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あーとだいありー | 2004年11月−05年1月 |
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12月に札幌と美唄で見た展覧会について。 北浦晃 自選による油彩画展/テーマ別・1・「人物」=美唄市民会館(美唄市西4南1) 長文になったので「展覧会の紹介」に移しました。 お読みください。 大谷泰久・岬子 染色展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル5階 地図B) 旭川で、夫妻で染色をなさっている大谷さんです。 今回は、「デパートでは展示できない」大型のインスタレーション的な作品が、ギャラリー空間の中央を横断しているのが、ひときわ目につきます。 どちらかというと夏っぽいイメージですが、長さは6メートルもあるそうです。 そのすきまから見えているのは、フリーフレーム。部屋の仕切りなど、インテリアに使えます。 このほか、壁掛けタイプの作品の、上下の芯の部分のつくりを変えたというお話もききました。 けっこう細かい部分に気を配っているのは、さすがプロです。 なお、奥様の孝子(こうこ)さんは、名前を「岬子」に変えました。 読み方はかわりません。 「コスモス」「モミの木」「牡丹群生」など、道内の自然に材を得た、素朴な味わいが特質です。 □旭川・嵐山陶芸の里サイト □染あとりえ草創 ■04年5月の夫妻展 ■03年12月の展覧会 ■03年5月の展覧会 秋山知子展 「しずかにわたす」=STV北2条ビル(中央区北2西2 地図A) 個展タイトルになっている「しずかにわたす」は、2001年のさっぽろ美術展でも出品していましたから、もともと具象の裸婦像を制作していた秋山さんにとっては、エポックメーキングなシリーズといえるのではないかと思います。石膏による半球形は、骨組みの露呈したボウル、あるいは彗星のようです。 一方、秋山さんが裸婦を放棄したわけではありません。ただし、近年は、腕や脚が細い、独特な形が鮮明になってきました。「記憶」も、腕や脚や頭が小さい人体です。 さらに「球根」にいたっては、首がばねのような形をして、頭部は上下がさかさまについています。漫画的にデフォルメされた、直立する人物像です。 ■2001年のさっぽろ美術展 ■第77回道展 道新ぎゃらりー版画大賞展=道新ぎゃらりー(中央区北1西2 札幌時計台ビル地下 地図A) とてもおもしろい展覧会でした。 というのは、どんな版画のグループ展や公募展でも、その展覧会なりの作風というか傾向みたいなものがあるわけですが、これは初めての展覧会で、全国から作風がばらばらの作家が集まっているのですから、次に何が出てくるのかわからないスリルのようなものを感じました。 しかも、24×16センチという小さなサイズに限定したにもかかわらず、作品の水準は高く、ちまちましていない作品がそろいました。 大賞は佐藤真衣さん(山形県)。エッチングで、産卵するカエルの塊を描いています。ただの細密描写にとどまらない、スケール感が表現されています。 準大賞は小田悦子さん(東京)、三田健志さん(神奈川)。前者は、一見ぶっきらぼうな中にも、マティエールのおもしろさと構図の巧さが盛り込まれ、後者は、寂寥感ただよう風景に、しずかな感情がそっと織りたたまれているようです。 いずれも、画面の小ささをまったく感じさせない作品でした。 道内からは、渡辺政光さんがエフエム北海道賞。 渡辺さんはシャープなシルクスクリーンで道内版画界に新風をふきこんでいる道都大の出身ですが、抽象作品ははじめて見ました。 入選は、M.ババッチ、井上明男、梅津恒見、兼平浩一郎、小林皓次、西城民治、澤口紗智子、渋谷俊彦、清水萌、白石達也、多田奉代、土屋誠、畑悦子、松本ゆかり、村井峡戸の各氏がおられます(とかいって、知らない人がけっこういます)。 また、道外勢の入選者には、新進気鋭の版画家である大矢雅章さん、長年にわたってPLATE-MARK展をひらいてきた小樽商大出身の小林大さん、エルエテギャラリースペースで個展を開いた木口木版の鈴木康生さん、長年「道新TODAY」の表紙を担当していたことで知られる札幌出身の高橋シュウさんといった顔ぶれがいます。 このうち、高橋さんは、古い建物や街並みの作品が多いのですが、今回は意外にも、暗い色調によるバーネット・ニューマンとでもいえそうな、渋い抽象でした。 須田廣充書展「アメリカ・インディアンの聖なる大地の教えより」・第19回グループ「游」書展=札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G) 須田さんは1950年生まれ、札幌の書家。 76年に毎日賞を受け、現在は、毎日展と北海道書道展の会員。 「札幌の美術2003」にノミネートされ、スケールの大きな作品を出品していたのは記憶に新しいところでしょう。 今回の個展は、ネイティブアメリカンのJAMIE SAMSの言葉と詩のよる作品31点(と、プロローグとエピローグ)でそろえた、統一感のあるものとなりました。 須田さんによると、この題材に取り組み始めたのも「札幌の美術」のときだったそうです。 左側の写真をごらんになるとわかると思いますが、今回はいっそう巨大なスケールの作品になりました。 左の 「静寂の中で、私は奇跡の目撃者となりました。今夜、月ははじけます」 は高さ6.2メートル。右の 「闇と光の調和」 は6メートルもあります。 また、 「Earth Medicine」美しい生き方を歌ってください。いつか出会う私の祖先よ。ヘイエイエイエー。 は、原書のコピーをコラージュしたものを支持体にした、意欲的な試みです。また、「自然」も、新聞紙の上に書いています。 筆者がいちばん感銘を受けたのは、右側の写真の作品です。 漢字が象形文字である以上、書くと絵に似てくるのは道理ですが、この作品で須田さんは、象形文字の元になった絵のかたちに近づけるのではないやりかたで、その漢字の意味のいちばん深いところを汲んでいるように思えました。 つまり、「火」は、炎がめらめらと燃えているさまを直接描いたのではないですが、それでもやっぱり火に見えますし、「土」も、これは土以外の何物でもないのです。 いちばんむつかしかったのは「気」だったとおっしゃっていましたが、勢いと抑制の両立した筆使いは、やはり「気」なのです。 対象を、できあいの概念ではなく、より原初的なところでつかもうとする精神。それを、須田さんの書作品に感じました。 グループ「游」は、須田さんのほか、上戸抱山、栗村一山、小林〓(さんずいに「邑」)〓(上半分はのぎへんに「犬」のみぎはらいがはねになっている部首、下半分に「山」)、」佐々木信象、高谷義仁、田中理恵、網渕真由美、長澤玄来の各氏が出品。 小林さんは、詩文「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」のにじみが美しい。高谷さんの漢字「一天四海」は、きりっとした横線に惹かれました。 WONDER 3 カナタアツコ+JAMANI+阿部有未=千歳鶴 酒ミュージアム(中央区南3東5 地図G) 若手3人による、同ギャラリーとしてはめずらしい企画。 顔ぶれも、めずらしいくみあわせです。 カナタさんは、軽い味わいの版画。 雁皮紙に掛け軸ふうの作品が10点。 「大吟醸の夜」といった、いかにもこの会場らしいユニークな作品もありました。 ユニークといえば、落款ふうの「彼方」判もおもしろいものです。 JAMANIさんは、舞台美術やインテリアなど幅広い分野に、独特の曲線を生かした作品で取り組んでいる男性です。 今回の「かんざし」、1メートルはありそうです。デカイ。 阿部さんは、筆者が札幌を離れたころから活溌に発表活動をしています。 「swinging leaf」は、39枚からなる抽象画の作品。 「day by day」など、コラグラフもありました。 ■彼方アツコ個展(04年5月) ■JAMANI展(03年3月 画像あり) ■Rising Sun Rock Festival In EZO・アートテント(03年8月 画像あり) 渋谷俊彦展 −大地の記憶−=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D) 渋谷さんは札幌在住の版画家。 昨年始まった「絵画の場合」のメンバーでもあります。 今回思ったこと。 渋谷さんの版画って、一見そうは見えないのだけれど、すごくサイトスペシフィックというか、展示される場所でとても表情を変えるんですよ。 ご本人は 「光量のあるところのほうがよく映える」 とおっしゃっていましたが…。 画面をよく見ると、わりあいはっきりした濃淡があって、それが最初に版で刷った部分。その上に、メディウムをたっぷりまぜた絵の具の飛沫をのせていきます。 それを70回ないし100回はくりかえすということですから、根気の要る作業です。 このくりかえしが、色彩の透明感を生んでいるのだと思います。 青、緑、藍…。 色の点が重なり合い、交錯しあっている画面ですが、見ていて、まったく飽きません(それは、この写真を見ていても、なかなかわかってもらえないかもしれません)。 星の世界にすいこまれていきそうです。 「作品によって、点の大きさは変えています。かたち、といえば、最初の色の濃淡だけ。でも、かたちがない、色彩だけの世界でもない。 平面的でありながら、奥行きの現出する画面。 そして、たとえばインクジェット出力の画面にはけっしてないような、マティエールの厚み。 堪能させていただきました。 □作者のサイト ■03年7月の個展(画像あり) ■02年7月の個展(画像あり) ■二人展「交差する座標軸」(02年6月) 黒田拓写真展 『a sence of space 』空感=CAFE ESQUISSE(カフェ エスキス) (中央区北1西23 メゾンドブーケ円山 地図D) いわゆる「星景写真」(たんなる天体写真ではなく、周囲の風景を写しこんだ写真)の一種といっていいと思いますが、一般的な星景写真より、かなり幻想的です。 長時間露光による「時畝 Hazy Moon」、星の光跡や船の影をまとめた「夢幻海 Dream Bay」など、現実離れした美しさをたたえています。 もうひとつ特徴を挙げれば、題名が凝っていること。 「緋海 Dawn Red」「陽侵 eclipse」など。 昨年、第一写真集を出した札幌の若手です。 □作者のサイト "TIK TAK SHOWING"=The Prestige Gallery(中央区北7西22) 活発な発表活動を続ける札幌在住のベトナム人アーティスト、ダム・ダン・ライさん(彫刻)をホストに、佐々木雅子(立体)、伴翼(彫刻)、前川アキ(絵画)、阿部有未(平面)、中川多理(人形)、渡辺ひろ子(漆絵)の各氏が出品しています。 Laiさんは、この風変わりなグループ展の名前について 「時間はチクタクチクタクと常に変わらず同じリズムを繰り返していますが、刻まれた瞬間から常に私たちは新しくされて行くのです。この大きな宇宙の運行のスピードに謙遜に追随し、参加者一人ひとりが刻んできた創作の新しい瞬間の数々を、まとめて認知することができる、一つのグループ・ショーとして、一ヶ月間皆様にご披露致します」と、ギャラリーのプレスリリースで語っていました。 ご本人はいまごろ、寒い北海道を離れ、ベトナムで冬をすごしているのでしょうが…。 左上の写真が、そのライさんの立体です。 これまでの、どこか土俗的な薫りのする木彫とはまったくことなる、金属の重厚な、それでいてどこかオブジェ調の作品。 うーん、けっこう引き出しの多い人なのかも。 右側の写真は、奥様の渡辺さん。 漆による平面です。 漆というと、木の器の表面に、平滑に塗って、お碗などにするのが一般的ですが、渡辺さんの塗りかたは、エネルギッシュで、重厚な色の飛沫がひろがる抽象絵画のような世界になっています。 円形が七つ並ぶ「無・不・宇」は、どこか「東洋的」な神秘性をただよわせています。 それにしても、いちばんびっくりしたのが、佐々木さんの作品でした。 作風ががらりと変わり、実際のおもちゃや人形などを、そのまま漆でくるんでいます。 幼子の記憶を、そのまま保存しておこうという衝動のもとにつくられたかのような、一種のインスタレーション的な空間になっています。 たしかに、赤ちゃんって、あっという間に大きくなってしまい、誰もがそのころのことを忘れてしまいますからね。 もっとも、時間をとどめておこうとする性急さが、或る種のグロテスクな感じを生んでいるのかもしれません。これは、悪く言っているのではないのですが。 □ダム・ダン・ライさんのサイト ■04年1月のグループ展 ■04年1月の個展 ■03年10月の個展(画像あり) ■03年8月の彫刻展 □佐々木雅子さんのサイト ■03年5月の個展(旧姓谷口雅子さん 画像あり) ■北の彫刻展2004(伴さん出品) ■03年12月の伴翼展(画像あり) ■New Point(04年1月 画像あり) ■中村修一・前川アキ2人展 (2003年 画像あり)■02年9月の前川アキ展 ■03年3月のグループ展(中川さん出品 画像あり) ■04年6月の渡辺さん個展(画像あり) 阿部典英展=ギャラリーどらーる(中央区北4西17、HOTEL DORAL) 地図D 彫刻家として、また、美術教育の場でも精力的な活動をつづける札幌の阿部さんですが、今回は、いわば「間奏曲」的な個展になりました。 海岸などで拾ったカラスの羽や木片、貝殻などを組み合わせて作ったボックスアートなどの旧作です。 以前にも書きましたが、どうしてこんな安っぽい素材から愉しい作品が生まれてくるのやら、感服しきりでした。 ■03−04展 ■北海道立体表現展’03 ■北方圏アートプロジェクト第3回美術展(03年7月) ■札幌の美術2003 ■北方圏アートプロジェクト美術展「北方からのメッセージ」(03年2月) ■北方圏アートプロジェクト(02年9月) ■WAVE NOW(02年9月 画像あり) ■Norhern Elements(02年8月) ■北海道浅井学園大学北方圏学術情報センター ポルトギャラリー・オープン記念展 ■阿部典英個展”Propagtion”(02年5月) ■北海道立体表現展(01年) |