2001年3月

過去の日録を見る
1999年12月  2000年1月 2月

 3月31日(土)
 きょうも雪がちらちら。ときおりふぶく。

 小樽文学館へ。めずらしく、往復とも列車。
 きょうとあす(4月1日)、100円均一セール(?)をやっているのだ。
 古書の方は、数はすごかったけど、筆者の欲しい本は少なかった(それでも、伊藤整「小説の方法」、高木彬光「ノストラダムス大予言の秘密」などゲット)。それよりも、過去に同文学館で開かれた図録のたぐいがすべて100円というのがすごかった。
 同館では、あすまで企画展「小笠原克責任編集『北方文芸』」も開かれています。
 「北方文芸」とは、1968年に札幌で創刊され、97年に休刊した月刊文芸誌です。99年に亡くなるまで同館の館長だった文芸評論家の小笠原さんは、「北方文芸」の編集者としても大車輪の活躍をみせていました。
 文学館の一角を区切って、「北方文芸」のバックナンバーが並び、彼に宛てた書簡や原稿用紙などが展示されています。

 小笠原さんは北区の古びた一軒家に住んでいました。
 筆者が、道新文学賞の選考の関係で会ったときは、もう闘病生活に入っていて、頭の毛がありませんでした。
 展示されていた資料を見ると、ああ、これがあの小さな家にあったんだなあ、という感慨が沸いてきます。
 「北方文芸」のポスターもありました。佐藤泰志、中沢茂、大月源二。そこには、確かに、北海道の文化をになっていた人々の名前があります。
 同誌はすでになく、「読書北海道」も休刊し、道新の文化面もあのありさまでは、いったいどこが道内の文化のあれこれをクロニクルしていくのか。寂寥とした想いにとらわれます。

 同じ館の3階、市民ギャラリーでは「白潮会OB・OG展」が開かれていました。小樽潮稜高の美術部の卒業生による展覧会です。同会は、北大・黒百合会に次ぐ古い歴史があるそうです。
 やはり、山下脩馬さん(全道展会員)の絵と、鈴木吾郎さん(道展会員)の彫刻が目を引きます。山下さんの「モスクワの一隅」などは、モチーフの輪郭を縁取るクロソワニズム的用法をとっていますが、その輪郭が味のある藍色であることに加え、マチエールにも独特の趣があります。鈴木さんはテラコッタの小品ですが、存在感があります。
 この二人以外では、中丸大輔さんが目立つ。小品の連作からなる「眼球譚」など、おどろおどろしい筆致が不気味なイメージを醸し出しています。

 同じ建物の市立小樽美術館では、加藤一豊展と、新収蔵品展が開かれていました。これはのちほど。

 札幌に戻ってきて大同ギャラリーへ。
 札幌在住で、虻田に澤峰窯を持つ小澤年博さんの個展。器が中心ですが、焼き締めの器が、灰かぶりの窯変の味をよく出していました。

 富士フォトサロンでは、武藤省吾写真展「石狩晩霞」。石原ミレイのヒット曲のしゃれです。
 写真自体は、石狩の海辺や夕日、自然、灯台などをよくとらえたものでした。
 ただ、武藤さんは札幌市北区の人。彼の目で区切った石狩には、花川の住宅地も、新港の倉庫群、花畔(ばんなぐろ)の水田も出てきません。いかにも「絵になりそうな石狩」だけを切り取ること、の是非に就いて、考え込んでしまいました。いや、別に悪いことではないとは思うのですが。

 きょう机を並べて仕事をした会社の同僚の、夫人の祖父が、田辺三重松だという話で盛り上がりました。彼の家には三重松の小品が2点あるそうです。すごい。

 3月の「つれづれ日録」は過去最大の量になりました。読んでくださった方、ありがとうございます。
 3月30日(金)
 大丸藤井セントラル7階のスカイホールは、ほかの貸しギャラリーに比べて書の展示が多いが、今回の「太田義久 書の個展−ふるさと北海道を書く」のように、個展で全室使用というのは珍しい。
 太田さんは1941年苫小牧生まれ、東京在住の近代詩文書作家。毎日展審査会員。金子鴎亭先生の弟子である(鴎の本来の字体はJISに無い。情けないがかんべんしてください)。
 書風は幅広いが、ひとくちで言うと、素朴である。ごつごつしていて、流麗なところはない。しかし、自由である。しじゅう中国の古典がどうの、歴史がどうのなどと萎縮せず、あるいは一字一字をこまごま気にしたりせず、ずんずんと書いていくタイプだ。ただし、全体の配置に意を用いているのはさすがに金子鴎亭ゆずりである。題材になっている文章には小檜山博さんのものが多いが、北海道的なおおらかさにおいて、共通するものがあるようだ。
 先だって亡くなった、道内俳句界の重鎮北光星さんの句も書かれていた。

  水鳥の夢にこの世は揺れをらむ

 スカイホールに置いてあった「一線美術会北海道支部展」(4月11日〜15日、札幌市民ギャラリー)のはがきを見たら、栗城晋さんの名前の前に「故」とあった。本人とは面識が無いが、黄緑色の地に子供たちや廃船を配した独特の画風は忘れられないものがあった。ご冥福をお祈りします。

 今年初めて夏靴で外出したら、夕方から雪が降り出した。
 3月29日(木)
 微熱あり、それでも、仕事前に、札幌時計台ギャラリーの2階を見て回る。
 A室の長谷川忠男さんは5年ぶりの個展。「イエメン紀行」と題している。全道展を毎年見るたび思っていることだが、長谷川さんの絵は、なんと言うか、大ざっぱというか、闊達というか、あまり細かいことを気にしていない絵である。
 それに比べるとB室の竹生洋子さんは、馬と人物を中心に描いているのですが、画面の構成要素が多い。とりあえず、よく考えられた画面だとは思うのですが、このタイプの絵が全道展(この人は入選クラス)には多すぎるので、筆者はそれほど興味がわかないのが正直なところです。
 C室は河合キヨ子個展。新道展の、やはり一般入選クラスの人です。イカやヒラメを規則正しく並べて一生懸命にかいています。この、対象に向き合うひたむきさが、筆者には好ましく思われました。

 あまり美術とは関係ありませんが、小樽文学館の館長の講演がなかなかすごいです。時間に余裕のある方はぜひご一読を。同館のHPの表紙の「ニュースとお知らせ」から入ってください。
 3月28日(水)
 両親が釧路に転勤するので札幌駅まで見送り。その後、平岡(札幌市豊平区)にできたジャスコショッピングセンターに買い物。というわけで、きょうもギャラリーまわりはなし。
 あしたパワーがあれば、少し真面目に見てまわります。

 古幡靖さんの「有島エロス」に出演したのが機縁となって、昨年新編集で出た新潮文庫の「有島武郎評論集」を読みました。692ページの大冊です。
 有島といえば、「或る女」「小さき者へ」などで知られる日本の近代文学を代表する作家です。木田金次郎を取り上げた「生れいづる悩み」など、北海道とも縁の深い人です(このへんについては、芸術の森美術館「北の創造者たち展」のページでも書きました)。
 いろいろ感想はあるのですが、恥ずかしながら知らなかったのは、有島がかなりいろいろ美術評論を書いていることです。この文庫本にも「ミレー礼讃」「美術鑑賞の方法に就て」が収められています。「白樺派」というと、ゴッホ、民芸というイメージがありますが、そういうのは収録されていません。
 筆者のいちばん好きなのは、ロダンをダシに、ルネッサンスよりゴシックの方が良いというユニークな持論を縷縷述べた「叛逆者」です。彼は欧州でおびただしい”本物”の芸術を見て、詳しく日記に感想を書いており、写真複製でゴッホやロダンをあれこれ論じていたほかの白樺派の作家とは同列に並べられないと思います。
 3月27日(火)
 さいきん美術関係の原稿や用務を頼まれることがある。文化部時代にはほとんどなかったのに不思議です。
 仕事が忙しくて画廊回りをする時間がない。あしたも期待しないでください。
 3月26日(月)
 時間がなかったので札幌時計台ギャラリーは3階だけ。
 D室の岩田守代個展岩田守代個展がおすすめです。
 作品に題名は付いておらず、展覧会全体の名称として「織」と題されています。その名の通り、和紙や染織を思わせる微妙な色合いが、深さを感じさせます。
 前回の個展(1999年2月)と同様、青や紫を主体とした抽象画の油彩ですが、以前のほうが、一番上の層に重ねられた絵の具がシャープな感じでした。今回は、それが茫漠としており、より神秘的な雰囲気が強まっています。手前の明るい色と、奥の濃い色が響き合い、平面なのにとても奥行きの感じられる世界をつくりだしています。筆者の好みで言えば、まだちょっと絵の具の色がナマっぽいところが残っているので、もっと色作りに時間を費やせばさらに深遠な空間が立ち現れてくるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、最近見た抽象画では出色でした。

 奥歯が欠けた。この分では遠からぬうちに入れ歯になるんじゃないか。ああ。
 3月25日(日)
 古幡さんが芸術の森のアトリエで公開した作品について、北の創造者たち展のページに書いた。このページの更新も、当然ながらこれで最後です。

 年度の変わり目で、スケジュール欄の項目がぐっと減って、寂しくなってしまった。

 日録の22日の表現を一部直しました。
 3月24日(土)
 コンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1西11コンチネンタルビル地下1階)の毛利祐次郎個展は久し振りです。全点カラー写真。
 今回は、冬の小樽運河、かやぶき屋根の民家、まばゆい南国の海岸……と、ちょっと珍しいくらい、通俗的というか、よくあるモチーフが並びました。フツーの人にはこういうのが受けるのかもしれないなー。

 両親の引っ越し作業を手伝った後、芸術の森の南端にあるアトリエで、古幡靖さんの作品発表を見てきました。25日時間のある人はぜひ! 車でもいいですが、真駒内駅から「芸術の森センター」行きのバスが毎時0分と30分おきに出ています。それに乗って終点で降りればわりとすぐです。
 詳しくはあしたアップします。

 芸術の森美術館の「北の創造者たち展」もあしたで終わりなんだあ。そう思うと感慨深かったりして。
 3月23日(金)
 仕事は休み。だけど、職場の簡単な歓迎会があり、筆者は司会をやらなくてはいけないので出向いた。
 うーむ。きのうと書く量に違いがありすぎるか…。
 3月22日(木)
 きょうは見たぞー。でもメモをぜんぜん取らなかったからなー。ちゃんと書けるかなあ。
 まず札幌時計台ギャラリーの残り。
 B室は「Group創展」。
 女性ばかり油彩が6人。抽象を描く新道展の女性作家が中心。なかなかいい線いってますよ。
 阿部みえ子さん(石狩、新道展会員)は薄塗りの色の交響が美しい。
 佐井秀子さん(白老、同)は、作風を変えて、緑系の色の塊がはずむように並んでいます。それらを包むような曲線もおもしろい。
 本間良子さん(札幌、新道展会友)は「未来からのメッセージ」と題し、鮮やかな赤と黒、灰色が大胆にせめぎあう画面を構築しています。
 坂元英子さん(栗沢、新道展会員)は灰色を主体にしたセンスある画面構成で新道展の会場でも目立っている人ですが、今回はちょっと迷いがあるような感じがしました。
 ほかに小樽の近藤満子さんと石狩の千葉富士枝さんが出しています。
 
 C室は藤井静江個展。昨年新道展の会友になった人です。
 「包む」「連想」の連作が中心なのですが、この人の特徴は新聞紙です。コラージュじゃなくて、神田日勝みたいに細かく新聞紙を書くのです。それは、ソファーを包んだり、動物の頭蓋骨を包んだり、あるいはソファーの後ろに人のシルエットになって横たわったりするのです。
 新聞紙を書くというのはけっこうリスクが大きい。だって、神田日勝をどうしても思い出させるということのほかに、油彩ではリアルに書くのも限界があるんですよ。藤井さんの絵は、見出しだけじゃなくて本文まで1文字ずつ書いているのもあるけれど、やっぱり本物に見えないもの。それでもなお新聞紙を書き続けるというのは、どういうことなんだろうって不思議に思いました。これだけ新聞紙が出てくる絵が並んでいるというのも不思議です。
 職業柄どうしても新聞紙に何が書いてあるかを克明に読んでしまい「いや、こんなレイアウトは本物の新聞ではありえない」などと思ってしまうのが筆者の悪い癖です。

 上の階のD、E、F、G室は、春陽会・全道展会員のベテラン画家谷口一芳さんが指導する道新文化センターのデッサン展「一の会展」です。すごい量です。正直なところ、21世紀の美術で裸婦デッサンがどんな意味があるのか分からないのでコメントは差し控えます。けれど、村本千洲子さん(全道展会友)はデッサンを書いても村本さんだったというのは、今回の楽しい発見でした。(註:村本さんは美しい女性ですが、絵に出てくる人物は魔女みたいなのばっかりなのです)

 ギャラリーたぴお(北2西2、仲通り、道特会館)では、毎年恒例の高田稔さんの個展。これまた毎度子供たちがモチーフのかわいらしい絵ですが、2枚のキャンバスで1つの作品に仕立てたり、工夫はあります。高田さんの筆使いはとてもフラットなんだよなあ。色むらがなくてきれいです。

 お次は大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)。
 下の階は劉李花版画展。19点すべて「LANDSCAPE」と題した銅版画です。風景を作者なりに咀嚼して抽象に近い独特の画面を作り出しています。どうも、あまり大きなプレス機を持ってないようなのですが、そこを逆手にとって小さい同じ絵柄の紙を何枚も続けて張り、繰り返しの効果を出しています。筆者はこの作家、ぜんぜん知らないんだけど、なかなかいいです。

 北5西7から「長生園前」行き市営バスに乗って北5西20で下車し、テンポラリースペース(北4西27)へ。
 途中で面白いものを発見。北4西22の風景でも札幌の歴史に興味のない人は面白くないかな。
 下の写真を見ると、左の家のブロック塀と右の家の塀の間に、奇妙な空間があります。これ、おそらく、「旧円山川」の跡です。といっても、今の「円山川(円山公園の中を流れている小川)」の古い川筋ということではないようですが、もっと北のほうで界川などと合したのち、琴似川に注いでいて、長らく札幌市と円山村の境界になっていました。北3条通りや北4条通りを都心から西に向かうと突然道幅が狭くなるところがありますが、そこが札幌市と円山村との境界線だったのです。

 テンポラリースペースでは、東京芸大卒の若い彫刻家椎名タケヒトくんのインスタレーションをやってました。なんと、わざわざハワイの火山に行き、粘土で作った小さな人物像19体を、熔岩でテラコッタにしたり、ぐるぐる巻きにしちゃったのです。本人は、彫刻制作の過程で粘土がブロンズになったりして素材を変容させることがどうしても気になったようで、粘土を直接形にするという挙に出たのでした。このハワイの火山は熔岩の粘性が非常に高く、非常にゆっくり斜面を流れるので観光名所にもなっていますが、わざわざ長いロープや棒を持っていき彫刻作品に利用するのは彼だけでしょう。そもそも彫刻とは何ぞやというところに立ち返ったユニークな展覧会ではあります。

 東西線で大通に戻る。ギャラリー大通美術館は水彩の展覧会ばかり3つ。でも水彩といえば、竹津昇水彩展(ギャラリーユリイカ、南3西1和田ビル2階)が良かったです。
 トルコのツアーに参加してスケッチした小品ですが、どれも巧みに風景を描いています。筆を入れすぎてないところがいいですね。すべての作品に紙の種類が付記されているので、水彩をかく人には大いに参考になるのではないでしょうか。
 
 さいとうギャラリーは入り口から覗いただけ。
 大丸藤井スカイホール(南1西3)では、札幌の島谷雅堂さん主宰の「丹心會」書展。漢字の臨書が中心です。
 見どころは、近代日本の書道史に輝く比田井天来と妻小琴の作品が出品されていること。いやはや、やっぱりさすがですわ。桑原翠邦の掛け軸「形忘道接」も、こなれているんだけど、流されていない。硬くないけれど冗漫でもない。感服させられました。

 アートスペース201ではこの春高専を卒業する菊地拓児(これで漢字あってるよな)くんの写真展”Coalingan exhibition of photographs Coalingを見ました。札幌・手稲鉱山、赤平、夕張の炭鉱跡の風景と、石炭の粒々を、二重露光した作品が中心です。なおかつ、現像液を刷毛で塗ることで、非常にワイルドな仕上がりになっています。これらの工夫がばっちり決まっているかどうかはわかりませんが、とにかく他人と違った写真をとろうという熱意がびしびし伝わってくる、生き生きした写真です。手稲鉱山の跡では管理人に頼んでなお残る坑道に入れてもらったこともしばしばだそうです。
 右の会場の写真でも分かるように、中央にはこれらの炭鉱や鉱山で取れた石炭、鉱石が置いてありました。4月には上京するそうですが、がんばってください。

 アリアンスフランセーズギャラリー(南2西5)では小林重予個展「光の種」。正方形の箱に作品を入れて壁に掛けたというのは正解じゃないでしょうか。受ける印象がシャープだし、一つ一つの架空の種たちの細部がよーく見えてくるのです。楽しい現代美術。

 石川書店(すすきのの古本屋)で、藤枝晃雄「現代美術の展開」と、道新の「野外彫刻ガイド」を購入し、会社に戻る。総合はふだんはそれほど仕事がないのだが、今夜はべらぼうに忙しかった。連載ものを3つも先作りしたんだもん。午前7時50分に家を出て帰ったのが0時半。長い一日だったあ。
 
 3月21日(水)
 1995年に4人で始まり、7回目の今年は丸山恵敬さんと佐藤萬寿夫さんの2人になってしまった「NORD」(札幌時計台ギャラリー)。なかなかの見ごたえで、2人の不在をカバーしています。詳しくは「展覧会の紹介」のページをごらんください。
 3月20日(火)
 フリースペース・プラハで「リレーレクチャー4000万キロ報告展」。4回もレクチャーがあったのに、1度も出られなかったのは不覚というか残念というか……。この企画が、今後の札幌の現代美術シーンを活性化していく発火点のようになれば面白いなあと思います。

 また美術と関係ない話ですが、NHK教育で「ハッチポッチステーション」を時々見ます。きょうは特別編で、グッチ裕三のほとんどワンマンショー。「グイーン」が「ボヘミアン・ラプソディ」の節で「犬のおまわりさん」を歌い、「ビールトス」が「プリーズ・プリーズ・ミー」そっくりの「海は広いな…」を歌い、「デーブ・パープル」が「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のコードでロシア民謡の「1週間」を奏で、ほかにも「エリック・カケブトン」「ボブ・マーリー右」、歌舞伎メークの「キッサ」など、もうやりたい放題。ただ、これ、子供番組なんだよなあ。筆者にはむちゃくちゃ面白いけどさあ、子供は元ネタがわかんないんじゃないかと思うんだけど。

 昼の気温10度突破。坂道は雪解け水で川のようです。
 3月19日(月)
 アートスペース201(札幌市中央区南2西1山口中央ビル5階)で野田四郎・豊子展。さすがに野田さんは手慣れてます。中国や東欧の町並み、道内の山々など。豊子さんはおそらく書歴はあまり長くないと思いますが、かなでありながら、人に読める字を書こうという意識があるようで、そこが好ましく思えました。

 このHP、画像が少ないという声があります。しかし、著作権の関係で、勝手に人の作品の画像を載せるわけには行きません。このHPに載っている画像はすべて作者か関係者に許諾をえています。ギャラリーに作者がいて、許しをもらえれば話は早いのですが、必ずしもそううまくは行きません。当HPに情報をお寄せくださる方で、最初から写真撮影オーケーとおっしゃっていただくと助かるのですが。
 3月18日(日)
 みなさんは、ニュースの無い日って、新聞はどうするんだろうと思ったことはありませんか。そうですよね、ニュースが無いからって新聞に白い欄ができて「メモ。ご自由にお使いください」と書いてあった記憶はありません。ではどうするか。けさの道新がその見本です。小生が整理部に来てからこんなに1面がヒマだったことはないと思います。そのためついダジャレが出てしまいました。
 3月17日(土)
 昼間の気温が7度になり、かなり雪解けが進みました。
 道庁赤れんがに向かう通りにある富士フォトサロン(札幌市中央区北2西4札幌三井ビル別館)で、斉藤俊道写真展「北の大地」を見ました。大雪山とその周辺を写したネイチャーフォト。すべてカラー。なかなかの出来です。ただ美しい風景を狙っただけでなく、道路を横断する和牛や、雪渓を歩くキツネなど、厳しい環境に生きる命に作家のまなざしが向けられていることに共感しました。
 筆者のいちばん好きな写真は、逆光の中、水たまりだらけの道がまっすぐ伸びているというものです。複雑な文様を描く雲に「絵だったらかえって不自然だろうなあ」などと思いつつ、自然の造形の不思議さに酔いました。

 今年に入っても数多くの美術書が刊行されていますが、正直なところフォローし切れません。お金もないし。
 ひとこと情報として。昨年暮れの出版ですが、石井進著「鎌倉びとの声を聞く」(NHK出版)は、美術にも関係する本です。たぶん本屋では、ツクダニにするほど出回っているNHK大河ドラマ関係の一冊として歴史のコーナーに並んでいると思いますが。じつは、「蒙古襲来絵巻」の中身を易しい語り口で、しかも最新の知見を交えて説明しているのです。気軽に読めて、しかしなかなか内容のある本です。最後は北方中世史にも絡んできます。単なる大河便乗本ではありませんので、興味のある方はどうぞ。

 シミズさんの写真展に行けずじまい。
 3月16日(金)
 大同ギャラリー(札幌市中央区北3東3大同生命ビル3階)で「北海道二科支部展(絵画)」が開かれています。
 日展と二科展といえば全国的な知名度では双璧の公募展ですが、なぜか道内ではメンバーが少ないこともあっていまいち影が薄い存在でした。今回の展覧会も珍しいものと思うんですが。
 会員は帯広の園田郁夫さん(新道展会員)ひとり。「砂漠の詩」は、女性とらくだをモチーフに、地の色の塗り重ねに意を用いた、エキゾチックな絵です。
 会友は3人。熊谷邦子(全道展会友)「麦想」は、これまでの作風を一変させており、今回ではもっとも注目しました。麦畑の上空に横たわる裸婦2人。大きなバッタも丁寧に描かれており、幻想的な世界をつくっています。柴崎靖男「船のある風景」は、縦の黒線が画面に充溢する、抽象に近い作品。ほかに飯田由美子がいます。
 ただなあ……。マンガの評論みたいなことを書くのもなんだけど、全体的に絵柄が古い感じがするんだよなあ。1960〜70年代の洋画っていう感じがする。どうしてでしょう?

 ぜんぜん関係ない話ですが、道新夕刊にピチカートファイヴ解散の記事が出ていました。うーむ、最近解散がはやっておりますなあ。小西さんは小生の高校の先輩であります。
 3月15日(木)
 昨日は更新できませんでした。
 ようやく「さっぽろ美術展」の評をアップしました。展覧会は良いのだけれど、小生の文章がいまひとつだなあ。この展覧会の持つ課題などについては、図録で吉田豪介さんが的確に書いているのでここではふれません。個人的には、いまの選考は悪くないとは思う。ただ、作家の善意に頼っている現在の形を毎年続けるのも大変なので、40歳以上と未満に分けて隔年で開くという某画家のアイデアに賛成です。
 3月14日(水)
 所要でコンチネンタルギャラリーへ行ったら鈴木涼子さんがいて、彼女の写真作品が、今年9月から東京都写真美術館で開かれる「Kiss in the dark」(仮称)に出品される予定という話をきいた。筆者はあの自画像シリーズはぜんぜん評価してませんけど。何はともあれ、おめでとうさんです。

 大丸藤井セントラル・スカイホールで行われている「第7回湖の会展」がイイです。
 これは島田無響さんの社中「點の会」(點は点の旧字)の展覧会(どうして展覧会とグループの名前が違うのだろう?)。エネルギッシュな、しかし各自の個性が出ている少字数書が大半です。「彌勒」「巌幽」など、研ぎ澄まされた力を蓄えたような作品がある一方で、墨の発色の美しい優美な書もあります。ただ、ほとんどが創作なので、臨書が好きな人には物足りないかも。おすすめ。
 同じ会場では、篆刻(てんこく)の個展も行われていました。篆刻は、筆者は見てもぜんぜん分からないのですが。彫ってある印鑑も同時に展示してある個展は、珍しいと思います。

 ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)では、アマチュアの油絵の展覧会が4つも。
 いちばん面白かったのは「DEPARTURE」展。どの絵も、写生を超えて、絵としての画面づくりに意を用いています。
 市橋節子「何処へ」は、畑の広がる風景が元になっていますが、曲線の使い方にセンスが感じられ、広がりのある画面が繰り広げられています。ただ、手前に透明なウサギを配したのは余計ではないでしょうか。
 三輪幸子「ある空間」の連作は、いすやテーブルによる静物画。構図をいろいろ試みながら、シンプルな、しかしマチエールなどには配慮した、好感の持てる作品になっています。
 野口良子「再生」などは、いちおう山岳の風景をモチーフにしながらも、オレンジや緑などの色彩の帯の配色を実験しているかのような作品です。「この道を」は、月夜のような暗がりに白い道が一本伸びていく構図で、これは理屈ぬきで気に入りました。
 大石慶子「遠望T」も、橋や水面のある景色が題材ではありますが、それぞれの色が溶け合って描かれているのが美しいです。

 下田敏恭風景画展。この人は以前、札幌時計台ギャラリーでの個展では、写真のような細密な山水の風景を描いていたように記憶していますが、今回は描きすぎを改め、海外や道庁などをうまいタッチで描いています。なんか、銀行カレンダー的な路線です。
 ほかに、彫像のような人物を速い筆致で描く浅野明子と平面的な静物画を中心に出品する栗城陽子の二人展、小品が中心の本間洋子個展も開かれています。
 3月13日(火)
 昨春まで北海学園大U部写真部の中心メンバーだった衣斐隆さんと、現メンバーで、近く卒業予定の川端理恵さんによる2人展「SPACES」を、駅前通り、北1西4にある「カメラの光映堂」2階の「ウエストフォー」で見てきました。2人ともモノクロで、8点ずつ。衣斐さんは「HOKKAI−SCAPES」と題し、わりと硬調で焼いた、冬の風景で、在学中に比べると相当静かな感じの写真になっていました。廃サイロ。木立。橋。とりわけ、雪の重みで押しつぶされそうな炭住が印象的でした。川端さんは「白い太陽」。寂しさがかすかに漂う、海辺などの光景。草の中から仰角で空を写した写真など良かったです。

 CAI(中央区北1西28)で、全日制生徒進級制作展「最初の晩餐」も見ました。岡崎真哉さんがパネル8枚分もある巨大なペインティングを出品していました。ほかに徳田直之、高橋奈々恵、村山由香里の各氏。

 長沼在住の画家、斉藤勝行さんが、スペイン長期旅行中ということで、エアメールが届きました。ありがとうございます。

 東証・日経平均株価は11819円で引けました。しかし政府閣僚はひとごとのようなコメントを残しています。この国はどこへゆくのだろう。
 3月12日(月)
 月寒の喫茶店「パレロワイヤル」に初めて行き、札幌の林玲二さんの作品展を見てきた。林玲二作品展
 林さんって、どんどんかけちゃう人なんだと思う。ジャズミュージシャンがアドリブで音を紡いでいくように、心の中の風景を次々と紙の上に表していく人だと思う。
 だからタブローとしての一点一点の完成度よりも、次々と作品が生まれてくる疾走感みたいなものがこちらに伝わってくるのだ。
 写真は「蒸散する時間」と題した、インスタレーションふう作品。青のにじみの変奏だ。
 ほかに、淡墨で描いた童画ふうの作品もあった。
 「パレロワイヤル」は喫茶店のわりには壁面が広く、週1万円と安いこともあって、使いたくなる作家もいるかもしれない。
 でも珈琲の味がなあ…。ロッテリアの方がよっぽどうまいぞ。
 月寒中央通9。東豊線月寒中央駅からまっすぐ国道沿いに歩くとすぐ分かります。

 札幌時計台ギャラリー。
 カレンダーの予定表と違って、B室は小出昭三個展。白老町の道展会員の由。牛を、赤などの色の厚塗りで表現した絵は迫力がある。ただ、風景画なども牛の絵と同じような感じなのが気になった。
 C室は鴇田由紀子個展。新道展会友。「また廃船か」と思ったけど、空の面積をすごく広く描いているあたりは、古い泰西名画を思わせてかえって新鮮。この人は、もっともっと自分の好みを打ち出した方がよくなるように思った。

 帰宅したらメールが6件も来てた。ふっふっふ、なんかうれしい(って、女子高生みたいだけど)。
 筆者が寝ていないという説が一部で流れていますが、ちゃんと睡眠はとっているのでご安心を。
 ただ読書量はてきめんに減りました。文化部時代は月20冊近く読んでいたのに、最近はその半分もあやしいていたらくであります。
 3月11日(日)
 また雪。朱鞠内で氷点下30度。3、4日に春が近づいたと思ったのは錯覚だったか。

 芸術の森美術館で、端聡さんのファッションショー「イマキュレート・コンセプト」を見た。100人以上は来てた。会場は、展示室の中の、古幡さんのスペースを一時的に借りて設営したもの。スキンヘッドにした古幡さんに
「会場貸してあげるなんて、太っ腹」
と言ったら
「最近太ってきて」
などと言っていた。今月23日から25日まで、いま住んでいる芸術の森のアトリエで作品上映をした後、アトリエを引き払って比布に一時移転するそうな。
 それはそうと、今回の「北の創造者たち」のワークショップ全7回、皆勤です! はっはっは、これは自慢しちゃうぞ。CAIに通ってた篠原さんも確か皆勤じゃなかったっけ。

 近代美術館の新年度のリーフレットが出来上がりました。
 特別展は▽地球と人間:YES.NO. APA公募展(3月29日〜4月12日)▼エジプト展(4月21日〜7月1日)▼朝鮮王朝の美(7月14日〜8月26日)▽北海道立体表現展(9月1〜9日)▼平山郁夫展(9月14日〜10月21日)▼永遠へのまなざし(10月31日〜12月2日)▽HIGH TIDE(12月8〜16日)▼アミューズランド(12月22日〜1月27日)▼砂田友治展(2月1日〜3月21日)▽風―the ikebana(3月29日〜4月7日)
 ▽は美術館以外の主催。「永遠へのまなざし」が現代美術を取り扱うことになりそうです。
 ことしは、札幌市内4美術館の日程がひとめで分かるリーフレットも作られるそうです。
 3月10日(土)
 コンチネンタルギャラリーのリニューアル企画展「造形を奏でる6つの響き」を見る。出品は、柿崎煕、國松明日香、永野光一、松隈康夫、丸山隆、美水円の6氏。会場で配っている図録に、吉田豪介さんがきわめて簡にして要をえた解説を寄せているので、こちらとしては何も付け加えることはありません。ともあれ、おすすめしておきます。

 道新の朝刊に、岩内の荒井記念美術館の創立者の死亡記事が出ていた。同美術館(通称アラキネ)は、この冬から冬季を閉めることになったし、学芸員の釜沢さんもすでに他に異動してしまい、今後が心配される。ピカソの版画もともかく、たとえば木村訓丈さんの絵を見ようと思ったら常設はアラキネしかないわけで、貴重な存在なのであるが…。

 さっぽろ美術展の評はあす以降になります。すんません。
 3月9日(金)
 4時間ほど眠ってから道立近代美術館へ行き、学芸員の方たちと昼食。隣接のギャラリー・プチ・レーブでD.HISAKO展を見る。いずれも猫の登場する、サムホールから3号くらいの油彩30点。彼女の絵については昨年暮れの個展のさいに述べたので繰り返さないが、売り絵、と一言で片付けるには惜しい、心の琴線に触れる情感をたたえている。
 (昨年の展覧会紹介のページはこちら
 続いて、市民ギャラリーで「さっぽろ美術展2001」を見た。美術評論家が市内の作家を選ぶ方式も今年で最後といい、おおむね「ベスト・オブ札幌」といえる顔ぶれがそろっている。公募展に比べるとかなり「あずましく」見られるので、お勧めです。詳しい紹介はあした。
 大同ギャラリーで、金沢一彦展。サンドブラストという技法を使って表現された、金沢さんらしいメルヘンの世界が展開されている。「銀河」「氷河」など、単にかわいらしいだけでなく、個性ある人物表現がたのしい。少ない色数の制約の中で、しかも平面的な構図という点も特徴。今回は、リトグラフや木口木版画にも挑戦している。
 陶芸の百武スズ子個展も開かれていた。「風韻」などのシリーズ作品を、インスタレーションふうに並べた会場構成が新鮮だった。陶芸で、ほぼ同一の作品を並べるという発想は珍しい。
 3月8日(木)
 「展覧会の紹介・2」ページに、「燎の会」「ジャパン トゥディ写真展」「北海学園大学U部写真展」のレビューをまとめて書く。今週の札幌市資料館はけっこうお勧めです。

 札幌の若手写真家、西塚顕治さんの訃報が届いた。
 夕張の風間健二さん率いる「グループ炭鉱夫」のメンバーとしてグループ展に参加したり、クラブで一日限りの写真展を開いたり、意欲的な活動をしていただけに、あまりに突然のことで信じられない。昨秋、宮越屋珈琲店で開いた個展に行けなかったのが悔やまれる。まだ20代半ばのはず。ご冥福をお祈りします。
 3月7日(水)
 札幌には「共通1DAYカード」というものがあり、市内の地下鉄、路面電車、バス(市、中央、じょうてつ、JR)に1日1000円で乗り放題できます。きょうはこれを使ってギャラリーを回りました。
 まず、南1条から中央バスの「西岡4の14行き」に乗り、中島公園入口で下車。スタジオZOOという、南11西1のファミール中島公園の地下に新しくできた会場で、小林重予、八子直子、レスリー・タナヒル3人展を見ました(写真撮ってくるの忘れた)。小林さんは、一昨日のスライドショーで「ニキ・ド・サンファールが好き」と話しておりまして、筆者は「ははーん、なるほど」と納得行ったんですが、今回は初めて大きい作品を見て、やっぱり大きい方がいいと思いました。というか、小さいのは、どうも根付みたいで……。八子さんの絵は、例によって、変形キャンバス(というか板)に描かれていますが、板が、自分の娘の形に切り取られていたりするのが面白いですね。レスリーさんの絵については1998年の個展のときに本人から、自分の脳の中を描いたという話を聞いています。
 で、3人の作品は良いのですが、会場についてはいろいろ言いたいことがあるぞ。オープンしたばっかりで慣れてないのかもしれないけどさ。まず、入り口が分かりづらい。Kさんが間違ってマンションの玄関から入って迷ったのも仕方ないよ。展覧会の内容を書いた看板や紙くらいあってもいいのに。地域活性化のための施設らしいが、これじゃあ地域の人がふらっと気軽に入ってくるなんてことはありそうにない。
 会場には、作品名などが書いた紙が置いてあり、各作品の横には作品名などのパネルはなくて、番号だけが張られているのだけど、この番号がめちゃくちゃ小さくて見づらい。これでは作品名を確認する気が失せる。パネルを付けたくない気持ちはわかるけど、紙に会場の平面図と番号を書く方法もあったのでは?
 それから、この会場は、そもそも何なんだ? 貸しギャラリーか? 企画画廊か? 次は何をやるのか? ぜんぜんそういった情報がない。本来は演劇のための空間ではないのか?

 中島公園から地下鉄で大通へ。大通から市バス・ファクトリー線で、サッポロファクトリーへ。このバスは17回の交差点のうち8回は曲がるという複雑なコースを通っており、歩いた方が速そう。
 レンガ館の札幌市写真ライブラリーで「ジャパン トゥデイ写真展」を見る。ヨーロッパ人が日本に来て写真を撮るという、ちょっといやな企画。常設展をはずしているので、点数はかなりあります。

 バスセンター前から東西線に乗る。ところが、方向を間違えて菊水へ。普段ならホーム中央の連絡通路をえっちらおっちら降りるところですが、「共通1DAYカード」の強み、いったん改札口を出て宮の沢行きに乗り換え、西11丁目で下車。外は激しい雪。
 札幌市資料館(大通西13)で「道教育大1年生展」を見る。立体が面白い。松川明日香「ta-ma-go」は、その名の通り、鉄筋に布を張って卵形にしたもの。中に入って休むこともできる。少なくても上遠野さんの作品より暑くなくていいです(笑)。東田裕子「FULL TIME PAIN」は、竹を使った細長い形が、ブランクーシやジャコメッティを日本人なりに咀嚼しようとしている試みを明らかにしている作品。ほかにも、デッサンなんかで使う石膏像と、それをインクジェットプリントしたものを並べて、立体と平面の関係を問うたインスタレーションや、蛍光管を半分に切って並べて見せた作品もありました。カセットテープの化石を掘り出したという設定で小さな立体を出している人もいましたが、このネタでは、1冊本を書いたコラムニストがいるから、もうやめようね。
 平面の人はもっとがんばろう。街に出ていろんな絵を見よう。

 同じ会場では、北海学園大学U部写真部写真展。いやー、いいですよお。ぜひ。詳しくは「展覧会の紹介」のページへ(あした書きます)。

 西11丁目から東西線で西18丁目下車。ふつうはひと駅だけ乗るなんてことはしないんだけど、なにせ「共通1DAYカード」ですからね、はっはっは。ギャラリーミヤシタ(南5西20)で「大矢朗子展」。明るい水色や黄緑による、筆触を生かしたカラーフィールドペインティングといったところでしょうか。明度も彩度も高いだけに軽快さが感じられます。遅れて出来たDMの色は、はっきり言って本物よりぜんぜん暗いので、このDMを見て興味を持たれた方は出かけられたほうがよいでしょう。

 1790円が1000円で済んだ、というのが、本日の「共通1DAYカード」の決算であります。
 3月6日(火)
 主体美術8人展(時計台ギャラリー)は、札幌の2人と、首都圏の7人が出品しています。主体展の創立会員である小谷博貞さん(今回は出してません)にお会いして、いま道立近代美術館で開かれている展覧会についてお話をおうかがいしました。どの作品も、1点でかき終えたという気持ちになるということはなくて、何点かかき続けるのだそうです。近年の作品は、饒舌というか賑やかさを増していますが、これもそろそろ新しい展開を見せそうです。
 横田章・赤羽真純2人展も。この2人でもう19回にもなるんですね。
 横田さんはシルクロードを題材にしていますが、「壊された大仏像」などタイムリーな作品もありました。赤羽さんは身近な(とおぼしき)風景画と静物画。白を混ぜた色彩、短いストロークが特徴です。

 「燎の会」展(大丸藤井スカイホール)では、長谷川白羊さんと山田聳宇さんと雑談。「比田井天来は書を科学した」「教育者としてはすごいが、感性ではもっとすごい人がいる」「次回2年後は臨書だけにする」「最近は臨書になってないのが多い」などなど。
 第11回新孔版画札幌展も同じ会場で。要するにプリントゴッコでもきれいな作品が作れるというやつです。この分野では全国の指導的立場にある札幌の渡会純价さんはじめ道内外から出品されています。アラン・ウエストさん(東京)の「Tree of Life」は、落葉を、版を重ねて美しく表現していました。個人的には、太田道子さんの陳列がないのが寂しいですなあ。
 あと、大通美術館ギャラリーにも行きました。

 帰宅午前零時。雪かきの後、かみさんが作ったインスタントラーメンを食う。
 3月5日(月)
 雪解けの進む道を歩いて、地下鉄南北線自衛隊駅前にある「まるバ会館」へ。ふだんは、自主映画なんかをやってる会場ですが、きょうは、札幌在住の造形作家でインドネシアなどでも展覧会を開いている小林重予さんが「初めてのヨーロッパ 5カ国35日間滞在記」と題したスライドショーを開くというので、「なんだかオノボリさんな企画だなあ」と思いつつも出かけました。アムステルダム、パリ、フィレンツェ、バーゼル(スイス)などの滞在記ですが、単なる観光ツアーではなく、パリで開いた個展のときの話などが楽しく聞けました。とくに、パリの現代美術のギャラリーは、事前に予約するか、ドアの前のブザーを押して来訪の意を告げなければ入れないところが多いっていうのは「へえー」って感じ。
 なお、蛇足ながら「欧米の駅や鉄道ではアナウンスがない」というのは神話のひとつです。ニューヨークの地下鉄では駅のアナウンスがあるそうだし、ニースの駅でも「何番線の電車が遅れる」という放送がされてました。ただ、フランス語だから何を言ってるか全然分からないんですよね。

 スケジュールのページの一番下に、地図サイトのリンクを張りました。ただ、ギャラリーの場所は載ってません。
 3月4日(日)
 風雨強し。春が近いという経過にあっては、良いことばかりではないのです。
 この修行のような悪天候の中を、芸術の森美術館へ。佐々木秀明さんのワークショップに行きました。62人も来ていました。
 「北の創造者たち展」のページに報告を書きました。

 金野宏治という画家が亡くなったという小さな記事がけさの道新に出ていました。筆者は寡聞にして知らぬ人ですが、「1955年に自由美術協会の創立に参加」というのはいくらなんでもムリじゃないでしょうか。こういう間違いをチェックする人って社内にだれもいないのかなあ。情けねえ。

 作家を中心に、リンクの追加を随時行っています。そろそろレイアウトを整理したい。
 3月3日(土)
 NHK「土曜美の朝」を見る。毎年500号の大作を二紀会に出している遠藤彰子。一昨年に道立旭川美術館で開かれた「ふるさとニッポン展」でご覧になった方も多いと思います。おびただしい人物が螺旋状の都市に躍る独特の絵は小生もけっこう好きです。テレビで見る彼女はほんとうに絵が好きそうで「出産の日も含めて一日も絵をかかなかった日はない」とのこと。骨董屋さんでわにの剥製を買ったとか、漫画絵日記みたいのも書いていて「字を書くより絵のほうが速いじゃないですか」と言っていた。そうかあ?! って思ったけど。

 筆者が土曜夕刊の1面を担当すると必ず何か起きる(フィリピン大統領失脚、奥尻町長逮捕、えひめ丸沈没)のですが、きょうは平穏無事でした。のんきな写真ものに「お菓子のおまけ 大人も夢中」と、頭韻を踏んでみたのですがどうでしょう。
 1面右側の「きのう今日あす」に、市立小樽美術館で中村善策展の記事が出ていましたが、これはいつもやってる展覧会に、よそから借りてきた絵も加えた特別展のようです。分かりにくい書き方だなあ。

 CAI現代美術夜間スクールの修了生6人による展覧会「INDIVIDUALITY」を見る。
 篠原泰子「communication pieces」は、ギャラリーの白い壁からにょきにょき石膏の腕が何本か飛び出ている作品。黒田晃弘は奔放な黒線を壁に直接描いていました。ほかに中谷聡子、原睦美、福嶋宏、水上恵が出品。

 ところで、表紙のアクセスカウンターが800なんぼから動かないという指摘が一部あったんですけど、みなさんのところではいかがですか。
 
 3月2日(金)
 きのうは更新しなくてすいません。きょうも仕事の合間を縫ってギャラリー巡り。
 大同ギャラリー(札幌市中央区北3西3大同生命ビル)で木村初江さんの個展。このHPが始まって2回目の登場となるのは木村さんが初めて。ほんとに熱心だなあ。
 結城重助遺作展。私は初めてまとめてみました。彫刻家の水谷のぼるさんなんかと親しかったようです。
 老爺を裸にして立たせた肖像画はなんともいえぬ迫力。コップなどを横に並べていろいろな平面的構図を試してみた静物画の連作も印象に残りました。

 アートスペース201で(同南2西1山口中央ビル)では中橋修さんの個展。5階の3室を使っています。
 「あまり種明かしをしたくない」という作家の意向もあるので詳しくは書きませんが、結論から言うと、けっこうイイです。
 今までの中橋さんのインスタレーションも、ミニマルアートにつながるすっきりとした造形と、コンセプトとを持っていたのは確かです。でも、今回は、それだけにとどまらず、影という要素を生かし、見る人ごとに異なる様相を見せる作品に仕上がっています。解釈を聞いて「ふーん、そうなのか」で終わり、という作品ではないんですね。シンプルなのに、見る角度を変えて長時間楽しめる。そのうちに、存在と非在というような哲学的なテーマにいつの間にか迫っている自分に気づく。
 作品の鮮やかな青と黒は、ネオカラーという顔料を使ったそうです。
 それにしても、最初の部屋で作品の中を覗いたときは、この暗闇はずーっと続いているんじゃないかとおののいちゃいましたよ。目が慣れてくるとこれまた「おおっ」なんですが。
 筆者は、中橋さんの展覧(1996年以降ですが)ではベストだと思いました。

 スカイホール(同南1西3大丸藤井セントラル7階)では「具象絵画女性5人展」。
 日向良子さん(小樽)、日塔幸子さん(十勝管内音更町)、大井愛子さん(札幌)、渡辺右さん(札幌)の4人と、1999年に亡くなった小林正子さん。今後も「五人展」としてやっていく、というのがほろりとさせます。
 サムホールから30号まで3ないし5点ずつ。大井さんの「静物」が100号。5人とも、筆で色を塗るというより、筆を置くという形容がふさわしいごくごく丁寧な仕事ぶり。とりわけ渡辺さんの「函館秋風景」「雄阿寒遠望」の、色を紡ぐかのような堅実な仕事ぶりに惹かれました。また、小林さんの色彩感覚と、塗りの丁寧さは、なかなかのものに思えました。

 津田義和さんの個展についてある方からメールをいただきました。ありがとうございます。指摘を受けて、一部内容を訂正、加筆してあります。この場を借りて、津田さんはじめ、関係者の方々におわびしておきます。