骨董の部屋
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天明期の古伊万里の秀逸さについては以前から述べさせていただいてはおりますが、天明期の作品でこの類のお皿は初見であり、裏の文字や菊笹の描き方に少し時代の下がる感じもしておりました。
お譲りいただいた方は古伊万里の研究家としても高名な方なので、ぶしつけであるとは思いましたが、裏銘通りの時代と判断して良いのか、またそのポイントはなにか?と質問させていただきました。 答えは、
「時代的にこれだけの絵付けが出来るのは天明期の伊万里しかありません」 ということでした。

拡大図で見られるように、絵の線は明らかに熟練の絵師による凛としたものである。
裏の「天明年製」も興味深いもので、和暦の銘が立派な筆致で記されている。


2007/4/1
第60回 染付 桃仙人図尺皿 時代:天明年 径29.0cm 高2.9cm 裏銘: 天明年製

今月は少し趣を変えて、小品を取り上げました。
水滴であろうと判断するものでありますが、下図のごとく一般的な水滴と比較すると、かなり大振りである。はたして本当に水滴かどうかずいぶん悩まされた。

作りはなかなか丁寧なもので、絵柄も菊花と遠山桜が描かれていて、オールシーズンようである。
釉調や絵付けの感じからして江戸中期から後期にかけてのものと判断している。

後記
展示を観ていただいて、平戸ではないかとのご指導をいただいた。
青みのある釉薬、磁胎のキメ細やかさからご指摘の通りと判断した。

2007/2/1
第59 平戸 扇形菊図水滴 時代:後期 径13.5cm 辺6cm 高7cm 裏銘: なし


この皿は、私が染付けにハマった頃眺めていた本に載っていたもの
と同手のものです。

見込みは柳に白鷺で、憧れの一つでした。

器形も凝ったつくりになっていて、縁周りは祥瑞風のパターンと如意雲
が描かれており、裏には福文字がグルリ書かれている。

手のかかった、格のある作品であると思っております。



2007/1/1
第58回 染付 柳樹鷺図皿 時代:元禄 径18.6cm / 高2.7cm 裏銘:太明嘉靖年製



この組合せで飾ってます。

印判とは言え、こうして組み合わせてコーナーを構成すると

なかなか洒落た感じで楽しめます。

大変大変 気に入ってます、評判もすこぶるヨロシイようで・・・

「レトロ」な感じがたまりませんなー!


2006/11/1
第57回 印判 小皿と徳利 時代:明治 径15.7cm / 高17.5cm 裏銘: なし


 瀬戸は六古窯の一つで、陶器では大変な歴史を持っているが、磁器については19世紀初頭になって肥前窯からの技術導入を経て磁器生産を開始している。幕末期は清朝磁器スタイルに倣った什器を主に生産していたようである。

  瀬戸の磁器が美術史的に注目されるようになったのは鎖国が解除され、日本が海外の万国博覧会等に積極的に参加するようになってから、すなわち明治期になってからのことである。




2006/10/1
第56回 瀬戸 唐草縁花鳥文水盤 時代:明治 径32*21.5cm*高12cm 裏銘: なし


四方襷に鳥、如意頭、縁の渦文?、このモチーフは、1640年ごろの作品の代表的なものであります。
基本的には中国の祥瑞手のイメージなのであろうと推察いたしますが、雲形の空白の作りかた、余白の多い絵柄など、日本的な感じも見受けられ、じっくり観るとなかなかお洒落なデザインセンスなのであります。

焼については総体的には生掛けの優しい感じですが、丸みを帯びた縁周りの所は、薄いので良く焼き締まっていて、硬質ながらウエットなテリがあって私のお気に入りポイントなのです。

2006/9/1
第55回 初期伊万里 四方襷に鳥文皿 時代:寛永年 径18.2cm*高2.3cm 裏銘: 大明成

久し振りに古染のお皿を取り上げることにしました。
この手の芙蓉手のお皿も欲しいと思っておりましたが、なかなか気に入ったものに出会えませんでした。

見込みの絵柄には色んなものがありますが、この手は珍しいと思います。私も初見でした。
「冊子」に「房飾り」それに、なにやら「火炎宝珠?太鼓?」
のようなものも描かれています。
・・・・・「火の車」はいけません、身につまされますです。

この時代特有の、薄作りでカリッとした焼上がりのものです。高台内側の面は箆跡という筋が入っております。
これらはこの時代の古染付の特徴で、しばしば真偽や時代判断の材料として参考にされます。

2006/8/1
第54回 古染付 芙蓉手宝文深皿 時代:明末清初 寸法:径14.7cm*高3.0cm 裏銘: なし

線描きのお皿は、この時期の特徴的な作品の一つであります。
この手法の原典はやはり中国ということらしい。

今回の大皿の文様は、この時期の線描き大皿では代表的なパターンで良く目にするものである。構成はいろいろなものがありますが、総じて花唐草の流れであることは明白でありましょう。 後期に入って花唐草が一方では微塵唐草となり、他方線描き唐草になって行ったという推移も面白いといえる。

この皿を眺めて思うのだが、大皿の場合線描きにしても微塵唐草にしても基本的には略式ということなのであろうが、 結構根気強い細かい作業であり、それなりにエネルギー使っているなーと思うのである。
そのあたりが私が興味をもった理由であって、独特の美しさと存在感をもっている。

2006/6/1
第53回 染付 線描唐草文大皿 時代:天保年 寸法:径41.0cm*高5.2cm 裏銘:太明成化年製

志田焼のお皿、古伊万里にハマッたころは見向きもしなかった。
しかし、こうして日本磁器生産の推移を眺めてくると、志田窯の存在は日本の陶磁史にとって、江戸後期の重要な作品群であるということがわかった。
そこで当コレクションとしても外すわけにもいかないなと、近年なって手に入れようとしました。以前はゴロゴロしてたような気がしたのですが、最近は人気もあるようで意外に苦労したのである。

以前の稿でも記しているが、江戸後期に庶民文化が盛んになった頃、江戸では各所に遊興をともなう茶屋が繁盛した。
そこでの料理の典型的なものが「宴会料理」があったようで、旅籠、料理屋などでも盛んに宴会が行われていた。
また、煮売屋、仕出屋などもあったようで、今で言うところの外食産業が盛んな時期だったらしい。

外食にかぎらず、町家の結婚式などの「ハレ」の宴会も盛んになり、やがて地方にまで浸透して行った。
こうした席でメイン料理を引き立てたのが大皿であり、宴会が一般化するにつれて大皿は社会の必需品となっていった。

こうした大衆消費時代にマッチした商品を供給したのが志田焼である。肥前有田の近隣、肥前塩田の志田で焼かれたのであるが、当時の消費地サイドの認識は伊万里焼と明確に区別はされなかったようである。


2006/5/1
第52回 志田窯 龍虎文尺皿組 時代:江戸後期 寸法:径 29.7cm*高4.7cm 裏銘:なし

最初にこの皿を見たとき、一瞬、洋皿かと思ってしまった。
洋皿にあっても何の違和感のないデザインであると思う。

300年以上前の日本人にこんな感性があったということに感動すると同時に日本人としてまことに誇らしくもある。考えてみれば当たり前と言えば当たり前のことかもしれない。近世のヨーロッパの美術シーンでは「ジャポニズム」 と称され、多大な影響をあたえた日本文化であるわけであるから。

この作品は、こてこての「和」でもないし「洋」でもないという絶妙の雰囲気をもっている。普遍的な「美しさ」というものは、「和」も 「洋」も超越したところにあるのであって、洗練に洗練を重ねた盛期伊万里の美意識は、そこまで到達していたのである。

2006/4/1
第51回 染付 薄墨桜花散輪花皿 時代:元禄期 寸法:径21.7cm*高3.2cm 裏銘: 古人


「白抜きの太湖石文様」 第 2弾

前回の太湖石は、頭が平らで面白くなーいと言いましたが、頭の高いのを見つけました。それはそれで良いのですが、この皿は寛政頃の作で典型的後期の塗り埋め白抜きタイプのお皿である。
呉須も天明以降のくすんだ発色のもので、私のイメージとは違う。

手も落ちて、描いている本人も「太湖石」の意識はないようである。良く見ると一筆書きのように「とぐろ」をまいている。
本当に「太湖石なの?」と疑惑が湧きそうなので、今回は検証を試みることにする。

2006/3/1
第50回 染付 白抜太湖石文八角皿 時代:寛政年 寸法:長径20.4cm*高3.2cm 裏銘: なし


この花は何の花であろう。
見たことがあるようでも、思いつかない。すこぶる面白くない。

この皿は所謂「兜形」になっていて、薄作りで端正な器形である。絵柄は藍九谷らしい写実的な見込み絵が描かれている。

このあたりの特徴から寛文から延宝時代のものと想定している。

花のない時期なので花柄のお皿をとりあげてみた。


2006/2/1
第49回 藍九谷 竹梅縁花文皿 時代:江戸前期 寸法:長18.2cm*高2.7cm 裏銘: 福の変形

お正月は縁起物の熨斗のお皿にしました。

グルリと力づよく塗りまわした瑠璃縁に梅花を添えた熨斗の丸文。
すっきりと小気味良い。

なかなか「粋」なお皿であると思う。
シンプルな構成であるが「雑」ではない清々しさ、爽やかさがある。

この皿は江戸中期から後期にかけての製品であると思っている。


2006/1/1
第48回 染付 瑠璃縁熨斗丸文皿 時代:江戸中期 径18.7cm*高2.8cm 裏銘:天明成化年製

雪景色を描いた古伊万里を目にする機会はそこそこある。
豪雪地域の皆様には申し訳ないが、日本での雪景色は趣のある風景と捉えられているので、絵画や詩歌で取りあげられることが多いからであろう。

この皿の絵であるが、遠山や庭の石や盛り上がったところは、雪の表現なんだろうなと思う。

まあどうでも良いことなんだが、こうして雪景色と再認識したのである。

見込み絵では後期かなと思ったが、裏を見るとなかなか良い作りになっていて、江戸中期の作と判断している。

2005/12/24
第47回 染付 雪景色文皿 時代:江戸中期 寸法:径18.0cm*高2.5cm 裏銘:天明成化年製


交差葉文」は銀杏の葉のものは目にすることもあるが、
この葉のものは珍しい。
交差のさせかたもこの時代らしく、品の良い配置で秀逸である。

末尾に参考図を転載してあるように、器形から類推するに、寛文様式に分類された作品に酷似していることから寛文時代の作と判断している。
(1660〜1670年代)





2005/12/1
第46回 交差棕櫚葉文皿 時代:寛文年 寸法:径14.5cm*高3.2cm 裏銘:福の変形


この皿は、私の染付歴の上では駆け出しの頃入手したもので、当時かなり気合を入れたものです。

生掛け焼成、ややモッタリした釉調で
古九谷に見られる調子であろうと思う。

高台は付け高台で、所謂、内股高台。
この手の皿に良く見られるように、長手側に反っている。当コレの鮎文変形皿も同じように反り返っている。 焼成技術の未完成の時期の特徴である。

裏の文様は、古九谷、藍九谷の変形皿に良く見られる笹文。

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第45回 藍九谷流水菊花文鮑形皿 時代:江戸前期 寸法:長16.4cm*高3.4cm 裏銘: なし

私が白抜きの太湖石にこだわったのは、染付の古伊万里に興味を持ち始めた頃に展示会で見た、江戸中期末の白抜きの太湖石を描いた皿を目にしてからである。
「なんじゃー? この一つ目のおばけみたいなものは」

これが太湖石であることが分かったのは後のこと。柿右衛門の太湖石とはかなり趣が違う。この時期特有の形状をしている。
この皿は古伊万里中期末の新様式、清朝風意匠の皿であるから、清朝期の太湖石の表現法なのであろうと思っている。

作品としてはかなり丁寧な仕事がなされており、この時代としては上手の作である。縁周りも私の好きな「紗綾形」の文様で
埋められておりこれも嬉しい。
裏は無地、この時期あたりから多く見られるようになる。
2005/9/1
第44回 染付 白抜太湖石文輪花皿 時代:天明期 寸法:径21.0cm*高2.9cm 裏銘:なし


先月、雪輪が夏の季語だと教えていただいた。

また手持ちの「文様の名前で読み解く日本史」中江克己著のなかにも
江戸後期に浴衣に雪輪の文様をつけたものが「粋」とされたとある。

そこでこの猛暑に一点の涼、雪輪文猪口をピックアップして今月の展示といたします。



ーー2005/8/1
第43回 藍柿 竹に雪輪文猪口 時代:元禄 寸法:径9.2*高6.5cm 裏銘:太明年製


この皿の見込み絵は「漁夫の利」といわれる故事を描いたものらしいが、写真を撮っていて気が付いた。 「これは夏の皿だ!」

雪輪の縁に見込みは「貝と海草」「鴎」を組み合わせて、すっきりとまとめている。

見込み絵の貝や海草、鴎などは
「海」の象徴であり、「海中」「海」は「水」をイメージする。
さらに縁周りは「雪」である。

冷ややかさを喚起させる視覚効果と観念を組み合わせた、心憎い趣向なのだ。間違いなく涼やかさを意図したデザインである。

ーー2005/7/1
第42回 雪輪海中文輪花皿 時代:延宝元禄 寸法:径2.17cm*高3.8cm 裏銘:太明成化年製


交差草文もシンプルながら大好きな柄です。草文と言われているからには、これは草叢なのでしょう。

最初に出合った交差草文は中期末ぐらいのもっと簡単な柄のものでしたが、草叢を表すのに単純な線をスッスッと交差させて表現するというこのセンスに感動してしまったのです。

こうなるとハヤカの習性とも言うべき癖が出て 「オリジナルは何だ?」と追いかけてしまうのです。

現時点での最上流がこの向付。

2005/6/1
第41回 染付 雲湧交差草文向付 時代:元禄享保 寸法:径9.5*高8.7cm 裏銘 :富貴長春


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