ROHM
京都タワーのや、横浜にも拠点があるようです。丹波口から徒歩15分程度ですが、西京極からは徒歩10分程度のようです。ロームは平成27年7月にアイルランドのファブレス半導体ベンチャーのパワーべーションを80億円で買収し、デジタル電源LSI事業に参入したようです。

平成28年2月にもとNEC関西だったルネサスセミコンダクタマニュファクチャリング滋賀工場を35億円で買収しIGBT、MOSFET、圧電MEMSの生産拠点にしたようです。平成28年1月から省電力パワー半導体でAC400V~690Vに対応した1700V耐圧のSiC製MOSFETの量産を開始したようです。SiCは三菱電機富士電機なども力を入れているようです。

ロームは、パワー半導体素子をすべてSiCで構成した、フルSiCモジュールで1200V600Aと1200V400Aのモジュールを、平成29年6月から出荷を開始したようで、同等定格のIGBTモジュールに比べスイッチング損失を64%改善、スイッチング周波数20kHzのトータル損失を55%減らせるようです。

平成28年9月から車載用小型化MOSFETの量産を開始したとのことで。従来品5×6mmを3.3×3.3mmに小型化し月産400万個とのことで、車1台あたり数十~数百個使用されているとのことです。

平成28年にはNOR型フラッシュメモリに参入すると発表しました。NOR型フラッシュメモリは国内メーカの合併や撤退が相次ぎ外国メーカのみとなったため、国内機器メーカ向けに供給するとのことで、NAND型に比べてランダムアクセス速度が速いとのことです。

平成28年6月には硫黄の耐食性を4倍にしたチップ抵抗(1005(1/16W)、1608(1/10W))を開発したとのことでプリント基板実装後のコーティングが不要とのことです。特に温泉地などの屋外に設置されるエアコンなどでは特に有効なようです。

ROHMは、ツェナーダイオード、ファストリカバリダイオード、TVSダイオード(過渡電圧抑制ダイオード、TransientVoltageSuppressorDiode)の増産に対応するため、マレーシア工場の新棟を竣工し生産能力を月産7億個から16億個に引き上げ、全社で30億個にすることにより、現在のダイオードシェア19%から、平成32年にはシェア30%を目指しているようです。

ROHMは平成28年8月にスマートメータなどに利用されているWi-SUNモジュールの消費電流を低減させ、受信時25mA、スリープ時4μAを実現したとのことです。スマートメータは電力計以外にも広く普及し平成36年までに8000万台まで拡大すると見込んでいるようです。でも昔のページャー(ポケベル)は1.1Vで1.2mAの受信ICがあったようで、どこまでの機能を含めているかわかりませんが25mAはかなり消費電流が大きいように感じます。

ASUS(台湾)子会社のアスキーコンピュータのIoTゲートゥエイはROHMの920MHz帯Wi-SUNモジュールを採用し、平成29年7月からサンプル出荷を開始するようです。このモジュールは、LAPISセミコンダクタの無線通信ICを採用しており、このICはWi-SUNプロファイルのBルートとHANに対応しHEMSコントローラや各種家電にも採用されているとのこと。

ロームは平成29年1月から車載計器やバックミラー、サイドミラー用の液晶ドライバや制御用のICで故障を自動検出し表示するチップセットの量産を開始し、静岡県、宮城県、フィリピンの工場で5万個/月生産しているようです。ちなみに、液晶ドライバのシェアは平成28年に15%のようです。

ロームは、平成29年1月から家電用16bitマイコンの消費電力を起動時1/10、待機時1/3、動作時1/2とし自己診断機能を強化したマイコン30種類のサンプル出荷を開始したとのことで、平成29年末までにメモリ容量や多様な接続ピンの要求に対応可能な96種類に拡大するようです。

ロームは精華大学(中国)と共同でIoT無線センサーノード用の不揮発SoC(システムオンチップ)を開発したとのこと。1910bitのFeRAM(強誘電体不揮発メモリ)と命令用32kバイト、データ用32kバイトを有するRFコントローラを実現し、従来のReRAM(抵抗変化型不揮発メモリ)を使用していたモデルに比べ無線立ち上げ時間を32ms→1.2ms、電源検知時間を32μs→9μsに改善したようです。

ロームはセミクロン(独パワー半導体メーカ)と日本市場でのSiCパワーモジュール販売で協力するようです。セミクロンは世界市場シェア11%で第3位とのことですが、日本市場で苦戦しているようです。なお、ROHMもセミクロンへのSiCMOSFETやSiCショットキバリアダイオードの供給に期待しているようです。

ROHMは、平成29年にEMI対策ノイズ設計不要の車載オペアンプを開発しサンプル価格@500で販売を開始したようです。車載電装システムでは、ECUやセンサを使って温度や加速度、電流などの内部状態を監視、最適化することで、燃費改善や安全機能を実現していますが、ノイズ設計はセンサなど微小な信号を扱うデバイスの大きな問題になっており、全周波数帯域の出力電圧変動が一般品±3.5%~±10%に対して±1%以下を実現したようです。これにより入出力のCRフィルタが不要となるとのこと。また、BA8290xYxx-Cシリーズは動作温度範囲-40℃~+125℃で低消費電流(一般品0.7mAに対し0.5mA)やオフセット電圧(一般品±7mVに対し±6mV)も低く抑えられているようです。

RHOMは平成29年に、大電流検出用のシャント抵抗器PSR100シリーズ(6.35×3.05mm、0.3mΩ±150ppm/℃~3mΩ±50ppm/℃、使用温度範囲-55℃~+175℃、定格3W@70℃:一般にNi/Crは+80ppm/℃、Cu/Mnは+100ppm/℃)を追加し種類を拡充したようです。なおローム・インテグレーテッドシステムズ・タイ(ナワナコン工業団地)で、平成29年4月から15万個/月で量産を開始したようです。

ROHMは平成29年度に生産能力アップのため570億円の設備投資を行い、フィリピン工場にトランジスタ、家電モータ制御用MOSFET、チップ抵抗の新生産棟を平成31年5月に稼働させ、平成28年5月に稼働したタイ工場の新生産棟のLSI(電源IC、モータドライバ、LEDドライバ)後工程能力向上、平成29年4月に稼働したマレーシア工場の新生産棟のダイオード後工程能力向上、国内ではローム滋賀(元ルネサス滋賀工場大津市)でIGBT、MOSFET、TVSダイオード(トランジェント ボルテージ サプレッサ ダイオード)などの生産能力を向上させるようです。

電子部品メーカの売上と利益は平成25年度に大幅に改善したようです。
メーカ 売上 前期比 利益 前期比
京セラ 1兆4476億円 +13% 887億円 +34%
村田製作所 8467億円 +24% 931億円 +220%
日本電産 8751億円 +23% 564億円 +710%
日東精工 7498億円 +12% 510億円 +17%
TDK 9845億円 +17% 162億円 +136%
アルプス電気 6843億円 +25% 143億円 赤→黒
ローム 3310億円 +13% 320億円 赤→黒

平成28年度(平成29年3月)の電子部品メーカーの売上
メーカ 平成27年度売上 平成28年度売上 平成29年度予想
京セラ 1兆4796億円 1兆4228億円 1兆5000億円
日本電産 1兆1783億円 1兆1993億円 1兆3500億円
TDK 1兆1523億円 1兆1783億円 1兆1100億円
村田製作所 1兆2108億円 1兆1355億円 1兆2250億円
日東電工 7931億円 7677億円 8000億円
アルプス電気 7740億円 7533億円 7870億円
ミツミ電機 1636億円
ミネベアミツミ 6389億円 7500億円
ローム 3524億円 3520億円 3680億円
イビデン 3141億円 2665億円 2900億円
10 太陽誘電 2404億円 2307億円 2420億円
11 日本航空電子工業JAE 1795億円 2095億円 2300億円
12 フォスター電機 1909億円 1609億円 1600億円
13 サンケン電気 1559億円 1588億円 1590億円
14 ホシデン 1399億円 1501億円 2030億円
15 日本ケミコン 1184億円 1163億円 1230億円
16 ヒロセ電機HRS 1203億円 1151億円 1200億円
17 ニチコン 1098億円 1004億円 1120億円
18 メイコー 953億円 959億円 1030億円
19 新電元工業 981億円 927億円 895億円
20 タムラ製作所 846億円 796億円 830億円
21 日本シイエムケイ 731億円 754億円 800億円
22 山洋電気 803億円 748億円 825億円
23 FDK 807億円 737億円 760億円
24 双葉電子工業 698億円 642億円 670億円
25 SMK 772億円 630億円 655億円
26 新日本無線 478億円 489億円 520億円
27 富士通コンポーネント 483億円 487億円 497億円
28 KOA 455億円 456億円
29 ヨコオ 400億円 441億円 465億円
30 日本電波工業 449億円 438億円 500億円
31 イリソ電子工業 382億円 375億円 400億円
32 北陸電気工業 409億円 365億円 365億円
33 大真空 322億円 310億円 340億円
34 山一電機 268億円 265億円 275億円
35 田淵電機 391億円 262億円 320億円
36 指月電機製作所 217億円 209億円 210億円
37 三社電機製作所 222億円 201億円 220億円
38 本多通信工業 171億円 172億円 180億円
39 帝国通信工業 142億円 129億円 135億円
40 岡谷電機産業 124億円 122億円 128億円
41 ケル 92億円 97億円 101億円
42 双信電機 108億円 94億円 100億円
43 東京コスモス電機 72億円 83億円 94億円
44 NKKスイッチズ 76億円 70億円 73億円
45 松尾電機 47億円 45億円 48億円


近くに小川珈琲の本店もあるようです。