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あーとだいありー2003年6月前半
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6月15日(日) 現代の友禅二人展=ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル) 東京の塩澤照彦さんと札幌の啓成さん兄弟による二人展で今回が3回目。 まさに「現代の」というまくらことばにふさわしく、シャープな幾何学的模様など、斬新な意匠が注目されます。 和服地だけでなく、小物、額絵などもありました。 今回は展示されていなかったようですが、ことしの日本伝統工芸展では、啓成さんが、北海道らしい木をあしらった文様の訪問着を発表していて、北方性と伝統の融和に筆者はいたく感心したものでした。 15日で終了。 「知床−永遠の鼓動」 佐藤孝人写真展=富士フォトサロン札幌(中央区北2西4、札幌三井ビル別館) 砂川から知床に通いつめて撮った自然現象、動物、植物の数々。 語らうように見えるカモメとアザラシ、糞をひる鳥、鱒をつかまえるヒグマ、巣を作るのにエゾシカにとまって毛を拝借するからすなど、ユーモラスな生態の動物たちに、おもわずほほがゆるんでしまいました。 また、自然現象をとらえた写真はすごいです。「遥か昇陽の知床連山」は、エメラルドグリーンからサファイアブルーにうつりかわる空が、この世のものとはおもえぬほど。「閃光稲妻」は、おびただしい稲妻の枝が夜空に走り、全体にすみれ色を帯びています。 知床といえど全体が大自然のままのこされているわけではないことはいうまでもありませんが、ともあれこのような半島が北海道にあることは、すばらしいとおもいます。 18日まで。 No Rule vol.3=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル) 異業種クリエイタ-たちの展示即売会。ジュエリー、衣服、ポストカードなど多彩です。 出展ブランドは、GIGGLE、STUDIO FORTUNE、pirka、kinoko、ITSUKO、MAGLIERIA.HERO、RADICAL BREED'Z heart wear、アトリエZoo Bee、Chika.、K.NAGAYOSHI、KOG、手作り雑貨OVEN、mermaid、りゃんりゃん堂、Magic mumu、アクセサリー砕花、Fumi Factory、Happy Birthday このうち愉快だったのが、RADICAL BREED'Zの、漢字を彫った銀のリングでしょう。でも、こんなのだれがするのかな? 「酒豪」と彫られたりして。シャレですね。 17日まで。 でんそん展=大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階) 岩見沢の画家・彫刻家田村宏さん(道展会員)の教室展。昨年までは、札幌時計台ギャラリーでおこなわれていました。 唯一の立体、松井茂樹さん「ホモ・ファーブル」は、金属の質感とロボットのようなフォルムが目を引きます。 石川清士さん「墟1」「墟2」は、崩壊した都市に裸婦がひとり−というふしぎな光景を、モノクロームで描きます。 鍵谷康子さん「揚奏曲」は、ざくろと小鳥をモティーフにした、文人画的な墨彩画。 森谷洋子さん「残雪の真駒内公園からの展望」は、茶、黒、黄色を主に、風景を直線的に再構成したもの。ロシア構成派を思わせるシャープな絵です。 田村さんは、昨年の道展に出した「挑発」と、「星落ちた日 2001.9.27」を出しています。ホワイトをまぜた色の組み合わせによる、たのしい感じの作品です。 17日まで。 |
6月13日(金) 井上明男銅版画展=ギャラリー喫茶仔馬(白石区本郷通8南) 小品が十数点。 「memory」「ささやき」などは、天使がモティーフ。シンプルな、線を中心とした描画ですが、アクアチントやソフトグランドなど多才な技法を駆使した線はあたたかい味わいがあり、見ていてなごみます。「頬杖」「僕はここにいます」など、いずれもデフォルメされた天使や人間は目をつぶっています。どこにもそうとはかいていないけど、「癒やし系」といえそう。 14日まで。 第5回 主体美術北海道グループ展 ほんとはもう1回見てから書こうとおもってたけど、その時間がなさそうなので、いま書きます。 主体美術は、1964年に自由美術家協会(現・自由美術協会)に所属する画家たちが旗揚げした公募展で、東京都美術館では毎年9月に展覧会をひらいています。 創立会員に、北海道画壇の重鎮であった小谷博貞さん(昨年歿)がくわわっていたこともあって、わりあい道内関係者の多い公募展です。 今回は、その小谷さんの遺作「鏡のコンポジション」のほか、道内在住と出身者あわせて18人が1−3点ずつ絵画を出品しています。道外勢も大作を送ってきているので、充実した展覧会になりました。 牛と人々の群像を、どちらかというと無骨、素朴な筆致で描いてきた塚原貴之さん(埼玉県。全道展会友)の画風が、近年変化しています。「過ぎてゆく時の中で」は、昨年の全道展出品作「過ぎゆく時の中で」と同一の作品と思われますが、モノクロで緻密に描いた大都市の街角の風景をバックに、仰向けに寝たり、胸に手を当てたりしている複数の人物を手前に配したもの。人物もほとんどグリザイユで描かれており、ドラマティックな感じがします。 十河幸喜さん「「罪」〜果てるまでもなく」は、三連画のような構成の大作。中央に大きな黒い塊が置かれ、造船所のようなところが描かれていますが、ほんとうはどこなんだかわかりません。筆者は横山操の「溶鉱炉」を連想してしまいましたが、あちらは高度成長を迎える時代の活気、十河さんは廃墟のようで、なんだか時代を反映しているような気がしないでもありません。 渡辺良一さん(網走管内美幌町)「時の形」も三つのキャンバスからなる作品。題のとおり、時間を凝結させたような深みを感じさせる抽象画です。 斉藤望さんの「蒸気発生装置」「無重力装置」は、あいかわらずサングラスの男を中心にさまざまなモティーフが躍るさまを俯瞰気味に描いたにぎやかな作品です。冗漫な画面におちいらないのは、テンペラ混合技法をもちいてしっかりと描写しているからでしょう。 ほかの出品作は次のとおり。 浅野修「□」「○」「〓」(〓は横長の長方形) 池田正子「Aqua」「暦」 石崎哲男「えらばれしたちもの(奇跡をみる)」「ミラクル」 工藤悦子「燦…妖生」(同題2点) 黒木孝子「連なる」(同題2点) 香西富士夫「貌=こわごわ」「貌=こもごも」 近藤健一「変転する形態」 斉藤典久「TOIB」 続橋守「残影」「残された刻」 野本醇「休息の記憶」「休息の森」「天北の光景」 橋本礼奈「南国の朝ごはん」「園」 船川照枝「顔(T)」「顔(U)」 前川アキ「Cherish.」「Shape of waters.」「Snowfall」 水戸部千鶴「証」 渡辺良一「洋なし」 関連ファイル、リンク ■2001年春の主体美術北海道展のもよう ■主体美術協会のウェブサイト ■斉藤望さんのウェブサイト ■渡辺良一さんのウェブサイト ■橋本礼奈さんのウェブサイト 14日まで。 なお、同ギャラリーで、来週の16−21日、浅野修展、塚原貴之個展、石崎哲男個展が、30日−7月5日に香西富士夫個展と橋本礼奈展がひらかれます。 「アートな本棚」を模様替えして、「アート本情報」のページを新設しました。 もともと「アートな本棚」をはじめたときは、美術関連の新刊書をすべて読んで紹介するというのが目標(ただし、読むのは筆者でなくてもいい)でしたが、投稿は1件もないし、すべてひとりで読むのは時間的にも能力的にもまったく不可能であることがわかり、かんたんな紹介をメインにすることにしました。 手始めに、ことし出た美術関連書を何冊か、画像つきで紹介しています。どうぞ、ごらんください。 |
6月12日(木) たかみきお「ファック・ファック・ユー」=CAI(中央区北1西28) 1978年生まれ、若手画家として活溌な発表活動を続ける高さんの個展。3月に「札幌の美術」の出品作家に選ばれ、会場で制作したばかりです。 CAI(現代芸術研究所)の鈴木さんによると、高くんは「札幌の美術」の作品に不満だったそうで、わずか3カ月後の個展となりました。計30点を出品。 うわさには聞いていたのですが、あらためて会場に入ってビックリ。主展示室の壁が真っ赤に塗られているのです。 すごいな。終わったらまた白く塗りなおすんだろうけど。 ここに展示されているのは4点。いちばん大きいのは「かくありき」と「アーメン」と題された作品。 「アーメン」は、塔屋を頭上に乗せた女性のモノクロ写真をインクジェットで転写した上に、絵の具とニスをまぜたものを流した作品。どうやらニスを大量につかったらしく、物質感が強調されています。 「かくありき」は、案内状の自画像をインクジェットで転写し、その上にこれまた大量の砂糖を溶かして流し込んだもの。重たそうです。 うまく言えないのですが、既成の画像を大きくコラージュしていること、一般的な顔料ではないものを使っていることが、今回の個展の特徴といえそうです。 ほかに、やはり砂糖をつかった「遠くへ行きたい」、ドローイング「聖なる「ごめんなさい」への入口」の2点。 となりの部屋にある「夜の亡霊」連作7点は、旧作の花の絵(たぶんカフェ&ギャラリーmarbleでの個展)を改題したもの。 その他のおもな出品作は次のとおり。 「晴れた日に永遠が見える」「きのこ雲」(青いペンでびっしりドローイングした2000年の作)、「アマリリスは静かに」「どうぞ02」「風景」「ハレルヤ」「世界は美しい」(札幌のロックバンド、バズラのCDジャケットにつかわれた絵)、「怒りの日」「スポーツと少女」「夢ではないのか」「くらげとしゃくやく」「自画像」(♯1〜5)「あきちゃん」など。 また、これまで描きためたドローイングのファイルが大量にあり、これがおもしろいです。とにかく手を動かさずにはおれない画家の魂が感じられます。笑える絵も多いけど。 22日まで。14日休み。 小川東洲展=ギャラリー門馬(中央区旭ヶ丘2) 道内を代表する書家のひとり、小川さんの書展。国内の個展としては14年ぶりとなるそうです。 今回の出品作の大半は、「炎」と題された、黒い支持体に、赤で炎のさまを描いたもの。「炎」という文字を大胆にくずしたものにも、炎そのものを描いたようにも見えます。もともと「炎」が象形文字ですから、これが書であるか、絵であるかは、つまるところどちらでもかまわないということなのでしょう。 一般の書法とことなるのは、漢字やかなが上から下へという筆遣いをしているのに対し、「炎」は下から上へ筆が走っていることです。炎というものに即してかけば当然のことなのですが。 勢いよく黒い画面をはしる赤(すくなくとも朱の墨汁などではないようです)は、生命の根源とか、ほとばしる生気といったものをみなぎらせています。 ただし、炎そのものをモティーフとした絵は、洋画にも日本画にもあります(有名なところでは速水御舟「炎舞」)。書を文字から解放することは、作品を「書」のカテゴリーからひろく「視覚芸術」の領野へとときはなつことです。つまり、作品は、絵画などと同じフィールドで勝負することになります。書には「一発芸」的なところがあります(もちろん、1枚の作品にいたるまでに大量の反故が出るわけですが)が、そこが、すぐれた点にも弱点にもなりうるのではないでしょうか。 29日まで。 |
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6月11日(水) 今週なにかひとつ−ということであれば、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)の第5回 主体美術北海道グループ展でしょう。 絵のお好きな方は土曜までですのでぜひどうぞ。 詳細はあす以降アップします。▲ 北海道新聞によると、ことしの全道展の協会賞に、札幌出身の會田千夏さんの絵画「雨の日の自画像」が選ばれたそうです。會田さんは昨年も奨励賞を受けている、23歳の若手で、いまは多摩美大大学院に通っています。 このほか新会員に、米澤邦子、杉吉篤、紺野修司、矢下瑛子、山内敦子、阿部俊夫の6氏が推挙、会友には、松木真智子、船川照枝、やまだ乃理子、伊勢陽子、友野直実、内藤満美、川上加奈の7氏が推挙されました。 でも、紺野さんってもともと道展の会友で、1959年に退会して、その後99年に道展会友に復帰した人でしょ? 主体美術では創立直後の64年から会員を務めている大ベテランですよね。こういう「人事」ってありなんですねえ。 三明伸 水彩画展=パークギャラリー(中央区南10西3、パークホテル) 近年、精力的に個展をひらいている札幌の三明さん。 今回も、おもに札幌を中心とした道内の風景を丁寧なタッチで描いた50点余りがならびます。 早春の美々川を描いた作品に始まり、だいたい、春夏秋冬のうつろいに沿った構成になっています。 「変わり映えしませんが。今回は花を入れた絵も描いてみました」 とご本人は謙遜しますが、めずらしいモティーフでは、苫小牧市の図書館などがありました。 山本貞さん(二紀会の有力画家)ではないですが、地面に落ちる木などの影がはっきりしているのが、画面にメリハリを与えているように思えます。かといって、色調は穏やかで、明暗がどぎついわけではない。 小品では一部例外もありますが、一定以上の大きさの絵は、ペンなどであたりをつけず、水彩だけで描いています。そのことで画面がやわらかくなっているようです。 16日まで。 札輝展’03=札幌市民会館(中央区北1西1) 全国的な公募展「日輝会」の札幌支部展。 札幌のほか、江別、日高管内静内町、空知管内栗沢町など道央各地から24人が出品しています。 油彩、水墨、水彩、切り絵、書、陶芸、写真、そして支部長・早川季良さん(空知管内上砂川町)の「石炭画」と、ずいぶんバラエティーに富んでいます。 「北の群展」のメンバーでもある斎藤勝行さん(同長沼町)が、抽象画「コラニア・グエル」2点を出しています。題の意味はよくわかりません。 油彩はほかに、横堀栄彩さん、桑村紀伊さんら、いずれも手馴れたところを見せています。 日輝会理事である今村拓泉さん(以上札幌)が水墨画を7点も出しています。「雨の湖畔」は水墨の特長であるにじみ、ぼかしを最大限に生かした佳作。「静かな飛翔」はシマフクロウが悠々と空に舞う姿を描いています。 13日まで。 小平るり子個展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階) 小樽生まれ、千葉県習志野市在住の画家、初の道内での個展。 油彩、水彩デッサンあわせて60点ほどからなる大規模なものです。小樽運河とおぼしき町並みを前に二人の女性が立つ「小樽讃歌」など、故郷に寄せる作者の思いが感じられます。 ただし、丁寧なタッチで描かれた、鉄道のある風景を前に、紡錘型の大きな目をした女性が立つ−という絵のつくりが、どうしてもデルヴォ−を想起させてしまいます。あちらが裸婦で、夜、たくさんの女性、小平さんがひとりかふたりでたいてい着衣、しかも昼−という大きなちがいはあるのですが。 新協美術会委員、千葉県美術会理事。 谷内丞の手仕事展 藻岩窯=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階) ぶどう文三彩の皿や壺は、ほのかな色合いがうつくしく、古代ギリシャからペルシャあたりで出土した陶器のような、はるかな趣があります。ほかに、三島のうつわなどもありました。 さらに、川魚をモティーフにした水彩画、窯のある南区北の沢で手に入る木でこしらえたウィンザーチェアなど、多才なところを見せています。 日本画塾 雅遊会作品展=同 石狩の日本画家、橋本篁丘さんの教室展。女性ばかり10人がおもに風景画を出品しています。 札幌市資料館(中央区大通西13)は、大半の部屋が、油彩のグループ展で埋まっています。 しかも、筆者が行ったときには、どの部屋にもだれもいませんでした。 第15回グループ正展 木原文代さんの「女」「花」は、中間色の配置の仕方がおもしろい。 森本裕美子さん「夏の公園」は、風景を大まかにとらえています。「少女」は初期カンディンスキーを思わせる、陰翳のない大胆な色の配置です。 小竹由紀子さん「秋」も、背景の草といい、手前の女性といい、かなりおおざっぱにデフォルメしています。 Groupぱれっと展 石田眞樹子、内田進二、尾崎啓子、児玉美晴、菅原健、成瀬桂子の6氏による油彩、日本画グループ展。 菅原さんの、なにもない丘陵などを描いた風景画が心に残りました。 第5回土の会油絵展と第3回朱の会展はいずれも、土屋千鶴子さん(全道展会員、夕張在住)の道新文化センター教室受講生のグループ展です。 いずれも15日まで。 |
6月10日(火) 丸藤信也個展=ギャラリー山の手(西区山の手7の6) 道学芸大(現札教大)の同窓生7人が毎年ひらいている「グルッペ・ゼーエン」展では毎年大作を中心に発表していますが、個展は久しぶり。 今回は10号前後の小品40点あまりを展示しています。 すべてリキテックスによる抽象画。 右の画像ではよく分からないと思いますが、円筒形のかたちの上を、細い白の線がびっしり、ツイード織のように覆っているのです。色と色のかさなり具合によってどんな色面が生まれるか−。そんな実験のようでもあります。「色の帯」という題のほか、「「もみじ」のかさね」「「雪と氷」のかさね」「「夏」のかさね」といった題名からは、色と色の重なり、線の集積から生まれる微妙な色が、織物のように季節感を表していることが感じ取れます。 28日まで。日曜休み。 ギャラリー山の手には、地下鉄東西線西28丁目で下り、そこのターミナルからバス(どの路線でも可)に乗って「ふもと橋」下車。筆者は、交通費節約のため、北1西4のバス停から中央バスかJRバス(どの路線でも可)に乗って「西区役所前」か「発寒橋」(JRバスの快速と中央バス全便は通過)で下車、あるきます。西区役所前からだと15分くらいです。 |
6月9日(月) 境理絵・漁美由紀 二人展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル) 5、6階の、ふたつの部屋で開催中。 境さんはこの春、札教大を卒業、漁(すなどり)さんは秋に卒業予定。 ふたりとも若手らしく、「平面とはなにか」「絵画とはなにか」という真摯な自問がこめられた作品になっています。 左は境さんの「selfportrait of inside」。 バーナーで板の表面を焦がし、黒い部分には墨を重ねています。 渋谷の街頭で撮った写真をもとにかいていますが、1枚の写真をそのままうつしているのではなく、何枚かをくみあわせています。そのため、よく見ると、おなじ人物が何カ所にも登場しています。 「油絵だったらいろんな表現ができるじゃないですか。絵画を考えていくうちに、色とか、そういうものに制約をくわえていったらどうなるかと思って。それと同時に、『次』をさがしあぐねている自分の内面の反映でもあるんです」 「paralise」も渋谷がモティーフ。木板の上に、5枚の透明なアクリル板を、数ミリの間隔をおいて重ねてボルトで固定し、それぞれのアクリル坂に油性ペンで色を配しています。乱反射する都市の風景−といったところでしょうか。 ほかに、「self…」とおなじ技法による2枚組みの作品をふくめ計5点。 漁さんの作品は「階段」(F15)。 キャンバスに細い銅線を何本も埋め込んであり、その多くは上下にはみだしています(絵の天地をのこしているのはそのため)。また、表面には、錆びとか緑青とか、いろんなものが塗られています。 となりに陳列してあった「蝕景」とは対になる絵で、おなじ風景を描いているのだそうです。 ほかに、表面を焦がしている作品もあり、画布がやぶれて木枠も黒くなっています。 「いろいろやってみて、壊していきたいんです」 と漁さん。絵のもっている物質性に興味があるようです。 下の部屋にある「無題」4点は、札教大にうつってくる以前の1999年の作品。あざやかな黄色の地に、手などの大きさが異様な母子像を描いており、どこか深井克美を想起させます。もっともご本人は 「何人かにおなじことをいわれて、あわてて道立近代美術館に見に行った」 と言い、深井のことを知らなかったそうです。 計10点を出品。 10日まで。 関連ファイル ■境理絵展(2001年) 第21回 陶の会作品展=同 遊辰窯・石原辰夫、向窯・向キヨ、北の沢窯・宮部則子、ひょうたん窯・大原弘通の4氏が出品。バラエティーにとんだうつわがならんでいますが、石原さんの、青が清楚なかきおとし文の皿、大原さんの線文の花瓶など、それぞれ得意分野が出てきたようです。 ほかに、アートスペース201では、毎年精力的に個展をひらいている木村初江さん(札幌。全道展会友)が、うつわ展を開催しています。 木村さんのウェブサイトはこちら。 |
6月7、8日(土、日) いずれも8日で終了の展覧会です。 鳥居純子教室陶芸展=コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階) 教室展なので、さまざまな作風のうつわが陳列されています。 入り口には、花器と植物がわさわさとならび、ジャングルに入ったよう。 鳥居さんの人形は、人体に比して巨大なドレスが炎のように舞い、女性の情念を表現しているかのようです。 早坂文子 伊藤君代二人展(デコパージュ・3D、木の葉染)=札幌市資料館(中央区大通西13) 「3D」というのは、シャドウボックスを布でつくっているのです。立体感があって、額の中にもうひとつの世界があるみたいに見えます。 古布、襤褸収集展と杉浦和子作品展=同 明治のこいのぼりとか、どうもいろいろなものがあります。ただ布をならべるだけではなく、酒袋をブルゾンや帽子にするなど、現代風にしているのも多いです。 そのままにするのが良いのか、現代によみがえらせるのが良いのか、むつかしいと思いました。 このあと、「腕に覚えあり」に出席のため、Free Space PRAHA(中央区南15西17)に向かいました。 札幌には美術教育の場がいくつかありますが、学校を超えた交流の場は意外とすくないので、お互いの活動を知ろう! ということで5年ぶりにおこなわれた催しです。 参加者は、作品3点ずつ(スライドなども可)を持って、自作について発表します。 プラハの大橋君は 「誰でもピカソみたいだけど、われわれのほうが先です!」 と胸をはっていました。 若者がたくさん集まり、盛会になりました。 さて、筆者は、なぜかゲストパネリストに選ばれてしまいました。 ちなみに、ほかのパネリストは、吉崎元章さん(芸術の森美術館学芸員)、小田井真美さん(アートディレクター、S-AIR事務局などで活動。■参考)、若手作家・凹み研究者の谷口顕一郎さんです。彼は、5年前には、発表する側でした。 正直なところ、なんでオレなんか…と思いましたけど、終わったあとで気づきました。今回登場した14人のうち、10人の作品をどっかで見てるんですよね。記憶力がすごくわるいから、わすれてたけど。 14人は次のとおりです。敬称略。 なお、所属の次にしるしたのは、筆者なりの要約であって、各参加者の自己紹介などではありません。
偉そうなことを言うと、要はやる気、というか、持続する志なんですよね。 でも「美術家」じゃなかなか食えないですからねー。「プロにならなきゃダメ」とそそのかすつもりもありません。 フリーペーパー「elan」の浦澤さんにひさしぶりに会いました。 中島公園のそばにある「アトリエZOO」を秋からギャラリーとして再始動させるそうです。通常は貸しギャラリーですが、オープニング展など節目には企画展をひらくそうです。 |
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6月6日(金) 米坂ヒデノリ彫刻展(コタンコロカムイ)=ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル) 空知管内栗山町にアトリエ兼美術館「忘筌庵」をかまえているベテランの彫刻家です。 今回のテーマは「コタンコロカムイ」。アイヌ語でフクロウの意味です。 大から小までさまざまなフクロウが、柱の上にとまってこちらを睥睨しています。素材は、乾漆とブロンズが中心です(栗山小学校にある作品の原型のみFRP製)。 いずれも、程度の差はありますが、デフォルメされています。羽を1枚1枚こまかく彫るのではなく、かたまりによってかたちをとらえている。そのことでリアリティーをかえって生んでいるようです。 道内の陶芸家や工芸作家などでフクロウを題材にする人はけっこういますが、どうもマスコット的にかわいらしく造型する人が多いようです。それはけっして悪いことだとは思いませんが、米坂さんのように、智慧の神らしく、いかにも森の奥に鎮座しているようなフクロウをつくる人もいたほうがいいんじゃないかな、と思うのです。 「北海道は開発が進みすぎちゃったのかな。コタンコロカムイも、守ろうと必死になっている人もいるけど、どんどん少なくなっているんだ。川の護岸工事が進んだり、自然が少なくなっちゃったんだろうね」 と、作品に込めた思いを語ってくださいました。 自由美術協会会員。 8日まで。 道内若手チャリティー展 劣化ウラン弾の被害に苦しむ子供達のための=新札幌サンピアザセンターモール1階光の広場(厚別区新札幌駅直通) なんだか、媒体によって展覧会の名前がちがっているみたいですが…。 写真グループ展ということですが、実際行ってみると、9割以上の写真は風間健介さんのものでした。 風間さんというと、夕張に住んでいるということもあり、炭坑跡や空知地方のイメージがありますが、今回もそれ以外の、夜の公園や日本各地の風景などをとらえたモノクロ写真がたくさんあります。北見枝幸の、海鳥たちがいっせいに飛び立って視野を埋め尽くす瞬間など、新鮮さにあふれています。 エルエテのときと同様、1枚1000円で販売しています。チャリティーでなくても安いです、これは。 ほかに、浅野久男、高山幸一、三浦砂緒理(会場の表記は誤植)さんらが出品しています。こちらはいずれもカラー。 8日まで。 記念館の“美術”展=北海道開拓記念館(厚別区厚別町小野幌) 開拓記念館、というのは、ようするに博物館です。 ふだん展示しているのは、動物の化石とか、土器や石器、生活民具といったものなのですが、美術品もありますよーっていうのが今回の「テーマ展」なわけです。 ちなみに、常設展や「特別展」は観覧料がかかりますが、「テーマ展」というのはタダです。 ただし、それほどたくさん作品があるわけではありません。 また、作品保護のため照明が非常に暗い。ルーブル美術館の素描展示室ほどに暗いです。 最初に大きな屏風がありますが、作者不詳です。 つぎに目に入るのが、日清戦争の錦絵と画帖です。ちょうど、時代は、旧来の木版画による錦絵と、あたらしい西洋画ふうの石版画による画帖との端境期にあたっていたようです。 絵は、日本が清(いかにもチャンコロといったステレオタイプで描かれている)をやっつけて威海衛を占領している場面など、勇ましいものです。これらの絵が、戦争遂行、はてまた日本をひとつの国にまとめていくにあたって一定の役割をはたしたことは、否定のしようがありませんな。 画帖の「海洋島我海軍大勝利之図」には、こう書いてありました。 「明治廿七年九月十七日我海軍艦隊十一隻と清国北洋艦隊十四隻及水雷四隻ト海洋島ニ於テ近世未曽有ノ一大海戦ヲ為シ我軍ハ敵艦四隻ヲ沈メ三隻ヲ焼キテ全勝ヲ得帝国万歳ヲ三唱シテ根拠地ニ引揚ゲタリ 嗚呼東洋ノ覇権是ヨリシテ我神州ノ手ニ落ン」 後年の、やたらと大げさに飾りたてる「大本営発表文体」がこのころすでに完成に近づいていたことがわかります。 つづいて、岩村通俊や黒田清隆らの書。黒田の書は豪快。 となりに、日露戦争のさいの錦絵も。「大日本ゑとろふ」と書かれた札の横で、佐団次が熊を投げ飛ばすという、相当なもんです。 そのつぎが、おそらく今回最も派手な(?)コーナー。吉田初三郎の、鳥瞰図や、「北海道十景」(日本画。軸装)などが特集されています。 この人の鳥瞰図は、札幌市資料館などでご覧になった方も多いと思いますが、じつにこまかい筆でその地方の地形、特色、名勝などを1枚の画面におさめており、お徳感の強い絵です。 よーく見ると、かなりムリのあるおさめ方も多い(たとえば、網走管内の鳥瞰図に、はるか遠く札幌や富士山までが入っている!)のですが、そんなツッコミをはねのけてしまうほどの魅力があります。 北海道鳥瞰図も、目を凝らすと、師範学校(のちの道教大)とか、帝国製麻工場(いまのテイセンボウルのある場所)とかまでかいてあります。豊平川が十勝川より川幅広いぞとか、細かいことは言わないように。遠く朝鮮や満洲まで入っています。 「十景」は、1936年の陸軍特別演習に際して行啓した天皇の天覧に浴した物とか。 ちなみに、次のとおりです。
つぎは、戦前の拓銀歴代の頭取肖像画コーナー。 7人ならんでいて、作者不明のものもありますが、長谷川昇(春陽展の創立会員)、和田三造(帝展初期に活躍した画家)の手になるものもありました。 最後が日本刀。 7日まで。午後4時まで入館なので注意。 新札幌駅からJRバスか夕鉄バスに乗り(札幌駅方面以外ならどの線でも可)、「開拓の村入り口」で下車、徒歩15分。 新聞各紙によると、日本画家で院展同人の山中雪人(ゆきと)さんが亡くなりました。83歳でした。法隆寺金堂壁画の再現模写などにたずさわったそうです。 ことしの「春の院展」には出品していませんでした。 |
6月5日(木) 第1回 創土会展=札幌市民会館(中央区北1西1) 道新文化センター水彩とパステル講座内グループの初の作品展。 講師の岸本裕躬さん(札幌。行動展会員)の「花火」は、夜空にしだれ花火がひとつ開いている場面をパステルで描いたもの。はなやかなのにどこかさびしい−という花火の特色がしんみり出ています。 本間優子さんの「オレンジ」(パステル)。なかなか存在感がありました。ただのボタニカルアートとはちがう、空気感のようなものです。 7日まで。 杉山宏二・坂元輝行・真鍋敏忠・中川幸浩 淡彩4人展=北海道銀行札幌駅前支店ギャラリー(中央区北4西3) 杉山さんは京都風景。真鍋さんは札幌や十勝岳など幅広く。中川さんはいずれも「札幌芸術の森」がモティーフです。 坂元さんは札幌・小樽。「北大第二農場」などにまじって、「地下鉄幌平橋駅界隈」という、ふつうならとても筆をとりそうもない都市風景を題材に選んでいるところがユニーク。 「淡彩」を名乗るだけに4人ともペンや鉛筆でデッサンしたあと、水彩で着色しています。中川さんの線がうすく、坂元さんは太いペンで勢い良く建物などの線をひいている−といった違いはありますが。 13日まで。 真鍋さんのサイトはこちら。 沢田正文 住まいの風景を演出するKAGU展=石の蔵ぎゃらりぃ はやし(北区北8西1) 個性的な家具にびっくりです。 とくにベンチは、天然の板と金属を組み合わせています。板のひび割れなどもユニークです。 チェアは、背もたれのてっぺんに時計がはめ込まれたものもありました。さすがにデザインはすっきりしています。 ほかに、小物入れ、キャンドルスタンドなどもあります。 15日まで。 真昼の深さ 100Photograph by Kazumi Sato=ShiRdi(中央区南6西23) シルディが昨秋に移転してはじめて行きました(地図D参照) 建物は、もとはクリーニング店だったそうです。ただ、調度がおなじせいなのか、前の店と雰囲気は似ています。2階建てで、そのうち窓際の1室をギャラリー空間に当てているところもおなじです。店内にはいるとき、靴を脱がなくてもよくなりましたが。 さて、写真展は、100余りのカラー写真がならびます。おそらく作者の日常なのでしょう、空や、町の風景をとらえた写真がありますが、半数以上を占めているのが花の写真です。とくに、赤い花の印象が強烈です。 ときにはボケぎみのもありますが、これもボキャブラリーなんだろうなあ、という感じです。 7日まで。 清水剛写真展「少女から舞妓へ」=キヤノンサロン(北区北7西1、SE山京ビル) 首都圏の高校を1年で中退した少女が、舞妓としてひとり立ちするまでを43枚の写真で追った、ドキュメンタリー仕立ての作品展。 ホームシックにかかっているときの様子や、舞妓試験の緊張の表情、そして 「吸い込まれるようにお座敷の中へと消えていった」 ところまでのさまざまな場面をうつしています。 もともとがかわいい子だし、頼りなげな顔つきがきびしい稽古などをへて一人前になっていく過程は被写体として魅力的なのですが、その最後の場面の一つ手前、先輩舞妓がきっとした目で 「ええか?」 と言っているのも、なかなかの迫力です。 それにしても、高校を中退した彼女にどんな心境の変化があったのか、気になりますが、それより、清水さんが、35歳にして毎日新聞を辞めてフリーになったほうが気にかかったりして。 6日まで。 7月3−9日大阪、8月25日−9月5日仙台に巡回。 第13回ASAKA展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階) 毎回変わった趣向を凝らす書展ですが、ことしは、トンパ文字を記した色とりどりの布を、インスタレーションふうに、ギャラリーにたくさんつなげて吊り下げています。 トンパ文字は、中国の雲南省でつかわれている象形文字。現在残存している世界唯一の絵文字だそうです。 また「般若心経」を、1文字ずつ、別の人がちがう書体で書いて完成させた大作もありました。楷書、草書、行書、隷書などがランダムにならんで不思議な感じ。 梅木陽一・岡田大岬2人展も同時開催。 すべて額装の小さめな作品。肩に力の入らない、軽めの漢字が中心です。 8日まで。 |
6月3日(火)・4日(水) 蔦井乃理子陶展=器のギャラリー中森(中央区北4西27) 銀彩のうつわが多いのですが、かんがえてみれば、1度塗れば銀色に光って出てくる便利な釉薬があるはずもありません。 化粧土をまぜて白っぽい色を出したり、赤い釉薬をまぜたり、雲母を使ったり−と、さまざまなくふうを凝らしています。 4回も焼いたという、ボウル状のうつわもありました。 写真の手前の器と花瓶は、薄い正方形の陶土をぺたぺたと表面にはりつけたもの。籐工芸の網籠にも似ています。正方形の土の間に銀色がたまって、おもしろい効果をあげています。 全体としては、落ち着きがあってしぶく、どんな花や食べ物にも応用の利くうつわが多いので、お値打ちだと思います。 6日まで。 太田ヒロ[サビシラズ]=TEMPORARY SPACE(中央区北4西27) うつくしい音色の打楽器にもなる鉄の立体の作家として、いろいろなグループ展や、オープニングパーティーなどにひっぱりだこの太田さんですが、個展ははじめてではないでしょうか。 ギャラリー主宰者の中森さんによると、今回の鉄は、土の中に1年放置して錆びをつけたものということです。 微妙な錆びのついた鉄の棒が数個重ねられてギャラリー空間に置かれています。これだけだと「もの派」みたいですが、1本の鉄の棒が壁に垂直に貼り付けられて全体を引き締めています。 8日まで。期間中毎日、午後6時から、作家本人による演奏がおこなわれます。見た目からは想像もつかないほど透明感のある音が出ますので、いちども聞いたことのない方はぜひどうぞ。 ひと夏の家具展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階) さいきん、若い人の間でインテリアへの関心が急速にたかまっていますが、そういう感度の高い人にぴったりの展覧会。大学に在学中か、卒業して間もない若手の3人による初のグループ展です。 若々しいけれど、雑なところや型破りなとところはない、作りのしっかりした木製家具がならんでいます。 左の写真は、中田拓哉さんの「焔(HOMURA)」。 ホテルのロビーのインテリアになりそうな、豪華なあかりです。 ほかに、幾何学的な構成のテーブルや、オットマンつきの大きなチェア、昨年の道展で入選したあかり「山華灯」、木のもともと持っている多様な色合いをいかした積み木のおもちゃなど、さまざまな作品を展示しています。 昨年、道教大岩見沢校を卒業し、いまは札幌校の大学院在学中。 中央は吉本亜矢さんのインスタレーション。すでに、札幌グランドホテルで個展をひらいたさいに発表したものだということですが、筆者は不覚にも知りませんでした。曲線を生かし、開放的な空間をつくりあげています。 すでに、英語の作品集をまとめていて、それによるとずいぶん多くの個展、グループ展をすでにひらいているようです。一昨年、札教大を卒業し、その後1年間デンマークに留学、現在は社会人だそうです。 ほかに、美術館の改善提案を記したパネルや、図書館用の椅子の設計などが見られます。 右は遠藤雄大さんの「f chair」。モダンさとなつかしさが同居したようなデザインだと思いました。 遠藤さんはほかにスツールやマニキュア立てなどを発表。どうして男性なのに、そういうものをつくるという発想が生まれてくるのかな? と尋ねると 「それはプレゼント用なんです」 と照れて? いました。 遠藤さんは札教大の4年生。 8日まで。 西田靖郎新作展=エルエテギャラリースペース(中央区南1西24、リードビル2階) SF的というか幻想的というか、あるいは西域の彼方なのか、なんともふしぎな絵を描く西田さん。 本職は檜山管内熊石町の僧侶です。 今回ユニークだと思ったのは、絵に時計を組み合わせたものが3点展示されていたこと。 さいきんは、時計のついた工芸や絵をよく見かけますが、あまり必然性の感じられないものも少なくありません。ただ西田さんは以前から、闇に浮かぶ巨大な惑星などのモティーフをよく登場させていましたから、まるい時計盤が自然に、絵にマッチしているのです。 「とうがらし」「南瓜」など、描写力の高さをしのばせる静物画の小品も展示されています。 美術文化協会と新道展の会員。 15日まで。 初夏の色に染めて〜藍・ハーブ(草木)〜 織・染 紗実衣工房=アトリエ&ギャラリー Herbal(中央区南1西24 カーニバルビル2階) 天然素材で染めたわりには色鮮やかな糸、ストール、スカーフなどが展示されています。 5日まで。 狩野立子個展 …夏の朝の空気…=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20) すべて同じサイズの抽象画10点。 「朝焼けの海」 「冬の蜃気楼」 「香りのように」 「夏の朝の空気」 「高原にて」 「あの時の夕焼け」 「森の中で」 「夏の思い出(ひまわりの頃)」 「夜明け前の空」 「夜のとびら」 …こう題名を書いていくと、それぞれなんの描写をしていないにもかかわらず、その季節、その時間帯の印象や感覚が、それぞれの絵のもわもわーっとした色のかたまりのなかに折りたたまれているように思えます。それこそ、夏の朝の空気のような、さわやかな絵でした。 15日まで。 最後に訃報。 4日の読売新聞によると、フランスの美術評論家ピエール・レスタニー氏が亡くなりました。72歳でした。 1960年、イブ・クラインら当時の若い美術家たちの動向に「ヌーヴォーレアリスム」と命名しました。 |
6月2日(月) ヒマラヤを描く 中村哲泰個展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3) |
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