3/28(金) バレンシア

車窓から。

朝、6時半に起床し、軽く朝飯を食べて出発!
さぁー行くぞ!テッラ・ミティカ!
天気も最高の遊園地日和。
元気良くアパートを出発し、バレンシア・ノルテ駅へ到着。
まずは特急でアリカンテまで行きます。

okku「アリカンテに行きたいんですけど」
駅員「特急の空きは15時半まで無いわ」

まさかの事態です。只今7時半。

okku「他にアリカンテに行ける方法はないですか?」
駅員「私の知ってる限りでは無いわね」

さて、困った。15時半の特急で行くか?そうするとアリカンテに着くのは18時半だぞ。
なんとかならないものかと頭を捻り、体を捻ります。
そんな時、路線図を見てある事に気がつきました。
「あれ?アリカンテまで線路つながってる…」

路線図
(路線図)

確かに。路線図ではC-2線がアリカンテまで線がつながっています。
これは・・・
 ・ノルテ駅から出てる電車は国鉄。という事は当然、私鉄もある。
 ・実際にバレンシア公営鉄道(FGV)というのがあり、バレンシア・アリカンテ地区を走っている。
 ・日本(東京〜埼玉)では池袋から川越に行くのにJRでも東武線でも行ける。
 ・ノルテからアリカンテまで国鉄でも私鉄でも行けるはず。
なるほど。気がついちゃいましたぞ。
何故かこの時の自分は変な自信たっぷりでした。
とりあえずC-2線に乗り、終点モイセントを目指すことにします。

駅員「終点までの切符?それでいいの?」
okku「大丈夫、何も問題ないよ」

自信に満ち溢れた男というのは、なんとカッコイイのでしょうか(笑)
切符を手に、C-2線の電車に乗ります。
窓の外は、辺り一面オレンジの木。見事なオレンジ園です。
途中通過するポブラ・ジャルガ駅やアルシラ駅で
「あーアルベルダってこんな田舎に住んでたんだー」なんて耽ってみたり。
降りるのは終点駅ですので、電車内ではかなりリラックス♪
…してたら、途中のシャティバという駅で車両を切り離され、逆走し始めました。
「ちょっ、待って!」
さっきまでのカッコよさはどこに。

折り返し地点
(折り返し地点)

予想外の展開に戸惑いながら、一駅戻ったマヌエル・ノバという駅で降り、
逆側のホームで再びモイセントを目指すべく電車を待ちます。
が、次の電車は30分後。駅構内のカフェでファンタレモンで時間をつぶします。
30分後、やっと来た電車に乗り再び出発。今度はシャティバでも切り離されません。
そしてシャティバからモイセントまで、さらに電車に揺られます。
社内はご老人ばかり。人もどんどん少なくなってきました。

シャティバから20分(確か)、モイセント到着!
…何もねぇ。乗り換え?いやいや、見渡す限り土しかねぇっす。
ポツンと暇そうにしていた駅員さんに「アリカンテに行きたいんだけど」と話しますが、
スペイン語で返され、何を言っているのかさっぱり理解できません。
身振り手振りでコミュニケートした結果、
 ・こんな田舎の駅に乗り換えなど無い。
 ・アリカンテに行くなら、シャティバからバスに乗れ。
 ・でも折り返しの電車が次に来るのは2時間後。

泣きそうな気持ちをこらえ、とりあえずシャティバに戻ろうと思います。
でもこの村で2時間つぶすのは惜しい。
そう思ったokkuは奮発してタクシーに乗る事にしました。
お金がもったいないですが、今スペインに居るこの時間の方が貴重です。

というわけで駅員さんにタクシーを呼んでもらおうと思ったのですが、
「この駅ではタクシー会社の電話番号がわからないので、街中のBARに行きなさい」との事。
「タクシー呼べない駅ってどないやねん」なんてボヤキながら街中へ歩いていきます。
が、見渡す限り何もありません。通りがかったオジサンに話しかけてみました。

okku「すいません、この辺にBARありますか?(英語)」
オジサン「あー、英語はダメだ!わからん」
okku「タクシー乗りたい(スペイン語)」
オジサン「タクシーか!乗り場教えてやるからついてこい」

そういうとオジサンはモイセント駅の方に向かって歩き始めました。
「あれ?駅じゃタクシー呼べないって…」
そう思いながらついていきますが、オジサンはやっぱり駅の中へ入っていきます。
「実は駅でタクシー呼べるんじゃねーの?」
そんな気がしてきました。タクシー呼べない駅なんてあるかい。
ちょっとして先ほどの駅員さんとオジサンが話しながら出てきました。

オジサン「ここにはタクシーないらしい」
okku「(あ、本当にないんだ…)なるほど」
オジサン「駅員がBARに行けって言ってる」
okku「BARってどっちの方向ですか?」
オジサン「ついてこいよ。一緒に行こう」

やたら親切なオジサンです。忙しくないのかな?

オジサン「俺はマヌエルっていうんだ。よろしくな」
okku「僕はオクヤマっていいます」
マヌエル「オカ…発音できない(笑)」
okku「okkuでいいです(笑)」
マヌエル「okkuはどこから来た?」
okku「日本です」
マヌエル「日本かぁ。なんでモイセントなんかに来たんだ?」
okku「ここからアリカンテに行けると思って」
マヌエル「アリカンテって(笑) オマエ間違いすぎだよ」

どうやらありえない間違い方をしていたようです。
駅から20分くらい歩いてようやく最初のBARがありました。
BARに貼ってあるタクシー会社のチラシを見て、マヌエルが電話してくれます。
…マヌエルが両手を広げて肩を巣すくめました。
えっ、タクシー無いの?休み?

マヌエルはちょっと考えた後、どこかに電話。
2〜3分話して電話を切るとokkuに向かって「5分待ってな」との事。
言われるがまま待ってると店の前に一台の車が。
運転席には女性、後部座席には小学校低学年くらいの男の子がひとり。

okku「???」
マヌエル「彼女は俺の友人だ。これからシャティバまでショッピングに行くらしい」
okku「シャティバまで?」
マヌエル「あぁ、だからついでに乗せてくれって言ってやった」

信じられない!どうやらシャティバまで送ってくれるそうです。
見ず知らずの日本人にこんなに親切にしてくれるなんて!
ありがたく乗せてもらうことにしました。
高速道路を走って車で30分程度。ようやくシャティバに到着です。
丁寧にお礼を言い「子供に何か買ってあげて」とわずかですが、10ユーロ札を渡して車を降りました。

さて、シャティバです!
駅員さんにバスターミナルの場所を聞き、急いで向かいました。
バスターミナルは駅から走って5分程度。
ターミナル入り口でバスを洗っている車掌さん?にアリカンテ行きのバスを聞きます。

車掌さん「アリカンテ?もうそろそろ出る時間だったような…(時刻表見る)…ついて来い!今出たところだ!」

乗り場の方まで連れて行ってくれたのですが、バスはそこにいませんでした。

車掌さん「ついてないな。ちょうど出ちゃったところだ」
okku「おーマジっすか〜。次のアリカンテ行きは何時ですか?」
車掌さん「今日はもう出ないよ」
okku「え?出ない?」
車掌さん「アリカンテ行きは1日3本だ。さっき出たのが最後だ」

心が折れました。バレンシアに帰ることにします。
シャティバ駅で30分ほど待って、電車でバレンシア・ノルテ駅まで戻ります。
ノルテ駅で電車を降りると大きなテッラ・ミティカの看板がありました。
「くそう、行きたい…」

駅を出てもどこへ行こうか頭が回りません。
とりあえず昼飯にケバブサンドを食べて、その後なんとなくネットカフェへ行き、
テッラ・ミティカのウェブサイトを見たり、バレンシアCFのオフィシャルを見たり。

バレンシア滞在は31日までなのですが、テッラ・ミティカは3/31〜4/3まで休みなのです。
というわけで、行くとしたら明日29日か30日しかありません。
29日はパテルナでバレンシアCF Bチームの試合を観戦、30日はトップチームの試合を観戦する予定になっていました。
「でも、やっぱりここまで来たら遊園地行きたいな…」

しばらく悩んだ挙句、明日29日に行く事に決定!
Bチームの試合観戦は断念します。あぁ…全ては私の段取りが悪かったのです…。
そうと決まったら早速明日の特急の切符を購入。もちろん朝一番の電車です。
これでアリカンテまでは間違いなくいけます。

切符を買ってから、まだバレンシアの海を見ていない事に気がつきました。
「そうだ、海を見に行こう」
地下鉄でマリティム・セッレリア駅まで。
ちょっと歩いてヨットのアメリカズカップが行われた跡地を見学します。
でも、この辺は特に面白みがないぞ、と。

アメリカズカップ跡地 アメリカズカップ跡地
(左:アメリカズカップ博物館 右:港)

海沿いを歩いていくと、しばらくして砂浜が見えてきました。
まだ泳いでいる人は居ないですね。3月だし当たり前か。
砂浜に降り立った瞬間、砂の柔らかさにビックリ!
「海岸の砂ってこんなに気持ちよかったっけ!?」
思わず手に取りたくなります。パウダースノーのようです。

バレンシアの海 海岸沿いの通り
(左:バレンシアの海 右:海岸沿いの通り)

波打ち際で子供たちがはしゃいでいます。なんとも微笑ましい光景。

波打ち際で遊ぶ子供たち
(波打ち際で遊ぶ子供たち)

自分も波打ち際を歩きました。靴が濡れるか濡れないかギリギリのところ。
沢山の種類の貝殻が落ちています。
その中にとてもきれいな種類の貝殻を見つけました。
7つ集めると幸せになれる…そのくらいきれいな貝殻です。
何故か本当にそんな気がして、この貝殻だけを選んで拾い始めました。
勝手に伝説を作って貝を拾うセンチメンタルなオッサン、本当に気持ち悪いですね(笑)

波打ち際を歩いて見た
(波打ち際を歩いて見た)

海岸を端から端まで歩く元気は無いので、途中で引き上げます。風も強くなってきました。
地下鉄に乗ってメスタージャのあるアラゴン駅へ。
昨日買えなかったRCDマジョルカ戦のチケットを購入しました。トリブナ・バハ、いわゆる一番良い席です。
一番良い席だけど、50ユーロ。バルサ戦の一番安い席と同じ値段です。

メスタージャ正面入口
(メスタージャ正面入口)

平日はメスタージャの内部見学が出来ます。チケットを買ったついでに中にも入ってみました。
誰も居ないメスタージャは、やっぱり試合のときと雰囲気が違います。
やっぱり高角度にそびえる3階スタンドは圧巻。下から見てもすごい迫力です。
なんとなくですが、カンプ・ノウの3階席よりもメスタージャの3階席の方が試合を見やすいです。
内部見学といっても、カンプ・ノウみたいにロッカールームやプレスルーム、にまでは行けません。
スタジアム内のトイレが精一杯。それ以上奥へ行こうとすると怒られます。あっという間に外へ。

誰も居ないメスタージャ
(誰も居ないメスタージャ)

スタジアムを出たら、目の前にあるスペイン代表の試合でもお馴染みマノーロおじさんのバルに行きます。
試合が無い日の昼間という事でお客さんは僅かですが、来るお客さんが皆マノーロと一緒に写真を撮っていきます。
さすがスペイン一有名なサポーターです。

マノーロおじさんの店
(マノーロおじさんの店)

自分も写真を撮ってもらい、ファンタ・レモンとタパスを一品注文。
鶏肉とチーズをトマトソースで煮た物です。これはうまい!
タパスを摘まんでいるうちに客が自分ひとりになりました。

マノーロ「日本人か?」
okku「そうです。バレンシアが好きでここに来ました」
マノーロ「おーバレンシアファンか。でも最近のバレンシアはダメだな〜」
okku「バルサ戦は良かったですけどね」
マノーロ「誰のファンなんだ?」
okku「アングーロファンです」
マノーロ「アングーロか。会えたのか?」
okku「パテルナで会えました」
マノーロ「娘は何歳だ?」
okku「2歳です」
マノーロ「俺の孫は6歳なんだ(店に飾ってある女の子の写真を見せてくれる)」
okku「かわいいですね。彼女もバレンシアニスタですか?」
マノーロ「いや、そうでもない(笑)」

そんな感じで気さくに話をしました。
帰り際には、自分の写真がプリントされたシールと絵葉書をくれました。
マノーロ、すごい親切なおじさんです。

2ショット お馴染みの太鼓
(左:マノーロおじさんと2ショット 右:お馴染みの太鼓は店内に吊るしてある)

店を出てのんびり歩きながらアパートに戻ります。
もう道には迷いません。すっかりバレンシアに慣れました。
明日こそはテッラ・ミティカへ行くぞー!