当道場5作目、2002年度に巻き始めた巻としては最初の自由連句百韻が出来ました。どうぞご鑑賞下さい。
この巻は当初兼坊・亜月庵・優得軒の三吟で始まったのでしたが、始まったと思ったら、優得軒さんは何やら気に染まないことがあったらしくぷっつり来てくれなくなってしまいました。残念です。優得軒さん、機嫌直して戻って来ませんか?
で、4句目からは両吟になってしまいました。連衆が3人以上いてくれると、それぞれ自分の個性で付けていればそれなりにバラエティに富んだ巻になるのですが、両吟となるとちと厳しい。一人何役かをこなすつもりで付けないといけません。いい年したおじさん達が、時には恋する乙女になったりあこぎな政治家になってみたり。八面六臂の働きをしているつもりなのですがいかがでしょうか?
ところで亜月庵さん、名残の表あたりで「亜月庵」から「庵」をお取りになったようですね。今後は「亜月」だけで行くのでしょうか?
| 自由連句百韻「寒風の中」の巻 |
| 2002年1月28日首2002年5月18日尾 |
| 初表 |
寒風の中ホームレス暴行死 |
兼坊 |
| 子の行状は親の投影 |
亜月庵 |
| 自分さえ良ければあとは口出さず |
優得軒 |
| 控えめなりやはた無責任 |
兼坊 |
| 知りませんぜーんぶ部下がしたことで |
亜月庵 |
| 元自民党の民主党議員 |
兼坊 |
| マックをば関西じゃマクドいいますもん |
亜月庵 |
| 御所のガイドはテンノいわはる |
兼坊 |
| 初裏 |
ハッハッハわてらの歴史古うおまっせ |
亜月庵 |
| 江沢民がブッシュあしらう |
兼坊 |
| 伏魔殿藪をつつけば走狗出て |
亜月 |
| 百鬼夜行の跡形もなし |
兼坊 |
| 半蔀を揚げて京極殿の夏 |
亜月 |
| すずしの単衣透ける柔肌 |
兼坊 |
| 今時の娘はすべて衣通で |
亜月庵 |
| 老い先伸ぶる心地こそすれ |
兼坊 |
| 愛犬が心許せる仲間にて |
亜月庵 |
| 守銭奴などと人言はば言へ |
兼坊 |
| 胸の肉1ポンドって何グラム? |
亜月庵 |
| ラベル表示はごまかしだらけ |
兼坊 |
| 厚塗りで合コンチェックくぐり抜け |
亜月庵 |
| 化粧落とせばあんた誰なの |
兼坊 |
| 二表 |
目ん玉も流行廃りで色を変え |
亜月庵 |
| 別に怒っているわけじゃない |
兼坊 |
| あんまりな仕打ちに気力萎え果てて |
亜月庵 |
| 自棄食いをして増えた体重 |
兼坊 |
| 風船に乗ったおじさん海を越え |
亜月庵 |
| 北方四島島巡りする |
兼坊 |
| 要るとやら要らないとやら姦しく |
亜月庵 |
| ベアか雇用かどっちかにして |
兼坊 |
| 窓際に座るおやじの面構え |
亜月庵 |
| 遠く眺める椅子取りゲーム |
兼坊 |
| お遊戯も体操もダメ小皇帝 |
亜月庵 |
| 中華人民帝国の裔 |
兼坊 |
| 世襲とは正しき政の謂なりや |
亜月庵 |
| 後見のない更衣危うし |
兼坊 |
| 二裏 |
我が町に玉姫殿なる館あり |
亜月庵 |
| 田の中に立つ怪しげな塔 |
兼坊 |
| あれこそはバベルの塔と申し候 |
亜月庵 |
| 振り向く諸国一見の僧 |
兼坊 |
| 西山の僧院に世をすねている |
亜月庵 |
| 放蕩息子二度と帰るな |
兼坊 |
| 菜も無き膳も哀れな侘び住まい |
亜月庵 |
| 妻稀に見る絶世の美女 |
兼坊 |
| 覗いてはだめと言われてつい覗き |
亜月庵 |
| セクハラ疑惑で免職となる |
兼坊 |
| なぜオレが?理解できないまま終わる |
亜月庵 |
| 答えられないクイズ番組 |
兼坊 |
| 自惚れと知識と教養ガタガタに |
亜月庵 |
| 首相に一番近かった俺 |
兼坊 |
| 三表 |
なぁるほどそれじゃなにかいレオポンかい? |
亜月庵 |
| いいえわたしはデコポンが好き |
兼坊 |
| ウナギ犬レレレのおじさんケムンパス |
亜月庵 |
| 金はなくても黄金の日々 |
兼坊 |
| 世の定め常磐の松も衰えて |
亜月庵 |
| いやでも若い者の世となる |
兼坊 |
| 鍛えよう足手まといじゃくやしかろ |
亜月 |
| エキスパンダー大リーグギプス |
兼坊 |
| 瞳の中に炎燃え立つめらめらと |
亜月 |
| 少女マンガは星がきらきら |
兼坊 |
| 初恋はすみれの花が咲く頃に |
亜月庵 |
| ロマンチックでなけりゃ嫌なの |
兼坊 |
| 生活費足りなくなればサラ金へ |
兼坊 |
| そっくりな子を置いて出て行き |
亜月庵 |
| 三裏 |
政治家の家風に合わぬ妻でした |
兼坊 |
| 嘘をつけぬは七難招く? |
亜月庵 |
| 現実無視の大義名分くそ食らえ |
兼坊 |
| 夢だけ喰ってりゃ獏だって痩せる |
亜月庵 |
| 健康の証拠と太ること許す |
兼坊 |
| 病かかえて生きた半生 |
亜月庵 |
| 自叙伝が時には売れることもあり |
兼坊 |
| 我も我もと自分史を書く |
亜月庵 |
| パソコンでワープロ使うこと覚え |
兼坊 |
| ルーヴルが出る!オルセーが出る! |
亜月庵 |
| 生き残りかける弱小美術館 |
兼坊 |
| オークションでは贋作つかませ |
亜月庵 |
| 一生を人を騙して生きて来た |
兼坊 |
| 閻魔の庁も上手くすり抜け |
亜月庵 |
| 名残表 |
ダイエットより金策で痩せまして |
兼坊 |
| スーパーモデルとなって見返す |
亜月庵 |
| 新人のあたしをいじめた女達 |
兼坊 |
| 木の葉髪散り移ろいゆく刻 |
亜月庵 |
| 恨深しとなりは犬をけしかける人 |
亜月庵 |
| やけにパトカーすれ違う道 |
兼坊 |
| 暴走の果てに青春葬られ |
亜月庵 |
| 若いうちから年寄りとなる |
兼坊 |
| 横綱といえども休場五場所目で |
亜月庵 |
| 世界最高記録更新 |
兼坊 |
| サイボーグクローンと何処が違うんだろ? |
亜月 |
| 文部科学か農水省か |
兼坊 |
| 亡命と乞食の区別つかぬアホ! |
亜月 |
| 違いのわかる男がいない |
兼坊 |
| 名残裏 |
古来より恥知る国と自惚れて |
亜月 |
| 手前勝手なだけかも知れず |
兼坊 |
| 鷹の裔鷺を烏と言いくるめ |
亜月 |
| 金儲けにはちょっと才能 |
兼坊 |
| 厚顔に遺物も捏造でっち上げ |
亜月 |
| 我が古代史は霞の彼方 |
兼坊 |
| 今更に何を憂うる花見酒 |
亜月 |
| 夢に胡蝶と化してひらひら |
兼坊 |
| 於キョン太の連句道場本部 |
| 句上げ |
| 兼坊 |
50 |
亜月庵 |
49 |
優得軒 |
1 |
| 計3名、100句 |