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あーとだいありー2003年4月前半
4月14日(月)
佐藤弘延の世界展=大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)
甲骨文字をモティーフに、色鮮やかな絵画や、ほんとうの書作品を発表しています。
まあ、もともと漢字というのが、絵文字ですからね。絵にするには、むりがありません。
15日まで。エルエテギャラリースペース(中央区南1西24、リードビル2階)では20日まで開催中。
遊油会展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル)
浅水邦子、石塚幸子、北島章子、鳥海清子、佐藤弘次、本間清治郎、堀内寿与の7氏によるはじめてのグループ展。
7人中6人が油彩など絵画で、鳥海さんは陶によるオブジェを出品しています。
筆者が惹かれたのは堀内さんの絵でした。「細春の頃」は、ほとんど黄色に近いようなあざやかな黄緑が、諧調豊かに描かれているのが魅力です。黄緑とひとくちにいっても、ほんとうにさまざまな色合いがあるものだと感心します。そしてこの魅力をひきたてるものとして、絵の右下側の、日陰になっている部分の濃い緑や、幹の茶色などが、きちんと配されているのです。
15日まで。
4月13日(日)
第1回萌展=大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)
「第1回」とありますが、これは、新道展創立会員の菊地又男さんが生前主宰していらした「新女性展」のメンバーが中心となってあらたに始めたグループ展です。
10人が絵画を出品していますが、「新女性展」のときとちがうのは、小品ばかりだということです。
素描一筋の木下幾子さんは、着衣のデッサンを2点。清水アヤ子さんは「宇宙飛行士」と題した2点。するめのような形をした物体が空を飛んでいるユニークな絵です。
笹島スミ子さんは、静物をモティーフにした絵のほかに、卵を素材にしたかわいらしいクラフトも出品しています。
浅水邦子さんは、花を題材にした静物画が2点ですが、画面に飛び散る飛沫が清新な印象を与えています。
ほかに、伊吹住江、井村郁子、菊地美智子、渋谷美智子、鈴木裕子、宮下久子の各氏が出品しています。また、札幌のベテラン画家で、新道展在籍時に菊地さんと親しかった高橋英生さんが賛助出品しています。あいかわらず味のある作品です。
15日まで。
4月12日(土)
きのうまでのつづき。
絵画に宿る「心」について盛本学史は考えた=オリジナル画廊(中央区南2西26)・ギャラリー山の手(西区山の手7の6)
第1回三岸節子賞を受けた若手の画家で、富良野市山部にアトリエを構える盛本さん。個展は、昨年6月以来で、今回は2会場同時の開催です。
案内状には、こうあります。
画家盛本学史は、「生きている絵画」の創出を目指し制作に取り組み、現在、生命と心の接点を探究しています。
今回の展覧会では、「名前のある絵画」の家族や友だちを描いたシリーズ「心びと」の中から、チグリス・ナイル系を中心とした作品群と、線描を生かした心象画を「和ことば」と題し、2会場に分けて展示致します。
「心びと」がギャラリー山の手、「和ことば」がオリジナル画廊です。
「チグリス・ナイル系」は、一見抽象画のように見えながら、目が描き加えられているので想像上の動物のように見える絵のことです。川の絵ではありません。
今回は、18点が展示されています。上の写真は「ドロンキー」です。
「ドロンキー」って言われても…という感じもしますが(^。^)、以前より抽象っぽくなくなり、キャラクター系に近づいてきたような気がします。動物の色と背景の色が同系統なので、キャラクターを強調する絵ではないのですが。
オリジナル画廊のほうが、抽象の心象風景という感じの絵です。
盛本さんらしい、赤を主体にした絵が多いのですが、筆者は青や緑をメーンにした絵のほうが、心にしみました。
なお、当初予定より展示期間が延び、ギャラリー山の手は5月2日まで。オリジナル画廊は、連休明けまで(未定)です。
ギャラリー山の手の展示作品は次の通り。
「ナイル〜海の王様〜」(F100) 「ナイル〜王様〜」(F50) 「ナイル〜森を出る〜」(F10) 「ベンガジ」(F20) 「???」(F80) 「ベイビーナイル」(F50) 「チグリスビッグ」(同) 「アポ・リス」(F10) 「クリ・チス」(F8) 「チグリスビー」(F30) 「アポ・リスF」(F10) 「カム・リス」(F6) 「ラガーダ」(F130) 「ドロンキー」(F100) 「オボヤニ」(F6) 「パロス」(F8) 「ンナギラ」(S100) 「トルトーサ」(F10)
オリジナル画廊は次の通り。
「水辺のクジャク」(F10) 「王様」(F4) 「鳥を抱く人」(同) 「庭園にて」(F10) 「鳥と貝」(F4) 「森〜花咲くところ〜」(F8) 「碗の花」(サムホール) 「花火の国」(F30) 「冬の国」(F8) 「かたつむり」(サムホール) 「植物の村」(F30) 「水辺の木」(F10) 「月、夜、花」(F12)
関連のテキスト。
■2001年の大同ギャラリーの個展
■02年6月のギャラリーユリイカの個展
■第1回三岸好太郎・節子賞展(画像なし)
4月10−11日(木、金)
訃報です。
11日の朝日新聞によると、彫刻家の峯孝さんが亡くなりました。89歳でした。
峯さんは、京都生まれ、東京在住。自由美術協会・彫刻部の長老です。
北海道とのつながりで言えば、一昨年11月に、さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)で個展をひらきました。
しかし、なんといってもなじみが深いのは、1956年に大通公園3丁目に設置された彫刻「牧童」でしょう。
これは、北海道の牛乳生産量が100万石を突破したことを記念して、北海道酪農協会がたてたものだそうです(原子修著「北海道野外彫刻ガイド」)。正面の碑文には
「乳と蜜の流れる郷に」
とあります。
古きよき北国のロマンを感じさせる、質朴な作風だと思います。
また、南区の真駒内中央公園には「エドウィン・ダン像」があります。
ダンは、当時の北海道開拓使が雇った米国人で、真駒内に種畜場をひらくなど、北海道の酪農の父と称すべき存在です。この像のそばには、エドウィン・ダンの記念館があります。
やはり、原子修著「北海道野外彫刻ガイド」によると、峯さんは3年の月日をかけてダンの人間性や道内の酪農などについて調べ、64年に完成をみたのだそうです。
このほか、道内には
があるそうです(札幌彫刻美術館編集「北海道の野外彫刻マップ」による)。
また、「六花亭」の包み紙などで根強い人気のある農民画家、故・坂本直行とも交友がありました。
ご冥福をお祈りします。
関連テキスト。
■ 2001年11月の個展(画像なし)
大坪俊裕写真作品展=札幌市資料館(中央区大通西13)
霧多布(釧路管内浜中町)の自然に魅せられて5年ほど前に本州から移り住んできた大坪さんの写真展。すべてカラーで。39点。
なかなか良かったです。
めずらしく流氷がおとずれた海岸。凍って蓮葉状の氷が浮かぶ漁港。湿原に沈む夕日。茶色に枯れる湿原。いっせいに咲くエゾカンゾウ。岬のはずれの一本道…。
「うわ、どうやって撮ったの」と言いたくなるような、めずらしいネイチャーフォトはありません。「こんなに動物に近づいてだいじょうぶかな」と思っちゃう作品もないです。
むしろ、霧多布に住んでいる人が、日常出会う夕焼けや、四季折々の風景に、すなおに感動して巧まずレンズを向けているうちに、こういう写真がたまっていくのだなあ、というさりげなさを感じます。もちろん、写真がたいしたことない−と言っているのではなく、「決定的瞬間を撮るためなら多少被写体の動物がどうなっても知らん」というような強引さのないことが、筆者をホッとさせるのです。
そして、こういう大自然がまだまだのこっている北海道という土地にほこりをおぼえたりするのです。
大坪さんによると、花が見ごろなのは六月下旬から七月上旬とのこと。機会があれば、ぜひ訪れたいものです。
13日まで。
村上豊油絵個展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
同ギャラリーで毎年個展をひらき、じつに今回で29回目になるという、後志管内余市町在住のベテラン画家。
村上さんの絵の特徴は、色の塊が画面のあちこちに浮かんでいることです。おもに、ベネチアなど、海外の風景が多く題材になっているのですが、空や地面に青や赤の三角や四角が配され、画面がはなやかになっています。
ただ、ここ数年、以前はあざやかだったそれらの破片の彩度がだいぶ下がってきました。それと同時に、わざと塗り残した部分も見られるようになり、全体的に、渋い感じが強まっているようです。
「サンポール」は、フランス南部のエズという町のすぐそばにある集落がモティーフ。ほかに、イタリアとポルトガルの風景を交ぜた作品もあります。
めずらしく余市の風景もありますが
「札幌ではあまり出さないけど、余市での展覧会ではわりと発表してますよ」
とのこと。
卯月展=同
道教大札幌校芸術文化課程美術コース日本画研究室の4年生8人と、科目等履修生の加藤拓さんによるグループ展。
渡邊優太さん「ミサイル」が異様。ひたすらリアルに描いているので、ふしぎな感じが増します。
富樫はるかさん「うつりゆく」は、例によって複数のちいさなキャンバスからなる作品です。
ほかに
加藤「サッポロビール工場」
熊崎みどり「碧漣」
駒沢千波「春の子守歌」
中島涼沙「さんぽ」
野口絹代「予感」
百野道子「chie」「今」
三浦仁美「灯雪」
札幌切り絵の会作品展=同
これほどまでバラエティーに富んだ作品があつまっているのは、意外でした。
書を作品化している人、ちぎり絵を導入している人、マティス風な作品など、さまざまです。
以上、12日まで。
一線美術会第21回北海道支部展=札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
札幌ゆかりの洋画家、上野山清貢らが1950年に旗揚げした洋画の団体。
ことしは、昨年のような道外からの出品はなく、道内の18人の絵1、2点ずつが陳列されています。
中村国夫さん(旭川)「静刻『骨−03』」(100F)は、昨年の本展で、東京都議会議長(たしか)賞になった作品。動物の頭骨、珈琲豆が入っていそうな粗い布など、静物をていねいに描いています。
神林仁さん(同)「緑陰」(100P)は、林の中の小道が題材。葉のすきまをとおして地面にこぼれる陽光の切れ端の描写が、いきいきとしています。「探春」は、春まだ浅い林に材を得た、水彩画のようなタッチの作品。
鈴木利枝子さん(札幌)「北の大地」(120F)は、カボチャ31個を、厚い塗りで描いています。単純ですが、力を感じます。
湯浅工さん(同)「廃船の詩」(100F)は、題名の通り、廃船をリアルに描きます。石狩にあった廃船が撤去されてからというもの、モティーフにする人が減ったような気がするなかで、なおこのテーマでいく姿勢は好感が持てました。
田島繁一さん「残雪の十勝岳」(同)は、手堅い構図。
裸婦と魚を、青を主体にまとめた信岡成子さん(登別)「刻(とき)想う」(100F)、河瀬陽子さん(芦別)「マリオネット」(同)、川西由峰さん(札幌)「Haniwa World」(100S)は、いずれも昨年の道展出品作でした。
ほかに、石山宗晏、佐々木稔、杉坂次郎、中村美恵子、村田重吉(旭川)、木村好(苫小牧)、小崎侑子、平原智子、渡部泰子(札幌)、藤田猛夫(網走管内滝上町)の各氏が出品。
第15回記念北南会展=同
水墨画と墨彩画の公募展。もちろん道内が中心なのですが、なぜか山梨県の人の作品が大量に展示されています。
水墨画といっても、雪舟のような余白のあるものではなく、紙のすみずみまで描いています。ただし、題材はほとんどが、霧のうかぶ林など、風景です。
小柳種世さん「初冬」が、山塊と針葉樹林を描いて圧巻でした。
16−20日に旭川市民文化会館(7の9)に巡回します。
思い出の風景 坪野秀子小品展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)
坪野さんは、昭和30年代から40年代にかけて、札幌市内の琴似、北陽、幌東、啓明、向陵などの中学校に勤務していました。
今回展示したのは、そのころかいたスケッチ、油彩の小品、生徒の顔のクロッキーなど、合計およそ80点です。
全体的に、急激に発展した近年の札幌からは想像もできない、古い時代が描かれ、或る一定以上の年代の人には、とてもなつかしい展覧会だと思います。
いちばん古いのは、学生時代に自宅の周辺を描いたスケッチ。市電の西線6条の電停附近に貯木場があったなんて、ほとんど信じられません。
70年代初めにかいた、北34条あたりの牧場。いまは札幌新道が通っています。
琴似中の木造校舎も、味があります。
第19回斗水会日本画展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)
札幌の道展会員、千葉晃世さんの教室展。作風は、写実が多いものの、さまざまで、みなさんのびのびかいてます。
早坂文幾さんが「春の木」「夏の木」「秋の木」「冬の木」と題した4部作を出品。余白を生かした構図がきれいです。
森見太郎さん「夕張の春」は、墨を生かし、黒の多い、単純化された風景を描いています。
以上、13日まで。
4月9日(水)
「展覧会の紹介」に、「日本画の世界」と「道産子画家が描いたアジア」の2ファイルを追加しました。独立展はついに会期に間に合いませんでした。
いずれも、道立近代美術館(中央区北1西17)で、10日限りです。お見逃しなく。
4月8日(火)
室蘭焼さびた窯・徳橋浩、工房ラスパ・徳橋真知子 春の作陶展=ラフィラホール(中央区南4西4 ロビンソン札幌8階)
うつわが中心。浩さんは、ふのりのような緑色のさわやかな器。真知子さんは陶人形が目を引きました。
それにしても、この展覧会、案内状には「8日(月)」となっていて、これだけでもじゅうぶん混乱しましたが、9日の北海道新聞の広告には「きょうまで」となっています。ううむ。
佐藤まゆみの銅版画によるポストカード「版とインクの季節のたより」=クルトゥーラ(北区北12西4)
年賀状などに用いたちいさな作品を一挙に展示。木、花、人物など、ささやかなカットですが、本物の銅版画が1500円で手に入るとおもえば安いかも。佐藤さんは元全道展会友で、さすがにつくりはしっかりしています。
12日まで。
富士フォトサロン新人賞の岡田敦さんの「展覧会の紹介」をようやく書きました。
「日本画の世界」は、まだ途中です。
4月5日(土)
第92回チャーチル会札幌 春展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)
英国の元首相が日曜画家だったことにちなんで、戦後あちこちにできたグループです。札幌は、1953年の発足ですから、ことしがちょうど半世紀です。
今回は37人が50点を出品。水彩、アクリルもありますが、大半が油彩です。
偉い画家になろうとか、うまくかいてやろう、という下心のない、のびのびとした作品ばかりで、心がなごみます。
そのなかで、番場兵三郎さん「春を待つ」はうまい。小品ながら、色の配置の仕方が、さりげなくプロっぽいです。
長永才子さん「晩秋の大雪山(北見側より)」は、原色の厚塗りが大胆。庭瀬寿さん「魚を見た日−沖縄」は、テーブルのある部屋の空間に魚たちが躍る、空想的なたのしい絵です。
小沢輝佐子さんは有名な舞踊家です。「南郷丘春近し」は、残雪の中、陽光にかがやく裸木たちを描いています。地下鉄東西線の白石駅附近は、小高い地形から「南郷丘」と呼ばれており、2丁目には「南郷丘公園」があります。
高木溥揚 かな習作展=同
かなり角張った、コキコキとしたかなが特徴。曲線を生かした流麗なかな書とはちがう、個性的な書きっぷりです。
また、極端に横長の紙に書いているのもおもしろいと思いました。
題材は、柿本人麻呂や若山牧水のわりあい有名な短歌が中心。
師匠は沖中棟舟さんですが、北海道書道展には出してらっしゃらないようです。
陽春企画展=ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)
昨年と今年、同ギャラリーで個展などをひらいた画家が1、2点ずつ陳列しています(一部、ことし個展開催予定の人をふくむ)。たんなる旧作お披露目かと思いきや、意外と? 新作があったようなので、ちょっとだけ紹介。
濱登武さんは、昨年の個展では自画像ばかりずらーっとならべていましたが、今回は「戦場の母子像」という題の絵を2点。うち1点は、母親の顔が修羅のようで、戦争に対する濱登さんの怒りがそのままのりうつったかのようです。もう1点は、裸の白い胸になだれかかる髪の毛がなまめかしく、この題でなかったらぜんぜん別の評価をしてしまいそう。
中村真紀さんは、ことし1月の個展では、自己の内部をさらけ出したような暗い絵が中心でしたが、今回の「小樽港」は別人のようにおだやかな、明るい風景画です。
佐々木祥子さんは、昨年春の個展でも、全道展でも、人物をおもなモティーフにした重厚な作品が中心です。今回の「記憶の中の風景」は、オレンジや黄色の花が咲き乱れるどこか幻想的な風景で、筆者はこっちのほうが好きだな。
ことし2月、126点という膨大な新作をひっさげて個展をひらいたばかりの坂本輝行さん。今回はまた新作です。「積丹半島 豊浜」は、白を混ぜるやり方はいつもの坂本さんですが、輪郭線がすくなく、しっとりとした感じが出ているようです。
ほかに、浅野明子、碓井正人、奥山啓三、小野美穂子、金澤巌、川本ヤスヒロ、後藤俊子、小池明美、斉藤眞子、酒井芳元、酒井嘉也、渋谷幹男、下田敏泰、下山康麿、玉手ちあき、辻井秀郎、広地登志子、平山幹昌、富士田夏子、保坂憲生、湊征一郎、山崎幸治、山本紘正の各氏が出品したようです。
以上、6日まで。
ちるこ=gallery strawberry's (中央区南2西1、大一屋ライズビル3階)
家具の中谷千尋さん、アクセサリーの笠原春香さん、陶器の島田知子さんの3人が昨年結成した、雑貨ユニット。
楕円形のちゃぶ台がかわいい。うつわやネックレスも、格安でさっぱりしたデザインなのがイイです。手漉きのポストカードもたくさんぶらさがってます。雑貨好きの若い女の子は行ってみましょう。
7日まで。
音楽家と美術作家のコラボレーション 2002 報告展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル)
札幌の造形作家、中橋修さんが、昨年10月に札幌芸術の森アートホールで、岩崎弘昌さん、明楽(あけら)みゆきさんとコラボレーション(共同作業)した際の報告展。早い話、岩崎さんはフルート、明楽さんはピアノで、西洋音楽を演奏し、舞台設営を中橋さんが担当しました。抽象的な立体(インスタレーション)のならぶなかでの演奏というのは、めずらしい試みだったとおもわれます。
今回の個展は、そのときに用いた木の立体をもう一度ならべるとともに(ただしならべ方は同一ではない)、記録ビデオを流しています。また、山岸誠二さんの撮影した写真も展示しています。さらに、真っ赤に塗ったアクリルの平面も陳列しています。
「最初はひろい会場に負けるかな〜、とちょっと心配だったけど、通ってるうちになんとも思わなくなった」
と振り返る中橋さん。記録ビデオの編集作業で、映像のたのしさに目覚めてしまったようで
「去年は、辻けいさんのビデオと、デメーテルで見たシネノマドが良かった。こっちの方向(映像)に走ってしまうかも」
と笑っていました。
関連ファイル
■昨年の中橋修個展 (画像あり)
■昨年のコラボレーション
■01年の中橋修個展
■辻けい展(画像あり)
□中橋修さんのウェブサイトへのリンク(ほぼ毎日更新)
第8回春・糸と針展=同
狸小路カルチャースクール(高橋悦子さん主宰)の編物などの展覧会。
「モネの庭を旅して」は、フランス・ジヴェルニーにある有名なモネの睡蓮の庭から得た印象を、8人がノースリーブのセーターに編んだ合作。なるほど、こういう思い出の残し方もあるんですね。
ノーザンホースパーク陶芸工房展 森の中のつくり手達2003=同
織部などのうつわが中心ですが、ハムスターたちが大勢で合唱している愛らしい陶芸インスタレーションがありました。陶芸の指導者は71年生まれ。若い。
以上、8日まで。
道内美術館の2003年度のスケジュールに、道立釧路芸術館と釧路市立美術館を追加しました。
ことしの釧路芸術館では、森山大道と草間彌生の展覧会があります。これは見逃せないですね。
4月4日(金)
6日までの展覧会。
一水会道展 水光会展=札幌市資料館(中央区大通西13)
一水会は、歴史の古い全国規模の公募展です(官展系=日展との重複出品をみとめる)。一貫して抽象画を認めず、写実系の絵が多くを占めています。
今回の展覧会では、一水会の委員と会員計3人が100号の大作を、道内からの一般出品者(水光会会員)が小品を出しています。ただし、一水会の会員でも、佐藤道雄さん(旭川)など、この展覧会で筆者が見たことのない人もおり、どうもよくわからんところもあります。
勝谷明男さん「雪道」は、昨年の一水会で木下義兼奨励賞を受けた作品ではないかと思われます。
手前の雪の陰翳の付けかたがじつにリアル。また、全体に、写真で言うとハイキーな、白っぽい感じがただよっているのには、共感をおぼえます。
だって、雪がはれた朝は、澄みきった空でも、どこか白っぽく、南国の真っ青な色彩とはおのずと異なりますからね。いかにも厳寒らしい空気感のある絵だと思います。
山川義夫さん「古城の町」は、太い筆でぐいぐいと押し付けるような筆致が印象的。
古屋五男さん(道展会員)「小樽運河の船」は、薄いカラフルな色使いが特徴です。
「水光会」組では、平山康雄さん「雪のエルム」が、これまたまばゆい雪の朝を描き出し、ベテランらしい手堅さを感じさせます。
岩崎正さん「北の灯台岬」が、平坦な塗り方とおだやかな色調で、目を引きました。
水彩では、あいかわらず相馬茂雄さん「冬陽に映える」が巧み。金子恵子さん「水辺」「何処へ」は、水芭蕉と湿原を描き、早春にぴったりです。
昨年までメンバーだった石川さんの絵が1点ありました。
午後6時までなので注意。
第54回アサヒ全北海道写真展=同
アマチュアの写真が100点以上。カメラ雑誌の投稿コーナーなどにありそうな写真ですが、人物よりもネイチャーものや風景が多いのが北海道らしいところでしょう。アサヒ、というのは、ペンタックスではなく、主催の朝日新聞社のことです。
筆者がすきなのは、大塚史郎さん「落日」。海の日没をとらえた1枚ですが、世界全体がオレンジ色になってしまったかのようなあざやかさ。水鳥が絶妙の点景になっています。
宮嶋宏美●「コテン」=TEMPORARY SPACE(中央区北4西27)
先日、函館で「民宿美術」を終えたばかりの若手アートユニット「ロッパコ」のリーダー。
白いキャンバスにサインペンで池畔の風景を描いた「Place」1点のみ。
キャンバスといっても、直方体の箱を床から天井まで積み上げています。
これだけだと、塗り残しのやたら多い未完成の絵を展示したにすぎないのですが、とちゅうのキャンバスがちょっとだけずれているのがミソです。このずれが、絵の物質性を際立たせているのではないかと思います。
5、6日は、隣接のカフェテンポラリーにも作品を置くそうです。
高橋朝子作品展 WOOD CARVING Impressive=コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階)
動物がメーンの木彫展。すごくリアルとか、彫刻としてすぐれているとか、そういう感じよりも、なんだかつくっててたのしそうだなー、という気持ちがつたわってくるウサギやペンギンがならんでいます。
一昨年の個展はこちら。
ウェブサイトもあるようです。http://www.h5.dion.ne.jp/~momi/
酒井義人展 DEAR BEATNIKS=ギャラリーART-MAN(中央区南4東4)
ロックの世界には「パンク」というジャンルがあります。むつかしいコードとか、複雑な曲の展開や編曲を避けて、衝動に忠実に演奏しようとする傾向があります。
美術の世界で「パンク」と呼べるものがあるでしょうか。両大戦のあいだにドイツで一時興隆した表現主義はそれに近いかもしれないし、80年代のニューエキスプレッショニズムも「パンク」的かもしれない。でも、いま、たとえばクレメンテあたりを見ると
「あー、うまく描こうとしてるじゃん、これでも」
という感想をいだくかもしれません。
現在20歳。4丁目通で絵を売っていたこともあるという酒井さんは「うまく描こうとする」気持ちから、もっとも遠いところにいる人だと思います。たとえば、下地をつくるということをしていない。この態度って、まさに「3コード」だと思う。
パンク的なイラストを描く人は札幌にもいるけれど、タブローまでもっていける人はほとんどいない。いや、正直言って、酒井さんの絵にも、もっていけてない絵があるけれど、たとえば、左上の写真の絵「アホでも息はする」は、はげしく塗り重ねられたアクリル絵の具と、雨のように躍るチョークとが、つよいリズムを奏でているようです。
「キャンバスに向かうときは、あまり緊張しないようにしています。音楽でも聴きながら」
絵画10点(ほかに、自画像や、バロウズの肖像など)と、レディメイド(スニーカーと、車のホイールキャップの組み合わせ)1点。
第25回日陽展=札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
ふつうの絵の展覧会。一部七宝もありますが。ごくふつうの絵を見たい人には、ちょうど良い規模だと思います。
ただし、昨年まで会場でわりあい確固たる位置を占めていた、河瀬陽子さんや濱向繁雄さん、伊藤哲さんといった空知勢が、ことしはほとんどおらず、さびしい限りです。新十津川の田村隆さん(蒼樹会会員)が「神恵内」(P30)「秋の大雪」(F10)で気を吐いていますが、ともかく札幌の出品者の割合が高くなってしまったことが、ことしの日陽展の特色ではないかと思います。
さらに残念なのは、日陽展の創設者で、長く代表を務めていた江口美春さんが、昨年5月6日に亡くなられていたことです。一昨年、道展会員をやめたところまでは知っていましたが、亡くなられていたのは存じませんでした。会場には、遺作3点「樹氷」(100号)「逃避」(F80)「羊蹄山」(10号)が陳列されています。
江口さんは、明治43年(1910年)生まれ。石川確に師事。1934年の道展に初入選。48年に知事賞、翌49年に協会賞を得て、会友を飛び越して会員になります。あたたかみを感じさせる人物画を得意としました。南4西15の森田写真館に100号クラスの作品があります。
ほかに、小林政雄さんや濱田五郎さんといった道展のベテラン会員の絵も展示されています。
筆者が好きだったのは、花田麗子さんの絵。「古道緑陰」(50号)は、山中の階段道を描いていますが、腰をおろしてかがんでいる笠の人物(お遍路さんでしょうか)が効果的です。「秋の流れ」(30号)は、林の中を流れる小さな川がモティーフです。夕暮れらしく遠景が赤く染まっていますが、水も、奥のほうだけで赤を反射しているあたりがうまいと思います。手前には、岩を配して、奥行きのある画面つくりに余念がありません。
日本画は、来春完成する、小樽の「青山別邸」の新しい建物の天井画が何点か陳列されていました。
水彩では、近藤武義さんの「アッシジの街角」が、なんでもない海外の風景を描いていながら、まるでそこに行ったことのあるような錯覚さえ起こさせる、しっかりしたつくりの1点でした。
関連ファイル
■昨年の日陽展
[Second-EX] photo exhibition=札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)
昨春、北星学園大、北大、札幌学院大の写真部が合同でひらいた「EX」がさらにパワーアップ。札大や道教大などもふくめ、出品者も、12人から22人へと倍増しました。
若いパワー全開の写真展になっています。筆者はとてもたのしく見ました。
(申し訳ない。つづきはあす)
4月2、3日(水、木)
加藤宏子彫刻展=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)
近年の「improvisation」シリーズには個人的にすごく着目していたのですが、作者いわく。
「いやー、ヤナイさんが考えてるようなもんじゃないんですよ」。
で、今回の「huntin’」シリーズの6点。
すごく、彫刻です。
師匠の故・丸山隆さんが、コンセプチュアルアートと接近したところで彫刻を展開していたのにくらべ、純粋に、抽象彫刻を追究しているのです。
「やっぱり石を彫るのが好きだから。それに、こういう仕事ってやり尽くされているように見えるけど、それじゃくやしいじゃないですか」
6点は、いずれもフォルムがかなり異なります。自然石の凹凸をいかした作品もあれば、写真のように三日月を思わせるすっきりした作品もあり、また、卵のようなかたちに直線で切れ目をすっと入れた作品もあります。
たしかに彫刻でオリジナリティーを打ち出すのって、けっこうむずかしいのです。
加藤さんの特徴は、ひとつの作品でも、いくつかのかたちにいったん分割して、ふたたび接合させていることです。その接合部が、作品に微妙な陰影をあたえています。
「だって、中を見たいじゃないですか。ぱかっと割ったら、金貨が埋まってるかもしれないし」
「そう、魚が泳いでいるかもしれない」
「?」
加藤さんは札幌在住、道展会友。
6日まで。
なお、石の中の魚については、入沢康夫の宮沢賢治論「プリオシン海岸からの報告」(筑摩書房)参照のこと。
あおげば清き利尻富士 村上将示郎写真展=クリエイトフォトギャラリー(中央区南1西9、札幌トラストビル)
村上さんは利尻富士町で写真のDPEのお店を開いているかたわら、この、日本百名山の一番目に挙げられている山を、カメラで追い続けています。
宗谷の海岸から見るとなだらかな三角形に見えるこの山も、島内からだと、まるで札幌の八剣山のように、頂上がぎざぎざにとがっていて、独特の表情をしているのです。
筆者がもっとも感動したのは「水鏡北斗星」です。というか、これはとてもめずらしい1枚なんです。天体写真の愛好者は、風景写真の中に星を取り入れたものを「星景写真」と呼んでいますが(北見天文同好会では「ひきょう」写真とも呼びますが)、天体写真家でもなかなか撮れない写真です。
手前に沼があり、中央に利尻富士がそびえています。夜空には北斗七星が光り、湖面に星の光が反射しています。
と、文章にするのはかんたんなのですが、水面に星が反射しているのを撮影するというのは、じつは至難のわざなのです。
まず、水面に波があってはうつらない。水が汚くてはもちろんダメ。空や周囲の相当暗いところでなければ、星の光はよわいですから、水面にはうつりません。雲があると撮影できないのは言うまでもありません。
さらに言えば、山の稜線の上に北斗七星がきれいなかたちで見えるのは、緯度の関係で、国内では秋田県以北だけなのです。
この写真は、北国で、月明かりが山を照らす程度に出ている9月の晩、15秒程度露光して、はじめて撮れる写真なのです。
「プロは短い期間利尻に滞在しても、それなりの結果を出して帰っていく。それなら利尻に住んでいる自分しか撮れない写真は−と考えました。夏ではない時期を狙うとか」
と村上さんは言います。
おなじ場所から撮ったのが、個展タイトルにもなっている「あおげば清し利尻富士」です。湖面が氷結してその上に雪が降り、きらきら輝いて見えます。
筆者は「月光」のような写真にもヨワイです。どこまでも深い青のなかの山容に、うっとりせずにいられません。
そのほか、手前に花を入れてうつした「ワタスゲ」「カキツバタ」なども、北国ならではの季節感をただよわせ、良かったです。
5日まで。風景写真の好きな方はぜひ足を運んでみてください。
i BEACON CAI School of Art 夜間1年講座 SIXTH SENSE 卒業制作展=CAI(中央区北1西28)
12人が出品。
星野なあちゃん(案内状には星野直子ってなってるけど)のインスタレーション「輪廻の庭」が、会場の床の半分以上を占め、ほかの人より圧倒的にデカイ。真ん中にピンクの棺がでーんと置いてあって、中に、ボウルに漬けられたバレエシューズなどがある。ほかに、半透明の樹脂でできた笛とか。人工的な色彩は西山美なコを思わせます。
それにしても、若い人の作品に、じぶんの過去にこだわるというファクターがやたらと見られるのはどうしてだろう。むちゃくちゃ酷な言い方をすれば、あなたの過去に、作品になるようなことってあるの? と訊きたくなってくる。いや、筆者は言う資格ないですけど。全共闘世代や戦争体験者など年上の人から見たらどうなんでしょう。
篠原泰子さんは「手」の立体ではなく、ろうとコラージュによる平面作品「COMPOSITION」などを出品。なんとなく端聡さんっぽい。
三浦文さん「陰翳小説」は、のれんのような飾りとテキストを重ねた平面作品。飾りはところどころ見えたり見えなかったりするので、たしかに日本的な感じはするけど、惜しむらくはテキストがあまりにも凡庸。
イラク戦争を題材にしたとおぼしき作品もあったが、どうして十字架を連想させるような表象なのか?
5日まで。
4月1日(火)
きのうのつづき。
外山欽平油絵個展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
外山さんは、ここ数年は毎年アルファベットをテーマにした抽象画を発表しています。ことしは「F」で、100号クラスの大作を10点、小品を9点ならべています。
「F」といっても、筆記体にヒントを得たかたちもあるので、左側の写真のように、あまり「F」っぽくないのもあります。
べつにカリグラフィーをやっているわけではなくて、あくまで色と線とかたちを追究しているのだと思います。記号を絵にするという点では、ジャスパー・ジョーンズとの類縁性も感じさせますが。
「A」のころからくらべると、若干変化の跡がみられます。自在に画面をはしるあざやかなレモンイエローの線はあいかわらずですが、その間隙を埋める紫や、背後の緑などは、当初のクリアで平坦な塗りから、筆の跡をのこした重ね塗りへと変わってきています。
とくにおもしろいのが、背景の緑の、イトミミズがいっせいに這ったあとのような細かい線です。
これは、キャンバスの端に、濃い絵の具を置いて、キャンバスを傾け、或る地点まで絵の具のしずくが流れ落ちてくると、こんどはキャンバスをえいやっと反対向きにするそうです。それで、下の層の、うすい色があらわになっているのだとのこと。
コバルトグリーン、カドミウムグリーン、オリーブイエローをまぜたグリーンなど、いろいろな緑と緑のくみあわせを試しており、日本茶のような渋い緑色をたたえた作品もありました。
ついでに言うと、レモンイエローの線も、キャンバスを傾けて絵の具を流れさせているのだそうです。こりゃ、力仕事だ。
「手で描いた線はもういいや…って感じですね」
と言います。画家の手のくせみたいなものに左右されない自由な線をめざしているということでしょうか。
外山さんは
「あれだけ騒がれたアンフォルメルが、結局どうなったか、落とし前がついてないような気がする。サム・フランシスにしても今井俊満にしても。アンフォルメルをきちんとさせなきゃ、という思いがあるんです」
と語ります。それにしても
「いろいろやりたいことがあるのに、あと20回しかないのかあ」
と真顔で言うので、さすが絵描きというのはすごいと思いました。
外山さんは函館在住。北海道抽象派作家協会の同人のほか、函館・五稜郭を舞台に毎年夏、市民ぐるみでおこなわれている野外劇の中心メンバーでもあります。函館の画家としてはめずらしく、毎春札幌で個展をひらいています。
5日まで。