キョン太の連句道場
尻取り百韻「梅雨明けの」の巻

 既に変則自由連句百韻「ごめんなさいね」の巻の後半で部分的に始まっておりましたが、全部尻取りで通そうというのはこれが最初の百韻でした。時期によると出句が相次いで兼坊もなかなか割り込めないほどでしたが、徐々に連衆が減り出して、途中から兼坊・亜月庵の両吟に、最後の方でやっと玉ちゃんが来てくれて三吟になりました。最近見えない照英さん、木菟さん、竹林着たきりさんにも、また登場してもらいたいものですね。

尻取り百韻「梅雨明けの」の巻
2001年7月14日首同年12月5日尾
初表 梅雨明けの夜空を焦がす花火かな 照英
日がな一日草取りをして 兼坊
トリをして負けたと言わせるのど自慢 亜月庵
ドジ漫才はつっこみ不在 兼坊
不在者も投票できる総選挙 照英
占拠しました自民公認
忍者たち江戸村の中飛びまわり 照英
ひまわり畑の迷路ぐるぐる 兼坊
初裏 クルーザー浮かべたいよな青い空
ラッコは腹で貝殻を割り 兼坊
終わりなきアクアリウムを回遊す
有珠山麓の家に帰れず 兼坊
ずいぶんと歩いた物だこの道も 照英
もたもたするなと怒鳴られながら 兼坊
長良川鵜飼かがり火照り映えて
エテ公なれどうまい手さばき 兼坊
気持ちだけ大道芸の缶の中 竹林着たきり
長雨になる予報外れて
ずれている暑さ寒さと季のめぐり 兼坊
グリーンなのに枯れ木枯れ草 兼坊
くさいから旨いんですと食う干物 亜月庵
紐の先には猫がじゃれつく 兼坊
二表 尽くしてもしょせん貴女は人の妻 木莵
爪紅の弾ぜし夕暮れ
ウクレレの音もなつかしアロハオエ 亜月庵
お絵描きの子はハネムン・ベィビー 木莵
ビー玉にメンコベーゴマ奴凧 亜月庵
タコヤキ売ってもうかりまっか
まっかうりオレもメロンの仲間だぜ! 亜月庵
まだ前世のしっぽ引きずり 木莵
倫理とか哲学とかに染まりがち 兼坊
がちんこという八百長もあり 亜月庵
アリババの秘密兵器は「ひらけごま」 木莵
ごま塩頭を痴漢呼ばはり 亜月庵
割のいいバイトは夜間警備員
因果なことに家はパン屋で 亜月庵
二裏 出ておいでクロワッサンのような月
築地市場にこおろぎが鳴く 木莵
くるくると回転寿司のネタはトロ 照英
とろーりとろける新婚の夢 亜月庵
夢かない宇宙旅行の旅をする 照英
ルージュが光るウチのカミサン 木莵
ミサンガはJリーガーをまねて着け 亜月庵
手付を打ってナカタ確保す
穂芒の銀波昏れゆく道路鏡 木莵
教員だった殺人犯は 兼坊
わかるのは君が独身だってこと
ことの起こりは若気の至りで 亜月庵
デンマーク国王の地位投げ捨てた 兼坊
足し算引き算アヒルが十羽 木莵
三表 ぱっと咲きぱっと散るのが華?の国 亜月庵
苦肉の策の大和魂 木莵
いかにして狂牛病を防げるか 兼坊
改革いつも後手後手になり 亜月庵
鳴りわたる祝婚の鐘に涙して 木莵
テアトル広場枯れ葉舞い散る
チルチルとミチルが探す青い鳥 木莵
トリックなんだその幸せは 亜月庵
瀬は淵に変わる世の中飛鳥川 兼坊
明日香川まで出かけて見るか 亜月庵
見る影もないと噂の女の許
求められるままいつか虜に 木莵
子に罪はなけれど父は戦場へ 兼坊
うへぇこええな喧嘩反対 亜月庵
三裏 退院の挨拶電子メールにて 木莵
煮ても焼いても食えぬおっさん 兼坊
さんざんな目に遭いながらまた浮気 亜月庵
上着に残る証拠歴然
善悪も解らないのが色の道 照英
未知との遭遇もとめ出航 木莵
高麗か大元国か行く先は 兼坊
草木は靡く西へ西へと 亜月庵
東国の住人なれば声荒く 兼坊
口は悪いが気はやさしくて 照英
照れるなぁいまさら可愛いねなんて 亜月庵
南天の実が赤く色づく 兼坊
雲白く風花の舞う麓村 亜月庵
弔いらしき人の行列 兼坊
名残表 裂帛の気合い地獄の闇を裂き 亜月庵
お先真っ暗戦は続く 兼坊
九十九髪乱れて今朝も洞の中 亜月
帰る家などない売ったから 兼坊
蔦絡む屋根の十字架傾いて 亜月庵
いてぇのなんの空爆の怪我 兼坊
毛がないとタリバンさんに怪しまれ 亜月庵
マレーの虎と言えばハリマオ 兼坊
魔王とはオレのことかいハックション! 亜月庵
しょんぼりしてる風邪ひいたのね
ねんころろ布団被ってさあ寝ましょ 兼坊
しょうがないなあ付き合ってやる 亜月
やるまいぞこれ太郎冠者次郎冠者 兼坊
華奢な歌舞伎に客を奪われ
名残裏 我ながら恥じ入るばかりの芸を捨て 亜月
ステテコはいて縁台将棋 兼坊
容疑者と心を割って話すふり 亜月庵
フリーガン対策万全に
禅尼より聞く説法の有り難さ 亜月庵
定めといふも陽炎のごと 兼坊
永久の幸祈る園児の花植樹
九十九才と華を競いて 亜月庵
於キョン太の連句道場本部


句上げ
照英 8句 兼坊 29句 亜月庵 30句 18句
竹林着たきり 1句 木莵 14句 計6名100句