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みづうみPart2

■ざくろ■

  「ざくろ」は『掌の小説』群のなかのお話で、昭和18年の作品です。幼馴染と思しき「きみ子」と「啓吉」は、互いに心を寄せ合いながらも思いを伝える事ができないまま、「啓吉」が戦地へ赴くことになり離れ離れになってしまう。「啓吉」が齧ったざくろをそっと齧る「きみ子」。セツナイねぇ。酸っぱく甘い青春の味、って書いてて恥ずかしいですけど。ざくろの味はセツナイのの味。いいなぁ。
 で、この「ざくろ」が書かれた時期、戦争を前後して書かれた他の『掌の小説』群のお話もすごく好きです。「十七歳」「かけす」「小切」「五拾銭銀貨」「笹舟」等々。すべて10代後半から20代前半の女の子が主人公なのですが、ささやかながらも感情がとっても美しい。降るものもすべて受け入れてるというか。
 「十七歳」は病弱な女の子が主人公なのですが、戦争中なのに何もせず、安住していることに少し引け目を感じながらも、そういうこともすべて受け入れて「ただもういい人になっておこうと素直に思う」気持ちはほんとに素直。きれいごとでなく、そのままの意味でそう、思っているのだろうなと思うと、切ないような、でも神々しさを、感じる。こういうまま大人にはなれないのでせうかねぇ。夢見る少女ではないけれど。少女は少女のまま大人にはなれない。少女という普遍があって個人はそこを通過するだけなのかなぁ。
「少女の感傷」か。そうやって片付けないと生きられないのかなぁ。あぁ、グルグルしてきた。
 「ざくろ」とその周辺の作品を集めて映画にできたらなー。「啓吉」役は断然津田寛治さん!だあー!見てみたい。

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