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アート本情報
   2003年

アートな本棚にもどる   2004年へ

ファイルがきわめて重くなっています。ご容赦を。
薄い色の着いている欄は、筆者が実際に本を読んで書いた感想です

現代建築の冒険 越後島研一著(中公新書、840円)
(1月18日朝日書評)
バロック美術の成立 宮下規久朗著(山川出版社 世界史リブレット 729円)
ミュージアムの思想 松宮秀治著(白水社 2500円)


表象としての美術 言説としての美術史 亀井若菜著(ブリュッケ 5000円)
 副題は「室町将軍足利義晴と土佐光茂の絵画」
(2003年12月15日)

好古家たちの19世紀 鈴木廣之著(吉川弘文館 シリーズ近代美術のゆくえ 3900円)
 幕末・維新のころ日本には「美術」に相当する概念がなく、そのかわり、骨董など古いものを愛する人々はたくさんいた。その時代をさぐる
(2003年10月10日)

サロメ図像学 井村君江著(あんず堂 4200円)
 聖書に登場する悪女として古来ビアズレーら多くの画家たちによって描かれてきたサロメ。その変遷を、妖精や民話研究の第一人者が説く
(2003年12月30日)

Cord  岡田敦写真(窓社、6500円)
 リストカットをテーマにした痛ましくもリアルな文章と写真による、ふしぎな迫真性にみちた大冊。

関連ファイル:富士フォトサロン新人賞(2003年8月)
黒い太陽と赤いカニ 岡本太郎の日本 椹木野衣著(中央公論新社 1800円)
 気鋭の美術評論家による本格的な評論
(12月25日読売広告、1月25日読売書評)

ミュージアムが都市を再生する 経営と評価の実践 上山信一・稲葉郁子著(日本経済新聞社 2000円)
(12月23日日経広告)


人間の美術 全10巻 梅原猛監修(学研 各3400円)
 日本美術の思想と特質を解明するシリーズ。@縄文の神秘A稲と権力B仏教の幻惑C平城の爛熟。以下続刊
(12月11日朝日広告)

レオナルド・ダ・ヴィンチという神話 片桐頼継著(角川選書 1600円)
 膨大な素描から天才の実像に迫る。
(12月11日朝日広告)

絵画の見かた ケネス・クラーク著(白水社uブックス 950円)
 ロングセラーのペーパーバック化。高階秀爾訳
(12月11日朝日広告)

ピカソの戦争《ゲルニカの真実》 ラッセル・マーティン著(白水社 2000円)
 名画誕生とその後の波瀾万丈を追う。木下哲夫訳。
(12月11日朝日広告)

北岡文雄木版画60年 版と造形の探求(美術出版社 12000円)
 日本を代表する木版画家で、全道展会員など、北海道ともかかわりの深い北岡氏の自選百数十点を掲載。代表作を網羅し、そのあゆみを概観できる貴重な1冊。解説は、以前道立近代美術館の学芸員だった武田厚さん。

ギリシャ美術史 J.J.ポリット著(ブリュッケ 3400円)
 

ウソ力〔想像力〕の鍛え方 絹谷幸二著(日本経済新聞社 1600円)
 まばゆい色づかいで洋画壇の寵児となった著者(独立美術会員)のエッセー集

今井俊満の真実 (藝術出版社 1500円)
 戦後画壇の風雲児で、長くパリで活躍、最晩年は東京でコギャルを題材にした絵を発表するなど話題を振りまいた画家の、口述筆記と、浅田彰ら多数の回想や評論をくみあわせて編集した

アルブレヒト・デューラー エルンスト・ヴィース著(エディションq 3300円)
 北方ルネサンス最大の画家の生涯に、一人称の自伝形式でせまる。相澤和子訳
(11月16日読売書評)

木喰仏 写真・寺島郁雄、解説・矢島新(東方出版、20000円)
 江戸時代に全国を遍歴して膨大な仏像を彫った造仏聖の作品を、ほぼ制作順に撮影した
(11月16日読売書評)
微光のソノリテ 画家・伊藤仁の作品世界 富田幸衛著(田所陸男、3000円)
大月源二らと北海道生活派美術集団を結成し、リアリズム絵画を追求した画家(1915−96年)の、同集団の後輩画家による評伝。カラー図版多数
色彩浴 小林英樹著(ポーラ文化研究所、1800円)
小林英樹「色彩浴」 「ゴッホの遺言」で一躍名をはせた札幌在住の画家が、欧州各地を旅してつづった、短いエッセー集。著者が撮影したカラー写真も多数。「不安定なシルバーホワイトにかわってジンクホワイトが開発、普及したことが印象派にとって大きい」といった指摘は画家ならでは。ゴッホのパレットを再現するこころみも興味深い
絵画と現代思想 酒井健著(新書館、2600円)
夜明けの漂流者−レオナルドとニーチェ
死の遠近法−ホルバインとフロイト
啓蒙の闇−ゴヤとバタイユ
西欧の自己解体−ゴッホとフーコー
世界大戦の幾何学−カンディンスキーとコジェーヴ
思想は軽さにおいて絵画に出会う−トゥオンブリとバルト

 以上の6章からなるエッセー。日経の書評でも紹介されていたが、題名から想像されるよりははるかに平易でわかりやすい本である。
 なかでも、ゴッホの章は、フーコーだけではなく、ハイデッガー、シャピロ、デリダ、ヤスパース、アルトー、バタイユが論じられ、コンパクトな受容史として読めて、興味ぶかかった。
 でもなあ。なーんか、物足りないんだよなあ。
 まず、「現代」思想のお相手として「絵画」がなんの疑問もなく前提されているのが、フシギ。
 美術の中で「絵画」ってのは、彫刻とか映像とかとならぶ1ジャンルにすぎない。しかも、ちっとも「現代」的ではない。
 つぎに、これはないものねだりかもしれないが、「現代思想と美術」であれば、なにをおいても
「セザンヌとメルロ=ポンティ」
「サルトルとジャコメッティ」
が語られなくてはならないのではないか(「デリダとシャルダン」という組み合わせもあるな)。
 カンディンスキーがコジェーヴの叔父だったというのは初めて知ったけれど、ふたりの思想にあまり関連はないし、「ホルバインとフロイト」にいたってはこの著者がかってにむすびつけているにすぎない(フロイトがホルバインを論じた形跡はない)。
 「現代思想」というものも、平易に書こうとするあまり、ややもすると図式的な説明になっているきらいがないでもない。すくなくとも、ここには、メルロ=ポンティが行ったような「線とは何か」「デッサンで対象をとらえるとはどういうことか」というぎりぎりの哲学的思考が、いまひとつ感じられないのだ。まあ、読む前に期待しすぎたのかも知らんが。

(11月15日)

漆芸−日本が捨てた宝物 更谷富造著(光文社新書、700円)
世界各国から漆製品の修復依頼を受けている著者は、なんと上川管内美瑛町に住んでいます
アートと女性と映像 グローカル・ウーマン 岡本あおみ著(彩樹社、2000円)
岡部あおみ「アートと女性と映像」 近年の現代美術の世界では、ますます映像の占める重要性が高まっている。ピピロッティ・リスト、森万里子、アン・ハミルトン、束芋、やなぎみわ、アン・ハミルトンら、欧米日の重要な女性映像アーティストにインタビューするとともに、彼女たちの作品世界の紹介をとおして、アートシーンの最先端にふれる
絵かきが語る近代美術 高橋由一からフジタまで 菊畑茂久馬著(弦書房、2400円)

菊畑茂久馬「絵かきが語る近代美術」
 著者は「九州派」で活躍した画家で、著書も多い。講演をまとめたこの本は、高橋由一や戦争画を熱く、かつユーモアあふれる語りくちで述べたユニークな本。
 とりわけ、漱石の美術評論を絶賛したあたりは白眉だし、由一評は画家ならではの着眼点にみちている。
 また、半分ちかくを戦争画の問題にあて、くわしく語っている。もっとも、かなりおおざっぱに項目を省いているので、中村彜も福沢一郎も中原悌二郎も登場しません。

 ただし、著者は戦争画のうち、フジタらの作品を絶賛しているが、それについて筆者(ヤナイ)は疑義がある。
 漱石と帝展のくだりでは、美術が、文学と異なり、国家権力の庇護のもとに発達してきた点を指摘しておきながら、戦争画のところではそれを無視しているのはおかしいのではないか。
 戦争画のかかえる最大の問題は、それまで前衛の名のもとにさまざまな様式をきそってきた作家たちが、コロッとそれらを捨て去って、凡庸なリアリズムに走ったことにあると思う。戦前の画家たちにとって、多彩なイズムは、帽子のように簡単に着替えられるものであって、「生きられた様式」ではなかったのである(その点は、三好達治などの詩もおなじ問題をはらんでいる)。
 美術界は、ひとりの金子光晴も吉本隆明も、戦争詩を書いたことを反省して山小屋に蟄居した高村光太郎すら持ち得なかった(光太郎は彫刻家でもあるが)。そのことは、率直に反省すべきではないだろうか。

 
絵のある人生 −見る楽しみ、描く喜び− 安野光雅著(岩波新書、740円)
 人気挿絵画家がつづる肩のこらないエッセー。ブリューゲルやゴッホなどの絵にふれながら、自分なりの絵の見かたについて、平易につづる。佐藤忠良はデッサンもいい、というのは同感です
ハンドブック 深読みアート美術館 ロバート・カミング著、小林頼子日本語版監修(六曜社、2000円)
 前半が美術家名鑑、後半が項目辞典。オールカラーでお値打ちな本。名鑑に、近年のオークションでの価格が掲載されているのもユニークだし、各項目はかなり主観がはいっていて、見る人が見たらおもしろいはず(初心者にはどうだろうと思うけど)


バナーラスの赤い花輪 上田恭子著(木犀社、2100円)
 バナーラスは「ベナレス」とも発音されたインドの聖地。ミニアチュール(細密画)の魅力に取り付かれた著者の回想

画狂剋太曼荼羅 加藤勉著(邑心文庫、3800円)
 司馬遼太郎の本の挿し絵で知られる画家の評伝。序文は梅原猛

実力画家たちの忘れられていた日本画家 住友慎一著(里文出版、3000円)
 近代洋画家たちのコレクションを紹介。これまで知られていないカラー写真が豊富だが、状態がよくないのはざんねん。なお、けっして知られていない画家ばかりではありません

ゴシック美術−サン・ドニからの旅立ち 馬杉宗夫著(八坂書房、3800円)
 大聖堂やステンドグラスに代表されるゴシック美術の全貌を、豊富な写真を添えて詳述
(11月5日読売広告)

木版の詩人 川上澄生と北海道 平澤秀和著(北海道新聞社、2200円)
平澤秀和「川上澄生と北海道」  創作木版画を代表する版画家、川上澄生は、戦争中、胆振地方の白老や追分に疎開した。戦争直後は、空襲で焼け野原になった東京から紙資源の豊かな北海道にたくさんの出版社が一時移転してきており、川上澄生はそれらの出版社の雑誌などに文章やカットを寄稿した。1949年正月、本州に引き揚げたあとも、自らが創立会員に名を連ねた全道展にほぼ毎年出品するなど、北海道とはつよい結びつきのあったことがわかる好著。とにかくカラー図版が多いのがうれしい
星野道夫物語 国松俊英著(ポプラ社、1400円)


少年が夢見たもの 百点美術館物語 河野保雄著(芸術現代社、2800円)
 近代日本絵画などのコレクターの回想

21世紀は工芸がおもしろい 福本繁樹編著(求龍堂、2300円)
 10月中旬発売
(10月12日読売広告)

「清明上河図」をよむ 伊原弘編(勉誠出版、4500円)
 優れた技法、精密な風景描写で都市を封じ込めた北宋末・徽宗皇帝時代の名画巻を学際的に解読、新視点を提示する
(10月12日朝日広告)

透明水彩画の技法 齋藤泰三著(彩流社、2000円)
 正統的な技法書
(10月12日朝日広告)

芸術と暴力 勅使河原純著(フィルムアート社、2000円)
 もともと画家志望だったヒトラー、煽動的な言動をくりかえした画家のダリ、16世紀の画家にして殺人を犯したカラバッジョ。美と暴力との意外な近さを解き明かす風変わりな3人の評伝
(10月12日読売書評)

モランディとその時代 岡田温司著(人文書院、4800円)
 イタリアのボローニャに住んだ孤高の静物画家(1890−1964年)の評伝。画家の伝説がいかに形成されて行ったかを、作品を踏まえながら述べる。
(10月5日日経書評)

その後、吉田秀和賞を受賞。朝日、読売の書評にも


日本美術の二〇世紀 山下裕二著(晶文社、2730円)
 日本美術史に対する思い込みや馴れあいをご破算にし、その本質を見つめる。日本美術応援団長・山下裕二が煽動する「日本美術評価史」。
(10月1日道新広告)
(11月16日朝日書評)

ジャコメッティの肖像 ジェイムズ・ロード著(みすず書房 3200円)
 アルベルト・ジャコメッティは20世紀を代表する彫刻家だが、画家、版画家としてもすぐれていた。1964年9−10月の18日間、パリのアトリエで、油彩の肖像画を創作した際、モデルから見た芸術家の記録

額縁と名画 絵画ファンのための額縁鑑賞入門 N・ペニー著 (八坂書房 2000円) 
額縁の歴史、絵画との関係、デザインや政策上の技法、インテリアとしての役割などをカラー図版とともに簡潔につづる。古賀敬子訳。(9月17日読売広告)

ダダ・シュルレアリスムの時代 塚原史著(ちくま学芸文庫 1300円)
塚原史「ダダ・シュルレアリズムの時代」  第一次世界大戦後の混乱がつづくチューリッヒ(スイス)などに出現し、既成の芸術いっさいを否定したダダイズム。それをひきつぎ、人間の無意識をほりさげて世界の芸術・文化に多大な影響をあたえたシュルレアリスム(超現実主義)。この本は、入門書ではないので、ある程度の基礎知識が必要だけど、視点がおもしろい。
 というのは、ダダやシュルレアリスム全般を概説してるんじゃなくて、チューリッヒ・ダダの中心人物だった ルーマニア生まれの詩人トリスタン・ツァラにスポットをあてて全体を論述しているのだ。著者によると、ダダは、ただ既成の表現を否定したのではなく、ことばを意味から切断したという点において、近代そのものの意義をひっくり返す深刻さを秘めているというのだ。

「ダダは、一切の価値を否定したニヒリスティックな運動だったと思われているが、少なくともツァラにとって、否定/肯定という対立は意味を持たない。そういう二項対立そのものを無効化しようとしたのが、彼のダダだったのである」

 28ページにもおよぶ「文庫版への序」が附され、「9・11」以後の状況もふまえた議論がなされているのはさすが。

(9月15日朝日広告)

「無言館」の坂道 窪島誠一郎著(平凡社 1800円)
 戦死した画学生の絵を収集している無言館にまつわるエッセー集
(9月14日読売書評)

アートセレクション「江戸名所図屏風」 内藤正人著(小学館 1900円)
 江戸のパノラマをくりひろげる現存最古級(17世紀前半)の江戸名所図屏風の紹介
(9月14日読売書評)

やさしく読み解く日本絵画 前田恭二著 (新潮社 とんぼの本 1400円)
 雪舟、狩野永徳、長谷川等伯、俵屋宗達、尾形光琳、英一蝶、池大雅、円山応挙、伊藤若冲、葛飾北斎、歌川広重の11人の巨匠の名作から最新研究まで、丁寧に紹介する
(10月5日読売書評)
香月泰男のおもちゃ箱 谷川俊太郎 詩・構成、大森忠撮影 (新潮社 2800円)
 シベリアシリーズで知られる画家の、余技にして、真髄を示す、愛らしい立体作品
(8月25日道新広告)

雲の誕生 有元利夫作品集 (新潮社 4700円)
 いまなお戦後の洋画家で屈指の人気を誇る、夭折の画家の原点ともいえる版画集を再現
(8月25日道新広告)

ピカソ 瀬木慎一著 (集英社新書 680円)
 大画家の評伝。おもに女性関係を軸に、生涯をコンパクトにまとめている。その分、キュビスムなどの解説は他の書にゆずるかたち。直接会ったことのある筆者だけに筆致は熱いが、裏返して言えばピカソのやることならなんでも礼賛という傾向は否定できず、もうちょっと客観的な書き方はできなかったのかという思いはのこる。廉価だが、カラー図版は1枚もない。
(8月26日)
服部二柳伝説 飯田辰彦著 (河出書房新社 2200円)
 服部関雪に師事したものの後半生は山形県鶴岡市に過ごし精神病院で没した画家(1904−68年)の足取りを、関係者の証言を重ねてたどり、庄内の歴史や風土をうかびあがらせるノンフィクション。
(8月24日朝日書評)

野見山暁治 版画1965−2002 (アーツアンドクラフツ 28000円)
 宇佐美英治に絶賛された「そらの空」全点をはじめ、銅版画、モノタイプなど208点を収録。ベテラン画家の、もうひとつの側面。500部限定。
(8月24日朝日広告)

Platibe 岡田敦写詩集 (窓社、2400円)
 きらびやかだが、どこかに不安の影を宿す子どもたちの写真。不気味な事件が続発する中で、この子たちの未来はどうなっていくのだろう…。都市の茫漠とした不安感を描き出して、昨年の富士フォトサロン新人賞を、浅井愼平氏ら審査員から激賞を受けて受賞した、若手写真家の第一作品集。東京在住、札幌出身。21世紀のあたらしい才能がここにある
 作家サイン入りがほしい人は、直接メールを。送料310円。

関連ファイル:富士フォトサロン新人賞

(2003年8月)
謎解きフェルメール 小林頼子 朽木ゆり子著(新潮社 とんぼの本、1300円)
 現存する30点あまりの絵画全点をくわしく読み取り、いまも人々を魅惑してやまぬ17世紀オランダの画家の全貌を明らかにする。CGを使ったり、じっさいの風景をうつしたりなど、カラー写真をフルにいかしている。小林氏はフェルメール研究の大著をあらわしてきたが、これは気軽に入門できる1冊だ。さらに、盗難事件や贋作事件についてもくわしく解説してあり、おもしろい

(03年6月)
朝鮮民芸論集 浅川巧著、高崎宗司編(岩波文庫、700円)
 日本人が横暴にふるまった植民地統治時代の朝鮮半島。そこで、陶磁の窯跡の探査や民芸品の研究に打ち込み、朝鮮人からも尊敬されていたひとりの日本人がいた。日本の民芸運動にも影響を与えた浅川(1891−1931年)の文章から「朝鮮の膳」「窯跡めぐりの旅を終えて」など12編を収載。図版多数

(03年6月)
オディロン・ルドン 光を孕む種子 本江邦夫著(みすず書房、5200円)
 19世紀後半の象徴主義絵画を代表する画家の、想像力の核心に迫る。(8月10日朝日書評)

ポートレイト 福岡将之写真集(第一書林、2857円)
 小樽運河の倉庫群や、岩肌などを、真正面から中型カメラでとらえた写真集。長い時間を経て風化したもののマティエールがつくりだす、意外な美の様相が堪能できる。作者は札幌在住。4月15日発行
世界拡大計画 高松次郎著(水声社、4000円)
 ハイレッドセンターを結成、日本の戦後美術に名をのこす前衛芸術家(1936−98年)の理論的テクストを集大成。解説・中原祐介。「不在性のために」「世界拡大計画」「インストラクションアート「台本」」など所収。批評をあつめた「不在への問い」(4500円)も同時発売。この2冊で、高松の文章ほぼすべてを読める。(7月)

他者の苦痛へのまなざし スーザン・ソンタグ著(みすず書房、1800円)
「写真は戦争やテロに対して抑止効果をもつのか? ゴヤからコソヴォ、9・11へ、自らの戦場体験を踏まえつつ、戦争の惨禍と映像の関係を追及した最新の写真論」(帯より)。著者は米国を代表する評論家。北條文緒訳。7月8日発行。
江戸のまんが 泰平の世のエスプリ 清水勲著(講談社学術文庫、880円)
 寄せ絵、文字絵、もぬけ絵、金平絵、鳥羽絵、大津絵…。江戸期には、ユーモラスな視覚表現が、幕府の圧力にもめげずつぎつぎと花開いた。当時は、いまの漫画にあたる表現をおもに「鳥羽絵」と呼んだこと、漫画という呼称は大正期以降に一般的になること、北斎とドーミエの影響関係など、意外な歴史をおりまぜつつ江戸のまんがを紹介した、たのしい一冊。6月10日発売
イサム・ノグチ 宿命の越境者 上・下 ドゥス昌代著 (講談社文庫、各752円)
 札幌の人には「モエレ沼公園」の原形設計や大通公園の「ブラックスライドマントラ」などでなじみふかい米国の彫刻家の波乱に富んだ生涯を描き、第22回講談社ノンフィクション賞を受賞した長篇評伝。著者は岩見沢出身だそうです。7月15日発売

現代写真のリアリティ 京都造形芸術大学編(角川書店、2800円)
宮本隆司、八角聡仁の責任編集。倉石信乃ら16人の論考で、石内都、ヘルムート・ニュートン、リー・フリードランダー、中平卓馬、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ベッヒャー夫妻らの写真がとりあげられている。5月30日発売。「写真芸術シリーズ」は、以下「写真概論」「写真の歴史」「映像文化論」「写真家の発想と方法」が続刊予定
自画像の美術史 三浦篤編(東京大学出版会、2800円)
三浦「西洋絵画と自画像」、小池寿子「自画像の誕生−古代からデューラーまで」、高橋達史「自画像の需要と画家のイメージ−レンブラントとその時代」、太田泰人「絵の中の画家−近代芸術家の自己表象」、佐藤康宏「日本絵画と自画像−江戸時代まで」の論文を所収。図版多数。3月20日発売
視覚革命 浮世絵 諏訪春雄著(勉誠出版、780円)
 江戸文藝と浮世絵は日本人の視覚と感性を拡大させる一大情報革命であった−という著者の持論を、浮世絵の歴史とともに理路整然と語る。(朝日7月28日書評)

創るモノは夜空にきらめく星の数ほど無限にある 海洋堂物語 宮脇修著(講談社、1800円)
 フィギュア製造会社として現代アートシーンともきっても切れない関係にある海洋堂。社長による熱いサクセスストーリー。(朝日7月27日書評)

未来派 井関正昭著(形文社、6000円)
 イタリア、ロシア、日本の3カ国に的を絞り、美術はもとより音楽や建築など広範囲にわたった今世紀初頭の前衛運動を包括的に紹介する。図版多数。(朝日7月27日書評)

荒木経惟と結合の欲望 藤本登四郎著(祥伝社、1600円)
 アラーキーはなぜ「天才」なのか。精神科医による本格的な評論

石川文洋のカメラマン人生 貧乏と夢編 旅と酒編 石川文洋編(笊カ庫、各740円)
 ベトナム戦争の従軍カメラマンとして活躍した著者。前者は「カメラマン人生の集大成」、後者は「旅と酒とライカをともにした旅日記」(朝日7月13日広告)

池田満寿夫 流転の調書 宮澤壯佳著(玲風書房、2400円)
 著者は、「美術手帖」の編集長などを歴任し、現在は長野市の池田満寿夫美術館の館長

「変わり目」考 芸術家Mの社会見学 森村泰昌著(晶文社、2300円)
 女優に扮した写真のシリーズなどで知られる現代美術家が、毎日新聞文化面に連載したエッセーなどをまとめたもの

花鳥・山水画を読み解く 中国絵画の意味 宮崎法子(角川叢書、2900円)

堪能ルーブル 小暮満寿雄著(まどか出版、1600円)
 副題は「半日で観るヨーロッパ絵画のエッセンス」(7月12日朝日広告)

岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から (岩波書店、各1700円)
 広河隆一「反テロ戦争の犠牲者たち」、小林正典「国境を越える難民」の2冊を2003年7月4日発売。引き続き、8月6日に森住卓「核に蝕まれる地球」を発売。以下、
大石芳野「コソボ 絶望の淵から明日へ」
林克明「チェチェン 屈せざる人びと」
山本宗補「フィリピン 最底辺を生きる」
亀山亮「アフリカ 貧困と内戦」
豊田直巳「イラク 爆撃と占領の日々」
佐藤文則「ハイチ 圧制を生き抜く人びと」
桜井和馬「破壊される大地」
古居みずえ「パレスチナ 瓦礫の中の女たち」
を発売予定。

<パリ写真>の世紀 今橋映子著(白水社、5800円)
 ブラッサイ、ドアノー、イジス…。イメージによるパリ神話をつくった写真家たち。膨大な資料を読み解き、神話の解体と脱構築を図る労作。パリ三部作の完結篇(6月29日読売、7月6日日経書評)

逆白波のひと 土門拳の生涯 佐高信/土門拳(小学館、1900円)
 アートセレクションの一冊。作品紹介と、同郷(山形県酒田市)の評論家による評伝(6月27日読売広告)

日本美術の発見者たち 矢島新・山下裕二・辻惟雄(東京大学出版会、2500円)
 柳宗悦、岡本太郎、辻惟雄、赤瀬川原平らによって「発見」された日本美術の魅力を、豊富な図版を示しながら分かりやすく解説する。(6月22日朝日広告。7月13日道新書評))

写真論集成 多木浩二著(岩波現代文庫、1400円)
 伝説の写真誌「PROVOKE」の理論的支柱であり、美術など数多くの著書のある評論家の写真論をあつめたオリジナル文庫。「来るべき言葉のために−中平卓馬の写真集」「都市の歩行者−アジェ」「侵犯の遊戯−マン・レイ」、その他ファッション写真論などを収録。6月13日発売

稿本 日本帝国美術略史 (ゆまに書房、38000円)
 1901年、帝国博物館が編纂し、パリの万博にも提出した美術史の原寸大復刻版。のちのちの日本の美術史の枠組みを規定することになった歴史的な書物(6月20日朝日広告)。

先端芸術宣言! 東京芸術大学先端芸術表現科編(岩波書店、2400円)
 同科の全教官が結集し、メディア、テクノロジー、場の創造、生命と身体など、表現の実践と理論に関する最先端の問題をともに考え、わかりやすく説く(岩波書店の新刊案内)。6月20日発売

江戸の絵を愉しむ 視覚のトリック 榊原悟著(岩波書店、780円)
 絵師たちの好奇心と想像力が生んだ、思いもよらない仕掛けの作品を、浮世絵、戯作絵本、絵巻、掛軸、襖絵などから紹介し、遊び心にみちた江戸の絵をたのしむ(岩波書店の新刊案内)。6月20日発売

Peace ハービー・山口写真集(河出書房新社、2600円)
 どこにでもいそうな現代の若者を写す(日経6月15日書評)

舟越桂全版画 1987−2002 (青幻舎、3800円)
 独特のなつかしさただよう木彫の人物像で知られる彫刻家の版画集(読売6月15日書評)

アイヌ絵巻探訪−歴史ドラマの謎を解く 五十嵐聡美著(北海道新聞社、1100円)
 18世紀の松前で活躍した絵師、小玉貞良。彼はほんとうにアイヌ民族を見て絵を描いたのか。蝦夷錦が後年の作品に登場しなくなるのはなぜか。おそろしくひげのながい長老の肖像や奇妙なタコつりの絵巻のなぞに迫りつつ、アイヌ民族への悲惨な圧迫についてもふれる。読みやすくやわらかい文体は、画期的。でも、和人がアイヌを見るときのオリエンタリズム的な視線についてきちんとふれるなど、平易なのに水準を落としていないのはすごい。
 毎年、道立美術館の学芸員が研究成果を書き下ろしているシリーズ「ミュージアム新書」の23冊目。著者は、道立釧路芸術館の主任学芸員。

明るい窓:風景表現の近代 柏木智雄・倉石信乃・新畑泰秀(大修館書店、2400円)
 2、3月に横浜美術館で開かれた展覧会の図録だが、文章が中心で、一般書店でも発売している。もちろんカラー図版も多数。
 同館の3人の学芸員が執筆。名所旧跡ではない「なにもない風景」が画題になったのは比較的あたらしいこと、日本でじっさいの風景を描き始めたのは谷文晁あたりが最初であることなどを、粘り強く論じていく。絵画だけでなく写真への目配りもきいている。個人的には、ドイツロマン派への言及がないのが残念だ。柄谷行人の「近代日本文学の起源」のような大局に立って風景とは何かを論じたものではなく、地道な研究といえる。
 収載されているのは「風景画への目覚め−17世紀のイタリアとオランダ」「同−江戸後期の日本」「風景画の興隆−18世紀から19世紀初頭のイギリス」「西洋列強のアジア進出と写真家の移動−19世紀後半のオリエント」「幕藩体制の崩壊と開国−幕末・明治の日本」「風景画の開花−19世紀初頭から中頃のフランス」「同−19世紀後半から20世紀初頭の日本」の7論文。
 半透明なカバーによる装丁は瀟洒だが、持ち運ぶと傷みやすいのが難点(笑い)。

彫刻家への手紙 現代彫刻の世界 酒井忠康著(未知谷、3400円)
 もともと彫刻について述べた本は、絵画にくらべるとすくないのだが、現代の彫刻について書いた本としてはベストとよびたい、すばらしい一冊。
 たとえば札幌芸術の森の野外美術館などで彫刻を見て「おもしろいけどよくわかんない」という思いをした人はけっこういると思うけど、むつかしい作品をやさしいことばで解説してあり、その作家の世界が急に近づいてくる。さすがに、実作を見たことのない作家については、やはり読んだだけではよくわからないけど(これは無理もない)、ちょっとでも作品を知っている彫刻家のことなら、ひざをうって「なるほど!」とさけびたくなる箇所がたくさんある。

 「ムーアの彫刻にみられる空洞は、この際立った対照を彫刻の内なる空間として収容した結果なのである」

 「(マルタ・パンの彫刻は)周囲の景観を生かす仲介の役割を担っている、といったほうがより適切かもしれない」

 「ミロのひろった石が別に金や銀にかわってしまうわけではない。石にたいする見方の提案がそこにくわわってくるということなのである」

 「(イサム・ノグチは)石を自分の想像力にしたがわせる(これこそ、形態の美や空間の秩序の重視といえるが……)相手としたのではなく、一切を無にして、石に聴き耳を立てることになった」

 ね、おもしろいでしょ!
 この調子で引用していくときりがないのでこのへんでやめておくけど、バックミンスター・フラー、ジャン・ティンゲリー、イリヤ・カバコフ、ダニ・カラヴァン、高村光雲、佐藤忠良、舟越保武、柳原義達、堀内正和、向井良吉、浜田知明、斎藤義重、中川幸夫、鈴木治、流政之、飯田義國、宮脇愛子、山口牧生、植松奎二、眞板雅文、深井隆、辻けい、砂澤ビッキ…ほかにも多くの作家がとりあげられ、あまり長くない文章で的確に評されている。
 恵庭の「ユカンボシ川河畔公園」についても紹介されているが、筆者は知らなかった。丸山隆さんの作品もあるんですね。こんど行かなくては。

 
青の美術史 小林康夫著(平凡社ライブラリー、1200円)
 青い色の出てくる絵画についてだらだらと感想を述べた随筆でも、マニアックに色を追求した学術書でもない、みごとな「もうひとつの西洋美術史」。青い絵の具がいかに貴重なものであったか−から書き起こし、ジョット、フェルメール、セザンヌ、マチス、ポロック、サム・フランシス、そしてもちろんイブ・クラインなどの絵を通して、人間が青という色にどんな思いを託してきたかをつづる。

「もしセザンヌの探求が「自然」と「芸術家」とのあいだのぎりぎりの分水嶺のような稜線上の果てしない困難の仕事であったとすると、マチスがそれを思い切って芸術家の表現の側に踏み出す方向へと翻訳し直したことは確かでしょう。マチスによるセザンヌの翻訳−それは、絵画を、色彩の組織による画家の「感情」の表現の場へと差し向けることになるのです」

「疑いなく青は、その光と闇とがぎりぎりでせめぎあうその境界の色なのです。それは「生の彼方」を指示する。しかし、同時に、「生への回帰」をも指示する。極限の空間において、青は人間の徴なのです」

「日本画」の転位 北澤憲昭著(ブリュッケ、3000円)
 「日本画」は明治期に、国民国家の形成と軌を一にして人工的につくられたものである。そのことを自覚せずにあたらしい時代の「日本画」はありえない―。「日本画」とはなにかを考える評論集。作家で取り上げている人は少ないが、諏訪直樹、李禹煥、横山操らが登場する。 
二度生きる 神田日勝の世界 鈴木正實著(北海道新聞社、1600円)
「室内風景」や未完の「馬」をのこし1970年、32歳で夭折した画家神田日勝が、夭折したことの意味を問う長編評論。兄・一明や、ふたりと同時代の画家である伏木田光夫、米谷雄平、さらに彼らが若いときに影響を受けた実存主義哲学にまで筆は及ぶ。神田日勝について知りたい人は、ミュージアム新書「神田日勝」(著者はおなじ)などにあたったほうが無難。

闇に消える美術品 E・ルー、R・パランゴー著(東京書籍、3000円)
 最近20年ほどのあいだに世界各地で起こった美術品の盗難、掠奪、破壊の詳細を綿密に調べ上げたおどろくべき報告。ルー氏は仏ルモンド紙の文化欄記者。(日経6月8日、朝日7月6日書評)

もうみんな家に帰ろー! 26歳という写真家・一ノ瀬泰造
 一ノ瀬信子編(窓社、3200円)
 映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」のモデルとしても知られ、カンボジアの戦場で消息を絶った写真家の軌跡を、初期作からたどりなおす。(読売6月8日書評)

マン・レイ 写真と恋とカフェの日々 ハーバート・R・ロットマン著(白水社、2500円)
 両大戦間のパリ。ダダ、シュルレアリスムなどが花開いたモンパルナスを舞台に、ブルトン、デュシャンらの群像を、マン・レイを狂言回しに描く。木下哲夫訳。(朝日6月8日、日経7月6日書評)

アラーキー・バイ・アラーキー 荒木経惟著(講談社インターナショナル、6000円)
 まだあった未発表作。とくに60年代から70年代初めまでの実験作がすごいそうです。(朝日6月8日書評)

パウラ・モーダーゾーン=ベッカー 佐藤洋子著(中央公論美術出版、2800円)
 20世紀初頭に活躍したドイツ表現主義の先駆者で、31歳で早世した女性画家の書き下ろし評伝。(読売6月1日書評)

日本画誕生 近藤啓太郎著(岩波書店、2800円)
 一昨年に没した作家、近藤氏の遺作。岡倉天心、横山大観、菱田春草らの群像を描く。東京藝大卒だけに、迫真の描写

岩波世界の美術 第2期12冊 
 ジョアンナ・ウッドール、ヴィリバルド・ザウアーレンダー、ロバート・ローゼンブラム編集委員(岩波書店、4200−4800円)
 第1回、4月配本が「キュビスム」。引き続き、6月27日に「リュベンス」、8月28日に「ゴシック・リヴァイヴァル」が出版の予定。それ以外に「アボリジニ美術」「エジプト美術」「ロマン主義」「アール・ヌーヴォー」「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」「レンブラント」「クールベ」「セザンヌ」「モネ」

写真とことば−写真家二十五人、かく語りき 飯沢耕太郎著(集英社新書、740円)
 植田正治、木村伊兵衛、東松照明、土門拳、森山大道ら、日本を代表する写真家のことばを紹介。

アヴァンギャルド以後の工芸 北澤憲昭著(美学出版、3800円)
 1990年代から近年までの評論集。現代工芸の可能性を探る
モダニズム/ナショナリズム 1930年代日本の芸術
 五十殿利治+水沢勉編(せりか書房、2400円)
爛熟した都市文化が花開くと同時に全体主義への傾斜が強まっていった1930年代の日本文化をさぐった論文9編とコラムなどを収録。巻末の年表がくわしい。前衛美術のみならず、文学、音楽なども視野に収める。森まゆみ「喫茶店「リリオム」の時代」、五十殿(おむか)利治「美術批評家たちの登場」など
廃墟の美学 谷川 渥著(集英社新書、660円)
西洋美術に登場する廃墟を総ざらえして論じた決定版
廃墟大全 谷川渥編(中公文庫、895円)
そうとう「濃い」本のようです。16人の気鋭の論客が、さまざまな分野に登場する廃墟を論じた一冊。滝本誠がタルコフスキーの映画を、飯沢耕太郎が写真を、今泉文子がロマン主義との関連を、種村季弘がノイエ・ザハリヒカイト(新即物主義)の廃墟画を、飯島洋一が建築を、永瀬唯が「新世紀エヴァンゲリオン」を論じ、ほかにも巽孝之、小谷真理、四方田犬彦、日野啓三、中野美代子らが登場
ツーアート ビートたけし×村上隆(ぴあ、1400円)
書名はもちろん、ビートたけしの漫才コンビ「ツービート」のパロディだが、裏表紙の写真がギルバート&ジョージ(英国の現代美術ユニット)のパロディになっていることに何人が気づくだろう?