ライト撮り(3)・運用

ライト撮りを実際にする場合の運用について書きましょう。

注意事項

(1)フラッシュ撮影では無いため、露出インジケーター・露出レベル表示が使えます。フル活用させて下さい。(より詳しく)
(2)絞り優先オート・ISO感度自動制御が使えます。理由はこのページの最後に書きます。先に(より詳しく)は読んで下さいね。

運用

実際の運用手順は・・・
(1)絵コンテに従いF値を決める。これは、どの様な撮影でもいつも同じです。

(2)絵コンテに従い、青い自然光とライト光の比率を考え、ライトの発光量を調整し、・距離を考え、設置する。この時点で、青い自然光比率は決まります。これ以後カメラの設定(SS・ISO)では変える事は出来ません。フラッシュ撮影と大きく異なります。

(3)SSを決める。ライト撮り(2)を参照して下さい。SSを変えてもフラッシュ撮影のように青い自然光比率を変える事が出来ない事に注意して下さい。ブレ防止だけでSSを決めます。

(4)露出インジケーター・露出レベル表示を見て、ISOを決める。

(5)必要ならばISO感度の調整。ISO感度が常用を超えて高くなる場合、以下の方法で調整する。
●F値を開いて、ISO感度を下げる、ただし被写界深度が変わるデメリットあり。
●ライト光を、多くして、ISO感度を下げる、ただし青い自然光比率が変わるデメリットあり。
●SSを遅くして、ISO感度を下げる、ただしブレが長くなるデメリットあり。

(6)露出アンダー・オーバーの露出の調整をする。ISO感度を変えて調整する。
ライトの発光量を変えて、露出の調整した場合、青い自然光比率が変わるデメリットがある。絵コンテを守るにはISO感度で調整する事。


今までのフラッシュ撮影とは運用が全く変わります。ご注意下さいね。

結局どうなの?

陸上写真では、フラッシュはLEDライト撮影に変わっていきます。生物撮影以外ではLEDライト撮影が主流になります。陸上ではただ高感度特性が良ければいいからです。
水中写真では、自然光が青いのです。LEDライト撮影には青い自然光との相対量が必要です。高感度特性だけではだめなのです。
僕は、フラッシュ撮影よりライト撮りが良いとは、思いません。完全に移行するつもりは全くありません。将来も無いでしょう。
一部の撮影においてのみ、現在も効果的なので使っています。皆さんにもお勧めします。これについては、ライト撮り(4)(5)で書きます。

一般的な撮影は無理
沖縄のような明るい海では全くダメです。ワイド照射3000ルーメン×2灯程度の60itsでは、デメリットの方が格段に多いです。黒抜きは出来ません。青無し系写真が全滅です。青被りします。やはり青い自然光に比べての相対的な光量が全く足りません。

フラッシュは5000itsくらいあるそうです。フラッシュ撮影のメリットを上回れるのでしょうか?疑問です。

この写真は、2019年現在照射角度30度のライトでは最高の156itsの明るいライトでの撮影です。
ガラスハゼなので撮影距離の近い撮影です。この明るいライトでさえ、F3.5・SS1/250・ISO100、までです。
●これ以上のF値ではアンダーになります。
●黒抜きには出来ません。
このような撮影距離の近い撮影でさえ400itsくらいは必要です。一般的な撮影、ベラやスズメダイやハナダイでは、現実的に無理でしょう。そのようなライトは非常に高価になりますし、熱処理的にも作れるのかどうかさえ疑問です。照射角度100度で400itsならば40000ルーメン必要です。そんなのだれが作るの?

ライト撮りが有利な撮影条件

ライト撮りに 有利な条件 不利な条件 
●暗い海、相対的な光量が高くなる
●短い焦点距離、SSの条件が緩やか
●動かない被写体、SSの条件が緩やか
●近接撮影、光量不足になりにくい 
●明るい海
●長い焦点距離
●動く被写体
●離れた撮影

という事は・・・
●暗い海で(温帯)
●50〜60mmレンズで
●近接撮影で
●静体を(ウミウシ、ダンゴウオ)
撮っている人は、今でもライト撮りはメリットが多いのではないかと思っています。
しかし、温帯で60mmでも、ハナダイやベラだと、どうなんでしょうか?条件が厳しい気がします。
僕が実際に温帯では検証出来ないので、経験者は是非、教えて下さい。写真見せて下さい。

ライト撮りのお勧め

フラッシュを捨てて、ライト撮りに専念する事は、お勧めしていません。
フラッシュ撮影メインで、有効な時だけライト撮りをうまく使うというやり方がお勧めです。

ISO感度自動制御が使える理由

ライト撮りでオートが使える理由です。先に、ここ(より詳しく)を読んで下さい。

  カメラマンが
決めるもの 
カメラに
任せるもの
 補正 カメラに
任せる数
絵コンテ
 ISO  F値・SS  露出補正  2 カメラ任せ 
A・Av  ISO・F値  SS  露出補正  1 カメラマン決定 
S・Tv  ISO・SS  F値  露出補正  1 カメラマン決定

ISOオート
 F値・SS  ISO  露出補正
(注1)
 1 カメラマン決定 
 F値・SS・ISO  無し  無し  0 カメラマン決定
(注1)2017年以前位の古いキャノン機では露出補正が出来ません。
これは明らかにキャノンの手抜きです。
今のキャノンのカメラでは露出補正が使えるます。


●撮影モード・S・Tv
F値をカメラに任せる事は、マクロ撮影では絶対あり得ません。使いません。
●撮影モード・A・Av
使えます。ISO感度の設定を変えながら、SSをカメラに任せます。しかし、SSが変わると、ブレの長さが変わります。その為、SSの値を一定にするために、ISOを動かすという運用になります。結果は、撮影モードM&ISOオートと全く同じに出来ます。しかし多くののカメラでは、ISO感度を細かく変える事は操作上面倒です。
撮影モード・M&ISOオート
使えます、お勧めです。結果は、撮影モード・Aと全く同じに出来るため、どちらでも同じです。しかし操作性はこちらの方が良いと思います。F値とSSの設定は、いつもフラッシュ撮影でもやっている事です。操作に違和感がありません。ブレはSSを固定出来るのでコントロールしやすいです。
特に高感度特性が良いカメラでは、ISOに余裕があるため断然こちらの方が使いやすいです。感度の上限設定をしておくほうが良いです。ご自分のカメラの性能により、ISO感度の上限を設定しておいて下さい。


●ニコンと露出補正が使えるキャノンでは、M&ISOオートで露出補正を使う事がお勧めです。
●M&ISOオートで露出補正が使えないキャノンでは、Avで露出補正を使うか、マニュアル設定です。


しかしライト撮りは、たまにしかしないならば、不慣れなオートではなく、今まで通りF値・SS・ISO感度のすべてマニュアルで設定しても良いと思います。オートの方が楽ですが、ライト撮りの機会が少ないなら今まで通りの考え方でやる方が頭の中はシンプルです。
ライト撮りを多用する方は、オートを使って下さい。

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