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あーとだいありー 2004年1月前半
1月15日(木) アミューズランド2004 ガリバー美術探検記=道立近代美術館(中央区北1西17 地図D) 美術館の役割として、展覧会をひらいたり作品を収集したりといった活動にとどまらず、普及や教育の重要性が近年とみに強調されるようになっています。「キンビ」こと道立近代美術館は普及、教育事業にかんしていえば、全国の美術館でも先駆的存在といわれています。さて、今回はタイトルからわかるとおり、常識的なサイズからかけはなれた作品をあつめており、ガリバーが巨人の国や小人の国をめぐっていくという趣向になってます。 で、今回の特徴。 知ってる作家がすくないぞ。 道内からは、「An Entrance to a Lost Forest」と「An Afterimage」を出品している川上りえさんだけ。 前者は、昨年コンチネンタルギャラリーの企画展で、後者は2001年暮れにギャラリーたぴおでひらいた個展で発表した作品で、ふたつの展覧会の作品がミックスされて展示されてます。 ほかに知ってるのは、ハイパーリアリズムで名高い上田薫と、吉村益信だけ。 吉村さんの「大ガラス」は、その名の通り、巨大なカラスですが、これはもちろんデュシャンの大作の通称をもじったタイトルですな。 筆者は 「地域の作家を使うべきだ」 などと田舎の政治家みたいなことは申しません。ただ、吉賀暁のクワガタムシは、清治拓真くんのつくった虫でも代替可能だろうし、倉本麻弓のやたらたくさんある箱形作品にかんしていえば、夢の視覚化ということでは坂東史樹さんのほうがすぐれていると思います。 絵画では、後志管内倶知安町の徳丸滋さんの、水草や虫を描いた絵などは、まさに「ミクロ」の視線です。 ただ、展覧会を見渡すと、いわゆる絵画は、それほど多くありません。彫刻となると、川上さんだけといってもいいくらい。立体はたくさんあるのだけど、みな着彩してあるのです。 そのわけを筆者なりに考えてみました。 絵画や彫刻って、大きさをチャラにするところがあると思うんですよね。 札幌の羊ケ丘展望台に行ってクラーク博士の彫刻を見て 「ふーん、ずいぶんおおきな人だったんだな」 と言う人はいませんよね。 絵画でもおなじで、10号と20号の肖像画がならんでいるギャラリーで 「わー、こっち20号の人、身長が10号の人の倍もあるぞ」 と思う人はだれもいませんし、サムホールのキャンバスに描かれた百合の花を見て 「こんなに小さな百合があるわけないだろう」 と怒り出す人もいないでしょう。 つまり、見る人が、これは絵である、これは彫刻であるという約束事を承知しているかぎりでは、対象物との大きさの差は、あまり問題にされないんですよ。もちろん、程度問題ではあるんですが。 でも着色をほどこすと「彫刻」っぽさがぐっとうすくなるので、実物との差が気になりだすわけです。 程度問題、ということでいえば、伊庭靖子の絵画2点は、一般的な大きさの範囲を大きく逸脱しているので、「あれっ」と思うのです。 おもしろいのは、よーく見ると、たしかにお菓子やシュークリームの部分を拡大して描いたらしいということがわかってくるのですが、なーんかイマイチはっきりしないんですよね。お菓子じゃなくてイクラに見えないこともないし。ふつう、大きく描けば、対象がなにかははっきりしてくるもんなんですが、大きすぎてかえって対象がなにかわからなくなるという逆説がおもしろい絵だと思いました。 溝口芳夫写真展=札幌市資料館(中央区大通西13 地図C) おもに母子像や、子どもをテーマにした道内の野外彫刻(パブリックアート)のカラー写真64点を展示しています。札幌・大通公園にある本郷新の「母と子の像」、道央自動車道の砂川パーキングエリア内にあるかわいらしい子どもの像(作者不明だそうです)、岩見沢の公園にある山田吉泰さんの彫刻などなど、美術ファンになじみのあるものもあれば、あまり知られていないものもあります(筆者は、札幌の真栄に彫刻公園なるものがあることをはじめて知りました)。 もともと溝口さんは、道内各地の開拓功労者の像を撮るのをライフワークとしており「あとは道東の20点ほど」になったとのこと。今回展示した彫刻の写真はいわば「ついで」で撮影したものですが、こうしてテーマを絞ってならべると、あらためて、それぞれの彫刻家や溝口さんがいだいている子どもへの愛情のようなものがつたわってきます。 「こんなにすばらしい彫像があるのに意外と地元の人は知らないんですよ。子どもたちのほうが場所を知っていることが多いですね」 18日まで。 13人の作家による小品展=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D) 昨年、同ギャラリーで個展をひらいた作家のうち13人が小品を出品しています。1万から5万円まで。安いです。 ちなみにほとんどが無題。抽象的な作品が多いです。 間笑美さんの作品は支持体と額のガラス板の間隔があいていて、内側の壁にあたる部分にも、黄緑系の着彩が施してあります。カンバスの側面にも色を塗るなどして、厚い支持体を壁に掛けたような作品はけっこうありますが、この間さんの作品は、その厚い支持体をひっくり返して裏側から見たような格好で、けっこうめずらしいかもしれません。 椎名澄子さんは3点。いずれも女性像で、今回の展覧会では珍しい具象です。うずくまった女性の腰や後頭部から芽のようなものがきざしているものもあり、ここでは人間と植物とがむりなく融合しています。 野村裕之さんは、石と木を組み合わせたような壁かけ型作品と、かがみもちや魚を思わせるかたちをした3点組の作品を出品。そこはかとないユーモアがあります。 狩野立子さんは、雲母をちらしたような平面がうつくしい。加藤宏子さんはことなる種類の石を組み合わせたのがユニーク。酒井浩慶さんの木彫はまるっこいかたちで、どこか風景をも思わせます。 18日まで。 |
1月14日(水) まだ年が明けてそれほどたっていないのと関係あるのかどうか知らないけど、陶芸と日本画と書の展覧会が多いような気がします。 京焼・清水焼 豊仙窯 長田豊仙作陶展=工芸ギャラリー愛海詩(えみし=中央区北1西28 地図D) 長田さんは、京焼・清水(きよみず)焼を代表する作家のひとりだそうです。 会場を見渡しての感想は 「この精緻さは、おおざっぱな北海道人にはなかなかまねできないよなあ」 というものでした。 向付にしろ壺、皿にしろ、とりわけ絵付けに、伝統の技と、正確さを感じます。 仁清写しの壺が2点ありました。桜の図は、京焼の大成者、野々村仁清(にんせい)がよくしたものですよね。絵画性を取り入れた京焼らしい、華麗な作品だと思います。 「写し」というのは、オリジナリティーを重んじる現代の考え方にはあっていないかもしれませんが、これをつづけてきたことが、何百年もつづいてきた窯場の伝統と革新の力を生んできたのではないかと思いました。 18日まで。 大滝村 北海道陶芸展移動展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B) 胆振管内大滝村が毎年ひらいている陶芸公募展。90年代後半以降、各回の上位3点と、昨年の入選作を展示しています。 筆者は、おどろくとともに反省しました。大滝村で、このような質の高い陶芸展をおこなっているなんて、知らなかったのです。 応募は道内はもとより、信楽などの本場からも来ており、展示作も、道内と本州が半々くらいでした。 昨年の大賞は、香西信行さんの「自然灰窯変壺」。灰がめまぐるしいまでの色彩変化をみせ、圧巻です。入選者では、韓成王さん(札幌)の「摩周」の深い青が、印象に残りました。 陶芸好きにはぜったいに見逃せない展覧会だと思います。 18日まで。 札幌時計台ギャラリーは、日本画が7室中5室を占めています。 第二十七回日本画美萼会展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A) 森山希紫鳥さん(札幌)が主宰する日本画のグループ展です。筆者の知るかぎりでは、このギャラリーの新年トップバッターを例年かざっています。 小品には色紙の作品もありますが、絹本着色の額装作品が中心。これは、現在ではめずらしい行きかたかもしれません。 題材は、花が大半を占めています(もちろん、ボタニカルアートではないので、背景には色が塗られています)。このことも、展覧会が伝統の味わいを漂わせる要因になっているのでしょう。 森山さんの「夏陽洩る」は、花の先にルリシジミのようなかわいらしい蝶が描かれているのが、よいアクセントになっているようです。勝木郁子さん「実る(パパイヤ)」は、南国の情緒ある作品で、青い首の鳥が華やかさを増しています。尾崎絢子さん「谷間に咲く」は、赤い高山植物の背景に、白くかすむ山容を配しています。右下で、花が一輪落ちており、画面にうごきというか、時間の経過のようなものを導入しています。 北海道教育大学札幌校日本画研究室 にかわ絵展=同 18人が出品。ひとりだけ2年生がいるのは、留学していたためだそうです。 かならずといっていいほど複数出品する富樫はるかさんは今回も2点。「残された夏」は、横長の画面に若い女性の肖像を描いています。首にまいてあるものはチョーカーでしょうか。何本もあるので首を締め付けているようにすら見えます。おもしろいのは「夜明け前」。地平線がななめに引かれ、3本の電線が渡された電柱の列がつづいているというだけの絵です。モティーフがすくないゆえに抽象画を連想させるという点で筆者は、福田平八郎「雨」を思い出してしまいました。 松田彩さん「ゆき」は、山と木と家がある平凡な冬景色を、油彩のような厚塗りで描いた小品。 谷地元麗子さん「密かな反抗」。灰色の猫を抱いた若い女性像。めずらしく洋服を着ていますが、派手なペイズリー柄で、彼女の特徴である装飾性はうしなわれていません。 中島涼沙さん「温」。寄り添うダチョウ2羽を緻密に描写。達者です。 これも動物画といえるのでしょうか、渡辺優太さん「6t」は、ティラノサウルス2頭が夜の森の中へと走り去ろうとするようすを描いています。木々の上の巨大な満月が、ファンタジー性をつよめています。 野口裕司展=同 札幌の野口さんも新年恒例です。 ことしはE室とF室を仕切り、E室は、昨年の「北海道立体表現展」に発表した立体を中心に据えたインスタレーション「「□」door of the another place〜家族のある空間(そら)」、F室にはドローイングや、画用紙などによる大きな平面「皮膚の構造と関係」2点を展示しています。 E室は完全に照明が落とされています。周囲の壁には、電球が仕込まれた半透明の樹脂の小さな箱にさまざまな家族写真(作者のものではないようです)が貼られ、アンティームな雰囲気を感じさせます。ドローイング類は、銀箔が貼られて巧みな構成です。 ただし、昨年も書きましたが、野口さんは毎年あまりにも作品の傾向がちがうので、どう言って良いのやらこまる部分もあります。 以上、17日まで。 第6回桑林会書展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B) 道内書壇のベテラン佐藤満さん(札幌、1927−)が主宰するグループ。淡墨によるやわらかい線の漢字作品が会場を埋めつくしています。 そのなかで、和泉星沙さん「雨如嘯」は大胆な空白のとりかたと呼吸において、また山本玉沙さん「扶桑外」は曲線の連綿するなかでふいにあらわれる強い直線において、師風を受け継ぎつつ独自のものを感じましたが、これはしろうとの意見なので、ほっといてください。 18日まで。 異形小空間22人展9th=ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館 地図A) 年末年始をまたいでひらかれているグループ展。 目を引くのが、畑俊明さん「黄泉の国から」。壁に、動物の頭骨がうつされた、背景の黒い大きな写真プリントが貼られ、その手前に、錆びかけた水道管のような金属の柱が立っています。柱には、ドライフラワーの花束が逆さに取り付けられ、その前の床には、リベットのついた古びた木の直方体が置かれています。イメージ(平面)と、時をへて古びる現実のモノとの対比−ということなんでしょうか。 川村雅之さん「effort」は、透明な支持体に躍るドローイング。 これまで、現実の風景や静物を単純化しつつも抽象画一歩手前でふみとどまっていた竹田博さんでしたが、今回の「はまなす」では、ついにロスコばりのカラーフィールドペインティングになっています。 古賀和子さんは、同型のオーブントースター4台に着彩し、内部に人形などを詰め込んだポップなオブジェ。 札幌から仙台、東京を経ていまは愛媛在住の上條千裕さんは、茶色や灰色がしぶいけはいをただよわせる抽象の平面3点です。 ほかに、青木崇、木口悦子、後藤顕、進藤英俊、鈴木功一、瀬野雅寛、高坂史彦、D.ヒサコ、西田彩、林教司、兵藤いずみ、藤川弘毅、丸瀬文現、ユラ、渡辺英四郎、吉住ヒロユキの各氏が出品。案内状に名前のあった太田ひろさんは、作品が見あたりませんでしたが、ライブで参加ということなんでしょうか。 18日まで。 オープン記念特別展 第6期=道新ぎゃらりー(中央区北1西2、時計台ビル地下) 目良廸哉、寺井敏、谷口勲夫の3氏が写真、岡部敞子さんが原色押花、河合美代子さんがステンドグラス、山口洋子さんが「クレイ染の花 パンの花」。 25日まで。 |
1月10日(土) きょうは書道が大半です。 オープン特別記念展 第5期=道新ぎゃらりー(中央区北1西2、時計台ビル地下) 道新文化センターの講師陣の作品を2週間ずつ紹介するシリーズの5回目。今回は、書道で統一されています。 社中でも公募展でもない、小さな規模でしかも一定水準の書展は、ありそうでない、めずらしいものだと思います。 ろうけつ染めによる書で知られる石川錦京さんは近代詩文。屈託のない、のびやかな書風です。木村信男の俳句など。 金津墨岱さんは漢字の臨書と、漢字少字数書の「陀」。 田上小華さんと安喰のり子さんはかな。田上さんは紙がゴージャスで、いかにもかな書らしい雰囲気。安喰さんは太祇の句の分かち書きがあざやか。鈴木竹華さんもかなで、新古今集からの2首をわりあい力のこもった運筆で書いています。 小田島美翠さんは篆刻1点のみ。 中川清風さんの教室は助教陣が分担しているのでしょうか、本間紫雲、熊川慶子、小村慶風、岩村通希の各氏も出品しています。 11日まで。 第15回 書と絵の五人展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル 地図B) 新年恒例、北海高校の先生と元先生によるグループ展。 絵画は松竹谷智さん、川本ヤスヒロさん、書は保原旦舟さん、佐藤辰舟さん、堤〓(くさかんむりに九)野さんで、堤さんは1室を借り切って個展スタイルです。 川本さん(全道展会員)は「デルフィにて(ギリシャ)」「ベニスにて(イタリア)」「ラ・セーヌ」など、図録には7点がリストアップされていますが、会場には小品12点がありました。人間の死と生を見つめるいつもの重たい作風からは離れて、風景や静物に筆をふるっていますが「ラ・セーヌ」などの厚塗りは、川本さんらしさを感じさせます。 堤さんは「森羅万象」が、まとまりのある力作。ほかは大半が少字数書で、バランスと力の両立した構成を見せてくれています。 札幌市書写書道教育研究会 小学校部会教員展=同 校長や教諭ら11人が出品する本格的な書展。 清兼孝生(吼)さん。「雪がふるふる雪みておれば」など2点が種田山頭火の俳句。躍らず騒がず、じっくりとした筆使いです。 種村志郎さん「帰一」は、墨色の渋さにくわえ、静けさと力があいまった筆致が余韻をただよわせていました。 いずれも13日まで。 ここまでで時間切れ。グループ月蝕展(ギャラリー大通美術館=中央区大通西5、大五ビル)にいけなかったのが残念! 芸術の森美術館(南区芸術の森2)「北の創造者たち展 虚実皮膜」の「アーティストトーク」はおかげさまで皆勤賞でした。 |
1月9日(金) 道外の美術家の訃報が2件。 まず、日本画の守屋多々志さん。91歳でした。 前田青邨に師事し、歴史画をよくしました。高野山金剛峰寺別殿の襖絵などが代表作です。 9日の日本経済新聞「文化往来」によると、吉川英治の「新・平家物語」の挿絵や、黒澤明監督の映画「羅生門」の衣装デザインや舞台美術でも活躍したそうです。 ところで守屋さんは院展同人でしたが、このことを死亡記事で明記した新聞が1紙もなかったのはなぜだろう? 9日の読売新聞夕刊によると、ポーランド生まれでパリ在住の彫刻家ピオトル・コワルスキーさんが亡くなりました。76歳でした。 記事によると「芸術と科学の融合を目指した野外作品で知られる。代表作に「地軸」(パリ郊外)などがある」のだそうです。 ギャラリーどらーる(中央区北4西17、HOTEL DORAL)のサイトの掲示板で、坂本氏が「北海道教職員美術展」について書いていらっしゃいました。道内の教職員の絵画や工芸が多数展示されて、見ごたえがありそうです。筆者はまだ見てませんが。 10日まで。札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)。 |
1月5日(月) 蔦井乃理子 陶展=千歳鶴酒ミュージアム(中央区南3東5 地図G) 銀彩のうつわが中心。あまりけばけばしい主張をせず食卓にマッチしそう。でも、埋没してしまうのでもない、微妙かつあたたかい存在感があります。 8日まで。 DAM DANG LAI Exhibition=サッポロ珈琲館本館(西区八軒1西3) 昨年あたりから活溌(かっぱつ)に発表活動をくりひろげている札幌在住のベトナム人アーティスト。 今月はじつに喫茶店4カ所での発表を同時展開しています。 いちばん規模が大きそうなのが、この会場。喫茶スペースの外側の廊下がギャラリーになっています。アクリル画だけでなく、陶によるオブジェ、木彫もあります。 アクリルは「Night Town」「River」など、原色をラフな矩形に配した抽象画が中心。 また「独版」という聞きなれないことばで説明されていたシリーズ「未来」の9作品は、マンガのような人の顔が浮かび上がっています。たぶん「コラージュ」ってことなんでしょうけど。 15日まで。 会場は、JR琴似駅西口から徒歩3分。駐車場あり。 DAM DANG LAI Exhibition=Tom's Cafe(北区北6西2 パセオ地下 地図A) こちらは喫茶店の壁にアクリルの抽象画が10点あまり。 以前おなじ会場で発表したときにくらべると、ややサイズが大きいせいか、室内空間に完全にとけこむというよりは、壁の上で自己を主張しているような印象をうけました。 31日まで。 ほかに、Kudo's Cafe(北区北23西4、プラザハイツ24)とCafe Rosso(中央区北3東3 地図G)でも開催中。 ■03年10月の個展(画像あり) 石橋孝継写真展 野生の鼓動=ギャラリー・パレ・ロワイヤル(豊平区月寒中央通9) いわゆるネイチャーフォトです。カラー約40点。 被写体は、エゾシカ、キタキツネ、エゾリス、ナキウサギといった、北海道ならではの動物たちや、コミミズクやアカゲラなどの鳥です。 逆光をたくみに生かして、動物たちがいきいきととらえられています。 個人的には、ワッカ原生花園(網走管内佐呂間町)で撮ったという、ノビタキがカッコウを威嚇している1枚がおもしろかった。カッコウは他の鳥の巣をつかって子どもをかえす、風変わりな特性の鳥なんですよね。 15日まで。 アート本情報に 「ダダ・シュルレアリスムの時代」 「絵画と現代思想」 「絵のある人生」 の3冊の感想を書きました。 「微光のソノリテ」も好著でしたので、近日中に書きたいと思います。 新刊ではありませんが、さいきんよんだ美術書では、「ロマン主義芸術」(千足伸行著、美術出版社)がおもしろかったです。 ロマン主義の芸術にかんする本はいろいろ出ていて、筆者もけっこう読みましたが、一読して全体像がつかめる手ごろな概説書がなく、歯がゆい思いをしていました。 この本は、成城大学教授として展覧会図録や画集の解説の執筆などで幅広く活躍している千足さん(たしか鶴田真由の先生です)が、30代の講師時代に書いたものです。フリードリヒのあゆみを中心に、ずばり「ロマン主義とはなにか」を、わかりやすく説いています。 古本屋で見かけた際は、ロマン派に多少なりとも興味のある方は絶対に「買い」だと思います。 |
1月3日(土) 訃報です。 3日の北海道新聞の広告によると、札幌在住の道展会員で水彩の長老格だった高橋榮吉さんが昨年暮れ死去されていました。86歳でした。 葬儀は近親者で済ませたとのことです。 高橋さんは、1954年に会友、57年に会員になっています。同年の会員推挙組は久本春雄、伊藤隆一といった人々(故人)であり、高橋さんよりも古い現役の会員は、水彩の氏家和夫さん、油彩の小林政雄さん、岸田賢治さんなどごくわずかになってしまいました。 ご冥福をお祈りします。 |
1月2日(金) 03−04展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B) 道内で活躍中の画家、美術作家の小品がならぶ、毎年の暮れ・正月の恒例企画展。 ことしは78人が出品の予定でしたが、竹内豊さんと中谷有逸さんがつごうで出品していません。 全員が平面か、BOXアートなど壁に設置できる作品です。 阿部典英さんはサルを擬人化したユーモラスなドローイングを出しています。 また、通常は怖い顔の女性像をよくする村本千洲子さんは「昭和のお正月」で、1964年1月2日の雪の正月を、事細かに描いています。凍てついた窓からはハリストス正教会らしき建物が見えます。窓の下には「函館市街図」。この細かさは、おせち料理をきっちりつくる主婦の細かさでしょうか、良い感じですね。 しかし、全体的には、新年らしい作品はあまり多くありません。いつもの作品の延長線上にあるものが多いようです。例年、がらっとちがう作風の工藤悦子さんも、ことしは青の生命を思わせる絵になっています。 國松明日香さん「北北東の風」は、縦の直線と楕円形が織りなすいつもながらの作品ですが、サイズは「風」史上最小ではないでしょうか。 渡邊慶子さん「December thin ice」は、力のみなぎる画面は変わっていませんが、上半分に薄い青の矩形がかさなり、画面に変化が出てきているようです。 加藤宏子さん「鼓動」は石の作品。石そのものよりも割れ目が作品の本質になっているあたりは加藤さんらしいと思うんですけど。 森山誠さん「白い器」。森山さんは人物抜きで絵画空間を成立させようと90年代後半から試行をつづけてきましたが、今回は白いビアマグを大きくあしらうことで、強度のある空間をつくっています。 荒井善則さんはさまざまな色の塊が舞う抽象版画「Soft Landing to Season」、岡倉佐由美さん「遊星」は金色に光るオブジェ、坂本順子さん「第6文明」は卵6個をつかった箱型作品、金子辰哉さん「申年」は黒いひも状のものがうねうねと堆積する不思議な作品、斉藤嗣火さん「双樹」はふたつの裸木を抑えた色調で描き、渡会純价さん「風の国」はこれまで以上に軽妙な線が躍る銅版画です。 この調子で書いていくときりがないですね。ほかの出品者は次のとおりです。 赤石準一、浅野天鐘(日本画)、阿部美智子(イラスト)、泉修次(立体)、伊藤和仁、巌信栄、岩本勝美、上野仁櫻、江川博、大滝憲二、折登朱実、柿崎煕(立体)、片原早苗、香取正人、金子直人(金工)、川上りえ(彫刻)、川口浩、川本ヤスヒロ、岸本裕躬、北山寛明(日本画)、香西富士夫、近藤健治、櫻井マチ子、佐々木けいし、佐々木徹、下田敏泰、白鳥洋一、鈴木涼子、関川敦子(版画)、高沢のり子、高橋英生、高橋ミチ、武石英孝、谷口一芳、田村佳津子、田村宏、友野直実(版画)、永井美智子、中田やよひ、中野邦昭(日本画)、中吉功、野崎嘉男、波田浩司、畑野天秋、林田理榮子、林亨、原賢司、府川誠、藤野千鶴子、藤本和彦(立体)、藤原守、前川アキ、毛内康二、毛内やすはる(立体)、守矢有里、門馬よ宇子(オブジェ)、八木伸子、八木保次、八子直子(BOXアート)、矢崎勝美(モノタイプ版画)、吉田茂(平面)、米澤榮吉、米谷雄平(半立体) 4日まで。 ■02−03展 ■01−02展 ■00−01展 1月1日の新聞では、読売が美術展の紹介に力を入れている。 4月15日から都美術館で、フェルメール最大の作品「画家のアトリエ」本邦初公開をふくむウィーン美術史美術館の名作を紹介する「栄光のフランドル オランダ」展をひらくのをはじめ、9−12月にはマティス展もひらかれる。 道新にも、道内各美術館の日程の一部が紹介されている。おおやけには、道議会で新年度の道予算が可決されてから、っていうことなんだろうけど、もちろん内々には新年度の予定はほとんどきまっている。 気になるものを転記しておくと 4月4日−5月23日 作家からの贈りもの展(芸術の森美術館)ってとこでしょうか。 |