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みづうみPart2

■朝雲■

「あの方は初めてお教室へいらつしゃる途中、渡廊下の角に立ちどまつて古い窓から空を見上げていらした。白い雲の縁にはまだ朝の薔薇色がほのかに残つているやうだつた。」

というわけで、薔薇色にしてみました。なんてきれいなお言葉でせう。流れるやうな。お教室、いいなぁ。
 「朝雲」という言葉自体、めずらしい、というか、康成サマの造語ですよね。「朝雲」。「朝日」というとご来光って感じで、神々しいというか、朝日新聞のマークみたい、でもなんで朝日新聞、右翼のマークみたいなの?左寄りな人達なんじゃないの?なんていろいろ考えてしまいますが、「朝雲」っていうと、これから染まる、というか純白に薔薇色、みたいな、なんか少女な感じバリバリしますね。さすが康成さま、目の付け所が違う!
 そういえば私、もう何年「朝雲」を見てないだろう。朝雲を見ようと思ったら、夜明けを待たなきゃ、見れない。起きられないのです〜。ある冬の日に、ゴミ捨てで早起きした時の雲や空の色は今でも忘れません。空気の匂いとか。生ゴミ運んでたんですけどね。夕焼けよりも好き、だけどなかなか見れないのが哀しいですね。曇りだと、やっぱり味気ないし。晴れていてもちょっとのタイミングで全然表情が違うし。きれい〜と感動してしまうほどの「朝雲」に会えたのは、その真冬の日、くらいです。基本的に早起きしないのが悪いんですけどね。『朝雲』の、菊井先生がご覧になつたといふ「朝雲」は何月の「朝雲」かしら。赴任してきた日、だから、4月でせうか。4月ですわ。書いてありましたわ。4月の「朝雲」かー。4月じゃ日の出がだいぶ早いじゃん!んー、早起きせねばー。

つけたし:ふと、気付いたのですが、『朝雲』は1センテンスが長い部分が多い!で、句読点が少ない。小学校の頃に教えられたように句読点で息継ぎをしようとすると苦しいです。松田聖子のような息継ぎになってしまう。でもそれゆえ、流れるような文章なのでせうね。で、文末が「〜だった。〜だった。〜た。」と畳みかけるような感じなので、より、続くような感じがする。少女らしい文章を、と康成さまはお考えになったのでせうか。

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