は初恋の女性であり、妻帯者となっても忘れられない大切な人だ。彼女だけがトゥルーマンの人生を操作することを拒んだ。そんな真心のみが彼の憧れとなるのだ。トゥルーマンがクリストフ(E.ハリス)の呼びかけを振り切り外へ出て行くところは、TV視聴者の喜びやトゥルーマンを迎えに飛び出るローレンにも表現される感動的シーンである。クリストフに求められTVに向かって言う言葉「会えなかった時のために“こんにちは”と“今晩は”」がトゥルーマンの気のいい人のよさを表している。最初と最後をこの言葉で締めるP.ウィアー監督の映画は憎めない風刺に仕上がっている。 1999年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★ Director ジョー・ジョンストン Cast ジェイク・ギレンホール クリス・クーパー ウィリアム・リー・スコット クリス・オーウェン チャド・リンドバーグ ローラ・ダーン 短評 『ジュラシック・パーク3』『ジュマンジ』『ロケッティア』『ミクロキッズ』の監督J.ジョンストンの作品である。彼の作品の中では1番の出来である。話は炭坑の町を舞台としていることからパッと見イギリス映画のようである。しかし、イギリス映画独特のユーモアがなく、真面目。NASAの訓練士になったホーマー・ヒッカムの自伝をもとにしているため、大きくふざけることは出来ないが、貧しい炭鉱の人たちにユーモアのゆとりを持たせて欲しかった。それでも、ロケットを作ろうとするJ.ギレンホール演じるヒッカム達ロケット・ボーイズのロケット作りの夢に協力する姿は暖かい。スペースシャトル等ロケットの打ち上げシーンというのはニュース等で何度も観てきたが、打ち上げという行為のみにこれほど夢を感じたことはなかった。『アポロ13』では未知の世界(宇宙)に夢を感じていたのだ。炭鉱に拘る父親を演じるC.クーパーは見もの。父と息子の物語である。ヒッカムの父が炭鉱事故に遭う日、クラスメートのバレンタインを初めて意識するところ、あのカメラの寄りは上手かった。同級の女の子を大人びて感じる時、自分に好意を持ってくれてるとわかる時ってあんなふうにロマンチックに、ボーっと、それでいて圧倒されるように見つめてみたい。 2001年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director スティーブ・カー Cast エディ・マーフィ クリスティン・ウィルソン レーベン=シモーネ カイラ・プラット ジェフリー・ジョーンズ ケヴィン・ポラック リル・ゼーン 短評 前作『ドクター・ドリトル』よりは面白かった。前作はドリトルが動物と会話が出来るようになるプロットと先生になるまで、そして家族問題。ドリトル先生が解決使用とする問題は虎の自殺願望。虎が自殺?っていう納得しづらいテーマだったが、今回は森林破壊に対し動物達を守るというもので実際どこにでもある問題で理解しやすい。そして土地開発業者が『ハワード・ザ・ダック』『フェリスはある朝突然に』のあのジェフリー・ジョーンズムと来れば、悪役として最期いじめがいがあるというもの。動物の語るセリフもなかなかイキで、マーフィ扮するドリトル先生のマシンガントークが押さえ気味で、むしろ動物がビシバシとしゃべりまくるのが痛快である。また、映画ネタもなかなか。例えば、オリの向こうの黒豚に対しカメラがスルーする時彼は“クラリス・・”とハンニバル・レクターを装う。こんなんはツボに来た。動物も殆ど全て本物により撮影しているようで、動物トレーナーの技量にも驚きである。 1962年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director テレンス・ヤング Cast ショーン・コネリー ウルスラ・アンドレス ジョセフ・ワイズマン バーナード・リー ジャック・ロード アンソニー・ドーソン ロイス・マクスウェル 短評 第1作である。B.リー演じるMは登場するが、Qはまだである。そういう意味では007映画の確立されてはいない。殺しの許可証を持つ007に欠かせないアイテム、ワルサーPPKも登場。愛用だったペレッタからの変更をMに命じられる。J.ワイズマン演じるドクター・ノオは悪役としての凄みはばっちり。ブルース・リー映画に出てくる悪役のようなイメージである。最初と言うことで派手なアクションには物足りなさを感じるが、K.アダムがデザインした海上の敵アジトのセットも大掛かりで、破壊の仕方も遠慮なし。 2002年 スペイン おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director ペドロ・アルモドバル Cast レオノール・ワトリング ハビエル・カマラ ダリオ・グランディネッティ ロサリオ・フローレス ジェラルディン・チャップリン パス・ペガ 短評 昏睡状態のダンサー・アリシア(L.ワトリング)を献身的に世話をするベニグノ(J.カマラ)がいる。彼はアリシアが事故にあってから4年間ひたすら世話をし語りかける。アリシアの体をくまなくマッサージし、化粧まで施すベニグノのそれはどこか異様である。バレエ学校に通うアリシアを初めて見てから、興味を持ったアリシアに会いに行くその行動が変質的あったことも彼の看護に対するイメージに大きく影響する。しかし、競技中の大怪我により昏睡に陥った女闘牛士リディア(R.フローレス)を悲嘆する、どこでも泣いてばかりの泣き虫、恋人マルコ(D.グランディネッティ)とテラスで語り合い、看護で“Talk To Her”の大切さ説くベニグノに一途な愛や優しさを感じるようになる。しかし、思うように語り掛けることが出来なかったマルコにリディアの死が訪れる。そんな中ベニグノにも転機がやってくる。映画『縮みゆく男』を鑑賞し、彼の‘愛する’という考え方に変化が起こるのだ。映画の中で男は愛する女性の体の神秘の部分に小さくなった自分の体を委ねる。アリシアと一つになりたいという感情が強くなったベニグノはレイプに及んでしまう。ベニグノは投獄されるが、“Talk To Her”の奇跡は起こる。愛を4年間注ぎ込まれたアリシアは、妊娠という出来事をきっかけに語りかけに応え意識を取り戻すのだ。しかし、ベニグノはアリシアの子供の死産を知らされる。彼女の回復を知ることなく、答えの返ってこない愛に絶望したベニグモは自殺してしまう。献身だけの生活が幸せであったはずなのに、アリシアに応えを求めてしまった。だが、“Talk To Her”の奇跡は再び起こる。最後、劇場で出会うマルコとアリシア。アリシアにとって出会ったことの無いはずのマルコ。なのに運命的なものを感じたように彼女の方から語りかけ二人は見詰め合うのである。ベニグノが昏睡中の彼女に語りかけたマルコの優しさが伝わっているかのように。或いは今尚、アリシアに語りかけているベニグノがいるかのような空間はこれからの希望を予感させた。 1991年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director マイケル・ケイトン=ジョーンズ Cast マイケル・J・フォックス ジュリー・ワーナー ブリジット・フォンダ ウディ・ハレルソン バーナード・ヒューズ デヴィッド・オグデン・スタイアーズ フランシス・スターンハーゲン ジョージ・ハミルトン アイダ・バード ロバーツ・ブロッサム 短評 ベン(M.J・フォックス)は、よりサラリーのいいビバリーヒルズの美容整形外科医になるため総合病院をやめる。ビバリーヒルズにポルシェで向かう途中、道路にいた牛をよけて壊した柵を直せないとして、裁判の結果田舎町のここグレイディでの32時間の医療奉仕を命じられる。診療所の助手ルー(J.ワーナー)にどんどん惹かれていくベンの恋物語。町の人々と接しながら医者としての充実感を得ていくベン。医者が先生であるためには患者と触れ合い、患者に合った生活指導をしなければならない。薬の服用法を教えればいいというものではない。ベンも往診が患者を理解するのに大事なことを述べていた。医者を本当に必要として慕ってくれる町の人々がベンの美容整形への野心に迷いを生じさせる。だが、あくまで子供連れのやもめ、ルーがベンにとって第一なのだ。腕がいい医師が美容整形なんかに流れてしまうという総合病院仲間が言ったようなテーマは一言で片付けられたかのような映画。だけど一方、ヒロインの魅力薄が気になる。ベンはいきなり裸を見てしまったわけだから彼女に対する衝撃は大きかったのだろうが・・。ナンシー(B.フォンダ)とハンク(W.ハレルソン)を交えた四角関係も中途半端でロマンスとしてのインパクトはいまいちだし、コメディなんて絶対言えないほど笑える場面もない。『ジャッカル』のM.C=ジョーンズ監督は当時人気者のフォックスで撮り得ただけに終わった。 2003年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★ Director ジョン・マクティアナン Cast ジョン・トラヴォルタ サミュエル・L・ジャクソン コニー・ニールセン ジョヴァンニ・リビシ ブライアン・ヴァン・ホルト テイ・ディグス ティム・デイリー クリスチャン・デ・ラ・フエンテ ダッシュ・ミホク ロゼリン・サンチェス ハリー・コニック・Jr 短評 パナマの森で起こった殺人事件の真相を追う映画なのだが、どんでん返しのどんでん返し、何回もどんでん返しがある。ウエスト軍曹(S.L.ジャクソン)のレンジャー部隊の訓練中に起こった事件は嵐の中でのこと。謎めいた、陰謀の漂う雰囲気を醸し出すに必要な状況である。また、いたずらっぽさや何を考えているのか分からない、何かに囚われることのない恐いもの無しの雰囲気を持ったJ.トラボルタは事件の謎を追っかけていくストーリーには効果的な俳優である。彼が演じるのは森からの生存者ダンバー(B.V.ホルト)、ケンドル(G.リビシ)を取り調べるレンジャー隊出身の麻薬捜査官である。オズボーン大尉(C.ニールセン)と進める尋問で得られる証言から真実が二転三転する。謎の究明は、こちらが整理できたか出来てないかという段階で次の展開へ、といった具合にスピード感がある。『ダイ・ハード』『ダイ・ハード3』等の息もつかせぬアクション、『レッド・オクトーバーを追え!』で既に軍事サスペンスでの手腕を見せている監督J.マクティアナンだけにエンターテイメント性に長けている。題名であるように、閉ざされるはずの森の出来事は閉ざされること無く次から次へと色んな角度から明かされるのだ。最後に明かされる真実まで、どんでん返しはいくつになるだろう?あまりの多さに、またひっくり返るんじゃないのかと身構えてしまう。意外性多き中にあって、スタイルズ大佐(T.デイリー)だけは最初から最後まで予想に反すること無いキャラクターであり、机に隠していた拳銃で背後から撃とうとしたところを逆に撃ち殺される。これまで何度となく観てきた真犯人の最期であった。 2002年 日本 おすすめ度(10点満点) ★★ Director 原田眞人 Cast 役所広司 宇崎竜童 伊武雅刀 天海祐希 串田和美 椎名桔平 山路和弘 矢島健一 街田しおん 豊原功補 もたいまさこ 螢雪次朗 遠藤憲一 豊川栄順 加藤満 石丸謙二郎 篠原涼子 松尾スズキ 高橋和也 武田真治 鈴木一真 甲本雅裕 八嶋智人 藤田まこと 短評 “あさま山荘”に侵入、管理人・小雀彰夫(松尾スズキ)の妻・真理子(篠原涼子)を人質に連合赤軍メンバー5人が立てこもった事件を描く。主人公・佐々淳行(役所広司)の著した『連合赤軍「あさま山荘」事件』が原作である。後に総理大臣官房・内閣安全保障室長で知られ、現在さかんに危機管理についてTVで訴えている佐々淳行の日本中を釘づけにした大事件の経験談である。後藤田警察庁長官(藤田まこと)より指揮官としして現場に行くも、本庁と長野県警との指導権争い、取り組みの違いが統率を困難にしていたことを映画は語っていく。強行突入に至らなければならなかった気候条件、マスコミからのプレッシャーなど新たに得た知見はあった。また追い詰められ逃げ込み、閉じこもったにしては意外と多くの武器を持ち込んでいたことも知らなかったことである。日本犯罪史上に残る事件の勉強は出来た。しかし、全くと言っていいほどドラマ性を感じない。連合赤軍メンバー或いは人質の真理子の側が全く描かれていないのだ。赤軍メンバーを追い詰めているのかどうかも分からず、緊迫感を出すために突入隊がただただワーワー言ってるだけである。犯人側が表現されずあまりに無機質である。赤軍メンバー側からの描写をなくした演出を目指したのは解るが、やりすぎ。どうしても姿を描写したくないとしても、周りの風景(様子)を山荘内から見た感じのショットに合わせ、立てこもっている内部の状態をセリフと音で聞かせるくらいの演出はして欲しかった。少しだけ付け足しておこう。事件が起きたのは1972年、うるう年にあたり2月29日を前に突入した。この日付だけはこの映画のおかげで覚えていられそうだ。 1986年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★ Director トニー・スコット Cast トム・クルーズ ケリー・マクギリス ヴァル・キルマー アンソニー・エドワーズ トム・スケリット マイケル・アイアンサイド ジョン・ストックウェル バリー・タブ ティム・ロビンス 短評 T.クルーズのブレイク作。サントラにも収録されているノリのいい音楽と共に繰り広げられるドッグファイトはかっこよく、観終わった時は最高の気分だった。エリートパイロットを育て上げる養成所でライバル・アイスマン(V.キルマー)との競争、教官チャーリー(K.マクギリス)との恋、友情、コンビを組む友人グース(A.エドワーズ)の飛行中事故死による挫折など人間模様は盛りだくさんであるが、この映画において心情描写の出来不出来を語るべきではない。カッコイイ・マーベリック(T.クルーズ)とライバルとして申し分ないアイスマンが当時最高の機動性を誇るとしてブレイクしたF−14トムキャットを操縦しているのである。これまでになかったコックピットの臨場感をT.スコットは表現して見せた。J.ブラッカイマーとT.スコット、『クリムゾン・タイド』『バッドボーイズ』『デイズ・オブ・サンダー』のようなこの手の映画には最高のコンビである。V.キルマーはこれでブレイクするかと思われたが以降の映画はパッとしない。『バットマン・フォーエヴァー』『トゥームストーン』などに見られるように、成功するはずの映画を興業失敗に繋げている。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director ジョナサン・リン Cast ブルース・ウィリス マシュー・ベリー ロザンナ・アークェット マイケル・クラーク・ダンカン ナターシャ・ヘンストリッジ アマンダ・ピート ケヴィン・ポラック 短評 『隣のヒットマン』のヒットマンとは、主人公マシュー・ベリーの隣に越してきた”チューリップ”と呼ばれるウィリス扮する殺し屋(ヒットマン)のことだけではない。徐々にそこかしこにヒットマンが現れる。その当たりのストーリー作りは面白いし、ギャングの金1000万ドルを手に入れるため、ウィルス、ヘンストリッジ、ポラック3人のサイン、或いはサインの代わりに死亡証明書でもかまわないといった設定も面白いと思う。ウィルスは楽しみながら演技しているといった感じでコメディとシリアス映画で彼の取り組み方は全く違う。また、『グリーンマイル』ではとってもいい人であったダンカンはヒットマンに扮し、ピートに対していう「裸で拳銃を持つ姿はもっともセクシー・・・」云々のセリフを言っちゃってくれたからには、心に残ってしょうがない。最期にヘンストリッジは、『スピーシーズ』から今回は普通の人間になったのにも関わらずセリフが少ないんす。そして相変わらず色気むんむん。 2001年 韓国 おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director クァク・キョンテク Cast ユ・オソン チャン・ドンゴン ソ・テファ チョン・ウンテク キム・ボギョン チュ・ヒョン キ・ジュボン イ・ジェヨン 短評 チングとは友情、親友を意味する言葉。ヤクザの父親を持つジュンソク(ユ・オソン)、葬儀屋を営む父親を持つドンス(J.ドンゴン)は裏社会、ヤクザの道を歩む。彼らのサンテク(ソ・テファ)、ジュンホ(チョン・ウンテク)を加えた小学生以来の友情は固い。高校生となった4人はつるんで暴れまわる。高校生を演じるにはちょっとおっさんげではあるが、損得勘定なしの若さ故の威勢を見せる。映画館で他校の生徒と喧嘩し“ビーバップハイスクール”行為に及ぶ。これを境に4人は別々になっていく。彼らのチングは、『ビー・バップ・ハイスクール』の浩志、徹の友情とは違い複雑だ。ジュンソクとドンスが抱いている家庭(父親の仕事)に対する劣等感。男気があって信頼厚いジュンソクへの劣等感を抱くドンス。4人の中には友情だけではどうにもならない運命的なものがある。成長と共に、本音では行動できないもどかしさが生じてくるのだ。だが、ひとたび再会すると、若い頃共有した経験こそが互いに思いやる気持ちにさせ、心を明け広げ素直にさせる。ただ、ドンスだけは自分をさらけ出せない。やくざ者のジュンソクは優等生サンテク、ジュンホのかたぎ世界での成功を誉れとし、友を前にしては身に纏ったトゲをしまい込む。ドンスの死によって4人の内の一人が欠ける。ジュンソクに対し、サンテクに対して本心とは裏腹に、素直になれないまま死んでいく。何度も何度も刺されて死んでいくドンスの姿に、彼が世間から味わってきた数々の痛みが象徴されていて悲しい。刺されながら「もう、いいだろ」という彼の言葉が寂しくせつない。突っ張ってもどこか甘さは隠し切れないお顔のドンゴンが演じるドンスはジュンソクにとっては弟のような友だ。彼の死に責任を感じ冤罪を背負うジュンソクの男気。一方、サンテクの面会には無防備に心を顕にする。そんな兄貴肌のジュンソクを演じるオソンは渋くかっこいい。 1992年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★ Director フランシス・フォード・コッポラ Cast ゲイリー・オールドマン ウィノナ・ライダー アンソニー・ホプキンス キアヌ・リーヴス リチャード・E・グラント ケイリー・エルウィズ ビル・キャンベル トム・ウェイツ モニカ・ベルッチ 短評 G.オールドマン七変化。『ギャラクシー・クエスト』のA.リックマンのトカゲ頭のようなメイクからミイラまでオールドマン演じるドラキュラ伯爵は様々に姿を変える。『ビートル・ジュース』でおばけ人間の演じ方をマスターしたW.ライダーは流石。カメレオン役者オールドマンを向こうに張っての堂々たる演技。自らの妻を失い、彼女への過剰な想いゆえに神に背き、吸血鬼に身を転じたドラキュラ伯爵の見せる愛情は偏執的でもある。標的であったW.ライダーとのからみのシーンにおける彼の表情は危ないのなんの。この映画、ちょっと残念だったのが、せっかくのドラキュラ伯爵の心情描写も、少しオドロオドロさせすぎたことで切に感じることが出来なかった。 2000年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★★★★★ Director スティーブン・ソダーバーグ Cast マイケル・ダグラス ドン・チードル ベニシオ・デル・トロ ルイス・ガスマン デニス・クエイド キャサリン・ゼタ=ジョーンズ スティーブン・バウアー 短評 群像ドラマであるこの映画。メキシコとオハイオ、サンディエゴの3つのストーリーを上手く交錯させたこの脚本はホントに見事。数々の脚本賞を獲得したスティーブン・ギャガン。納得である。バラバラのようであるこれらストーリーも麻薬コカインで微妙に絡み合う。売る者、取り締まる者、買い使用する者、彼らがコカインを通して接点を持たないまま一つにつながる。いや、厳密にはそれぞれのステージには売る者と取り締まる者がいるため、ステージを越えての取引もある。それは、接見であったり、暗殺依頼であったりという具合だ。また、ハンディカメラの使い方も上手い。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも見られたハンディカメラの威力を確信してしまった。ソダーバーグはそれぞれのステージ映像に若干色を加えているが、舞台分けに留まらず、舞台における感情を実感させてくれる。ゼタ=ジョーンズはちょっといただけないが、ダグラスくんとはセットなんだからしょうがないわな。そして何と言ってもデル・トロじゃ。『スナッチ』では腕を切り落とされる運び屋さんを演じていたが、警察役を務めたこの映画では、ラストの野球シーンに見られるように絶品ともいえる演技であった。この演技を見終わって思い返してみると、『スナッチ』での演技も変わり種ではあるが、なかなかであったように思えてくる。ソダーバーグは『アウト・オブ・サイト』『エリン・ブロコビッチ』に続いての高得点。 2002年 日本 おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director 堤幸彦 Cast 仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 野際陽子 伊武雅刀 根岸季衣 芳本美代子 山下真司 大島蓉子 前原一輝 三宅弘城 相島一之 みのすけ 川崎麻世 竹中直人 ベンガル 石橋蓮司 短評 「中に入っている鬼を当てられなかったら苺を飲んでいただく」と間違う長曾我部(伊武雅刀)に「毒!」「毒!」と突っ込む村人。ヒョイ、ヒョイと崖を登り逃げる山田奈緒子(仲間由紀恵)。「どうですか、どうですか」とパンツを下げて見張りに近寄る上田次郎(阿部寛人)。謂れに翻弄される村人ながら災いを避けれない場合に備え、インターネットでお札を注文しておいたという。なめてるようなおふざけが続く蒔田光治の脚本は面白いが、軽い。訴えるものはない。奇術師奈緒子を村人が信じる神様004号として忍び込ませる設定は面白い。神と信じ込ませるために行われる手品合戦は宴会出し物の域をでないトランプ芸というスケールであったのが残念。超常現象や霊能力といったところが無かった(犯人の子供が時間を把握する能力があるとちらっと出たくらい)のも寂しい。奈津子と次郎の関係も気になるところだが、エンディング♪鬼束ちひろ「月光」♪をバックに交わされる二人の会話もいまいち欲求を満たすには至らなかった。 1989年 アメリカ おすすめ度(10点満点) ★★★★★ Director ロン・アンダーウッド Ron Underwood Cast ケヴィン・ベーコン フレッド・ウォード フィン・カーター マイケル・グロス レバ・マッケンタイア ボビー・ジャコビー ヴィクター・ウォン ビビ・ベッシュ 短評 『マイティ・ジョー』『愛が微笑む時』のR.アンダーウッド監督作。地中に住むUMAとの格闘。地中を移動する生物であるため、舞台は砂漠地である。舗装率の高いところは舞台となりえない。地面に直接触れるようなことがあれば、UMAが襲ってくる。屋根から岩、その高いところに避難しながら、地中生物に挑むんでいくな、まるで“高々オニゴッコ”のゲームのようだ。砂漠に点在する安全地帯をどのように活用するかを考えることがが面白い。 |