2002年4月後半
4月30日(火)
きのう書き残したこと。
美唄の東明公園は、花見でにぎわっていました。桜が満開でした。
桜が満開って、ほんとにきれいですけど、とりわけ桜の季節の空知の町って、いいですよね。なんだか、すごく幸せそうに見える。
新札幌のサンピアザの常磐うどん(芸術の森の入り口にあるのと同じ店)に寄ったら、壁に小野州一さんの花の版画がかかっていました。
こういうところに、テキトーに選んだ版画じゃなくて、ちゃんとした作品があるのは、なんとなくうれしいものです。
考えたら、常盤うどんの社長って、元絵かきの菊地ひでおさんだったよなあ、たしか。選択がしぶいのも道理。
さて、ギャラリーカフェ・クルトゥーラ(北区北12西4)の舟見さんからお手紙がとどきました。
ほかのギャラリーなどではやっていない試みとして、ことしはひとりの作家にスポットを当てるということをやっているのだそうです。
その作家とは、札幌の版画家、関川敦子さん。メルヘン調の図柄で知られていますが、クルトゥーラでは月替わりで「贈り物」になる小物や雑貨を発表しているそうです。
ここのお店は、飲み物もいろいろあって、女性にはおすすめです。地下鉄北12条駅から近いし。
筆者も、古本屋巡りの途中にたまに寄ります(舟見さんはいつもいないけど)。
4月29日(月)
絶好の行楽日和。
ということで、また行ってまいりました。アルテピアッツァ美唄へ。
家族サービスも兼ねてですので、道央自動車道経由で行きました。美唄ICからはすぐです。
ギャラリーでは、山岸誠二個展 −かすかに たしかに−と、上條千裕展 ―植樹祭―が開かれています。
山岸さんは、例によって、印画紙に直接現像液を刷毛などでふりかけて、ペンライトなどで感光させた平面作品。当初は、前衛書のような画面づくりが主体でしたが、近年は、ポロックを思わせるオールオーバーな抽象画が多くなっています。
今回は、会場の効果を考えて、旧作と新作を取りまぜた構成。右の写真は新作ですが、影のように黒い塊になっている部分と、細かい飛沫が覆っている部分が、大胆な対照を見せています。
一方、上條さんは、蜜蝋という素材を用いた抽象作品です。赤や茶、紫と灰など、微妙な色の組み合わせが、ふしぎな空気感をたたえています。
今回は全点が新作。制作にあたっていちばん意識したことは? と聞くと、
「光ですね」
という答えが返ってきました。
ただし、ことしは予想しないはやさで春がやってきたのが、計算違いだったそうです。
アルテピアッツァのギャラリーは、もともと木造校舎として使われていただけに、時間帯によって入ってくる日光の角度がまったく違っています。また、窓からは、広い芝生などが見えます。ふだんわたしたちが行く空間としてそれほど異質というわけではないのですが、美術作品が展示される空間としてはかなり風変わりであります。
左の写真は、本人が
「逆光の感じを意識してみた」
として並べた側の展示風景ですが、明るさや色味などを相当補正しており、西日のさす教室の雰囲気が出ているかどうか、自信ありません。
はかなげで、しかしどこか堅牢でなつかしい、独特の色調と作品の感じをつかむためには、やはり会場に出かけてみてほしいと思います。
いずれも、5月9日まで(4月30日、5月1、7、8日休み)。
5月4日午後2時から、舞踏の竹内実花さんによる「生展示 萌し」もあります。いわゆるダンスとも、ちょっと違うそうです。
4月28日(日)
きのうの続き(最近こればっかりだな)。
27、28日で会期終了の展覧会について。
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)。G室は、佐藤泰子展〜さくらさくら〜でした。
佐藤さんは、油彩の個展とパステル画の個展とを、おおむね隔年ペース(あくまで、おおむねですが)で開いており、ことしはパステル画。とてもパステルとは思えないほど、堅牢な画面の抽象画です。
今回も、中心は「finish」と題された連作。写真は、「finish B」です。50号大のパネルに紙を張ったものを4枚つなげた大作です。鮮烈な赤は、ちょっと写真では出づらいですね。
昨年の個展の際も書きましたが、光を見たあとで目を閉じるとまぶたの裏に見える残像のような色の塊が、画面のあちこちに明滅しています。
ただし、この作品の赤はまばゆい限りですが、「finish C」「finish F」といった作品では鮮烈さが後退し、抹茶色や水色といった、簡単な言葉ではいえないような中間色が前面に出てきています。また、明確なフォルムは影をひそめ、色彩の効果を追求する姿勢が強まっているように思えました。
なお、札幌芸術の森正門前の喫茶フェルマータでは、旧作の大きなパステル画の一部を切るなどして仕立てた作品を、5月20日ごろまで展示中です。芸術の森の帰りにでもお立ち寄りを。
佐藤さんは札幌在住、自由美術協会会員。
ほかの部屋は、A室が黒田華代子個展。水色を基調に、複数の人物と赤や黄の花々を散らした優美な画面で、道展に連続入選しています。
B室は第50回記念北彩展。女子美術大の卒業生有志展。半世紀も続いてきたとはびっくりです。96歳という富田愛さんの絵があって、これまたびっくり。教官の佐野ぬいさんの抽象画などもありました。小品ながら、サスガ。個人的には、鎌田俳捺子さんの出品がないのがとても残念。
C室はパープル会展。絵のグループ展。
D室は坂下美恵子展。水彩のようです。大まかなタッチの静物画です。全道展に出品している札幌の方です。
E、F室は前川京子個展。
こちらは、初めての個展で、昨年道展に入選した静物画「不思議な関係」などを陳列しています。この絵は、和洋の人形や白いマネキンなどを、丁寧に描写したものです。
アンドリュー・ワイエスの模写があり、この人の描写力の確かさがうかがえました。
札幌在住。
ギャラリー大通美術館(大通西5、大五ビル)では、佐々木祥子個展。
モノクロで力強く描かれた複数の女性像と、原色の背景を組み合わせた油彩。全道展には比較的多いタイプの絵です。
北海道画廊の門田一夫展に行く時間がありませんでした。ごめんなさい。
今週はゴールデンウイークのため、札幌時計台ギャラリー、ギャラリー大通美術館などは休みです。
また、5月1日-8日のアートスペース201も休みとなります。
札幌市資料館は、通常の火曜-日曜のサイクルではなく、6日月曜までの展示となります。7日は休みです。
「展覧会のスケジュール」欄と別に、札幌の1カ月間のギャラリー情報を分かる範囲ですべて載せたページをつくりました。
はっきり言って、たいへんな手間なので、6月以降もつくるかどうか分かりませんが…
4月27日(土)
連休初日ですが、筆者は暦どおりの出勤。
気のきいた人なら行楽に出かけるかガーデニングでもしてそうな快晴でしたが、ギャラリーまわりと知人のお通夜でした。
タダ券があるから、という軽い理由で行った人間国宝 十四代酒井田柿右衛門展(丸井今井札幌本店=中央区南1西2、一条館8階)でしたが、なかなかおもしろかったというか、考えさせられた展覧会でした。
というのは、出品およそ100点のうち20点が、柿右衛門の源流に当たる17世紀の有田焼なんです。
現在の柿右衛門が、伝統のどこらへんを継承し、何をあらたに付け加えているかが、わかります。
17世紀前半の有田焼は、土に鉄分が入っているのか、経年変化のせいなのかは分かりませんが、地の色が純白ではありません。
それが、17世紀後半、欧州にも輸出されるころになると、「濁手(にごしで)」とよばれる釉薬が確立し、素地が真っ白になります。真っ白なのに「濁手」というのは、いわゆる白磁に比べると青みがかっておらず、温かみのかんじられる乳白色だからということのようです。
また、ふちの茶色は、鉄銹(さび)を塗ったものです。
色絵に用いられている朱や青は、鮮やかでありながら下品に流れず、英国の王室などで珍重されたのもうなずけます。
さて、十四代の柿右衛門氏は1934年生まれ。はじめは、酒井田正(まさし)の名で作品を発表。82年に十四代を襲名し、昨年7月、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
十四代の皿や花瓶、鉢などは、一見すると、初代のころの伝統を墨守しているように見えます。
しかし、たぶんいちばん違っているのは、十四代が、たえず自然をスケッチし、本物の草木から学ぼうとしているという点です。
そんなのあたりまえじゃん、と思った方もおいででしょう。だけど、それは、西洋流の考え方であって、日本では決してあたりまえのことではありません。
狩野派の絵師たちは代々伝わる画帳をお手本にしたのであって、実際の風景や動物を写生したのではありません。実物に肉迫したのは、伊藤若冲とか葛飾北斎といった異才たちに限られるのであって、浮世絵や水墨画の世界も含めて、先達の絵をまねるのが一般のやり方だったのです。戦前の小学校における図画教育も教科書の写しが中心でしたし、それは現代の漫画家にまで及んでいます。
筆者個人としては、実物をスケッチするほうが良いと思っていますが、客観的にどちらがすぐれているかはいちがいに言えないような気がします。
十四代柿右衛門の題材は、杉、えのころ草、あかしや、こでまり、蓼(タデ)、麦、サルトリイバラなど、じつに多岐におよんでいます。いずれにも、対象への鋭く優しいまなざしが感じられます。
ここでひとつ難問が生じます。形を、実物にまなぶのはよい。図案化するには、枝を整理するくらいで済みます。けれども、色を写実するには、限界があります。柿右衛門の色絵には、朱、群青、茶(これは木の幹を表す)、黄色、緑、黒しか色のバリエーションがありません。どんな植物でも、葉は、緑と群青の2色で表現されています。洋画のようなはっきりとした陰影の表現もありません。
つまり、形は近代、色は伝統、というのが十四代の手法なのです。この色こそが、400年来の柿右衛門らしさなのですから、突然たくさんの色の釉薬を使うわけにはいかないのです。
つまり、十四代が、手元のスケッチを作品化する過程には、フォルムのリアリティを生かしつつも色彩を大胆に単純化、様式化するという作業が含まれているのです。よく見ると、たとえば花の輪郭を黒い線ではなく朱の線で表すことで、薄い花の色を表現するなどのくふうも随所にあります。
また、色絵に似合う対象とそうでない対象の弁別もしなくてはなりません。
95年の「色絵 撫子文鉢」では、あらたに黄緑の釉薬が、がくの部分に用いられていました。ほんとうに少しずつではありますが、伝統の枠を広げようという苦闘の跡が見受けられました。
30日まで。一般600円。
おっと長くなってしまった。
30日までの会期の展覧会のことを書いて、のこりはあしたにまわします。
アートスペース201(南2西1、山口中央ビル)の須川馨写真展「ラ旋のテリトリー」がおもしろい。かなり凝ったヌード写真です。
「浮幽」は、人工的な水色の水面に裸婦が浮かんでいるという、どこか幻想的な場面。
左側の壁のインスタレーションふうの展示には、ソフトSM的なのも多く、ロープでぐるぐる巻きにした写真もありますが、多くは細い針金などを巻きつけているため、どこか非現実的な光景に見えるのです。
大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)では砂田明廣油絵展。札幌在住の旺玄会会員。
派手さはありませんが、粘り強く風景を描いています。「早春の白樺林」などは、木の物質感がよく出ています。「夜明けの浜」の、廃船の質感にも、手堅いところをみせています。
4月26日(金)
退社9時40分。
けさの道新に、写真の東川賞の記事が出ていましたね。
海外作家賞のエドウィン・ズワックマンさん、新人作家賞の尾仲浩二さん(東京)は知りません(^_^;)が、特別賞に風間健介さんが選ばれました。おめでとうございます!
風間さんは、夕張に住んで炭鉱跡の写真などを撮り続けています。
国内作家賞は森村泰昌さんです。でもこの人、写真家というのとはちょっと違うと思う。
森村さん、若手の現代美術作家だとばかり思っていたら、もう50歳なんですね。ちょっとびっくり。
4月25日(木)
職場では、連休前の前倒し作業のピーク。つかれたあ。
それはさておき、20日の続き(^_^;)
美しが丘アートギャラリー(清田区美しが丘2の1)の2002オープン企画展「九つの箱」。
ようするに、冬の間休んでたわけです(北海道では、スキー場以外の行楽施設はたいていゴールデンウイークの前まで閉鎖しています。でもギャラリーの冬眠はあんまりないかもしれない)。
このギャラリーは、有名な建築家の倉本龍彦さんの奥様でいらっしゃる悦子さんがやっているのですが、遠いし(札幌の南西の果て)、たいてい月曜から木曜までしまっているし、その期間中も午前11時から午後5時までしかやっていません。
なので、行くまでが大儀なのですが、行くと
「来て良かった」
と思う展覧会がほとんどです。
道内の、北国らしいクラフトの展示が多いのも、ここと、札幌芸術の森・工芸館くらいだし。
さて、今回は、陶芸家の松原成樹さんが企画し、「箱」をテーマに、9人の作家に出品してもらった展覧会。工芸のグループ展で、これほど狙いのはっきりしているのは、めずらしいと思います。朝日新聞の道内版夕刊によると、作品を作る前にディスカッションを重ねたそうです。
松原さんの陶器は、蓋つきですが、その蓋は動きません。あけた瞬間のところで本体に固定されたみたいになっているのがユニークです。また、ジュエリーボックスのような構造の陶器もありました。小室に、まるい陶のオブジェがはいっています。
田村陽子さんはフェルトが素材の箱。もこもこした質感が気持ちいいです。
山野直樹さんは「主客二元論に於ける現象学的克服 その1」というむずかしい題がついていますが、木のピラミッドです。ひとつひとつの段が、それぞれ箱になっていて、額縁にもなるというすぐれものです。。
スケヒロクスモトさん「閉じる箱のSeries」は、氷飴を思わせる感じ。
唯一クラフト作家でないのが、またまた登場の山岸誠二さん。現像液によるモノクロームの抽象画(?)を4点出しています。もちろん、見るとなんとなく箱を思わせるのですが。
ほかに、倉本悦子さん、鴨下蓉子さん、外山雄一さん、藤井葉子さんが出品しています。
28日まで。
美しが丘アートギャラリーは駐車場あり。地下鉄東豊線福住駅から、美しが丘、大曲、里塚方面へのバスに乗れば、たいていOKです。いちばん便利な「美しが丘9の3行き」だと、美しが丘3の2で下車、徒歩3分。ただしこのバスは1時間に2本しかありません。国道36号経由なら清田体育館前で下車、徒歩6分。旧道経由なら日の丸団地下車、徒歩9分です。
4月24日(水)
キヤノンサロン(北区北7西1、SE山京ビル)で佐藤秀基写真展「メッセージ〜17歳のつぶやき〜」を見ました。
埼玉県川口高校の先生が、45人の生徒を撮ったモノクロ写真です。
ぜんぶ教室の、自分の机に坐ったところをとらえているのが特徴。スタイルに統一感が出ているのと同時に、後には級友たちがうつりこんでいるので、にぎやかさが伝わってきます。
写真の横に、たわいのない川柳がついています。「雨が降るそんなの俺に関係ない」「ラグビー部これが私の生きる道」とか。
それにしても、みんないい表情しているなー。青春だなー。
26日まで。以後、福岡、名古屋、大阪梅田のキヤノンサロンを巡回します。
4月23日(火)追加
道新のおくやみ欄によると、全道展会員(絵画)の夏山亜貴王さんが亡くなったようです。69歳。
人物画が多かったですが、非常に単純化された構図と、蛍光色のような赤や黄色などのまばゆい色つかいで異彩を放っていました。
夏山さんは聾者でした。自分からなんとか話はできるのですが、こちらから意思を伝えたい時は、筆談でした。それでも明るくふるまい、全道展の審査などには欠かせないキャラクターでした。
ご冥福をお祈りします。
4月23日(火)
きのう、北海道抽象派作家協会展で、書き落としたことがあります。
来年はちょうど30回となるので、札幌市民ギャラリーのほかに、スカイホールでも同時に、同人の版画展を開くそうです。
1976年の第3回のときにも版画集をつくったそうで、そのとき以来久しぶりの記念事業となりそうです。
よそのサイトのことですが、アートスペース201のakaさんが開設している「ぞ」のアクセスが5万を突破しました。
今年に入って一時なりをひそめて? いましたが、再びリンク集など充実していまにいたっています。
「ほっかいどうあーとだいありー」のアクセスはちょうど「ぞ」の半分くらいです。「後輩」として、まけずに充実させていきたいと思っていますので、ご意見などお寄せください。
4月22日(月)
けさの道新の「おくやみ」面に、石川雅敏さんという方の名前がありましたが、住所から判断して、日展、一水会を発表の場としていた石川さんのことではないでしょうか。
道内の公募展には所属していませんでしたが、アートスペース201で毎年開かれている「十九の会」の指導者でしたので、作品は毎年拝見していました。
印象派ふうの風景画を多くかいていましたが、昨年の日展にはアイヌ民族の衣装を着た女性をモティーフにした絵を発表し、新しい展開を見せ始めたところでした。
「展覧会の紹介」で、北海道抽象派作家協会展をアップしました。
ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館)では、多面的空間展VOL.4が開かれています。
漆山豊、上條千裕、中森秀一、林教司、原田せい子、藤川弘毅、渡辺英四郎の7氏が出品しています。
このうち、上條さんだけ「哀歓」「雨の向こう地面の下」「シャコ貝」「ねこ柳」という題をつけていますが、ほかはすべて無題のようです。上條さんにしても、完全な抽象画で、題がわかったからといって、あまり作品の理解には役立ちそうもありません。
藤川さんは、人の顔を写したフィルムを、もう一度モノクロ印画紙に焼きなおすという面倒な作業をしています。フィルムそのものを展示する人はよくいますが、印画紙に焼いてインスタレーションにする人はめずらしい。1枚の印画紙に204もの顔が小さく並んでいるのは、ユニークな眺めです。
林さんは、二重丸を描いたタブローと、四角形を描いたタブローの二つ。林さんにしては軽い部類の作品ですが、この作家の、シンプルな形に対する偏愛を知ることができます。
27日まで。
4月21日(日)
きのうの続き。
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)では毛内康二展が開かれています。
以前は、凹凸のあるキャンバスを自作して赤や青などの色を配置していた毛内(もうない)さんですが、とうとう木枠が取り払われてしまいました。何枚ものキャンバスの断片が、奥行きを異にして、空中に浮かんだような作品になっています。
あるいは、ピカソやブラックのキュビスムの絵の、線で囲まれた部分が、それぞれ切り離されて、前進したり後退したりしているさまを連想させます。ただし、毛内さんのほうがカラフルで、四角形という制約もなくなっていますけど。
写真の左側は「モンローの分析」。よく見ると、マリリン・モンローの顔がかいてあります。
毛内さんによると、これはアンディ・ウォーホルの有名なモンロー像から引用したそうです。
「複製芸術のそのまた複製っていうものですね」
派手な色彩を見ていると、ウォーホルからはだいぶ隔たっているようですが。
そのとなりの「肖像の分析」は、やはりウォーホルの毛沢東像だそうです。ますますむずかしい。
奥には「ガンダム」という、100号クラスの作品もありました。「メカニックなものが好き」だから命名したそうですが、なにせ抽象的な絵ですからガンダムには見えません。
さて、どんどん解体していく毛内さんの絵ですが、このあとは立体になっていくのでしょうか。
同じギャラリーの上の階では、Gruop Ten 七宝展が開かれています。
昨年までの「Group 0.5釉展」を改名した、札幌の七宝作家堤恭子さんの主宰するグループです。
堤さんの「Time on Time」は、複雑な中間色の発色にますますみがきがかかっています。
生徒さんでは、村上弘美さん「巡る」にひかれました。落葉がモティーフですが、色の処理がおしゃれです。
いずれも、23日まで。
NHKギャラリー(大通西1)での工藤真人昆虫デジタル写真展。けっこう、単純に見ごたえがあります。
とくに、空知管内栗山町で撮影したオオムラサキの羽化や孵化の瞬間がみごとにとらえられています。ほかに、トンボ、光る蛍など。
ほとんどが半切サイズ。このくらいだと、色のにじみが少ない点は、銀塩写真よりも美しいくらいです。
25日まで。
今週は、ゴールデンウイーク中の紙面を前倒しでつくらなくてはならず、忙しくなることが予想されるので、20日のネタを小出しにして引っ張ります(^_^;)
4月20日(土)
まず、19日朝に行った木滑美恵展。会場はギャラリーどらーる(中央区北4西17 HOTEL DORAL)。
ほんとは、19日夜に書いてたんだけど、更新の途中で寝てしまったのでした。
さて、きなめりさんは、旭川在住の道展会員(油彩)です。
今回の個展には、すこし古い作品も並んでいるのが目を引きました。
90年代前半のものだと思いますが、部屋の中央に横向きにソファを置き、裸婦を配した2点です。筆者は写真版でしか見たことがなかったのですが、動的なタッチなどは今に通じるものがあると思いました。
90年代後半から裸婦がいなくなり、まるで舞台の上で俳優が劇を演じているようなドラマティックな画面構成に変わっていきます。
たとえば、その名も「舞台装置」という作品は、昨年の道展に出品されたものですが、ちょうどリハーサルの休憩の時のように、男女がばらばらに寝そべっています。
木滑さんの絵については、劇的な構成の中で人間像を描く―というような評言がされることがありますが、この絵を見ていると、もうひとつ気が付くことがあります。
それは「動き」という要素に木滑さんが関心を持っているらしい、ということです。
シャッタースピードを遅くして撮影した写真のように像がブレたり、同じ人が複数の位置に描かれたりすることによって、劇的な迫真性が増しているのだと思いました。
「一粒の麦」は、おそらく最新作です。磔刑のイエス像を右半分に、群像を左半分に配しています。題は、聖書から取られています。きっと宗教性が心理劇を下支えしているのでしょう。
30日まで。
さて、20日は例によって、1DAYカードであちこち回りました。
以前も書きましたが、1日1000円で、市内の地下鉄、バス、市電が乗り放題のすぐれものです。
でも、きょうは1日700円で市営交通乗り放題の「エコキップ」の日だったんですね! まあ、市営バス以外だと利用できない区間が多いから、損をしたわけではないんですけど。
きょうは気温が20度になり、ほんとうにあたたかい1日でした。レンギョウ、チューリップ、桜、コブシ、ヒヤシンス…。いろんな花がいっぺんに咲き出しています。
まず、あす21日で会期終了の展覧会から。
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階)の横田惠子陶展が、なかなか見ごたえがありました。
最初に会場で目に入るのが、「雪霞」「泡雪」などと題された、白い釉薬のオブジェです。これまで日本現代工芸展や日展に出品してきた円い作品と、それ以外の楕円形に見える作品とが交互に並び、リズム感を出しています。
題の通り、ほとんどが真っ白な作品です。よく見ると、表面が、滑らかだったり、ざらめ雪のようだったり、場所によって微妙に違います。陶芸の世界ではよく景色ということを言いますが、これは景色というよりマティエールに近いおもしろさのように思いました。
筆者は、あまり古陶磁とかにくわしくないこともあり、見る人が見ればわかる工芸よりも、横田さんのように、ストレートに北海道らしい風土が感じられる作品が好きです。
もうひとつの作品系列は、みずから拾ってきた薪や枝を燃やして灰をかぶらせたもの。
「備前ですか、と聞かれるんですけど。冬は暖かいし、薬(釉薬)も買わなくていいから、いいですよ」
と横田さんは笑いますが、ただの焼き締めとは異なる微妙な味わいがあります。
大小の三角柱30個をインスタレーションふうに並べた展示(写真奥)もあります。釉薬をかけたところと、かけていないところが、地層のように見え、おもしろい味を出しています。
スカイホール(南1西3、大丸藤井セントラル7階)では、冨澤謙個展。
小樽在住です。穏健で明るい色調の、写実的な風景画が68点出品されています。まさに「ここに小樽派あり」といえそうな、心がやすらぐ絵が並んでいます。
うち50数点は、小樽を中心に、道内の風景。のこりは、昨年画材一式を携えて旅したイタリアの風景です。
冨澤さんの絵は、濁りのない、やや高い明度の色調が特徴です。陰影を強調するのではなく、比較的固有色をいかし、フラットな筆使いを全面に通しています。その場の空気感をよく伝えていると思うのですが、ヴァルールの穏やかさのため、たとえば「冬の北浜運河」などの雪景色では、肌をさすようなつめたい風よりも、寒い中にさしこんでくる太陽光線のあたたかさのようなものがほのかに伝わってくるようです。
冨澤さんは道展会員(油彩)。1967年に会員になったベテランです。
スカイホールでは、西川芋山(うざん)書作展も開かれています。自由にかかれた近代詩文が中心。
となりのさいとうギャラリー(南1西3、ラ・ガレリア5階)では内海真治 陶板画・作陶展。みょうに素朴な図柄の陶板が並んでいます。ひとくちではなかなかいえませんが、バタ臭いというか、和の雰囲気のほとんどない、欧州のみやげ物みたいな? 作品です。
札幌市民ギャラリー(南2東6)では、第29回美工展を見ました。
道内の、工芸だけを対象とした公募展です。出品数は87点。ジャンルも多岐にわたっており、見るのにちょうどいい規模です。
例年、皮革の大作を出している高木晶子さん(札幌。会員)は、今年も「赤い砂漠」という大きな壁掛け作品で、目を引きます=写真右=。革の列を重ね、画面に規則的な厚みを出しているのが特徴です。右上に浮かぶ黒くいびつな太陽が、強い不安に見る者を誘います。聞くと、米軍のアフガニスタン空爆に心を痛めて制作したとのことです。
刺しゅうの吾妻紀子さん(同)「“訪れ” 我が家に来る野鳥」=写真左奥=は、アカゲラやセキレイなど、刺しゅうで作った鳥が48種類も高さ約2メートルのガラスケースの中に収めています。また、鳥が止まっている木の枝は、どうやら鮭の皮かなにかでこしらえたようです。美術というより、博物館の模型みたいですが、たいへんな労作です。
押花。多比良桂子さん(砂川。会員推挙)「森の詩(うた)」は、白樺の幹の色調を生かし、抽象画のよう。
組紐。細谷緋紗子さん(札幌。会員)「馬」は、ある個所でひもを横に並べて合わせると「馬」という文字が浮き出てくるユニークな作。
塗り。山崎友典さん(札幌)「タハムレ」は、1曲2双の屏風形式の作品。朱の二重丸がシンプル。螺鈿の散らし方もきれいです。ただ、漆芸の出品者が1人なのはちょっと寂しい。
対照的に大所帯なのは、染織、陶芸、人形の3部門。人形は、和紙人形の擡頭がきいているようです。
染織は、藍の地にススキや萩を配した「清秋」の伊勢茂子さん(会員)、爽やかな「さざなみ」の千葉寿美子さん(同)、洞爺湖をうまく図案化した阿部スエ子さんら、伊達勢の優品が目立ちます。新人賞を受けた三浦千津子さん(千歳)「木漏れ日」はオレンジが清新でした。一方、東川惠美さん(札幌)「LIFE contradiction」は、心電図のような意匠が斬新です。
陶芸では、写真手前の佐久間弘子さん(札幌。会員)「絆」のように、2つで1組というオブジェが目立ちました。
和紙絵の宮森恵子さん(同)「時空の流れ」は、明るい花模様です。
クレーアートの経塚真代さん(札幌)「人生劇場」は、小さな顔がいっぱい散らしてある壁掛け作品で、顔の表情が谷川よしみ調です。
とりあえず、分量が増えてきたので、のこりはあしたにまわします。
取り上げるのは、北海道抽象派作家協会展、毛内康二展、九つの箱、多面的空間展、工藤真人昆虫デジタル写真展、スカンジナビア風景画展などです。
道内美術館のスケジュールに、江別市セラミックアートセンターの上半期のみ追加しました。秋以降は日程が固まっていないようです。
4月18日(木)
きょうは午後8時半。
4月17日(水)
札幌時計台で午後6時半から開かれたデメーテル(とかち国際現代アート展。7−9月)の関連イベントに出席する予定だったが、仕事が終わったのが9時。やれやれ。
きょうはなにも書きません。
4月16日(火)
ひさしぶりに裏参道のカフェ・エルエテ・デ・ミュゼ(中央区南1西24の1の11リードビル2階)に行くと、棚が移ったりして、いくらか模様替えしていました。
開催中の北川健次展は、いかにも銅版画らしい、不思議に懐かしい感じに満ちた作品が並んでいました。コラージュやボックスアートもありました。銅版画じたい、カフカの肖像を引用していたりして、コラージュに近いものがあります。
エルエテでは、「BT美術手帖」や「芸術新潮」など、美術雑誌を毎月「意地で」(オーナーの渡辺さん)購読していて、バックナンバーも最近のはそろえており、いつでも読めるようにしているとのことです。(しかし、珈琲を飲みながら音楽の話ばかりしていたのだった)
上遠野敏さんから、先週ギャラリーたぴお(北2西2、道特会館)で開かれていた「林田嶺一展」について投稿が来ましたので、アップしました。
残念ながら筆者は行けませんでした。昨年の秋、わざわざ東京まで見に行っているので、カンベンしてください、ということで。
全道展のなかでは、かなり異色の作家であることは間違いありません。
4月15日(月)
訃報です。
朝日、読売夕刊によると、彫刻家の千野茂(ちのしげる)さんが亡くなりました。89歳でした。
千野さんは1913年新潟県生まれ。院展同人を経て、院展彫刻部の解散後は国展で活躍します。また東京芸大教授も勤め、82年には、旭川の第13回中原悌二郎賞を受賞しています。
穏やかな具象表現が持ち味で、札幌芸術の森の野外美術館にはブロンズの裸婦「髪」が設置されています。
きのうの続き。
英国のアーティスト、ロジャー・アックリングさんのアーティストトークがFree Space PRAHA(中央区南15西17)で開かれ、若者を中心に大勢の人が集まりました。
アックリングさんは1947年ロンドン生まれ、セントマーティンス・カレッジ卒業。拾った木片にレンズを近づけて太陽光で焦げ目を付ける作品を制作しています(以上「美術手帖」94年5月号)。
すでに何度も来日していますが、北海道は初めて。日本海岸にある望来(もうらい)に通って、制作に取り組みました(プラハとともに招聘に当たったテンポラリースペースの中森さんの趣味なのかな)。
時期のせいもあると思うのですが、アックリングさんは北海道のことを
「本州とは違う哀愁が感じられる。北部スコットランドに似た土地」
と表現していました。
そして
「自然はわたしたちの外側にあって、わざわざ探すものではない。それはわたしたちの内部にある」
などと、含蓄のある言葉を語っていました(とはいえ、気難しそうな人ではなく、優しそうなおじさんでした)。
彼は、レンズによる作品をずっと作り続けています。それが良いことかどうかは分からない、ギャンブルみたいなものだと話していました。
また、プラハを、若い人がディベートする、美術大学に匹敵する施設だと絶讃する一方(大橋君、よかったね)、マイちゃんたちによる±0cafeの試みを評価していました。
望来でつくった作品を手に取って見ました。陽光による焦げ目の線が規則正しく木片の表面を覆い、なんだか、古代から伝わる遺物のようにも見えました。
一線美術展を、展覧会の紹介にアップしました。
季刊誌「てんぴょう」の11号が届きました。
さいきん、札幌市内の書店でもなかなか見かけなくなっちゃいましたが、どうか注文して買っていただければうれしいです。
また、道立函館美術館の「ハコビニュース」をご恵送いただき、ありがとうございます。
4月14日(日)
あー、はやくゴールデンウイークにならないかな。
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)で、野村裕之小彫刻展 “秘やか”。
野村さんの作品は、全道展、北海道立体表現展、お正月展などで見ていますが、見るたびに作風の異なる、ユニークな若手作家です。
今回は、「ひそやか」と題した大理石の小品いくつかと、「つながり」と題した、木彫を施した板にごく小さな大理石の彫刻を数点埋め込んだ壁掛け式の連作とを出品しています。
木のほうも古色が感じられていいですが、筆者の好みは「ひそやか」のほう。人間とも植物とも建築ともとれる、有機的な形が、見ているだけで心を和ませます。
16日まで。
コニカプラザサッポロ(北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)では、山本宗輔写真展 ピナトゥボに還りたい 先住民アエタ族の葛藤を見ました。
1991年に噴火したフィリピンのピナトゥボ火山。それまで住んでいたところを追われた先住民族をカメラで追った労作です。難民キャンプで家族を次々と伝染病で失う人。首都マニラに出て物乞いをする人。泥だらけの土地に帰って以前からの生活を取り戻そうとする人。
マニラから100キロに満たない土地で、こんなにも悲惨な運命に遭っている人たちがいるとは知りませんでした。
29日まで。
以下、すべてきょう14日までの展覧会です。
今週はおそくなってしまって、すいません。
おとなりの=札幌市写真ライブラリー(北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)では、写真展EX−内から外へ−。
ここ1年ほど札幌では、若い世代による写真のグループ展が相次いでいますが、これも、北星学園大、北大、札幌学院大の学生計11人と社会人1人による、初のグループ展です。
全体に、若々しい感性がみなぎる、良い展覧会でした。モノクロの焼きも、とても丁寧。
ただ、好みから言うと、ちょっとキャプションが多すぎるかな、と。鑑賞を助ける文字じゃなくて、読むのが面倒なばっかりで、鑑賞を妨げる文字パネルが多いように思えました。
うまいのは加藤D輔さん「NIGHT PORTER」。孤独、旅愁。どんな言葉も追いつけないほどに、独自の世界を写し出しています。
加藤さんのとなりで、モノクロによる静かな写真を出していたのが齊藤市輔さん「無機的」。透過光のあしらい方が現代的。
原田玄輝さん「夜の時」も、狙いが明確で、好感を持ちました。長万部駅前のバス停、吹雪の大通公園12丁目、白樺林、北大理学部前…。全編、ややアンダー気味のモノクロでとらえられたひそやかな無人の風景、とてもいいと思います。
安房貴子さん「だがおはなしは/すぐにおわる/あすが/あさってが/しあさってがきて」も、わざわざバンコクにまで行って、でも日常は変わらないんだ、という視線は面白いと思います。
札幌市民ギャラリー(南2東6)では、一線展と第14回北南会展を見ました。
一線展は「展覧会の紹介」にゆずるとして、北南会展。
北南会は、北海道南画会の略です。水墨画と墨彩画の公募展です。
しばらくぶりに見て、わー、ずいぶんカラフルになったナー、というのが第一印象でした。
会場を見渡すと、本州からの作品がずいぶん並んでおり、しかもこの多くが彩色されたものでした。一部、千葉、茨城などもありますが、なぜか大半が山梨県からの作品。
やはり、道内のきまじめな画風とはちょっと異なるようです。小柳種世さん「日来」は、宗教的な荘厳さが漂う作品。山本弥乍さん「昭和の痕跡」は、古い家の壁を平面的にとらえています。
道内勢(大半は札幌です)では、安友千河さん「月竹の図」、佐藤美子さん「すすき」、阿部英夫さん「日高幌尻岳」などが、安定した構図で目を引きました。
佐藤美和子さん「夕映え」はオレンジが美しく、うっとりします。
札幌市資料館(大通西13)では、一虹会展。
もとは田辺三重松の指導を仰いだこともある旧拓銀の職場絵画サークル。
伊藤冲さんの風景は、山や岩が藍色を帯びているあたりが伊藤さんらしいところ。
荒井孜さん「水路巡り(柳川)」に感心。ふつうなら色数を抑えた和風の表現になりそうなところですが、赤や青などまぶしい色を巧みにちらして、華やいだ印象をあたえます。
東海林洋さん「雪の大通公園」は、とくべつ変わったところもない風景画ですが、人気のない6丁目広場を丹念に、破綻なくまとめています。
全アサヒ北海道写真展も開かれていました。道内のアマチュアが大勢参加しています。どれも上手な写真でした。
ギャラリー大通美術館(大通西5、大五ビル)の「書と切り絵の作品展」も、書の軽みがおもしろかったです。
イーストウエストフォトギャラリー(南3西8、大洋ビル2階)に行ったら閉まってたけど、どうして?
大学構内の川の源流について、Y場さんから、千歳科学技術大には美々川の源流があるとの指摘あり。ありがとうございます。
でもさー、美々川の源流を開発しちゃうのって、まずいんじゃないの?
千歳川放水路計画に反対する論拠に、美々川の源流域の開発反対ってのがあったような気がするけど。
よく考えてみたんだけど、ほんとは大学のキャンパス内に源流があるとはいえないんだよね。
北星学園大に隣接する公園に源流がある二里川支流は、ほんとに木々の間から水がしみだしてきています。これはいい方。
でも、北大のサクシュコトニ川は、ほんとは北大より南にある伊藤邸の中や偕楽園に、水源のメム(アイヌ語で泉の意味)があったわけだし。いまでも両方とも、名残のくぼみはありますが。
で、中流は完全に暗渠になってるし、下流もエルムトンネルの工事に伴い暗渠になりました。いま、サクシュコトニ川を見られるのは、北大の中央ローンの附近だけ。
西岡排水にしても、ほんとの源流域は、古い地図で判断すると、いまのスーパーマーケット、ラッキー西岡店あたりなんだよね。たしかに、ここは道路がすこしへこんでいます。このあたりから札大までは、新興住宅地が続き、川の名残はまったくありません。
そんなことを考えて、狸小路8丁目の古書店「八光書房」に入ると、「日本の古地図 札幌」という本が2000円で売られていて、思わず購入したのでした。
この本の「望来」(石狩館内厚田村)の個所を見ながら、ロジャー・アックリングさんの話を聞くと、また違ったカンジでした。
以下明日。
そうだ、けさの道新の「ほん」面に「にせもの美術史」の紹介が出ていましたが、「現代巨匠の作品」についてこの本ではキリコとラウル・デュフィあわせて十数行出ているだけです。この紹介を書いた人は、ほんとに読んだのかなあ。