キョン太の連句道場
歌仙「発句なるもの」の巻

 当道場2巻目の歌仙です。初めて兼坊以外の連衆による発句から始まる作品です。
 6月から12月まで、ほぼ半年かけた興行になってしまいました。この間の9月11日に例の貿易センタービル倒壊、またそれに続くアフガン空爆などがありまして、それが作品にも影を落としています。満尾まで時間がかかったのは、支部開設にちょっと道場主がかまけていたせいだったでしょうか。途中から付ける人が減って来ました。でも、結果的には7名と、前巻より1名多い(?)。少しだけ賑やかな巻になりました。
 最近見えない照英さん、なず菜さん、木菟さんも、また顔を出してくださいね。

歌仙「発句なるもの」の巻
2001年6月30日首12月12日尾
初表 五月雨や発句なるものの難しさ 亜月庵
疲れを癒す庭の紫陽花 兼坊
座禅堂警策の音杉木立 亜月庵
山の中まで鐘響きくる 照英
宵闇の迫れば町の恋しさよ 兼坊
グラス持つ手に秋はほろほろ 亜月庵
初裏 コスモスが一輪差しでテーブルに 照英
元気でいてと繰り返す母
カラオケで歌うはナツメロばかりにて 兼坊
観光バスは峠越え行く
四国には谷間の森の村あまた 兼坊
湧き水汲めば金色の月 亜月庵
見渡せばもの皆麗し秋気澄み Beehive
裏の空き地で子ら虫を追う 兼坊
理科室のセーラー服は超ミニで なず菜
ルーズな視線の五限目の僕
花の精大樹の洞に住みついて なず菜
亀鳴く声を幾たびか聞く 兼坊
名残表 もの思ふ春は愁いのときなるや 亜月庵
面影浮かぶ暮れなずむ空
携帯の着信音が告げる人 亜月庵
ジャックナイフをピカピカに砥ぐ 木菟
イスラムの教えは平和なるものを 兼坊
湖畔の風に揺れる雛罌粟 木菟
やっと来てすぐに過ぎ去る夏休み 亜月庵
受験生には冬休みなく 兼坊
現役で受かった友は合コンに 照英
匂い騒音混じる雑踏 亜月庵
倒壊のビルの上にも月は澄み 兼坊
仮設住宅風も身に入む
名残裏 仕事なきままに今年も暮の秋 兼坊
ギター抱えて歌う少年 亜月庵
丘の上カリヨンかすかこだまする
トラピスチヌの道霞みつつ 兼坊
老夫婦腕組んで行く花の下 亜月庵
若駒を駆る孫も成人
於キョン太の連句道場

句上げ
亜月庵 10句 兼坊 11句 照英 3句
7句 Beehive 1句 なず菜 2句
木菟 2句 以上7名。出句順。

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