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あーとだいありー 札幌など日記
2004年11月以降
 
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 11月3日、13日とあいついで札幌に行った。

 10月は1回も行けなかった。

 9月に札幌へ行った際に見ていて、まだ報告していない展覧会がいくつかある。
 そのうち
「北の彫刻展」
「堀内正和の世界」
「流政之展」
「中江紀洋展」

については、別のページでまとめて書いてあります。

 ほかに、Dam Dang Lai Solo Exhibition "IMAGENE"The Prestige Gallery(中央区北7西22)
 札幌在住のベトナム人アーティスト。
 絵画も彫刻も手がけます。
 とにかく精力的な発表をつづけています。
 絵画は、即興的なドローイングやペインティングで、スピーディーな筆使いです。
 これだと、どんどん作品ができてくるだろうなと思います。

 □ダム・ダン・ライさんのサイト
 ■04年1月のグループ展
 ■04年1月の個展
 ■03年10月の個展(画像あり)
 ■03年8月の彫刻展

 11月3日のことを書きます。
 あー、おわってしまった展覧会が多くて、さびしいな。

 小樽・札幌古本屋物語市立小樽文学館(色内1)

 小樽の博信堂、札幌の弘南堂やサッポロ堂書店、並樹書店など、両都市の古本屋さんにブース出品してもらい、古書という切り口から地方の文化をとらえなおそうという斬新な企画(ってなかんじでいいんでしょうか、タマガワさん)。

 古本屋は売ってナンボの世界ですから、売り物を、売らないにもかかわらず出品してもらうために、文学館はかなり説得に苦労したようです。
 左の写真で、書棚の横に吊り下げられているのは、戦前の労働者向けの新聞です。たぶん。

 で、図録は、今回の展覧会とほとんど関係ない冊子なのですが、その過半を占める(35ページ中23ページ)「札幌古書店地図」は、1982年春の札幌南高生徒会評論誌「みなみ」26号から転載されたものです。
 そのイラストや店内図などをすべて書いたのが、いまや道内を代表する映像、現代美術作家の伊藤隆介さんです。
 当時、もちろん高校生。

 ところで、下の写真に小さく写っているのは、札幌の薫風書林(北区北10西4 地図H)のご主人です。
 薫風書林さんは、宗教書ばかり陳列していました。
 文学館側から、ひとつにテーマをしぼって出品するよう依頼されたためだそうです。市立小樽文学館の古本屋展の入り口
 「考えてみたらおかしい話なんですけどね」
 ご主人はわらっていました。
 筆者は、薫風書林は日本一の古本屋であると、勝手に断定しています。
 宗教のみならず、文芸評論、思想、科学、建築、新左翼、旧ソ連関係など、この本屋ほどたくさん店頭にならべているところは、すくなくても東京の神田や早稲田にはありません。
 筆者の売り払った本もあります(って、それはどうでもいい話)。
 おそろしく狭いスペースにぎっしり本が詰まっていますが。


 大月源二展市立小樽美術館(同)

 戦前、東京美術学校(現東京藝大)を卒業しながらも、日本のプロレタリア美術運動を代表する「告別」(1929年)を制作、戦後も日本美術会や北海道生活派美術集団の結成にかかわった小樽ゆかりの画家(1904−71年)の回顧展。
 戦中は投獄もされ、晩年は手稲(現札幌市)にアトリエをたてていました。ことしが生誕100年になるのですね。
 「告別」は、この夏東京都現代美術館など2会場でひらかれた「再考:近代日本の絵画」展でも出品されていました。
 北海道の美術を代表する画家のひとりだと思うのですが、先年、道立近代美術館で企画された「回想・北海道の25人」展ではえらばれておらず、もうすこし評価されてもいいのではという気がします。

 今回の展覧会は、油彩を中心に76点がならんでいます。
 関連資料をいれると、100点を超すそうです。
 図録は、べつに高額なものが発売されるそうで、展覧会のために編集したものはないようです。
 大月の評伝は、すばらしい本があります(「画家 大月源二 ―あるプロレタリア画家の生涯―」金倉義慧 著 論創社)が、画集はなかったのでまあいいことだと思いますが、高額な大月源二画集というのがそもそも形容矛盾みたいな気もしますね。

 関連資料というのは、小林多喜二の新聞小説のスクラップ帳などです。
 大月が挿絵を描いていたのです。
 ほかに、昭和18年12月の個展のちらし、なんてのも展示されています。
 石井柏亭が跋を書いており、「包とブリアートの子供」「スピークキと馬」などの絵の図版が印刷されています。

 「いわし場」(1937年)は、上の評伝にも図版が載っていましたが、実物を見た人は少ないと思います。モティーフを労働に求めているのは、大月らしいですが、戦後のリアリズムとはことなる画風の貴重な作品です。
 戦中の代表作といえば「三河の農夫ポノマリヨフ」ですが、今回は出品されていません。

 「春の歩み」(46年)も、同館の展覧会では何度か見た絵です。
 昔の小樽が、いかに雪が多かったかを物語る歴史の証人的な作品でもあります。
 電柱に貼られたポスターの「武内清」は共産党の候補の名ですが、この絵の完成直後に40歳で亡くなったそうです。たしか、多喜二の未完の長篇小説「転形期の人々」の主人公のモデルではないでしょうか。

 「小沼のほとり」(49年)「晩秋」(51年)は、点描のうまさがさえる風景画。構図も、非の打ちどころがありません。
 「冬近い日(冬がやってくる)」(66年)も、そのうまさが深く印象にきざまれています。筆をぽっとひとつ置いただけで、それが後ろ向きに歩む老婆であるとか、干した大根であるとかが分かるのですから、その力量はすごいものです。
 おなじような位置から描いた作品に「石狩湾の見える5月の丘」(69年)があります。
 前者が斜めに差し込む暖色の光線でつつまれているのに対し、後者は日の高さがはっきりしており、ここでも画家の尋常ならざる光への感覚を知ることができました。

 ほかに、小品の描写力の高さも、驚きでした。
 来年2月20日まで。年末年始は31日から1月5日まで休館。

■道産子画家が描いたアジア(03年)
■回想・北海道の25人(02年)


 「生きずく鉄 浅井 憲一 作品展」= ラ・ガレリア3F アートホール(中央区南1西3、地図)浅井憲一展の会場風景

 ことしはずいぶん精力的に発表活動にとりくんでいる札幌の金属彫刻家の浅井さんです。
 今回は、これまでの集大成のような展覧会で、1997年だったか札幌グランドホテルで発表した彫刻もあり、なつかしかったです。
 中央手前にある卵形の檻のような作品は、この夏に札幌芸術の森アートホールでひらいた個展で数点出したもの。
 おなじかたちで、人間が入れるものもあるそうです。
 浅井さんによると、入ってみないかと勧められるとよろこんで中に入る人が大半だとか。
 人間は自由を求めているのに意外なもんだ、という話でした。

■04年3月の個展
■03年9月、アトリエでの個展 (画像あり)
■02年9月の個展(画像あり)
□作者のサイト AZプロジェクト


 渡辺三重陶展=さいとうギャラリー(同5階 地図)

 この展覧会については、筆者が北海道新聞渡島檜山版に書いた記事を転載します。
 八雲町浜松に「陶工房とうぞう」を開いている陶芸家、渡辺三重さんが札幌で個展を開いている。白地に茶や青を加えた独特の色合いと、ユニークなデザインで、訪れた人から好評だ。

 渡辺さんは小樽や胆振管内虻田町で陶芸に取り組んだ後、一九九二年に八雲に移転した。札幌での個展は「十年ぶりぐらい」という。

 作品は、猫の置物などもあるが、マグカップ、そばちょこ、コーヒーカップなどの食器類が中心。長万部の名所を図案に取り入れた「静狩湿原図箱」や、函館のイメージを絵にした壁掛けも。釉薬は、洞爺湖温泉の近くで取った土を調合して自作したものだ。

 「ただ焼くのではなくて、クラフトとしてのデザインをすごく意識して考えました」と話す通り、一部が欠けたように見えるのにちゃんと飲めるカップや、台の部分をずらしたような形の食器など、遊び心が隠された作品が多い。

 中央区南一西三、ラ・ガレリア五階、さいとうギャラリーで、七日まで。今月十九日から十二月一日までは、函館市豊川町のはこだて工芸舎BAYはこだて店でも個展を開く。

 八子晋嗣立体彫刻展=同

















 たのしい木彫の八子さん。
 左の写真には、楽器を兼ねた作品や、木馬もあります。
 会場入り口にあった「ろく」は、八子さんの庭にあったオンコの木を使った作品。八子さんによると「全方位型作品」です。
 縦にしても横にしても、どの方角から見ても良いという作品です。
「彫刻って、こっちが正面だとかうるさく言う人っているじゃないですか。それを崩そうと思って」
 右の写真の中央は「ある」。埋もれ木の質感が生きています。

 蛇足ながら、奥様の直子さんは全道展会員。
 八子さんは道展に隔年で出品していますが、ことしは出品しそこなったそうです。

□芸術団Jam.
■New Point(04年1月)
■芸術団Jam展(02年7月)
■お正月展(02年1月)


 佐藤潤子個展スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図)
 札幌在住の道展会員。
 今回は14点を展示しています。
 以前は、白や青など寒色の矩形を主体に、冬の海を思わせる、きっちり構成された抽象画を描いていましたが、2001年の個展あたりから、作風に試行をみせています。
 左の作品は、メモに「海風」とありますが、汚い字なので、ちがっているかもしれません。
 わりと、20世紀の作風に近い色合いと構図で、なだれおちるような白が印象にのこります。
 右は「波跡−U」。黒と白のしぶきがせめぎあいます。
 マティエールもなかなかおもしろかったです。
 これは、佐藤さんによると、いろいろメディウムが売られているとのこと。
 「波跡−V」も、同傾向の、墨象を思わせる作品でした。
 「風へ…」は、モスグリーンと黒のくみあわせ。
 「白がナマっぽいといわれるんですが、これが私の描きたいことなので。やはり、どこかに(昔住んでいた)岩内を背負っているのかもしれませんね」

■03年5月の個展
■01年10月の個展(画像あり)
■谷の会展(01年6月)


 安藤康弘銅版画個展札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
 「人工生命体」「増殖細胞」「突然変異」などと題した、エイリアンっぽい想像上の生物や細胞を、単色で表現した作品がたくさん並びます。
 不気味さの美学といったところでしょうか。こういうイマジネーションって、一度わいてくると、あとからどんどん出てくるのかもしれませんね。


 長内さゆみ油彩展 〜睡蓮の世界〜=同
 驚「睡蓮」長内さゆみ異的な写実による「睡蓮」のシリーズで知られる渡島管内大野町の長内さんの、意外にもはじめての個展。
 もっとも、よーく仔細に見ると、案外ラフなタッチがのこってたりして、やっぱり絵なんですけど。
 あと、これは作者に言われないとわからないことですが、数年前と近作では、光の描き方がちがっているそうです。
 ハスの葉や水面にちりばめられた白い光は、ただの点ではなく、周囲に突起を持った点として描かれています。そのため、ますます光のように感じられるのです。

 ほかに、小品が数点。
 「子猫と花」「小川のある風景」など、やはり高い描写力です。
 右下のは「日だまり」。
 この絵からわかるのは、長内さんのリアリズムもまた、フォトリアリズムである、ということではないかと思います。
 人間の目で見た風景は、ここまで劇的に、背景がぼけて前景にピントが合うということには、ならないでしょう。
 これは、写真の発明後にはじめて人間が目にした情景なのです。
 もっとも、そのへんを作者に問いただ「日だまり」すと、うまくかわされてしまいましたが。

 道展会友。二紀展でも新鋭として注目されています。

 □長内さんのサイト


 本田征爾展 みるくすたー、乳の星の臍=エルエテギャラリースペース(中央区南1西24、リードビル2階 地図D)
 昨年と同様、浮遊する感覚が心地よい水彩の小品。
 なんとも言葉では形容しがたい、具象とも抽象ともつかない、ふしぎなイマジネーションの産物です。
 昨年も「強いて言えばクレーの世界」と書きましたが、やっぱりだいぶちがうしなあ。

 ■04年2月の個展 (画像あり)


 樫見菜々子展 『水々しい秘密』=喫茶 十一月 お風呂ギャラリー(中央区南2西8 FAB cafe2階 地図C )
 FAB cafeといえば、札幌の現在のカフェシーンを代表するお店としていつもにぎわっていますが、その上の階に、レトロな雰囲気満点の、ユニークな喫茶店が誕生しました。
 そのお店の一角にあるのが「お風呂ギャラリー」です。
 樫見さんは、ぬいぐるみなどを並べて、かわいらしさとおぞましさが同居したような空間をかたちづくっています。
 最先端と懐古趣味が同居する空間で、風呂とぬいぐるみが一緒になる…。うーん、どうやって説明したらいいんでしょう。

 ■04年4月の個展


 以上、見た順番。
 道展は、ファイルをあらためて。
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