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展覧会の紹介
'04 第三十一回北海道抽象派作家協会展 | 2004年4月21日−30日 札幌市民ギャラリー(中央区南2東6、地図G) |
(文中敬称略) | |
1973年の旗揚げ以来、年に最低2回の展覧会を欠かさず開催しているグループ。 春は、ゴールデンウィークの前あたりというのが、ここ数年定着している。 出品者の顔ぶれは、同人と、会の外から出品する「推薦作家」の2本立て。同人が充実した制作活動をうかがわせる作品をならべているのは言うまでもないとして、ことしは、推薦作家の進境がめだつ展覧会となったといえそうだ。 たとえば、3回連続で推薦された笹岡素子(江別)。 一昨年あたりまではアイデア先行の感がなくもなかったが、昨年から手作業のたしかさが感じ取れる力作を発表するようになってきた。 ことしの「無題」は、90センチ×130センチの紙を10枚ならべたもの。それぞれの支持体を折り返して、まんなかへんから下の紙がのぞいて見えるようなしくみになっているが、そのこと自体のもつ意味合いはうすまり、ただ、紙全体を覆うストロークの勢いがおもしろい作品になっていると思う。 おなじく3回連続で推薦作家となったMAG・まちこ(札幌)。 元来、どちらかというと雑然とした画面づくりだったが、ことしの「石の色の言葉」(200×480センチ)は、がやがやとしたにぎやかさはそのままに、色彩などには或る種のまとまりというか、統一感のようなものが出てきていて、見ていて飽きない。 なんだか古代の遺跡から出てきた壁画を連想させる肌合いだが、神さびたような印象はなく、むしろ祝宴のような、土俗的なエネルギーとでもいうべきものがある絵だと思った。 昨年につづき2度目の推薦となった狩野立子(同)。 今回の「RIVER」は、縦180センチ横90センチのキャンバス4点組みで、全体的に、飛沫の美しい作品。両端の2枚は、題のとおり川の流れを思わせる色づかいで、中央の2枚は、黒が主体となっている。前衛書にも通じそうな、メリハリのある構成が成功していると思う。 ベテランの横山隆(同)は通算3回目の推薦作家で、ことしは「太陽の落ちるとき」「コロニー」と題した、ダンボールを組み立てた2点を出品。図録では「立体」となっているが、壁掛けタイプだ。 フンデルトヴァッサーの作品のように、チープだが存在感のある素材が膨脹していくさまがおもしろい。 染織作家の田村陽子(同)は3年連続3回目の登場。「空へ」は、会場中央から吊り下げられた立体。床に近いほうが青く、高いほうにいくにしたがって白っぽくグラデーションしていくのがおもしろい。 息の長い現代美術グループ「存在派」を主宰する金子辰哉(同)は通算5回目の推薦で、ことしは床に膨大な数の銅線をならべたインスタレーション「直線の回想−1」を展示している。 初の推薦となった平松和芳(同)は、インスタレーション「子宮」を、4年連続4回目の浅野美英子(同)は「Subconscious guiding-star」を、それぞれ出品している。 推薦作家の平均年齢は若干高くなっている。 一方、出入りのはげしいこの会としてはめずらしく1998年以来不動のメンバーとなっている同人は、創立メンバーの佐々木美枝子(札幌)と今荘義男(空知管内栗沢町)をはじめ、あべくによし(旭川)、神谷ふじ子(札幌)、後藤和司(同)、近宮彦彌(旭川)、外山欽平(函館)、林教司(栗沢)、三浦恭三(小樽)の10人。 今年は、全員が平面や壁掛けの作品を出品している。 佐々木は、赤の矩形がせめぎあう絵画。まばゆさと枯淡が同居するふしぎな味わいも、5点のうち1点だけが緑を主とした画面という構成も、昨年とかわっていない。 今荘は、長年とりくんでいる絵画「古里」のシリーズ5点(図録では4点となっている)。かたちが後退したように見える一方で、抹茶色や茶色、藤色といったしぶい色彩そのものが前面に出て、さらに深みをましている。 昨年は平面インスタレーション的な展開をこころみた後藤は、ことしは100号の「Stream '04T」の1点だけだが、これが非常に奥行き感のあるおもしろい絵になっているのだ。 ツイード織りを思わせる、斜めの細い線の集積は、これまでの作品を踏襲しているが、ちょっと離れて見ると、微妙に諧調のことなる青のチューブ型が画面全体に躍っているのがわかる。 さらに、その上に、彩度の高い緑などの細い線が、流星のようにあちこちに飛び散っているのだ。 いわば、三層構造になった抽象画であり、絶妙の深みを演出している。 七宝をつかった作品で従来の彫刻にない質感を出している神谷は、今回は平面インスタレーション的な展開になった。 主体となるのは、正方形の板で、向かって左側には縦7列、横5列に並んでいる。 緑青のなかから赤い十字架のような模様が浮かび上がって見える。 右半分は、正方形13枚のほかに、アクリルの箱におさめられた銅板などが並ぶ。さびた金属と、色あざやかな七宝の部分の対比は、彼女の作品に重厚さを与える鍵といえると思う。 東京の個展と平行しての制作だったと思われ、その精力的な活動には頭がさがる。 多くのグループ展に精力的に作品を出す一方で、新道展会員でもある林は、1990年代なかばころの作風にかえったような、重厚な大作。縦2メートル、横90センチを5枚ならべている。全体は黒鉛で覆われ、それぞれの上部に真っ黒な円が描かれている。 ご本人は冗談めかした口調で 「神の声が聞こえるスピーカー」 と言っていたが、あるいは、異次元への入口にも見える。 近宮は黒で統一したレリーフ的作品。素材は発泡スチロールなのだが、とてもそうは見えない重厚な雰囲気を漂わせている。 服部は、100号を4点出品。いずれも、輪郭のあいまいな、さまざまな色の矩形を配置した抽象画。色の配置の追究は、終わりがないようだ。 三浦は「循環」と題した作品の12から14まで。青を主体とした色づかいで、陸上競技のトラックのようなかたちで、統一されている。 外山は先の個展で展開した「G」シリーズ。23から28までの6点と図録にあるから、新作かも。 あべは、長く取り組んでいるシリーズ「記憶の箱(風が透き通った日)」から5点。茶系を主とした渋い絵が多い。 |
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過去の展覧会 ■01年春 ■同秋 ■02年春 ■同秋 ■03年春 ■同秋 |
同人の過去の展覧会から ■企画展・今荘義男「古里」(03年) 佐々木美枝子さん ■03自由美術北海道グループ展(画像あり) ■外山欽平さんの個展(04年3月 画像あり) ■03年の個展(画像あり) ■02年の個展 ■01年の個展 ■神谷ふじ子さんの個展(02年。画像あり) ■野外オブジェ展イン栗沢(01年。画像あり) ■異形小空間14人展(01年。画像あり) 林教司さんのおもな発表 ■キャバレーたぴお展(01年) ■個展FGOPPE(01年。画像あり) ■多面的空間展VOL..4(02年) ■個展 具象から抽象へ(02年、画像あり) ■キャバレーたぴお展(02年) ■閉塞形状展(02年) ■1970−2001年自選展(03年) ■新 素材の対話展(03年) ■SUMMER WAVE展8(03年) ■BOOK'S ART展(03年) ■北海道立体表現展(03年) ■ディメンションの多様展5th(04年) ■今井和義追悼展(04年) 林さん、今荘さん、後藤さん共通 ■01年新道展 ■新道展(02年) ■新道展企画・共同制作「INCREASE/増殖 紙によるインスタレーション」(02年、画像あり) |
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