リーマン予想をベクトル的観点から書き換えた。
テイラーシステムを用いて虚2次体Q(√-3)に対応するゼータLA(s)のLA(1),LA(3),LA(5),LA(7)を求めた。
< LA(1)値を導出 >
< LA(3)値を導出 >
< LA(5)値を導出 >
< LA(7)値を導出 >
再掲する。
「その2」の最後で、「私が導出したこれらの結果により、リーマン予想は古典的・初等的な命題に変貌したといえる でしょう。」と述べた。 現代数学ではリーマン予想は超難題とされ、いまだ謎につつまれたような状況であるが、この結果によりきわめて
すっきりした問題になったといえるだろう。ただし、それでもたいへんな難題であることには変わりないが、簡潔なわかり
やすい構造の問題になったとはいえる。豊富な専門知識をもつプロの数学者なら誰が解いてもおかしくないと思う。
上の命題(予想)を、さらに無限次元空間的な観点からすこし書き直しておく。
いま、
k=(1/1^c, -1/2^c, 1/3^c, -1/4^c, ・・・) c=(cos(x・log1), cos(x・log2), cos(x・log3), cos(x・log4), ・・・) s=(sin(x・log1), sin(x・log2), sin(x・log3), sin(x・log4), ・・・) の三つの無限次ベクトルを考える。本当は縦に書きたいが、書けないので横書きとした。予想A-1は、これらの 直交性を表しているのが容易にわかる。そこで、リーマン予想(予想A-1)は、次のようにも書けることになる。
いくつも言葉を変えて書き換えておくと解ける可能性も増すと思うので、ベクトル的な観点から予想A-αも書いておいた。
本「ゼータ系の彗星群」シリーズでの最大の発見は、なんといってもテイラーシステムの発明(発見)である。
これを用いれば、ディリクレのL関数L(χ,s)の具体的な値がたちどころに求まってしまうという極めて有用な手法である。
その有用性をこれまでζ(s)とL(s)で見てきた。
て適応しL(s)値を出したのであった。
一般的なL(χ,s)ゼータから無数のゼータが生み出される。ζ(s)もL(s)もL(χ,s)から生まれたゼータ関数たちである。
さて、この「ウェスト彗星」では、テイラーシステムを用いてLA(s)というゼータ関数の値を導出することにする。
さらにゼータ惑星で発見した
(cosx)/1^s + (cos2x)/2^s + (cos3x)/3^s +・・・ からは、実2次体ゼータが出る
(sinx)/1^s + (sin2x)/2^s + (sin3x)/3^s +・・・ からは、虚2次体ゼータが出る
という美しい事実により、この2種類の母関数から2次体に対応するゼータが出てくることがわかり、それは予想L-4に
昇華、一般化されたのであった。この予想L-4から上の変数xにどんな値を代入すれば、どのようなL(χ,s)が飛び出して
くるかが完全にわかっている。
予想L-4とテイラーシステムを結びつければ、どんなL(χ,s)のゼータであろうとも、その値が直ちに求まるという驚くべき
結果が得られる。
ゼータの値を求めることは、現代数学ではいまだに困難に満ち満ちているわけであるが、テイラーシステムを用いれば
高校生でもできるほど全く簡単に求まるのである!その驚異的な威力に関しては、これまζ(s)とL(s)で見たが、
ここではLA(s)でそれを見ようというわけである。
この「ウェスト彗星」では、
(sinx)/1^s + (sin2x)/2^s + (sin3x)/3^s +・・・ からは、虚2次体ゼータが出る
という事実を利用する。
私の予想L-4から上記母関数のxにπ/3を代入すると(2π/3でもよいのだが)、LA(s)が出ることがわかっているので、
それを調べていく。
LA(s)について説明しよう。
LA(s)は、次で定義されるゼータ関数である。
LA(s)=1 - 1/2^s + 1/4^s - 1/5^s + 1/7^s - 1/8^s +1/10^s - 1/11^s + ・・・ -------@
なお整数論できわめて重要なディリクレのL関数L(χ,s)は、次のように定義され、様々なディリクレ指標χ(a)に対して、
さまざまなゼータを与える。
L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・
LA(s)は「a≡0, 1, 2 mod 3に対し、それぞれχ(a)=0, 1, -1」というχ(a)をもつ。またLA(s)は虚2次体Q(√-3)に
対応する。L(χ,s)から生み出される無数のゼータ関数は、それぞれ異なる2次体に対応しているのであるが、詳しくは
加藤和也さんの名著「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)を参考にされたい。
以上よりLA(s)はディリクレのL関数L(χ,s)のある特別な場合のゼータであることがわかるであろう。
難しいと感じる読者は、とにかく@がLA(s)だと思えばよい。
LA(s)は、「ゼータ惑星」シリーズでも色々と研究した。
以上を前準備として、早速、LA(s)値を導出していこう。
類似のやり方で行う。
まず、条件は[π/3代入,π周りのテイラー展開」で行うことにする。記号で記せばSin[ s=s, π/3代入,πテイラー]
となる。
π/3代入がミソである。「ゼータ惑星」での私の予想L-4という精密な理論(厳密には予想だが)により、kπ/3を
Sin級数 f(x)=(sinx)/1^s + (sin2x)/2^s + (sin3x)/3^s + (sin4x)/4^s + ・・・
に代入すると、LA(s)が飛び出すことがわかっている。詳細は略すが、その事実からこの級数のxにπ/3を代入する
のである。上式でs=1としてLA(1)という値をまず求めたい。条件はSin[ s=1, π/3代入,πテイラー]となる。
[LA(1)を導出する] Sin[s=1, π/3代入、πテイラー]
まず
f(x)=(sinx)/1 + (sin2x)/2 + (sin3x)/3 + (sin4x)/4 + ・・・ -----@
という母関数を考える。xにπ/3を代入すると
f(π/3) =√3/2{(1/1 + 1/2 - 1/4 - 1/5) + (1/7 + 1/8 - 1/10 - 1/11)
+(1/13 + 1/14 - 1/16 - 1/17) +(1/19 + 1/20 - 1/22 - 1/23)}
=√3/2{(1/1 - 1/2 + 1/4 - 1/5) + (1/7 - 1/8 + 1/10 - 1/11)
+(1/13 - 1/14 + 1/16 - 1/17) +(1/19 - 1/20 + 1/22 - 1/23) + ・・・・
+ (2/2 - 2/4 + 2/8 - 2/10 + 2/14 - 2/16 + 2/20 - 2/22 + ・・・)}
=√3/2{LA(1) + (2/2 - 2/4 + 2/8 - 2/10 + 2/14 - 2/16 + 2/20 - 2/22 + ・・・)}
=√3/2{LA(1) + (1/1 - 1/2 + 1/4 - 1/5 + 1/7 - 1/8 + 1/10 - 1/11 + ・・・)}
=√3/2{LA(1) + LA(1)}
=√3LA(1) -------A
となり、LA(1)が現れた。途中のうまい変形に注目されたい。
次に@の右辺をx=πの周りでテイラー展開すると、簡単な計算により次となる。
f(x)=-(1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^1 /1! + (1-2^3)・ζ(-2)・(x-π)^3 /3!
- (1-2^5)・ζ(-4)・(x-π)^5 /5!+ (1-2^7)・ζ(-6)・(x-π)^7 /7!
- (1-2^9)・ζ(-8)・(x-π)^9 /9!+ (1-2^11)・ζ(-10)・(x-π)^11 /11!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -------B
ζ(-2),ζ(-4),ζ(-6),・・はすべて0 なので、Bは次のようになる。
f(x)=-(1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^1 /1! ------C
Cのxにπ/3を代入して
f(π/3)=-(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^1 /1! -------D
さて、AとDは等しいので、次が成り立つ。
√3LA(1)=-(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^1 /1! ------E
ζ(0)=-1/2より、
LA(1)=π/(3√3) ------F-1
と出る。
これはすなわち、
1 - 1/2 + 1/4 - 1/5 + 1/7 - 1/8 + 1/10 - 1/11 + ・・・ =π/(3√3) -----F-2
という興味深い式を示す。
このように、まったく簡単に求まるのである。
[導出終わり]
[検証]
F-2が正しいことを、ディリクレの類数公式から検証しておこう。
類数公式では、ディリクレのL関数L(χ,s)のL(χ,1)の値を求めることができる。この公式については「海王星 その1」
で紹介したが、再度簡単にくり返しておく。
実2次体と虚2次体にはそれぞれ「ディリクレの類数公式」というものがあり、2次体Q(√m)とL(χ,s)の関係において
重要である。Kを2次体とすると、次が成り立つ。
Kが実2次体なら、---> L(χ,1)=h・logε・2/√N ------G
Kが虚2次体なら、---> L(χ,1)=h・2π/(w√N) ------H
これらをディリクレの類数公式という。
ここで h はKの類数、L(χ,1)はKに対応したL(χ,s)のs=1での特殊値。ε は実2次体Kの基本単数であり、w はKに
含まれる1のべき根の個数。N は Kの導手でありこれは「ゼータ惑星」でもよく出てきた。
類数や単数の意味については、雑誌「数学のたのしみ No.17」で加藤和也さんの解説や数学書を参考にされたい。
とにかく、ここでは類数公式を使えば、s=1のゼータ値が求まるということだけに注目したい。
LA(s)のs=1の値LA(1)を求める。
LA(s)は虚2次体Q(√-3)に対応する。虚2次体であるから、Hの式を使う。
Q(√-3)の類数hは1、Q(√-3)に含まれる1のべき根の個数wは6、導手Nは3であることがわかっている。
すなわち、h=1, w=6, N=3
である。
よって、Hより、
LA(1)=1・2π/(6√3)=π/(3√3) -----I
テイラーシステムから出した結果F-1、F-2が、ディリクレの類数公式から出したIと一致していることに注目され
たい。
[検証終わり]
類数公式は重要な公式だが、類数やらべき根の個数やらやっかいな数がわからないとすぐに使えない。その意味では
テイラーシステムの方が簡単であるといえる。
また類数公式ではs=1の値しかわからないが、テイラーシステムではsが任意の実数のL(χ,s)値を自在に導出できる。
[蛇足]
「タットル彗星」でL(s)=1-1/3^s+1/5^s-1/7^s+・・のL(1)値をテイラーシステムで求めていたので参考までに再掲する。
**********************************
L(1)=(1-1/2^(-1))・ζ(0)・(π/2)^1 /1! ------J
これにζ(0)=-1/2を代入すると、
L(1)=π/4 ------K
となる。
*********************************
L(1)はライプニッツの公式として知られているもので、Kが正しいのは当然である。
L(s)は、虚2次体Q(√-1)に対応するゼータであり、類数hは1、wは4、導手Nは4であることがわかっている。
ディリクレの類数公式Hから、
L(1)=1・2π/(4√4)=π/4
と出る。このようにsが1のL(χ,1)値はいろいろな手法で求めることができるのである。
またEとJを並べるとL(χ,1)は、ζ(0)から生み出されていることに気づく。
√3LA(1)=-(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^1 /1! -----E
L(1)=(1-1/2^(-1))・ζ(0)・(π/2)^1 /1! -----J
以上。
まとめておく。
次はLA(3)を導出する。条件はもちろんSin[ s=3, π/3代入,πテイラー]となる。
[LA(3)を導出する] Sin[s=3, π/3代入、πテイラー]
まず
f(x)=(sinx)/1^3 + (sin2x)/2^3 + (sin3x)/3^3 + (sin4x)/4^3 + ・・・ -----@
という母関数を考える。xにπ/3を代入すると
f(π/3) =√3/2{(1/1^3 + 1/2^3 - 1/4^3 - 1/5^3) + (1/7^3 + 1/8^3 - 1/10^3 - 1/11^3)
+(1/13^3 + 1/14^3 - 1/16^3 - 1/17^3) +(1/19^3 + 1/20^3 - 1/22^3 - 1/23^3)}
=√3/2{(1/1^3 - 1/2^3 + 1/4^3 - 1/5^3) + (1/7^3 - 1/8^3 + 1/10^3 - 1/11^3)
+(1/13^3 - 1/14^3 + 1/16^3 - 1/17^3) +(1/19^3 - 1/20^3 + 1/22^3 - 1/23^3) + ・・・・
+ (2/2^3 - 2/4^3 + 2/8^3 - 2/10^3 + 2/14^3 - 2/16^3 + 2/20^3 - 2/22^3 + ・・・)}
=√3/2{LA(3) + (2/2^3 - 2/4^3 + 2/8^3 - 2/10^3 + 2/14^3 - 2/16^3 + 2/20^3 - 2/22^3 + ・・・)}
=√3/2{LA(3) + 2/2^3(1/1^3 - 1/2^3 + 1/4^3 - 1/5^3 + 1/7^3 - 1/8 ^3+ 1/10^3 - 1/11^3 + ・・・)}
=√3/2{LA(3) + 1/4・(1/1^3 - 1/2^3 + 1/4^3 - 1/5^3 + 1/7^3 - 1/8 ^3+ 1/10^3 - 1/11^3 + ・・・)}
=√3/2{LA(3) + 1/4・LA(3)}
=5√3LA(3)/8 -------A
となり、LA(3)が現れた。途中の巧妙な変形に注目されたい。
次に@の右辺をx=πの周りでテイラー展開すると、簡単な計算により次となる。
f(x)=-(1-1/2)・ζ(2)・(x-π)^1 /1! + (1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^3 /3!
- (1-2^3)・ζ(-2)・(x-π)^5 /5! + (1-2^5)・ζ(-4)・(x-π)^7 /7!
- (1-2^7)・ζ(-6)・(x-π)^9 /9! + (1-2^9)・ζ(-8)・(x-π)^9 /9!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -------B
ζ(-2),ζ(-4),ζ(-6),・・はすべて0 なので、Bは結局次となる。
f(x)=-(1-1/2)・ζ(2)・(x-π)^1 /1! + (1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^3 /3! ------C
Cのxにπ/3を代入して
f(π/3)=-(1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^1 /1!+(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^3 /3! -------D
さて、AとDは等しいので、次が成り立つ。
5√3LA(3)/8=-(1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^1 /1!+(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^3 /3! ------E
ζ(2)=π^2/6,ζ(0)=-1/2より、
LA(3)=4π^3/(81√3) ------F-1
と出る。
これはすなわち、
1 - 1/2^3 + 1/4^3 - 1/5^3 + 1/7^3 - 1/8^3 + 1/10^3 - 1/11^3 + ・・・=4π^3/(81√3) ---F-2
ということである。
[導出終わり]
このようにLA(3)値が導出できた。
F-1つまりF-2が正しいことは、数値計算で検証できる。
LA(3)はL(χ,s)のs=3の場合であり、もはやディリクレの類数公式は使えないので数値計算で確かめるよりない。
ExcelでVBAプログラムを組んで検証したところ、正しい結果となった。
F-2の右辺=0.88402381・・・
[Excel VBA]
F-2の左辺10項=0.88458732・・
F-2の左辺100項=0.88402446・・
F-2の左辺1000項=0.88402381・・
このように急速に右辺に収束していく。まとめておく。
次はLA(5)を導出する。条件はもちろんSin[ s=3, π/3代入,πテイラー]となる。
[LA(5)を導出する] Sin[s=5, π/3代入、πテイラー]
まず
f(x)=(sinx)/1^5 + (sin2x)/2^5 + (sin3x)/3^5 + (sin4x)/4^5 + ・・・ -----@
という母関数を考える。xにπ/3を代入すると
f(π/3) =√3/2{(1/1^5 + 1/2^5 - 1/4^5 - 1/5^5) + (1/7^5 + 1/8^5 - 1/10^5 - 1/11^5)
+(1/13^5 + 1/14^5 - 1/16^5 - 1/17^5) +(1/19^5 + 1/20^5 - 1/22^5 - 1/23^5)}
=√3/2{(1/1^5 - 1/2^5 + 1/4^5 - 1/5^5) + (1/7^5 - 1/8^5 + 1/10^5 - 1/11^5)
+(1/13^5 - 1/14^5 + 1/16^5 - 1/17^5) +(1/19^5 - 1/20^5 + 1/22^5 - 1/23^5) + ・・・・
+ (2/2^5 - 2/4^5 + 2/8^5 - 2/10^5 + 2/14^5 - 2/16^5 + 2/20^5 - 2/22^5 + ・・・)}
=√3/2{LA(5) + (2/2^5 - 2/4^5 + 2/8^5 - 2/10^5 + 2/14^5 - 2/16^5 + 2/20^5 - 2/22^5 + ・・・)}
=√3/2{LA(5) + 2/2^5(1/1^5 - 1/2^5 + 1/4^5 - 1/5^5 + 1/7^5 - 1/8 ^5+ 1/10^5 - 1/11^5 + ・・・)}
=√3/2{LA(5) + 1/16・(1/1^5 - 1/2^5 + 1/4^5 - 1/5^5 + 1/7^5 - 1/8 ^5+ 1/10^5 - 1/11^5 + ・・・)}
=√3/2{LA(5) + 1/16・LA(5)}
=17√3LA(5)/32 -------A
となり、LA(5)が現れた。
次に@の右辺をx=πの周りでテイラー展開すると、簡単な計算により次となる。
f(x)=-(1-1/2^3)・ζ(4)・(x-π)^1 /1! + (1-1/2)・ζ(2)・(x-π)^3 /3!
- (1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^5 /5! + (1-2^3)・ζ(-2)・(x-π)^7 /7!
- (1-2^5)・ζ(-4)・(x-π)^9 /9! + (1-2^7)・ζ(-6)・(x-π)^11 /11!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -------B
ζ(-2),ζ(-4),ζ(-6),・・はすべて0 なので、Bは結局次となる。
f(x)=-(1-1/2^3)・ζ(4)・(x-π)^1 /1! + (1-1/2)・ζ(2)・(x-π)^3 /3! - (1-2^1)・ζ(0)・(x-π)^5 /5! -----C
Cのxにπ/3を代入して
f(π/3)
=-(1-1/2^3)・ζ(4)・(-2π/3)^1 /1!+ (1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^3 /3!- (1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^5 /5! ---D
さて、AとDは等しいので次が成り立つ。
17√3LA(5)/32
=-(1-1/2^3)・ζ(4)・(-2π/3)^1 /1!+ (1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^3 /3!- (1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^5 /5! ---E
ζ(4)=π^4/90,ζ(2)=π^2/6,ζ(0)=-1/2より、計算して
LA(5)=4π^5/(729√3) ------F-1
と出る。
これはすなわち、
1 - 1/2^5 + 1/4^5 - 1/5^5 + 1/7^5 - 1/8^5 + 1/10^5 - 1/11^5 + ・・・=4π^5/(729√3) ---F-2
ということである。
[導出終わり]
このようにLA(5)値が導出できた。
F-1つまりF-2が正しいことは、数値計算で検証できる。
ExcelでVBAプログラムを組んで検証したところ、次のように正しい結果であることがわかる。
F-2の右辺=0.969440589・・・
[Excel VBA]
F-2の左辺10項=0.969445544・・・
F-2の左辺100項=0.969440589・・・ このように急速に右辺に収束していく。まとめておく。
LA(1)、LA(3)、LA(5)と導出したので、LA(7)も同様に出せるが、上を見てくると規則性が出ているので、それを利用して
LA(7)は簡単に出せる。これら三つのEの式抜き出してみる(左辺はAの途中式で替えたが)。
√3/2{LA(1) + 1/2^0LA(1)}=-(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^1 /1!
√3/2{LA(3) + 1/2^2・LA(3)}=-(1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^1 /1!+(1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^3 /3!
√3/2{LA(5) + 1/2^4・LA(5)}
=-(1-1/2^3)・ζ(4)・(-2π/3)^1 /1!+ (1-1/2)・ζ(2)・(-2π/3)^3 /3!- (1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^5 /5!
はっきりとした規則性が出ていることがわかるであろう。
これからLA(7)の場合が、次のようになることは容易にわかる。
√3/2{LA(7) + 1/2^6・LA(7)}
=-(1-1/2^5)・ζ(6)・(-2π/3)^1 /1!+ (1-1/2^3)・ζ(4)・(-2π/3)^3 /3!
- (1-1/2^1)・ζ(2)・(-2π/3)^5 /5!+ (1-2^1)・ζ(0)・(-2π/3)^7 /7!
さてζ(6)=π^6/945,ζ(4)=π^4/90,ζ(2)=π^2/6,ζ(0)=-1/2であるから、代入して計算すると次のように
LA(7)が求まる。
LA(7)=56π^7/(98415√3)
つまり、
1 - 1/2^7 + 1/4^7 - 1/5^7 + 1/7^7 - 1/8^7 + 1/10^7 - 1/11^7 + ・・・=56π^7/(98415√3)
右辺は0.99223652・・・となる。Excelで計算すると、左辺は右辺にたちまち収束する。
これまでの結果をまとめておきたい。
LA(1)、LA(3)、LA(5)、LA(7)と出したが、これらは現代数学でわかっている結果である。
次の「その2」ではLA(2)、LA(4)、LA(6)、・・の現代数学で不明とされる値を導出することにする(これがζ(s)でのsが
奇数の場合やL(s)のsが偶数の場合に対応している)。
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