藍柿 雪輪海中文輪花皿
延宝元禄:径21.7cm*高3.8cm

この皿の見込み絵は「漁夫の利」といわれる故事を描いたものらしいが、写真を撮っていて気が付いた。
「これは夏の皿だ!」 それまでは雪輪というだけで単純に冬のイメージで、冬用として昨年の秋の終わりに撮影をしていたのだった。

雪輪の縁に見込みは「貝と海草」「鴎」を組み合わせて、すっきりとまとめている。
見込み絵の貝や海草、鴎などは「海」の象徴であり、「海中」「海」は「水」をイメージする。
さらに縁周りは「雪」である。冷ややかさを喚起させる視覚効果と観念の効果を組み合わせた、心憎い趣向なのだ。
間違いなく涼やかさを意図したデザインである。

「今ごろ気付いたか」と先輩諸兄には笑われるかもしれないが、またしても古のデザイナーのセンスに感服させられた。

2005/7/1