< C2(α)の実験結果 >
< S2(α)の実験結果 >
ζ(s)の非自明な零点を解にもつ無限次方程式を見つけました。ζ(1/2+i・α)に関係するC2(α)、S2(α)の数値実験
結果を示した。リーマン予想と同値の予想を提示。
リーマン・ゼータζ(s)の非自明な零点をすべて生み出す無限次方程式を見つけましたので報告します。
ζ(s)の非自明な零点1/2+i・αnのαnとは
つまり α1=14.134725・・ α2=21.022039・・ α3=25.010857・・ ・ ・
であり、いろいろな教科書に載っているものです。
例えば、次のサイトに100個までの非自明な零点の虚部が全て載っています。
αnはリーマン予想の一山向こうにあるものでもあり、それが生み出される明快な規則性はまだ見出され
ていないと考えられます。(ちなみにζ(s)の自明な零点がs=-2,-4,-6,・・であることはいうまでもありません。)
私は、これまで全ての(無限個の)αnを生み出す方程式が出せないものか長く模索していたのですが、今回、
リーマン予想を仮定した状況から、この虚部の無限個のαnを生み出す方程式を見つけることができました。
導出過程の根拠と多くの数値実験でぜったい正しいと確信されるものです。
その方程式とは次の二つです。(αは実数)
****************************************
[二つの無限次方程式]
1 - cos(α・log2) /√2 + cos(α・log3) /√3 - cos(α・log4) /√4 + cos(α・log5) /√5 - ・・・=0 ----@
sin(α・log2) /√2 - sin(α・log3) /√3 + sin(α・log4) /√4 - sin(α・log5) /√5 + ・・・=0 -----A ***************************************** これを同時に満たす解がζ(s)の1/2+i・αnのαnになります。logは自然対数。 なぜ”無限次”かといいますと、上式をテイラー展開してまとめれば、次のαの無限次の方程式になるからです。 (1-1/√2+1/√3-1/√4+・・・) +{(log2)^2/√2-(log3)^2/√3+(log4)^2/√4-(log5)^2/√5+・・・}α^2/2! -{(log2)^4/√2-(log3)^4/√3+(log4)^4/√4-(log5)^4/√5+・・・}α^4/4! +{(log2)^6/√2-(log3)^6/√3+(log4)^6/√4-(log5)^6/√5+・・・}α^6/6! -{(log2)^8/√2-(log3)^8/√3+(log4)^8/√4-(log5)^8/√5+・・・}α^8/8! ・・・・・・・ =0
また、sin式は次のようになる。
{(log2)^1/√2-(log3)^1/√3+(log4)^1/√4-(log5)^1/√5+・・・}α^1/1!
-{(log2)^3/√2-(log3)^3/√3+(log4)^3/√4-(log5)^3/√5+・・・}α^3/3! +{(log2)^5/√2-(log3)^5/√3+(log4)^5/√4-(log5)^5/√5+・・・}α^5/5! -{(log2)^7/√2-(log3)^7/√3+(log4)^7/√4-(log5)^7/√5+・・・}α^7/7! ・・・・・・・ =0
よって@、Aを書き換えると、次のようになります。
****************************************
[二つの無限次方程式]
(1 - 1/√2 + 1/√3 - 1/√4 + ・・・)
+ {(log2)^2/√2 - (log3)^2/√3 + (log4)^2/√4 - (log5)^2/√5 + ・・・}α^2/2! - {(log2)^4/√2 - (log3)^4/√3 + (log4)^4/√4 - (log5)^4/√5 + ・・・}α^4/4! + {(log2)^6/√2 - (log3)^6/√3 + (log4)^6/√4 - (log5)^6/√5 + ・・・}α^6/6! - {(log2)^8/√2 - (log3)^8/√3 + (log4)^8/√4 - (log5)^8/√5 + ・・・}α^8/8! ・・・・・・・・・・・・・・ =0 --------B
{(log2)^1/√2 - (log3)^1/√3 + (log4)^1/√4 - (log5)^1/√5 + ・・・}α^1/1!
- {(log2)^3/√2 - (log3)^3/√3 + (log4)^3/√4 - (log5)^3/√5 +・・・}α^3/3! + {(log2)^5/√2 - (log3)^5/√3 + (log4)^5/√4 - (log5)^5/√5 +・・・}α^5/5! - {(log2)^7/√2 - (log3)^7/√3 + (log4)^7/√4 - (log5)^7/√5 + ・・・}α^7/7! ・・・・・・・・・・・・・・ =0 --------C *****************************************
このB、Cを同時に満たす解が、ζ(s)の1/2+i・αnのαnになります。
{}内のlogの級数は全て収束します(厳密な証明はまだですが、数値実験から間違いない)。
”同時に満たす”がポイントであり、例えば、Cではα=0も解ですが、それはBを満たしていないので、
ζ(s)の零点ではないということになる。このような興味のない解はほかにも多くあります。
ζ(s)の非自明な零点は、このような規則性をもって生まれてくるものだったのです。
これでリーマン予想がきわめて考察しやすくなったと思われます。というのは、この結果をすこし逆にたどること
で、リーマン予想に同値の命題を簡単に作ることができるからです。その命題は、初等数学的な言葉で述べる
ことができ、リーマン予想が格段に考察しやすくなると思われるからです。それに関しては、また後ほど述べます。
次に@、Aの導出の過程を示します。
[@、Aの導出過程]
リーマン予想とは、自明な零点を除くと、ζ(s)=0を与える複素数sの零点はs=1/2+i・αという形のものに
限られるという予想です。
よって、ζ(1/2+i・α)=0 として変形していけば、αの無限次方程式が簡単に得られるのではないか?と思われます。
それではうまくいかないのですが、とにかくやってみましょう。
ζ(1/2+i・α)
=1 + 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) + 4^(-1/2-i・α) + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・2^(-i・α) + 3^(-1/2)・3^(-i・α) + 4^(-1/2)・4^(-i・α) + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・e^(log2^(-i・α)) + 3^(-1/2)・e^(log3^(-i・α)) + 4^(-1/2)・e^(log4^(-i・α)) + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・e^(i・log2^(-α)) + 3^(-1/2)・e^(i・log3^(-α)) + 4^(-1/2)・e^(i・log4^(-α)) + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・e^(i・log2^(-α)) + 3^(-1/2)・e^(i・log3^(-α)) + 4^(-1/2)・e^(i・log4^(-α)) + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・{cos(log2^(-α))+i・sin(log2^(-α))} + 3^(-1/2)・{cos(log3^(-α))+i・sin(log3^(-α))}
+ 4^(-1/2)・{cos(log2^(-α))+i・sin(log4^(-α))} + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・{cos(log2^(-α))+i・sin(log2^(-α))} + 3^(-1/2)・{cos(log3^(-α))+i・sin(log3^(-α))}
+ 4^(-1/2)・{cos(log2^(-α))+i・sin(log4^(-α))} + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・{cos(α・log2)+i・sin(-α・log2)} + 3^(-1/2)・{cos(α・log3)+i・sin(-α・log3)}
+ 4^(-1/2)・{cos(α・log2)+i・sin(-α・log4)} + ・・・
=1 + 2^(-1/2)・cos(α・log2) + 3^(-1/2)・cos(α・log3) + 4^(-1/2)・cos(α・log4) + ・・・・
- i・{2^(-1/2)・sin(α・log2) + 3^(-1/2)・sin(α・log3) + 4^(-1/2)・sin(α・log4) + ・・・・}
ζ(1/2+i・α)はこのように変形できました。
C(α)+i・S(α)の形になっていますから、C(α)とS(α)が同時に0になればいいのですが、これは実験すれば
すぐにわかりますが0にはなりません。α1=14.134725・・を入れると、例えば、C(α1)はどんどん発散してしまう。
0に収束しないわけです。
ここで躓いていたのですが、交代級数が解決の鍵を握っていることに気づきました。
「百武彗星 その1」でも見たとおり、ζ(1/2)は、
ζ(1/2)=-1.46035450880・・・ ------D
となります。math worldに載っている値です。
このζ(1/2)は、
ζ(1/2)=1 + 1/√2 + 1/√3 + 1/√4 + ・・・
であり、常識的には発散していますが(”1+1/2+1/3・・”が発散するので当然)、しかし、解析接続で意味づけがなされ
ると考えられ、Dの値に収束する。解析接続とは複素関数論での関数の定義域を次々に広げる強力な概念ですが、
この場合、もっとわかりやすく説明することができます。
いま
M(1/2)=1 - 1/√2 + 1/√3 - 1/√4 + 1/√5 - 1/√6 +・・・ ------E
という交代級数を考えます。これは、各項が徐々に小さくなっているので収束します。グラフの上で幾何学的に考え
れば、ある値に収束することはすぐにわかる。
さて、ここでゼータで頻繁にあらわれる”ある変形”を用いて、Eを次のように変形します。
M(1/2)
=1 - 1/√2 + 1/√3 - 1/√4 + 1/√5 - 1/√6 +・・・
=1 + 1/√2 + 1/√3 + 1/√4 + 1/√5 + 1/√6 +・・・ - 2( 1/√2 + 1/√4 + 1/√6 +・・・)
=1 + 1/√2 + 1/√3 + 1/√4 + 1/√5 + 1/√6 +・・・ - (2/√2)・( 1+ 1/√2 + 1/√3 +・・・)
=ζ(1/2) - √2・ζ(1/2)
=(1 - √2)・ζ(1/2)
つまり、
M(1/2)=(1 - √2)・ζ(1/2) ------F
となります。
この式より、ζ(1/2)はM(1/2)/(1 - √2) として計算されるというわけです。
Dにはこのような意味合いが隠されているのです。
私は、このことにヒントを得て、ζ(1/2+i・α)の場合も交代級数がキーとなっていると直感しました。
そこで、B(1/2+i・α)という次の関数を考えました。もちろんζ(1/2+i・α)の交代級数版です。
B(1/2+i・α)
=1 - 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) - 4^(-1/2-i・α) + 5^(-1/2-i・α) - 6^(-1/2-i・α) + ・・・・・・
これを、上方のζ(1/2+i・α)と同様にして変形していくと次のようになる。
B(1/2+i・α)
=1 - 2^(-1/2)・cos(α・log2) + 3^(-1/2)・cos(α・log3) - 4^(-1/2)・cos(α・log4) + ・・・・
+ i・{2^(-1/2)・sin(α・log2) - 3^(-1/2)・sin(α・log3) + 4^(-1/2)・sin(α・log4) - 5^(-1/2)・sin(α・log5) +・・} ---G
いま B(1/2+i・α)=C2(α)+i・S2(α)
とすると、Gより
C2(α)=1 - cos(α・log2) /√2 + cos(α・log3) /√3 - cos(α・log4) /√4 + ・・・・ ---H
S2(α)=sin(α・log2) /√2 - sin(α・log3) /√3 + sin(α・log4) /√4 - sin(α・log5) /√5 + ・・ ---I
です。
B(1/2+i・α)=0となるにはC2(α)とS2(α)が同時に0とならなければなりませんが、冒頭のζ(s)の非自明な
零点のαnの値でH、Iとも0に収束していくのです!このH、Iが冒頭で述べた二つの無限次方程式の左辺です。
つまり、リーマン予想でのζ(1/2+i・α)=0は、交代級数B(1/2+i・α)の零点との関係で、意味づけが与えられて
いるわけですが、次式でそれが明確にわかります。
上方でやったのと同じ”ある変形”を行います。
B(1/2+i・α)
=1 - 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) - 4^(-1/2-i・α) + 5^(-1/2-i・α) - 6^(-1/2-i・α) + ・・・・・・
=1 + 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) + 4^(-1/2-i・α) + 5^(-1/2-i・α) + 6^(-1/2-i・α) + ・・・・・・
- 2 {2^(-1/2-i・α) + 4^(-1/2-i・α) + 6^(-1/2-i・α) + ・・・・・・}
=1 + 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) + 4^(-1/2-i・α) + 5^(-1/2-i・α) + 6^(-1/2-i・α) + ・・・・・・
- 2 ・2^(-1/2-i・α){1 + 2^(-1/2-i・α) + 3^(-1/2-i・α) + ・・・・・・}
=ζ(1/2+i・α) - 2 ・2^(-1/2-i・α)ζ(1/2+i・α)
=ζ(1/2+i・α) - 2^(1/2-i・α)ζ(1/2+i・α)
=(1 - 2^(1/2-i・α))・ζ(1/2+i・α)
よって、
B(1/2+i・α)=(1 - 2^(1/2-i・α))・ζ(1/2+i・α)
となりました。
B(1/2+i・α)が0のときに、ζ(1/2+i・α)が0になるということです。αが実数より(1 - 2^(1/2-i・α))は0にはなりえま
せんからそれがいえる。ζ(1/2+i・α)の非自明な零点は、B(1/2+i・α)の零点と一致しているというわけです。
B(1/2+i・α)=C2(α)+i・S2(α) であり、このC2(α)とS2(α)は、それぞれH、Iの通りですが、これをテイラー展開
すると、次のようになります。
C2(α)= (1 - 1/√2 + 1/√3 - 1/√4 + ・・・)
+ {(log2)^2/√2 - (log3)^2/√3 + (log4)^2/√4 - (log5)^2/√5 + ・・・}α^2/2! - {(log2)^4/√2 - (log3)^4/√3 + (log4)^4/√4 - (log5)^4/√5 + ・・・}α^4/4! + {(log2)^6/√2 - (log3)^6/√3 + (log4)^6/√4 - (log5)^6/√5 + ・・・}α^6/6! - {(log2)^8/√2 - (log3)^8/√3 + (log4)^8/√4 - (log5)^8/√5 + ・・・}α^8/8! ・・・・・・・・・・・・・・
S2(α)
= {(log2)^1/√2 - (log3)^1/√3 + (log4)^1/√4 - (log5)^1/√5 + ・・・}α^1/1!
- {(log2)^3/√2 - (log3)^3/√3 + (log4)^3/√4 - (log5)^3/√5 +・・・}α^3/3! + {(log2)^5/√2 - (log3)^5/√3 + (log4)^5/√4 - (log5)^5/√5 +・・・}α^5/5! - {(log2)^7/√2 - (log3)^7/√3 + (log4)^7/√4 - (log5)^7/√5 + ・・・}α^7/7! ・・・・・・・・・・・・・・
これらの右辺を =0としたものが、B、Cとなります。
[導出終わり]
実験により{}内のlogの級数は全て収束していく様子がわかります。C2(α)、S2(α)とも各項が交代級数になって
おり、さらに階乗n!が効いているため、任意の実数αを与えると、発散することなく、なんらかの値に収束していき
ます(厳密に証明はしていないが、多くの数値実験によりほぼ間違いない)。
すなわち、B(1/2+i・α)のC2(α)もS2(α)も発散することのないたいへんよい性質をもった関数であるとわかるのです。
よい性質のB(1/2+i・α)が、悪い性質のζ(1/2+i・α)を押さえ込んでいっているのが、ζ(s)のリーマン予想周辺の
状況であるといえるでしょう。
最後に、本結果について数学者のM教授、数学研究者のSugimoto氏より有用なコメントとご助言をいただきました。
深く感謝いたします。
----------------------
追記
数学を研究されているhirokuro氏が氏サイトによく似た結果をすこし先に発表されていました。
私のものと式は違っているようですが、同じようなところを研究されています。興味深い研究のようです。
B(1/2+i・α)のC2(α)とS2(α)が同時に0になるαが、ζ(1/2+i・α)の非自明な零点の虚部αnを与えることを
一つ上で示しました。
それでは、本当に、C2(α)やS2(α)がζ(s)の非自明な零点(1/2+i・αn)の虚部αnで0になるのかどうか
検証しました。以下で、結果を示しますが、零点でのみ0になっているのに読者は驚かれることでしょう。
次のサイトの零点の値を利用してα1〜α8までとその周辺の点を検証しました。
α1=14.1347251417347
α2=21.0220396387715 α3=25.0108575801457
α4=30.4248761258595
α5=32.9350615877392
α6=37.5861781588256
α7=40.9187190121475
α8=43.3270732809150
上記の零点以外の点もいろいろ検証しました。零点に非常に近い両側の点は必ず調べました。
検証は、ExcelでVBAプログラムを組み行いました。
C2(α)=1 - 2^(-1/2)・cos(α・log2) + 3^(-1/2)・cos(α・log3) - 4^(-1/2)・cos(α・log4) + ・・・・
この式のαに零点他いろいろな値を代入して初項からn項までの和を求めた結果が以下の表です。
赤字が零点です。
@は「100項までの和」、Aは「1000項までの和」、Bは「10^4項までの和」、Cは「10^5項までの和」、
Dは「10^6項までの和」、Eは「10^7項までの和」を表します。
αnだけ他よりもすこし詳しく調べています。またCまでで止めたものも多くあります。
また例えばBとCの間の数は、その中間の「5×10^4項までの和」を表します。他も同様です。
これを眺めるのは、全く面白いことです。いろいろなことがわかってきます。
まず非自明な零点αnの箇所では、0ラインをまたぎながら振動しつつ(+−符号を変えながら)徐々に0に収束
していっている様が見てとれます。ただαnのすぐ両隣のデータよりその波はかなり不規則に変動しているようです。
上では最高10^7まで調べており、さらにもっと多くの項まで調べたいのですが、10^7項までで最新pentiumプロセッサ
でなんと2時間半もかかりますので、10^7くらいが限界となります。しかし、十分でしょう。
αn以外の点では、0以外の値に収束しています。
C2(α)関数はもちろん連続な関数ですから、a<cとしてC2(a)で負の値をとりC2(c)で正の値をとれば(orその逆でも
OK)その間には少なくとも一つの零点b(a < b < c)をもつことがいえます。
その観点から上表を見ると、αn以外の零点がたくさん存在することがわかります。
例えば、αが27と29で符号が反転しているので、その間でC2(α)=0となる零点が存在することになります。
そしてその零点は、もちろん、ζ(s)の非自明な零点の虚部αnではありません。興味のない零点もたくさん存在
していることがわかります。
以上の結果から、
C2(α)=1 - 2^(-1/2)・cos(α・log2) + 3^(-1/2)・cos(α・log3) - 4^(-1/2)・cos(α・log4) + ・・・・
がいかに重大な関数であり、そして、
C2(α)=0
の無限次方程式がリーマン予想の中心に位置しているとわかると思います。
次に、もう一つの中心S2(α)を調べる必要があります。
これも、まったくC2(α)と同様の結果が得られ、冒頭に述べたことを完全に支持する結果を与えるのですが、
次に書くことにします。
では、次にS2(α)を調べます。
S2(α)=sin(α・log2)/√2 - sin(α・log3)/√3 + sin(α・log4)/√4 - sin(α・log5)/√5 + ・・・
であり、次の非自明な零点の虚部αnで、S2(α)が本当に0になっているかどうか見てみます。
次のサイトの零点の値を利用して、C2(α)と同様α1〜α8までと周辺を検証しました。
C2(α)と全く同じ地点を調べました。
α1=14.1347251417347
α2=21.0220396387715 α3=25.0108575801457
α4=30.4248761258595
α5=32.9350615877392
α6=37.5861781588256
α7=40.9187190121475
α8=43.3270732809150
再度書くと、赤字αnが零点です。
@は「100項までの和」、Aは「1000項までの和」、Bは「10^4項までの和」、Cは「10^5項までの和」、
Dは「10^6項までの和」、Eは「10^7項までの和」を表す。
αnだけ他よりもすこし詳しく調べています。またCまでで止めたものも多くあります。
また例えばBとCの間の数は、その中間の「5×10^4項までの和」を表します。他も同様です。
ご覧ください。
C2(α)のときと、同様、このS2(α)でも、非自明な零点の虚部αnのときだけ0に収束していっているのがわかります。
また他のこともC2(α)と全く同じことがいえます。
これまで以上を検証したわけです。
今後もまだ他の零点も調べていきたいと思っていますが、これがいかに大きな結果であるか感じとられると
思います。
冒頭で述べた命題はほぼ確実に正しいとわかるでしょう。繰り返しておきます。
****************************************
[二つの無限次方程式]
1 - cos(α・log2) /√2 + cos(α・log3) /√3 - cos(α・log4) /√4 + cos(α・log5) /√5 - ・・・=0 ----@
sin(α・log2) /√2 - sin(α・log3) /√3 + sin(α・log4) /√4 - sin(α・log5) /√5 + ・・・=0 -----A *****************************************
この@、Aを同時に満たす解が、ζ(s)の1/2+i・αnのαnになる。
または左辺の変形から次のようにも言える。
****************************************
[二つの無限次方程式]
(1 - 1/√2 + 1/√3 - 1/√4 + ・・・)
+ {(log2)^2/√2 - (log3)^2/√3 + (log4)^2/√4 - (log5)^2/√5 + ・・・}α^2/2! - {(log2)^4/√2 - (log3)^4/√3 + (log4)^4/√4 - (log5)^4/√5 + ・・・}α^4/4! + {(log2)^6/√2 - (log3)^6/√3 + (log4)^6/√4 - (log5)^6/√5 + ・・・}α^6/6! - {(log2)^8/√2 - (log3)^8/√3 + (log4)^8/√4 - (log5)^8/√5 + ・・・}α^8/8! ・・・・・・・・・・・・・・ =0 --------B
{(log2)^1/√2 - (log3)^1/√3 + (log4)^1/√4 - (log5)^1/√5 + ・・・}α^1/1!
- {(log2)^3/√2 - (log3)^3/√3 + (log4)^3/√4 - (log5)^3/√5 +・・・}α^3/3! + {(log2)^5/√2 - (log3)^5/√3 + (log4)^5/√4 - (log5)^5/√5 +・・・}α^5/5! - {(log2)^7/√2 - (log3)^7/√3 + (log4)^7/√4 - (log5)^7/√5 + ・・・}α^7/7! ・・・・・・・・・・・・・・ =0 --------C *****************************************
このB、Cを同時に満たす解が、ζ(s)の1/2+i・αnのαnになる。
ζ(s)の非自明な零点(1/2+i・αn)の背後に潜む規則性が明快な形でわかってきたといえるでしょう。
これから、リーマン予想の言い換えが可能になるわけですが、それはまた後で述べます。
(2006/12/10改)
上で見た無限次方程式は次の二つでした(αをxに変えた)。logは自然対数です。
1 - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + cos(x・log5) /5^c - ・・・=0
sin(x・log2) /2^c - sin(x・log3) /3^c + sin(x・log4) /4^c - sin(x・log5) /5^c + ・・・=0
log1=0を利用して、この二式は美しく対称的に次のように書くこともできます。
sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・=0
それでは、リーマン予想の言い換え(同値の予想)を述べます。その予想とは次になります。予想A-1と名づけました。
もし、この予想が肯定的に解決されれば、リーマン予想は肯定的に解決されます。
もし、この予想が否定的に解決されれば、リーマン予想は否定的に解決されます。
上をテイラー展開すると、次の予想A-2となります。
リーマン予想の同値命題はいくつもありますが、どれも非常に難しく、素人には意味をとるのさえ困難なものが
ほとんどですが、今回このような明快な命題が得られたのです。だれでも意味がわかる。
冒頭の議論を理解された方はおそらく瞬時にこの予想の意味を理解されたと思いますが、念のため、導出過程
を含めて説明します。
[予想A-1,A-2導出過程の説明]
冒頭では、よい性質をもつB(1/2+i・α)が0をとれば、それに引きずられる形でζ(1/2+i・α)も0をとって
しまうという議論をしました。”よい性質”とは「発散しない確定的な値をとる」という意味です。そこでは
リーマン予想が正しいと仮定して、非自明な零点を包含する無限次方程式を出したのでした。
さて、それと同様の式変形を適用して、cが0<c<1の実数とし、B(c+i・α)が0をとればζ(c+i・α)が0となる
という議論を展開することができます。この場合は、リーマン予想そのものを考察していることになります。
リーマン予想を考える場合は、c が 0<c < 1で十分であることがわかっています。以下、i は虚数単位です。
見てみましょう。
B(c+i・α)
=1 - 2^(-c-i・α) + 3^(-c-i・α) - 4^(-c-i・α) + 5^(-c-i・α) - 6^(-c-i・α) + ・・・・・・
=1 + 2^(-c-i・α) + 3^(-c-i・α) + 4^(-c-i・α) + 5^(-c-i・α) + 6^(-c-i・α) + ・・・・・・
- 2 {2^(-c-i・α) + 4^(-c-i・α) + 6^(-c-i・α) + ・・・・・・}
=1 + 2^(-c-i・α) + 3^(-c-i・α) + 4^(-c-i・α) + 5^(-c-i・α) + 6^(-c-i・α) + ・・・・・・
- 2 ・2^(-c-i・α){1 + 2^(-c-i・α) + 3^(-c-i・α) + ・・・・・・}
=ζ(c+i・α) - 2 ・2^(-c-i・α)ζ(c+i・α)
=ζ(c+i・α) - 2^(1-c-i・α)ζ(c+i・α)
=(1 - 2^(1-c-i・α))・ζ(c+i・α)
すなわち、
B(c+i・α)=(1 - 2^(1-c-i・α))・ζ(c+i・α) ----@
と出ました。
つまりB(c+i・α)が0のときζ(c+i・α)が0になるということです。αが実数より(1 - 2^(1-c-i・α))は0にはなりえない
のでそれがいえる。ζ(c+i・α)の非自明な零点は、B(c+i・α)の零点と一致している。
よって、もし例えばB(c+i・α)がc=1/4で0となれば、ζ(c+i・α)も自動的にc=1/4で0となり、リーマン予想は破れ
ていることになります。
もし、0<c<1のどんな実数をとってもB(c+i・α)はc=1/2のときのみ0となり、それ以外でぜったいに0にならないこと
が証明できればリーマン予想は正しいということになります。
よって、上の予想A-1はリーマン予想とまったく同じであるといえるのです。
さて、B(c+i・α)を冒頭のB(1/2+i・α)と同様に変形すれば、次が得られる。
B(c+i・α)
=1 - 2^(-c)・cos(α・log2) + 3^(-c)・cos(α・log3) - 4^(-c)・cos(α・log4) + ・・・・
+ i・{2^(-c)・sin(α・log2) - 3^(-c)・sin(α・log3) + 4^(-c)・sin(α・log4) - 5^(-c)・sin(α・log5) +・・} ----A
ここで、
C3(α)=1 - 2^(-c)・cos(α・log2) + 3^(-c)・cos(α・log3) - 4^(-c)・cos(α・log4) + ・・・・ ----B
S3(α)=2^(-c)・sin(α・log2) - 3^(-c)・sin(α・log3) + 4^(-c)・sin(α・log4) - 5^(-c)・sin(α・log5) +・・ ----C
とおく。つまり、
B(c+i・α)=C3(α) + i・S3(α) ------D
である。
B、Cの右辺を=0とし、変数をαからxに変えたものが予想A-1の二式となります。
すなわち、このC3(α)、S3(α)がともに0ということはDよりB(c+i・α)が0であることを意味し、ひいては@より
ζ(c+i・α)が0であることを意味するのです。
B、Cをテイラー展開すると、次のようになる。
C3(α)
= (1 - 1/2^c + 1/3^c - 1/4^c + ・・・)
+ {(log2)^2/2^c - (log3)^2/3^c + (log4)^2/4^c - (log5)^2/5^c + ・・・}α^2/2! - {(log2)^4 /2^c - (log3)^4 /3^c + (log4)^4 /4^c - (log5)^4 /5^c + ・・・}α^4/4! + {(log2)^6/2^c - (log3)^6/3^c + (log4)^6/4^c - (log5)^6/5^c + ・・・}α^6/6! - {(log2)^8/2^c - (log3)^8/3^c + (log4)^8/4^c - (log5)^8/5^c + ・・・}α^8/8! ・・・・・・・・・・・・・・ ------E
S3(α)
={(log2)^1/2^c - (log3)^1/3^c + (log4)^1/4^c - (log5)^1/5^c + ・・・}α^1/1!
- {(log2)^3/2^c - (log3)^3/3^c + (log4)^3/4^c - (log5)^3/5^c +・・・}α^3/3! + {(log2)^5/2^c - (log3)^5/3^c + (log4)^5/4^c - (log5)^5/5^c +・・・}α^5/5! - {(log2)^7/2^c - (log3)^7/3^c + (log4)^7/4^c - (log5)^7/5^c + ・・・}α^7/7! ・・・・・・・・・・・・・・ ------F
E、Fの右辺を =0とし、変数をαからxに変えたものが、予想A-2の二式となります。
[説明終わり]
冒頭でのB(1/2+i・α)のときの議論は、数値実験をいろいろやっていますが、予想A-1のB(c+i・α)の場合は、
c=1/2以外の数値実験をやっておらず私の直感と推測が混じっていることを告白しておきます。
しかし、0<c<1の交代級数”1- 1/2^c + 1/3^c + 1/4^c - ・・”の性質、ゼータ関数の性質、そして私のこれ
までの膨大な計算からくる直感を考えれば、予想A-1は間違いなく正しいだろうと考えられます。ただ、不足してい
る実験の検証はつづけます。
この予想A-1で、リーマン予想の根底に潜む構造がはっきりわったのではないかと思われます。
数学書を見ていても、リーマン予想はあまりにも謎につつまれ、もやがかかったような状態となっていて、その
構造がまったくわからなかったのですが、冒頭からの議論において明確に構造がつかめたといえるでしょう。
ただし意味は明快でも、これが解けるか否かはまた別問題です。
(2006/12/10改)
予想A-1を再度、掲げます。
これをさらにいろいろと書き換えることができます。
「A=B=0」と 「A+B=0且つA-B=0」は同値ですので、これに着目して予想A-1の左辺同士を足した場合と、
引いた場合を考えます。簡単な式変形なので途中は略しますが、予想A-1は次の二予想とも同値になります。
予想A-1を例にとると、もしリーマン予想が真なら予想A-1は次のように定理になります。
私は、リーマン予想はぜったいに正しいと信じているので、おそらく上も正しいのでしょうが、これのみが正しくて
なぜc=1/4やc=4/5のときに、同時に満足する実数解が存在しないのか?ゼータの真意はさっぱりわかりませんが、
おそらくc=1/2のときにのみ出現する、想像を絶する美が用意されているにちがいありません。
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