前景・中景・後景

水中マクロ撮影の場合、青い自然光と七色のフラッシュ光を使って写真を作ります。そしてその割合が写真に写る場所によって違います。それを前景・中景・後景と3つに分けて考える事が非常に重要です。

言葉の定義

前景 被写体とその周囲のカメラから近い部分。
フラッシュ光が充分に当たる部分。
フラッシュの光がとても多く、主にフラッシュ光の影響を受ける部分。
自然光の影響の少ない部分。

中景 前景と背景の中間。
前景に比べて弱いフラッシュ光が当たっている部分。

フラッシュ光と自然光の両方の影響を受ける部分
50cmから1〜2m先の岩・砂・サンゴなど。

後景 フラッシュ光が当たらない部分の事。
フラッシュ光を反射する物体が何もない部分、海の所。
フラッシュ光が届かない、数m先にある岩・砂・サンゴなども含む。

フラッシュ光はカメラに返ってこないため、フラッシュ光の影響は全く受けない部分。自然光の影響だけを受ける部分。

写真を見よう。海を見よう。

まずは、自分の写真・人のブログの写真・雑誌の写真などすべての水中マクロ写真を見て、この3つの部分に写真を分けて下さい。この練習をして下さい。どの写真を見ても1秒で説明出来るようになって下さい。

●撮影前にロケハンする時、毎回自分が撮る場所がこの3つのどの組み合わせなのかを瞬時に理解しなければいけません。

●水中で撮影後、写真を再生画面で確認する時、瞬時に見分けられなければいけません。

頭で考えてわかるのではなく、条件反射的に出来るようになって下さい。水中でゆっくり考える時間など無いからです。この判断が、出来なければ、今から学ぶことを水中で運用できないからです。F値をどう変えるべきか?SSをどう変えるべきか?どこから撮るべきか?フラッシュをどう当てるべきか?すべての判断のベースがこの見分けです。

これは、最も重要です。

3つのパターン

基本的には3つのパターンに分ける事が出来ます。

前景のみ(後景無し) マクロ写真の場合多くの写真がこれです。
被写体とその周りの岩や砂・サンゴだけが写っている場合です。
地面にいる被写体を少しでも上から撮るとすべてこうなります。

中層に浮く魚でもスズメダイの子供などは、背景が近い場合前景のみになります。

前景+後景 中層に浮く魚、ハナダイなどを撮ると魚の周りは海です。後景になります。
地面の上の被写体の場合、カメラを下げてローアングルで撮ると背景が海になり後景有りになります。

前景+中景 ハゼなどはこの代表。
ローアングルで撮っても周りの砂地との距離は遠くなっていきますが、完全に海にもならない場合。だんだんフラッシュが当たりづらくなっていきますが、全く当たらないわけでもなく・・・

地面にいるエビ・カニ・ウミウシなどを上から撮れば前景のみですがローアングルにしていくにつれ中景が増えてきます。

背景

このHPでは背景後景という言葉は明確に使い分けます。似た言葉ですので誤解が無いように確認して覚えて下さい。

被写体 主に前景にある今から撮る対象・主題
背景 被写体の周りの部分、被写体を除いた部分すべて
被写体以外の所は、前景でも中景でも後景でもすべて背景と呼びます。
後景 フラッシュ光が当たらない部分の事。
フラッシュ光を反射する物体が何もない部分、海の所。
フラッシュ光が届かない、数m先にある岩・砂・サンゴなども含む。

フラッシュ光はカメラに返ってこないため、フラッシュ光の影響は全く受けない部分。自然光の影響だけを受ける部分。

3つのパターン(凡例)

写真によってボケ具合や色など様々です。このようなものに惑わされず。距離やフラッシュ光の当たり具合を見て的確に判断して下さい。

前景のみ(後景なし)・周囲は近くの岩

前景と後景あり・周囲はすべて水

前景と中景のみ・周囲は砂地

写真で説明


前景のみ。
しかも被写体の周りも等距離にあり奥行きが全くない写真です。完全なる前景のみです。


ボケに騙されないで〜はっきり写っていないと距離が離れている気がします。しかしウミウシから背景までの距離は4〜5cmというあたりでしょう。前景のみです。


青さにも騙されないで〜これも背景は砂がボケて青いだけですね。青い砂の部分までウミウシから10cm程度でしょう。前景のみです。


ウミウシと下の白い砂地は前景。その右上の暗めの青の部分は中景。ウミウシの足元の砂地が小山になっているため右上の砂地は50cmから右上の端だと1m位ありそうですね。フラッシュの当たり方も前景部分と明らかに違います。前景+中景。


ボケが距離感を分かりにくくしています。ウミウシと下の地面は前景。平たい地面の上で真横から撮っているため後は急激に距離が遠くなっていきます。上端は黒っぽくなりフラッシュが当たっていません。後景です。地面は前景から中景最後は少し後景へと変わっていきます。
前景+中間+後景へのグラデーションですね。


前景+後景
飛んでおります〜


カメラはもう砂地にめり込みそうですね。可能な限り奥行きを作っています。しかしこれでも中景までというあたりでしょうか?後景とは呼べないですね。前景+中景


前景+後景


前景+中景。後景ぽく見えるけど遠い中景でしょう。


こうなると撮り方がわからないとイメージしにくいですね。奥行きは10cm以下の前景のみです。


典型的なハゼの写真。前景+中景+遠い中景


前景+かなり遠い中景。残念ながら後景にはなれていませんね。うすぼんやりと奥の地面にフラッシュが当たっているのがわかります。


前景+中景+後景。
前景のオオシライトゴカイ。近めの中景のオレンジの海綿。左上の黒い部分が海で後景

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