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あーとだいありー 2004年6月後半以降
6月30日(水) 札幌ではしばらくの間、最後の更新になります。 札幌での「締め」は、芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)の草間彌生展を見てきました。 いやー、たのしかったというか、フシギな空間でした。 道立近代美術館(中央区北1西17)の香月泰男展も必見ですが、こちらも見逃せませんね。 くわしくは後日書きますが、情報をひとつ。ミュージアムショップで、草間さんのインタビューが出ている雑誌「Luca」を買うと、道内限定の特製コースターがもらえます。お早めに。 おっと、有島武郎邸の艾沢詳子展に足を運ぶことを、お忘れなく。 西村一夫展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A) 昨年は、板による立体で個展を開くなどさまざまなこころみをおこなってきた西村さん(札幌)ですが、ことしの個展は、比較的オーソドックスな油彩の小品が主体です。 ほとんどが山の風景。「10億年」「眠る山」「滝」「雨上がり」など、計40点以上もあります。 「じっさいの山の風景というより、心中の風景なんです。こっち(北海道)にもどってきたころは、風景の中に人物が小さく描かれた絵をやっていたので、いまは人物がないだけで、あのころにもどったともいえると思います」 色彩の美しさは特筆すべきで、シルクスクリーンを思わせます。 わりあい大きな作品は「普通の人々」と題された、目の粗い布にアクリル絵の具で数人の男女の坐像を描いた作品のみ。坐像は、数年前までとりくんでいた、西村さん独特の、乳房の丸い、デフォルメされた人物像です。 ほかにも、その坐像の描かれた油彩や銅版画などが出品されていました。 道展会員、道版画協会会員。 ■北海道版画協会展(03年7月) ■板と絵画による個展(03年6月。画像あり) ■しかおいウインドウアート(02年) ■02年6月の個展 ■01年6月の個展 ■2001年さっぽろ美術展 深山秀子展=同 水彩16点。 矩形や丸など、小さなかたちを不規則に画面に散らばせて構成した作品が大半。 花びらや落ち葉を四角や三角に単純化して、四季を表現した−とみるほうが、自然なのかもしれません。 リズミカルな画面は、水彩画としてはめずらしいものだと思います。 道展会員。 いずれも7月3日まで。 藤女子大学新人展=札幌市資料館(中央区大通西13 地図C) モノクロの焼きのうまさには定評のある藤女子大写真部の展覧会。新人だけではなく、4−2年生も出品しており、全点がモノクロです。 もともと静謐な風景などをモティーフにすることが多かった藤ですが、今年はなぜか、公園の写真と、子どもの写真が目に付きます。 上級生ではさすが4年生のカンロクで、北側恵世さんが、暑苦しいまでの生気を発散しているサボテンなどをよくとらえています。 生田沙苗さん(3年)は、ほっとするような何気ないスナップが秀逸。とくに、窓辺に置いたビー玉の入った瓶は、美しいです。 伊藤恵さん(同)は女の子8人のスナップ。若々しいです。あまり藤っぽくないのがおもしろい。 新人では、岩本睦美さんが、都市の無機質な風景と、光あふれる緑地とを、対比的にとらえて展示していたのが、興味深かったです。 ■04年3月の藤女子大写真部展 ■大川紅世の心展 ■北側恵世写真展(03年12月) ■加藤・紅露写真展(03年10月) ■紅露亜希子写真展(03年9月) ■03年の藤女子大写真部展(画像あり) 水の会作品展=同 NHK文化センターの水彩画教室展。 講師の八木伸子さん(春陽会、全道展など会員)は「セーヌの橋」を賛助出品。さすが80歳になっても「ちょっとパリへ」と言って旅立っちゃう元気な人らしい、さりげない一品。 八木さんを助けて教えている林田理榮子さんは「にわか雨」。水墨画のように、ぼかし、にじみを全面にとりいれた作品。 同様に、にじみをつかった作品が、宮下美奈子さん「ぶどうつる」、仲嶋京子さん「リラ」など、目に付きました。 いずれも7月4日まで。 |
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6月28日(月) 真柄修一展=ギャラリーどらーる(中央区北4西17、HOTEL DORAL) 地図D 真柄さんは滝川在住の道展会員の画家。 札幌での個展は、たしか1996年以来のことになると記憶しています。 以前は、大きな山塊を、赤や黒で力強く描いた作品が多かったですが、今回は、湿原に太陽が沈むさまを、多彩な色をちりばめて描いています。黒が点在する湿原。ピンク色の空。黄色い丘…。筆のタッチは一定で、画面にリズム感を生んでいます。輝かしい、独特の色彩感覚です。 30日まで。 だてまこと展=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D) すいません、見てからだいぶたってしまいました。 だてさんは、建材などでつくった立体に、自動車などにつかう塗料で着彩する壁掛け型の作品を作り続けています。 ジェッソなどでつくった下地には、凹凸感というか、物質の抵抗感があります。 一昨年ぐらい前まではあったポップアート的なつるんとした感じは、影をひそめました。 また、ことしはかなりゆがんでいるとはいえ、十字型は、かならず登場するモティーフで、だてさんの作品を底から支えている精神性の発露のようなものだと思います。 しかし、ことしのいちばんの特徴は、作品の大きさだと思います。 「恩師だった木嶋(良治)さんの絵画展の搬入を手伝いに行って、大きいばかりがいいわけじゃないとはいえ、大きさもひとつの意味だなあと思いまして」 140センチくらいあると、さすがに迫力があります。 ■03年の個展(画像あり) ■02年の個展 ■01年の個展 7月4日まで。 愚徹の書家 井上有一展「愛」=GALLERY門馬(中央区旭ヶ丘2の3の38 地図E) 1957年にサンパウロビエンナーレに招待出品するなど、戦後の書壇から離れたところで現代書、前衛書にとりくみ、1985年の歿後も評価の高まっている書家の、道内ではおそらくはじめての個展。 現代美術家でギャラリーのオーナー門馬よ宇子さんの企画による展覧会で、ことしの企画展はこのひとつだけだということです。 この書展を実現させるまで門馬さんは、井上の最大の理解者であったウナック・トーキョーの海上雅臣さんの講座に月2回通いつめたそうです。東京では知られていないギャラリーに貴重な作品を持ち出してくるための熱意の表れとはいえ、いやはや、とてもことし85歳になる人の行動とは思えません。頭が下がります。 展示されているのは、「愛」という一字書ばかり(「恋」も1点だけあります)。 この作家のすごいところは、ある程度のところでまとめようなどという小さな考えのまったくないところで、紙から文字がはみ出てしまった作品もいくつかあります。 今回は、イタリアの佐野さんという方が展示を担当しており、インスタレーションふうに紙を空中につるすなど、一般の書展とはややことなったおもむきがあります。 もっとも、弟子をとることをやめて学校の先生として暮らし、公募展もやめて書壇に背を向けた井上の生き方がすごいことは理解できるのですが、個人的には、今回の書だけからはそこまでのすごさはわからなかったというのが正直なところです。昨年、滝川の美術自然史館で見た上田桑鳩のほうがガツンときました。まあ、展覧会の規模などはぜんぜんちがうのですが。 ちなみに桑鳩は井上の最初の師匠。また、後ろを向いた肖像写真がギャラリーの入口に掲げられていましたが、これを撮った繰上和美さんは北海道の出身です。 7月4日まで。 |
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6月25日(金) 時間がないので、26日ないし27日に終わるものから、ごく簡潔に。 全道展=札幌市民ギャラリー(中央区南2東6) そのうち詳細に書きます。 ただ、なんのかんの言っても、高い水準の作品があつまっていて、見ごたえがあります。 ベテラン会員から新鋭まで、バランスもとれています。 これだけの作品をいっぺんに見られる機会は、やはりそうそうないでしょう。 もっとも、カルチャーセンター系の作家の作品の中には、先生がだれだか、すぐにわかってしまうものがありました。 そんなのが入選してしまうのは、まあしかたないとはいえ、賞にまで入っているのを見ると、なさけなくなります。 会員の先生たちは、生活がかかっていて、お弟子さんを持ち上げたいのかもしれませんが、そういう事態がつづけば、全道展は、芸術の切磋琢磨の場から、お稽古事発表会になってしまうでしょう。 関係者の猛省を促したいところです。 27日まで。 下沢トシヤ 陶展=器のギャラリー中森(中央区北4西27 地図D) 札幌の陶芸家。昨年までの「下澤敏也」表記を変えました。 また、会場の一隅に、「北海荒磯(ありそ)焼」を創始した父親の下沢土泡(どほう)さんの遺作が展示されています。 あれ、お父さんのことを引き合いにだされるのはいやだったような感じがしてましたが…。 「ちょうど3周忌なんですよ。生前ほとんど陶芸の話とかしなかった親子だったけど、死ぬ直前に、親子展でもやろうかって言われてて…。気持ちに一区切りついたような気がします」 作品はすべてうつわ。写真の「律」など、黒っぽいものがめだちます。 酸素をできるかぎり抑えて冷却還元し、このような色をひきだしたとのこと。炭化に似た作用ですが、もちろん脆くはありません。 花器のほか、たのしいかたちのボウル、鼎(かなえ)、酒を注ぐ土瓶のようなものもあります。また、食卓ではえそうな銀彩のうつわなども。 ■北海道立体表現展(画像あり) ■下澤敏也・多田昌代二人展 (03年4月) ■下澤敏也・多田昌代二人展(02年5月) ■下澤敏也・多田昌代二人展(01年5月) 27日まで。 WATANABE HIROKO EXHIBITION 2004 LACQUER PAITING=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B) 渡邊ひろ子さんによる、漆やカシュー塗料を使った平面作品中心の展示です。 漆というと、彫刻のほかは、茶碗などの伝統工芸ばかりで、こういうタイプの抽象作品ははじめて見ました。 さまざまな顔料をまぜて、色の表現も多彩です。独特の深みのある世界を展開しています。 左は「ATONIE」。ドイツ語で、「弛緩」の意味だそうです。 このほか「夏至」「無声映画」など、イメージのひろがりのあるタイトルにも感心しました。 30点あまり。 勝野好則 吹き硝子札幌展=同 1964年生まれで、故郷の十勝管内音更町に「ガラス工房hum-pe」をひらいています。 筆者は、98年ぐらいに帯広の六花亭ギャラリーでひらかれた個展で見た、大きなインスタレーションが印象にのこっているのですが、今回はすべてうつわです。 涼しそうな透明なコップなどのほか、乳白色の表面がうつくしい大皿は、つややかな気品を感じさせます。 いずれも27日まで。 鈴木康生・小河原康男版画展=エルエテギャラリースペース(中央区南1西24、リードビル2階 地図D) 本州のふたりの版画家を紹介しています。 鈴木さんは木口木版。エルエテではおなじみかも。木口木版ならではの繊細な作風ですが、木目をいかしたユニークな作品もあります。 小河原さんは、道内では初の展示だと思います。花や、夜空の景色など、どこかロマンティックさをただよわせた銅版画がならんでいます。 27日まで。 最終日は鈴木さんが在廊。 吉田茂個展 Synchronicity Series〔表裏の邂逅〕=CAI(中央区北1西28 地図D) 本職はデザイナーで、現代美術でも活躍する札幌の作家。 近年とりくんでいる、表面をひび割れさせた平面作品が、ついに壁から自立し、巨大な渦巻きとなって会場の中央を占めています。 表面は白ですが、日がたつにつれ増えていく亀裂からのぞく下地は鮮烈な赤。時間とともに変化していくというのがミソです。 27日まで。 嶋田観個展=ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館 地図A) 小樽の版画家。 さまざまな化学反応を駆使して、無機質で抽象的なモノクロームの画面をつくりだします。 荒涼とした作品世界には、独特の質感があります。 今回は、静岡県掛川市の陶芸家、竹廣泰介さんの小品も同時に展示しています。 小品ばかりで、粉引の白いうつわや、信楽の黒っぽい花器などがならんでいますが、こちらも深みのある景色をもっています。 26日まで。 ■02年 ■01年(画像あり) 猪風来の縄文スパイラルアート スペインの旅路=コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階 地図C) 石狩管内浜益村で、縄文の再興をねがって独自のアートを展開している猪風来(い・ふうらい)さんの、4年ぶりとなる個展。 猪風来さんといえば、沖縄文化と縄文というイメージがありましたが、どうしてスペイン? 「ワシも56になって、これからのことを考えたとき、縄文の作品はもう20トンつくって、ある程度できたかな、と。これからは、未来へ、縄文の精神を生かしていかなくてはならない。いわば『未来縄文』ですよ。そしたら、以前から好きだったガウディのことが頭に浮かんできたのです。生活の場すべてに芸術を生かす『総合芸術』といえばガウディですから」 上の写真は 「これをつくって、ガウディに出合ってもつぶされない自信はついた」 という、「ウフィ カムィ」。野焼きでこしらえた、渦がおどる巨大なインスタレーションです。異様な迫力です。 そこで、2002年、スペインに行き、ラスター陶芸を習い、作品を制作するとともに、釉薬を持ち帰って、また、それをつかって「赤いヴィーナス」などを焼き上げました。さらに、 「文様だけで絵を描くとどうなるかやってみた」 という、色鉛筆による絵もあります。 右の写真は、スペインで焼いたという「ガウディの夢 サグラダ・ファミリア」という大作。 炎がむんむんと燃えさかるようなかたちを見ていると、たしかに、猪風来さんの世界とガウディが出合った−という感じがします。 それにしても、こんなに巨大な作品、窯に入らなかったのではないか−と思ったら、やっぱり、塔の部分は、いったん切って、つなげてありました。 「作品のパーツを巨大化して、それをコンピュータに入れたら、店の壁にデザインなどにも応用できるし、あらゆる素材、あらゆる製法に、縄文を展開できる。そうやって21世紀の縄文をつくりだしていきたいのです」 エネルギッシュな人です。 27日まで。 以下は、もう終わってしまったので、後日。 GODA NAOMI展 #02=GALLERY門馬ANNEX(中央区旭ヶ丘2の3の38 地図E) ■新道展受賞作家展(03年12月) ■03年9月の個展 Chaos 鈴木悠高=大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階) Metamoric Animal wood carving&photo=美しが丘アートギャラリー(清田区美しが丘2の1) 北広島の山本祐歳さんの個展は、時間がなくて行けませんでした。すいません。 □山本さんのサイト |
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6月18日(金) とりあえず、20日でおわる展覧会について。 吉川満グラス・トリップ=工芸ギャラリー愛海詩(えみし=中央区北1西28 地図D) 岩見沢市幌向(ほろむい)に工房を構える1958年生まれのガラス作家。98年には「使ってみたい北の菓子器展」で奨励賞を受けるなど、活躍しています。 このギャラリーでは5回目の個展となります。 なんといっても目を引くのは「ニングルベース」と題された花瓶。 高さ25センチほどの、雨のしずくのようなかたちをしています。ニングルとは「森の妖精」の意味です。 腹よりやや上の部分に穴があいていますが、これが思いのほか難儀で、タイミングを間違えると全体がつぶれます。まず道具の自作から始め、2年間にわたる試行錯誤の末にようやくイメージどおりの、ちょうどよい大きさの穴ができたということでした。 ほかに、深い緑が特徴の「フォレストプレート」と明るい緑をした「レイクプレート」は、これからの季節にふさわしい、食卓にさわやかさを呼びそうな皿。 ねじれるような曲線がうつくしい花瓶や、安いものでは735円の箸置きなどもあって、バラエティーに富んだ個展になっています。 ■02年5月の個展 渡部陽子個展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B) この春道教大を卒業したばかりの若手。 8点のうち、油彩とシルクスクリーンが半分ずつです。 油彩は、インドの夜の街角を描いた「路地裏」「夜のバザール」などが目を引きます。 活気と喧騒、猥雑さとにぎやかさが、つたわってきます。 おもしろいのは、何語かわからない横断幕がいくつも張りわたされていること。これが、日本語やアルファベットならうるさくなるところですが、ぜんぜん読めないので、純粋な造形要素として見ることができます。 また、透視図法を生かして、手前から奥へとふかく視線をみちびく構図になっているのも特徴だと思います。 というのは、シルクスクリーンの「Life」などは、群集のシルエットを斜め上からとらえて平面的な処理をほどこしており、奥行きに満ちた油彩の空間とは反対の画面構成になっているのが、ユニークだと思ったのでした。 ほかに「7up」と題したシルクスクリーンがあったけど、この人、古い清涼飲料水が好きなのかな。このノリで、「プラッシー」とか「ロイヤルクラウンコーラ」などという作品もあったらおもしろかったりして。 木村初江陶展 パールホワイトな器たち=同 精力的に個展をひらいている札幌の木村さんです。 今回、個展の副題になっている「パールホワイトな器たち」は、やさしい白が印象的な磁器の食器です。 ボウルなどは「泥象(でいしょう)鋳込み」といって、型に土をながしこんで焼きます。 あまり時間をかけずにさっと薄くつくるのがコツだそうです。 木村さんの特徴である、ライトでおしゃれな感覚がよく出ている、新シリーズだと思いました。 これまでの灰色を基調としたうつわなども、もちろんならんでいます。 木村さんは全道展会友。 □木村さんのサイト・アトリエHK ■03年12月の個展 ■03年3月の造形個展(画像あり) ■02年9月のNAC展 ■02年6月の陶板画・うつわ展(画像あり) ■02年4月のうつわ展 ■02年3月の個展(画像あり) ■01年12月の個展(画像あり) ■01年3月の個展(画像あり) ■2000年12月の個展(画像あり) 韓国から女体の美し展=札幌市資料館(中央区大通西13 地図C) なんて読むんだ、このタイトル…。 韓国・ソウルの黄宇哲(Hwang Ou Chul)さんが指導する女性画家12人による裸婦の絵画展。ざっと100点以上あります。 黄さんは、2002年に韓国と道内の現代美術作家らがあつまってひらかれた「水脈の肖像」展にも出品していた若手の画家で、ニューエキスプレッショニズムふうの豪快な抽象画を描きます。 そんな人が、なんでいまさら裸婦? それも女性に描かせるわけ? と思わないでもないでしたが、メーンの絵はわりあい写実的な作品が多かった半面、小品では、韓国の守り神を描いたというデュビュッフェふうのものがあったり、いろいろな試みがありました。 会場には、なぜか彫刻家の加藤宏子さんがいましたが、彼女によると、出品者はだいたい札幌に来ていて、たまたま筆者が行ったときには観光かなにかで出払っているとのことでした。 ■水脈の肖像 ■02年11月の個展 おなじ会場では、第22回ふじ美術会展も開催中。 風景画のベテラン越澤満さん(札幌。道展会員)の指導する、油彩・水彩のサークルで、越澤さんは「八剣山」「六月の大雪」「朝焼けの湖畔」「十五島公園秋景」の4点を賛助出品しています。 |
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6月16日(水)・17日(木) このページが、しばらくの間、最後の「あーとだいありー」になりそうです。 筆者としては、道内各地のいろんな人からの情報によって、この欄がいつまでもつづいていくことをねがっています。 さて。 第34回グルッペ・ゼーエン展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A) 道学芸大(現道教育大)を同じ年に卒業した井上象元さん(岐阜県美濃市)、多田紘一さん、西本久子さん、丸藤信也さん(以上札幌)、玉木憲治さん、野崎嘉男さん(以上岩見沢)によるグループ展。 毎年おなじメンバーで30年以上も毎年グループ展をひらいてきたのは、驚異的ですが、ことしは画家の照井栄一さん(道展会員)が健康上の理由で出品しておらず、7人から6人に減っての展覧となりました。 照井さんにはわるいのですが、照井さんが唯一具象だったこともあり、むしろ会場の統一感は高くなったような気がします。 |
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順不同で紹介していきます。 丸藤さんの「かさねの色目」シリーズ。 写真では、どうもカラー製版が失敗したみたいにしか見えずもうしわけありません。じっさいは、こまかい線の規則的な集積によって、さまざまな色が表現されています。染色関係の人が持っている、色の見本帳のようでもあります。 写真は「かさねの色目」の「秋」。春、夏、秋、冬のうち、なぜか「秋」だけ2点あります。 紅葉を連想させる「秋」ははなやかですが、「冬」は、色面の上に白い線がかさなり、色が薄まって見えます。 すごい根気ですねえ。 「いやあ、ヒマだから」 と丸藤さんはわらいます。 |
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井上さんは「風シリーズ」4点。 さまざまな素材や色を使って、奥行きのイリュージョンが感じられる昨年までの作風から一変、ひじょうにシンプルな作品になりました。 あざやかな緑や青の地に、ひっかき傷のような水色の線が走っているだけなのですが、なぜか見ていて飽きません。 写真の右側は、多田さんの木彫「風の棲」シリーズ5点。 木のかたちを生かした素朴な味わいです。木のほらのような空隙に、丸い球がすえつけられているものもあり、軽みとユーモアを感じました。 |
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西村さんは例年「ふぁー」という染色作品を出品しています。 非常に薄い生地に、渦巻きのようなパタンがくりかえされています。 今回は、風がもうひとつの主役といえそう。空調の風で作品がふわふわと揺れるのが美しいです。 |
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玉木さんは木版画「徊シリーズ」。 まるいかたちの反復がうむ心地よいリズム。 そのかたちは、以前よりもシンプルになってきたような印象があります。といって、コンピュータグラフィクスみたいな規則正しい丸でないのが、温かみを感じさせます。 |
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野崎さんは、ここ10年ほど取り組んでいる「記シリーズ」。 ただし、今回は(北方)という副題がついています。 昨年、北海道浅井学園大学北方圏学術情報センター ポルトギャラリーでひらかれたグループ展で、奥岡茂雄さん(現芸術の森美術館館長)から、野崎さんの絵には北方ロマンがあるという意味の評がなされたためでしょうか。 筆者は、奥岡さんの文章はしみじみして好きなのですが、あれを読んだときは「そうかあ?」と思ったのですが。 むしろ野崎さんの試みは、正方形の反復という規則性と、それぞれの正方形のなかにひっかいて単純な模様を書く即興性とのくみあわせに、ツボがあるように思います。 もっとも、これまではフラットに塗られることの多かった地が、グラデーションになって、やや叙情性を漂わせており、このあたりが「北方」なのかもしれません。 多田さん、西村さん、玉木さん、野崎さんはいずれも道展会員。 ■03年 ■02年のもよう(画像あり) ■2001年のもよう ■03年6月の丸藤信也個展(画像あり) |
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河瀬陽子油絵展=同 河瀬さんは芦別在住の道展会員。中央の公募展では、一線展に出品しています。 今回は、1990年の道展初入選作から近作までの大作を中心に展示しています。 バイオリンなどをひくふたり初入選作「弾く」を例外として、あとは、青系を主体にしています。2000年前後に、ピエロのモデルの故・清水一郎さんを描いた絵が2点ほどありますが、それ以外はマリオネットと人物をくみあわせた絵が多いです。 90年代には少女がマリオネットであそんでいる絵。近作は、少女が女性になり、逆光を生かしたダイナミックな構図になっています。 どの絵のマリオネットも、色が塗られたものから、輪郭線だけで描かれて周囲の空間に消え入ってしまいそうなものまでが3つほど描かれています。 線に勢いがあり、構図も危なげないので、人物も人形も存在感がつたわってきます。 ■一線美術会道支部展(04年5月) ■一線美術会展(02年4月) ■日陽展(02年4月) 同ギャラリーの3階では、第19回ハマナス会展がひらかれています。 札幌の道展会員豊田満さんの油彩教室の作品展で、豊田さん自身は「五月の窓辺」を出品しています。 以上、19日まで。 今週のスカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)は、全室が日本画です。 第20回 遊佐春哉 古希記念日本画展 新興美術院会員で札幌在住の遊佐さんの個展。 額装や屏風など26点と、お弟子さんの2点が出品されています。 画風は、非常に写実的で、北国の自然をじっと見つめてたんねんに描写したものが、とくに目を引きました。 フランスの美術賞でグランプリを受賞したという「白き神神」や、100号の「大雪山」など、すっきりした構図と、木の枝を描く際の筆致の細かさとの対比が興味ぶかいです。 ほかに、「2000年札幌」は、ホワイトイルミネーションがかがやく大通公園や、北大第二農場とポプラ並木、札幌の鳥カッコウ、札幌の花スズラン、札幌の木ライラックをあしらった、いかにも札幌の市長室あたりにあったら似合いそうな1枚。 透明な衣をまとった裸婦を描いた絵もありましたが、顔がなんとなく吉永小百合似でした。 第11回木芽会(NHK文化センター日本画教室展) 日本画の伴百合野さん(札幌)の教室展。 伴さんは「伝言」を出品。かぶとなどが題材です。赤い直線は糸を画面に貼って表現しています。 佐藤幸子さんは以前、本間莞彩さんに絵を習っていたというベテランで、「夏の花」など、おちついた筆致です。 いずれも20日まで。 |
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