骨董の部屋
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4月と言えば「桜」。
周りではお花見、桜祭りの話題で盛り上がってきた。ネット骨董界でも
「桜」の掛け声も聞かれる。

しかしながら、HPも何年も経つと、そうそう季節のものも出てこない。
苦し紛れに、今年は猪口コーナーからの展示と相成りました。

一般的に蕎麦猪口と総称される範疇のサイズであるが、この時代には蕎麦猪口という器名はなかったようで、蕎麦猪口としての器が生産されたのはもっと時代が下がってからのことらしい。
この器は向付として作られたものと聞いている。前期の香りを残した染付も気に入っているが、器形の美しさも秀逸である。

2005/4/1
第40回 藍柿 流水桜文向付 時代:元禄 寸法:径9.6cm*高8.6cm 裏銘 :なし (二重巻線)


一見、何気ない皿であるが、良く見ると面白い皿である。

「古印判」と称したが、通常 「蒟蒻印判」と言われている。
実際に蒟蒻が用いられたのかどうかは、定かではないようである。
いずれにしてもこの時期に開発されて、皿や初期猪口に使われたが、あまり効率的ではなかったようでやがて姿を消してしまった。

見込みの桜花鳳凰と、縁周りの唐草文が印判で描かれている。墨弾きで輪郭をとった雪輪との組み合わせでそこそこ手の込んだ仕事である。

印判も綺麗で、印判技法としては、このあたりが完成形であったのかなと思っている。

2005/3/1
第39回 染付古印判 雪輪鳳凰文皿 時代:元禄享保 寸法:口径17.8cm 高3.1cm 裏銘:なし

私は椿が大好きである。

花苑の庭にも十種類くらいはあると思う。特別に「椿」のコレクターと言うことではないので、なんやかやの折に増えてきたものである。

「椿」は日本古来の花木であって、古代から日本人には馴染み深い樹木であったようである。
したがって、古くから絵画や工芸品のモチーフとされてきいて、骨董・古美術の世界でも多くの作品がある。

椿文の初期伊万里は染付けに興味を持って以来、憧れの一つであったので、小品といえど非常に満足している。

生掛けであるが発色のよい良質の呉須が使用されているようなので、これもまた初期から藍九谷に移行する時期の作と判断している。

2005/2/1
第38回 初期伊万里椿文輪花深皿 時代:江戸初期 寸法:径14.0cm*高3.1cm 裏銘 :角福


この手の作品は初期伊万里と称されることが多いいが、初期から藍九谷への移行期の作といわれております。人によっては初期藍九谷と呼ぶ方もおられるということです。

雰囲気的には、中国の祥瑞手の影響を色濃く受けたもので、この特徴的な縁周りの意匠を有する皿は、展示会、骨董市などでしばしば目にするものと思います。
比較的生産技術が良くなった時期で、生産数も上がっていたのでしょう。

この手の名品には、日本の茶人の注文で作られ輸入された中国の祥瑞に引けをとらない、見事なものが数多く伝世されているようです。

2005 元旦
第37回 初期伊万里梅鶯文扇形皿 時代:江戸初期 寸法:長辺16.5cm*高2.8cm 裏銘 :角福

樹下鹿文のモチーフは、古伊万里でも藍九谷などでしばしば見かける。当コレクションでは手が届かず所蔵品はないのだが、それらは日本人的感性で見事に洗練された図柄であって秀品が多い。
しかしながら、藍九谷の樹下鹿文の図柄は同時期の花鳥図の作風と比較するとやや異質で中国的雰囲気を強く感ずる。

中国のこの時期、民生用器としてこの手の樹下鹿文がこれまた数多く見られる。それらは今回の皿と同様藍九谷に作品と比べるとかなり手が落ちるものである。

この時期以前に藍九谷と同様の洗練された作品があったものかどうかは、浅学の私には定かではないが、明らかに同根の絵柄であると思っている。

2005/5/1
第36回 古染付 樹下双鹿文皿 時代:中国明末期 寸法:径16.7cm*高3.5cm 裏銘 :なし

鮮やかな呉須の発色にインパクトがある。ただし、濃の埋め方が伊万里を見慣れた目には雑に映る。絵柄を含めて考えるにこの皿は民生用の上というところであろうか。
日本からの注文品のような丁寧さはないようである。

しかしながら、意匠的には大変興味深いものであることがわかった。
縁周りの雷文や花唐草は勿論のこと、華文は初期伊万里への影響を覗わせる。ところが更に、見込みの大きな華文、「宝相華文」というそうであるが、これは中国的というよりはペルシャ文明の影響らしい。
シルクロードの仏教遺跡の壁画天井絵に、唐草で囲まれた宝相華文が数多くあり、ペルシャの意匠であると解説されている。

まあなんと、遠大なロマンであることか。
中国、シルクロード、ペルシャに到る古代陶磁器の歴史が見えてくるのである。

2004/12/15 (2005/10/16 改訂)
第35回 古染付 菊花宝相華文皿 時代:中国明末期 寸法:径21.4cm*高3.71cm 裏銘 :なし

どこかで目にしたことのあるような皿である。
このモチーフは古九谷から古伊万里まで良く用いられているので、何らかの形で目にしているデザインであると思う。

これもまた古伊万里と古染付の関連を如実に示す良い見本であろう。

賛こそないがこれも詩文から描かれたものなのだろうと勝手に解釈している。
この時期の中国染付のデザインカテゴリー「祥瑞」「芙蓉手」「古染付」でいうところの、古染付では詩文や故事を題材にした絵柄が多く見られるからである。
こうした抒情的な「花鳥風月」の絵柄は中国絵画の世界でも、ひとつの主流を成すものであるから、これもまた当然のことなのであろう。

2004/11/21
第34回 古染付 水辺帰雁文皿 時代:中国明末期 寸法:径15.4cm*高3.1cm 裏銘 :なし

この皿はご覧の通りソーサーのように見込みの中心部が窪んでいる。中国の陶石なので熱で落ち込んだわけではないだろうから、意図して窪ませたものであろう。

どのような使い方をしたものか考えてみたが、中国の食文化については、何も知識がないので、やはり受け皿ぐらいしか思い浮かばない。

意匠については、日本の磁器のルーツが中国であることを如実に物語るものである。
この皿を見ていると、伊万里の原点が確認できたような気持ちになってなんとなく嬉しいのである。

大疵ではあるが、自分なりに納得のできる古染付を手に入れたと思っている。

2004/9/17
第33回 古染付 松竹梅祥瑞 時代:中国明末期 寸法:径16.7cm*高3.5cm 裏銘 :大明成化年製

竹図の皿は私の「こだわり」の一つ。 イメージしている竹図より少し時代が下がるが、お気に入りの一枚である。

作りのしっかりした青磁縁に力強い竹図が納まっている。
器形も縁の立ち上がりが大きい深皿で、尺弱の寸法があり、なかなかの貫禄である。

手に入れた当時は異例のロングランで、半年ぐらい飾って眺めていた。

青磁も好きで、ちょこちょこ手が出てしまうが、青磁の作品の出来は、下地の磁胎の作りに左右されるような気がする。

この皿の輪花の縁周りの作りの厳しさが、総体を引き締めている。
2004/8/20
第32回 青磁染付 竹文輪花深 時代:江戸中期 寸法: 径28.7cm*高5.5cm 裏銘 :大明成化年製

この皿の第一印象は、呉須の発色が大変美しいということである。

口縁を端反にした型物の十角皿。
見込みに雲文と鳳凰丸文、内側は青海波と四方襷の丸文、口縁を小花を配した波文で飾り、盛りだくさんではあるが、メリハリあるすっきりした印象である。

コントラストの妙味ということか。さすが盛期の作である。

裏は打抜きと呼ばれる同柄で、高台周りは如意頭をめぐらせている。
高台内は二重券線に「大明嘉靖年製」の銘。
染付ではめずらしく、献上手の要件すべて備えた見本のようなお皿である。
2004/4/20
第31回 染付 鳳凰丸文十角 時代:元禄年頃 寸法: 径21.7cm*高3.8cm 裏銘 :大明嘉靖年製

戸栗美術館の鍋島展で見た、
盛期鍋島の神業「青海波」に衝撃を受けてから、うん年。
庶民には叶うべくも無いが、憧れを抱きつづけている。

この皿に出会った時、あのときの「青海波」の雰囲気十分な香りを感じた。

後期ものとしては、配された水仙のバランスも良く、丁寧な絵付けで、鍋島たりうると判断した。
店主も「表だけなら中期とも言えるが、高台の櫛文からすると、やはり後期、文化文政かな」と言っていた。

器形も、いわゆる後期物よりは浅めで、木杯形を留めている。


2004/1/19
第30回 鍋島 青海波水仙文皿 時代:文化年頃 寸法: 径14.8cm*高3.5cm 裏銘 :なし

元旦に鶴のお皿を展示。

私は鶴や鷺図の場合、

どうしても脚に注目してしまう。

確かな観察によって描かれた脚には

活き活きとした表情と動きがあって、

惹かれる。・・・
(脚フェチ?)

2004/1/1
第29回 藍九谷 弧鶴草花文皿 時代:江戸前期 寸法: 径14.7cm*高3.1cm 裏銘 :なし


盛期の鷺図も染付に興味をもった時からの憧れのひとつ。

このお皿は甘手。私に手の届くのはここまで。
しかしながら私にとって、十分な美しさを持っている。

見込の鷺図は下の拡大図にみられるように、表情豊かで動きのある鷺が描かれている。流水に足を踏ん張り魚影を追う姿などは、まさに入念な観察を重ねることでしか得られない姿であろう。
藍九谷や盛期の動植物の絵は鋭い観察眼を感じさせるものが多く、
いつも敬服させられる。

縁周りの唐花は花唐草の原型をイメージさせ、高台の形状や裏絵は藍九谷の雰囲気を残す。

2003/11
第28回 藍柿 唐花水辺鷺図皿 時代:延宝元禄 寸法: 径21.7cm*高3.7cm 裏銘 :なし



この皿は、中期末新様式の陽刻型打タイプの典型的なものである。

陽刻の白とポイントとしての染付がバランスよく配され、口紅とあいまって格調ある作品になっている。
染付けに興味を持って本などで目にしてから、いつかは手に入れようと思っていた品物だった。

ヤフオクで見つけて手に入れたが、思いがあったぶん熱くなり過ぎて
少々オーバーランした模様である。



2002/10
第27回 染付 陽刻草花雲龍文輪花皿 時代:中期後半 寸法: 径21.0cm 高3.6cm 裏銘 :福の変形


とろとろの生掛け。

初期印判の若松文に染付で草花蝶まで描いてある。

器形も良い。
口縁部は薄作りであるが底部はしっかりしている。

雰囲気のある良品である。

裏銘は大明年製であろうが、字になってない。

これも古作の特徴。
漢字や教育が一般的でない時代、漢字を知らない職人さんが見よう見まねで書いたといわれる。

第26回 初期猪口 印判若松花蝶文 時代:江戸中期 寸法:口径9.1cm*高5.7cm 裏銘:大明年製


大層優雅で凛々しい小壷であるが、所謂一般的に「唾壺」と称されているものである。形体から用途を推測するに、それしかないかと同意せざるをえないのであるが、なんか釈然としないものがある。

その時代に在ったとしても縁が無かったであろう庶民の私には、その他の用途とか、
何と呼ばれていたかが、どうしても思い浮かばない。
唯一そうであったら良いなと思うものが「酒こぼし」である。


いずれにしても、工芸品としては一級品であることには変りはない。
第25回 藍柿 唐花文小壷 時代:盛 期 寸法: 径16.7cm 高8.5cm 裏銘 : なし



今年は、春先から暖かい日が多かったせいか、桜前線が1週間から10日早まっているそうである。3月の展示が遅れてしまったので、4月予定のこの皿がピッタリになってしまった。花苑とっておきの一枚です。

波に桜花散の縁絵に見込周りの蛸唐草、見事な組み合わせである。
蛸唐草の精緻さも特筆できる点であろう。
見込の空白も盛期の一時期に行われた意匠で、時代を特定できるものである。

裏銘 : 「福」の変形

2002/3/10
第24回 藍柿 蛸唐草波に桜文皿 時代:江戸中期 径 18.7cm 高3.2cm 裏銘:福



芝垣散の皿に憧れていたので問答無用で手に入れた。

絶妙の配置で縁の口紅とあいまって大変上品な仕上がりである。

裏は作りも花唐草もカチッとしていて気に入っている。

渦福の形体から藍柿でも時代のあるものと判断している。


2002/2/3

第23回 藍柿 梅枝柴垣散文長皿 時代:江戸中期 径20.5*10.2cm 高3.2cm 裏銘:渦福



このお皿は「いにしえびとコレクション」所蔵のものと同手のお皿です。
こうして見ると下の部分は満開の梅花を表現する柿手の手法で、
突き出ているのは梅の古木の枯れ幹のようです。

いにしえびとさんのお皿と見比べると、こちらには裏銘がありません。
見こみの図は細部もタッチも同じですし、サイズも同じ、裏の作りの端正さからしても間違いなく同手と思われます。
ロットによって、書かないものもあったようです。


2002/1/1
第22回 藍柿 梅に鶯図皿 時代:江戸中期 寸法:径17.8cm 高3.6cm 裏銘:なし (一重巻線)


藍の発色が素晴らしい。
シンプルな干網の図であるが、続き絵の双鶴の表現と相まって、大変優雅な雰囲気である。

このような器で食事をしていたかと想像すると、とてつもなく優雅で贅沢であったものよと思うのであるが。

情けないことに、貧乏性の私にはこれを使って蕎麦をすすりたいとは思えない。眺めるだけで充分である。

薄作りでとても綺麗な釉であるが、よく見ると真円でない歪みがある。

見込みには柄はない。
底はベタ底。
第21回 染付 干網双鶴文向付 時代:江戸中期 寸法 径9.5cm*高6.0cm 裏銘:大明年製


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