第一章・フラッシュも第三章の様々な撮影方法も、今まではすべてフラットに光を回して、影を消す撮影です。
ここで初めて、影を作る方法です。
偶然できた影ではなく、絵コンテ通りに思った場所に影を創造するのです。写真を作るのです。
| 作例集 |
ライトで作る影よりもフラッシュで作る影の方が、圧倒的に綺麗です。
光量が違います。定常光と瞬間光の差が出ます。
●ブレが出ない
●明度コントラストが強い
綺麗な写真が撮りたないならば、フラッシュで影を作りましょう。
このページでは、TTL調光で、フラッシュ位置を変えて、また、フラッシュを1灯にして影を作る方法を紹介します。
水中ライトで影を作る方法はライト撮りで説明します。
フラッシュでは、コントロールが難しすぎる時はライトで影を作ります。
マニュアル発光の方は・・・
単純な影なら可能ですが、撮影1枚ごとに露出条件が変わるのでマニュアル発光では、コントロールが難しいです。
ここの作例は、特殊な機材は使っていません。
もちろんスヌートなどがあれば自由に、簡単になります。
ただ機械で作る影など、機械を買えばだれでも作れます。
経験と腕です(^O^) 機械を買う前にまず経験と腕を磨いて下さい。機械の導入は後です。
先に機械を導入すると、腕が磨けません。経験が積めません。誰でも作れる影しか撮れなくなりますよ。
ご注意くださいね。
●ディフーザーは、外した方が光が固くなり影のエッジがシャープに出ます。
ロケハン命です。
フラッシュ光で何かの影を作り、それを写真に写すのです。まず光を遮る「何か」を探せなければいけませんね。
今までは「何か」の影を消すために苦労してきましたね?今回はその経験を利用するのです。
今まで影を消すコントロールが出来ていない人は「何か」がわかっていないはずです。それでは無理!
影が消せない人は、影を作ることなどできません。
うまく影が作れない人はきっと今までも影が消せていません。まず第一章に戻って影の消し方を熟練して下さい。
消す事も作る事も影のコントロールは同じです。
フラッシュで作る影はファインダーの中には、見えません。撮影後初めて写真の中に現れます。
従って、撮影方法は・・・
(1)「何か」をロケハンする。
(2)影を想像する。
(3)とりあえず1枚試撮り
(4)カメラを1mmも動かさず確認
(5)ストロボ位置の修正が必要な時は、やり直し
(6)カメラ位置の修正だけの時は、ずらしながら、何枚も撮る。
(7)カメラを1mmも動かさず確認
(8)カメラ位置を修正し、ずらしながら、何枚も撮る。
(9)カメラを1mmも動かさず確認
(10)カメラ位置を修正し、ずらしながら、何枚も撮る。
●多くの場合、ローキーな絵コンテだと思います。調光補正は、-1〜-3と大きくかける場合が多いです。調光補正を忘れずにね。
一番シンプルな影の作り方
凹凸があるものの凸部分の影を凹部分に作る。下の2枚とも右横からしっかりとフラッシュを当てて、左フラッシュは影を弱めるために軽く当てています。右メイン・左サブの2灯です。イソギンチャクやカイメンの凸凹で陰影がついています。
右フラッシュの光軸間角度は45〜60度程度です。
サブの左フラッシュの弱め方ですが、TTL調光でカメラで調光補正をしている場合発光量を調整するのは難しいため単純に左フラッシュを被写体じゃない変な方向に向けています。その角度と距離で左右バランスを取ります。
マニュアル発光の方は発光量を、左右差を付けて下さい。

右1灯の光軸間角度を大きくすれば、影は大きくなります。下げても凸部分の影は大きくなります。
左フラッシュは、TTL調光の場合、外を向けると弱く当たる。フラッシュの照射角度は広いので、この位外に向けないと弱くなりません。

完全に1灯にすると、影はより濃くなります。左1灯です。

左右のフラッシュを光軸間角度は90度で挟み込むようにして顔以外に光が回らないようにしました。顔の近くの首周りの黒い部分は、被写体自身と岩の影です。写真右半分は大きく凹部分なので影になっています。

作例2と基本は同じです。凹部分があれば凸部分の影になります。作例2よりも大きな凹部分に、被写体がいるパターンです。左上や右下の地面が写っています。それが光を遮り、凹部分を暗くします。光軸間角度は90度。
そして、その影を作る凸部分を写真の中から排除できればこの様な影と被写体の写真になります。通常の黒抜きとの違いは被写体の足も影部分に入っており暗く消えて行きます。黒抜きが被写体はビシッと写るのに比べて、シャドーではもう少しアンニュイな感じ(^O^)になりますね。黒抜きに比べて、柔らかい印象になります。

光軸間角度は90度近いです。45度くらいでは、光が回ってしまいます。
凹みの深さと角度によって変わります。撮りながら修正です。

僕のお気に入りです。
左フラッシュオフ。右フラッシュ1灯です。右横から当ててます。光軸間角度は90度近いです。エビは凹みに居ます。写っていませんが右側に凸部分があります。その出っ張った岩の影が、エビの足元は暗くしてますが、体は影から出ている状態です。

同じく右フラッシュ1灯です。

右1灯だけです。斜面に沿って当てると斜面には当たらず、凸部分だけにあたります。しかし1灯なので被写体自身の光の回りが悪いのでそこに細心の注意が必要です。影作って遊んで、写真が単に汚くなるだけって結構多いです(T_T)
左フラッシュは電源オフ、または、絶対当たらない方向にして下さい。
電源オフにすると次に電源入れ忘れるので、注意してね。

2灯とも上からトップライトです。120度型というよりも60度型みたいに上に2灯並べて下を向けています。サンゴの間に産んでいます。上にもサンゴがあります。そこで光を回す位置からどんどん上にあげて光の回りを悪くしていきます。奥からだんだん暗くなっていきます。やりすぎると手前まで影になりますので、ちょうどいい所を探します。
同じく2灯上からトップライトです。海藻に隠れているので上の海藻の影が被写体にも周りにも出来ています。

上から2灯、光軸間角度60〜90度

サンゴの間などで使う場合が多いです。奥側を暗くすると前景が印象的になります。1灯にすればより濃い影が出来ます。

まず被写体に最短まで近寄ります。フラッシュは2灯ともアームをを出来るだけ伸ばして前方へ伸ばします。フラッシュ位置は180度型で合わせ気味です。フラッシュは被写体の真横または逆光気味に当たります。フラッシュ光は偏りが出ます。1枚目の写真では卵の中に影が出来ていますね。そのおかげで卵の中で影が出来て立体感&輪郭強調になっています。2枚目・3枚目と次第に逆光気味になっていきます。3枚目では被写体よりもフラッシュの方カメラから見て奥なので完全に逆光になっています。前景の手前側に影が出来ています。
もう一つの効果としてフラッシュを前に出しているので背景がハイキー気味に仕上がっています。そのためより前景の影が強調されています。
アームの長さにもよりますが、被写体との距離が遠いと出来ませんね。動かない被写体のみです。



とりあえず、背景にフラッシュ。広げて、前に突き出す。影が出来ない場合更に外に向ける。前景はフラッシュの漏れた光だけで撮る。被写体との距離が近い方が撮りやすいです。遠い場合長いアームが必要になります。アームが長い方が有利です。


写真の上部が凹部分になっています。フラッシュを左1灯のみにすれば凹部分は手前の岩の影になり黒抜きのようになりました。左1灯なのでウミウシの体自身にも少し影が出来ています。

左1灯だけのままフラッシュの光軸間角度を大きくしました。奥の凹部分の影は、手前まで黒くなり、手前の岩も黒くなってきました。被写体自身の影も強くなってしまっています。

さらに光軸間角度を大きくし、左フラッシュは左の下から右上に向けています。手前の岩の黒い影はもう限界まで黒くなりました。それでも、被写体の下の地面は真っ黒にはなりません。被写体自身の影は壊滅的です。
あと2cm被写体のウミウシが地面から離れていれば、良い感じで撮れたでしょう。写っていない左下側の岩に数cmの凸部分があれば手前の岩はもっと真っ黒になったでしょう。結果失敗です。
ちょっとした凹凸。手前の岩、被写体の位置、数cmの差で失敗か成功かが分かれます。こればかりは何とも文章では書けません。何度も試して失敗しての経験則です。あと1cm被写体が上だったら・・・あと1cm岩の凸部分が高ければ・・・あと1cm、、、あと1cm、、、その失敗だらけの経験を積み重ねると・・・
ある日、、、光り輝く場所にいる被写体を見つけれます。その光が見えるようになります。そうなるまで頑張るしかありません。

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