Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]条件でのテイラーシステムにおける別のζ(s)一般式を提示した。
交代ゼータ=[交代ゼータの無限和]を示す。
Cos[ s=1, π/2代入, πテイラー]テイラーシステムの公式と直接計算の両方でlog2を出した。
[log2=偶数ゼータの無限和]を示した。Cos[ s=1, π代入, π/2テイラー]でlog2を出す。
Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]でのζ(2n+1)の係数π^nの秩序を観察。
「百武彗星 その3」で、テイラーシステムのCos[ s=s, π/2代入, πテイラー]の条件で、一般的なζ(s)を導出して
いました。それに関して新たに気づいた点がありますので報告します。まず導出したζ(s)式を書くと次のようになります。
(sは全ての実数で成り立ちますが、解析接続から全複素数への接続がなされます。)
これらの導出方法については「百武彗星 その3」を見てください。
@やAでは眺めるだけで自明な零点s=-2,-4,-6,・・・がわかるという面白さがあります。
例えば、@でs=-2とすると、右辺のζ(s)はζ(-4)、ζ(-6)、・・と0ばかりがならび、結局左辺のζ(-2)が0となることが
わかる。しかし、ζ(-4),ζ(-6),・・が予め零点とわかっていての議論ですから、やや歯切れの悪さがあります。
一方のAでも零点がわかります。
例えば、Aでs=-2とすると、右辺のΓ(s)は、1/Γ(-4),1/Γ(-6),1/Γ(-8),・・となり、Γ(s)では
1/Γ(0),1/Γ(-1),1/Γ(-2),・・が0になることが知られているので、左辺ζ(-2)は0とわかる。
@もAも零点がわかることは事実ですが、右辺の各項すべてを見ていくという形となっています。
今回、もっと明確にζ(s)の自明な零点がわかる式への変形に成功しました。
また、
交代ゼータ = 交代ゼータの無限和
という面白い事実を見つけました。”交代ゼータ”はあとで説明します。
以下それを導出過程とともに書きます。
[新たな式の導出]
@を出発点にします。
(1-1/2^s)・(1-1/2^(s-1))・ζ(s)
= (1-1/2^(s-3))・ζ(s-2)・π^2 /(2!・2^2)
- (1-1/2^(s-5))・ζ(s-4)・π^4 /(4!・2^4)
+ (1-1/2^(s-7))・ζ(s-6)・π^6 /(6!・2^6)
- (1-1/2^(s-9))・ζ(s-8)・π^8 /(8!・2^8)
+ (1-1/2^(s-11))・ζ(s-10)・π^10 /(10!・2^10) -------@
・・・・・・・・・・・・・・・・
ζ(s)の交代級数版の
f(s)=1/1^s - 1/2^s + 1/3^s - 1/4^s + ・・・・
を考える。これを交代ゼータと名づけます。
これは簡単な変形により
f(s)=(1-1/2^(s-1))ζ(s) -----B
で、実質的にζ(s)と同じものですが、便利なように交代ゼータと呼ぶことにします。
さて、Bと@を眺めていてなにかに気づかないでしょうか?
なんと左辺のみならず、右辺も交代ゼータが並んでいるのです!
すなわち、
f(s)=(1-1/2^(s-1))ζ(s)
より、
f(s-2)=(1-1/2^(s-3))ζ(s-2)
f(s-4)=(1-1/2^(s-5))ζ(s-4)
f(s-6)=(1-1/2^(s-7))ζ(s-6)
・
・
よって、@は、交代ゼータf(s)で次のように表現される。
(1-1/2^s)・f(s)
= f(s-2)・π^2 /(2!・2^2) - f(s-4)・π^4 /(4!・2^4)
+ f(s-6)・π^6 /(6!・2^6) - f(s-8)・π^8 /(8!・2^8)
+ f(s-10)・π^10 /(10!・2^10) - f(s-12)・π^12 /(12!・2^12) -----C
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
交代ゼータf(s)を用いると、@はこんなにも簡潔な式に変貌してしまいました!
さて、ここで、f(s)の関数等式
f(s)={2(2^(s-1) - 1)/(1-2^s)}・π^(s-1)・sin(πs/2)・Γ(1-s)・f(1-s) -----D
を利用してCを変形します。(これはBとζ(s)関数等式を組み合わせると簡単に出る)
すると、次のようになります。
(1-1/2^s)・f(s)
= {2(2^(s-3) - 1)/(1-2^(s-2))}・π^(s-3)・sin(sπ/2-π)・Γ(3-s)・f(3-s)・π^2 /(2!・2^2)
-{2(2^(s-5) - 1)/(1-2^(s-4))}・π^(s-5)・sin(sπ/2-2π)・Γ(5-s)・f(5-s)・π^4 /(4!・2^4)
+{2(2^(s-7) - 1)/(1-2^(s-6))}・π^(s-7)・sin(sπ/2-3π)・Γ(7-s)・f(7-s)・π^6 /(6!・2^6)
-{2(2^(s-9) - 1)/(1-2^(s-8))}・π^(s-9)・sin(sπ/2-4π)・Γ(9-s)・f(9-s)・π^8 /(8!・2^8) -----E
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここで、Bの f(s)=(1-1/2^(s-1))ζ(s) より
f(3-s)=(1-1/2^(2-s))ζ(3-s)
f(5-s)=(1-1/2^(4-s))ζ(5-s)
f(7-s)=(1-1/2^(6-s))ζ(7-s)
・
・
を用いて変形し、まとめるとEは次のようになる。
(1-1/2^s)・f(s)
=2π^(s-1)・sin(sπ/2){(1-2^(s-3))・Γ(3-s)・ζ(3-s)/(2!・2^2)
- (1-2^(s-5))・Γ(5-s)・ζ(5-s)/(4!・2^4)
+ (1-2^(s-7))・Γ(7-s)・ζ(7-s)/(6!・2^6)
- (1-2^(s-9))・Γ(9-s)・ζ(9-s)/(8!・2^8) -------F
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
sin(θ-π)=-sinθ、sin(θ-2π)=sinθを用いた。
同じですが、左辺を f(s)=(1-1/2^(s-1))ζ(s) を用いてζ(s)で書くと次のようになる。
(1-1/2^s)・(1-1/2^(s-1))ζ(s)
=2π^(s-1)・sin(sπ/2){(1-2^(s-3))・Γ(3-s)・ζ(3-s)/(2!・2^2)
+ (1-2^(s-5))・Γ(5-s)・ζ(5-s)/(4!・2^4)
+ (1-2^(s-7))・Γ(7-s)・ζ(7-s)/(6!・2^6)
+ (1-2^(s-9))・Γ(9-s)・ζ(9-s)/(8!・2^8) -------G
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
美しい形となっています。G(or F)ではsin(sπ/2)を括り出すことができたことがポイントです。
このG(or F)は面白い性質をもっています。
まず、ζ(s)の自明な零点がsin(sπ/2)で統制されていることを表しています。
s=-2,-4,-6,・・を代入すればすぐにわかる。(右辺{}内は有限の値に収束するのでOKです)
これに関してはζ(s)の関数等式
ζ(s)=sin(πs/2)・2^s・π^(s-1)・Γ(1-s)・ζ(1-s)
や(同じですが)
ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
を使ってもs=-2,-4,・・でζ(s)=0とわかりますが、一般的な式とはいえません。なぜならこれら関数等式では
ζ(3)、ζ(5)、・・などの奇数ゼータやζ(1/2)の正体が全くわからないのですから。
Gでは実数sでのζ(s)の正体がわかる。s=1でもζ(1)の兄弟 log2が出ます(下方参照)。
後から気づいたのですが、Gではs=2,4,6,・・でのζ(s)が出ませんね。
Gはほとんど任意のζ(s)値を導き出すことができる式となっているのです。
いろいろな値を確認できますが、一例としてζ(3)を見てみましょう。
[ζ(3)の導出]
Gにs=3を代入して
(1-1/2^3)・(1-1/2^2))ζ(3)
=-2π^2・{(1-2^0)・Γ(0)・ζ(0)/(2!・2^2)
+ (1-2^(-2))・Γ(2)・ζ(2)/(4!・2^4)
+ (1-2^(-4))・Γ(4)・ζ(4)/(6!・2^6)
+ (1-2^(-6))・Γ(6)・ζ(6)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ------H
ここで、問題は
(1-2^0)・Γ(0)・ζ(0)
です。
ζ(s)の関数等式
ζ(s)=sin(πs/2)・2^s・π^(s-1)・Γ(1-s)・ζ(1-s)
を用いると、s=1として
Γ(0)・ζ(0)=ζ(1)/2
となる。
よって、(1-2^0)・Γ(0)・ζ(0) は
(1-2^0)・Γ(0)・ζ(0)=(1-2^0)・ζ(1)/2 ------I
となります。ここで、ζ(1)は極であり、ζ(1)=+∞だから、Iは0×∞で計算困難に陥るように見える!
しかし、ゼータ世界はじつにうまくできていて、この困難が解消されるのです。
「百武彗星 その3」で見出していた驚くべき等式
(1-1/2^0)・ζ(1)=log2
がζ(s)世界では成り立ちます。よって、(1-2^0)・ζ(1)は結局次のようになる。logは自然対数。
(1-2^0)・ζ(1)=2^0・(1/2^0-1)・ζ(1)=-2^0・(1-1/2^0)・ζ(1)=-(1-1/2^0)・ζ(1)=-log2 -----J
この変形の妙を味わってください。
よって、I、Jより
(1-2^0)・Γ(0)・ζ(0)=-log2 /2 -----K
となる。
これができたらあとは簡単で、KをHに代入して
(1-1/2^3)・(1-1/2^2))ζ(3)
=-2π^2・{-log2 /(2!・2^3)
+ (1-1/2^2)・Γ(2)・ζ(2)/(4!・2^4)
+ (1-1/2^4)・Γ(4)・ζ(4)/(6!・2^6)
+ (1-1/2^6)・Γ(6)・ζ(6)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
ここで、Γ(n+1)=n!を用いてさらにまとめて、
(1-1/2^3)・(1-1/2^2))ζ(3)
=π^2・{log2 /(2!・2^2)
- (1-1/2^2)・1!ζ(2)/(4!・2^3)
- (1-1/2^4)・3!ζ(4)/(6!・2^5)
- (1-1/2^6)・5!ζ(6)/(8!・2^7)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
これは「百武彗星 その1」の<ζ(3)を導出>で導出したζ(3)に一致している。
[ζ(3)の導出終わり]
さらに、極ζ(1)とζ(0)を除いて、ζ(2)やζ(-1)など・・他の任意の実数sでのζ(s)も導出できますが、ζ(3)をヒントに
やれば簡単ですので省略します。今回、求めたこれら美しい公式をまとめておきます。
上を書いてから気づいたことですが上の公式からlog2も出るのです。以下示します。
[log2の導出]
(1-1/2^s)・(1-1/2^(s-1))ζ(s)
=2π^(s-1)・sin(sπ/2){(1-2^(s-3))・Γ(3-s)・ζ(3-s)/(2!・2^2)
+ (1-2^(s-5))・Γ(5-s)・ζ(5-s)/(4!・2^4)
+ (1-2^(s-7))・Γ(7-s)・ζ(7-s)/(6!・2^6)
+ (1-2^(s-9))・Γ(9-s)・ζ(9-s)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ----@
この公式を使います。
s=1とすると、一つ上で見た事実 (1-1/2^0)ζ(1)=log2 より
左辺=(1-1/2^1)・(1-1/2^(1-1))ζ(1)=(1/2)・(1-1/2^0)ζ(1)=log2 /2 ----A
となり、log2が姿を現す。
一方、s=1とすると、右辺はなんら問題なく計算できてまとめると次のようになる。
右辺=2{(1-1/2^2))・1!・ζ(2)/(2!・2^2)
+ (1-1/2^4)・3!・ζ(4)/(4!・2^4)
+ (1-1/2^6)・5!・ζ(6)/(6!・2^6)
+ (1-1/2^8)・7!・ζ(8)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ----B
あるいは、容易にわかるが次のように表現することもできる。Γ(n+1)=n!を用いた。
右辺=2{(1-1/2^2))・ζ(2)/(2・2^2)
+ (1-1/2^4)・ζ(4)/(4・2^4)
+ (1-1/2^6)・ζ(6)/(6・2^6)
+ (1-1/2^8)・ζ(8)/(8・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ----C
よって、A、Bより、
log2=2^2{(1-1/2^2)・1!・ζ(2)/(2!・2^2)
+ (1-1/2^4)・3!・ζ(4)/(4!・2^4)
+ (1-1/2^6)・5!・ζ(6)/(6!・2^6)
+ (1-1/2^8)・7!・ζ(8)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ----D
log2は偶数ゼータの無限和で表すことができた。logは自然対数。
log2をどうしてそんなに特別視するのか?と思われる読者もおられると思いますが、log2はζ(1)と兄弟の
関係にあります。それは次の事実をみればわかります。
ζ(s)=1- 1/2^s + 1/3^s - 1/4^s + 1/5^s - 1/6^s +・・・・
=(1 + 1/2^s + 1/3^s + 1/4^s + 1/5^s + 1/6^s + ・・・) - 2(1/2^s + 1/4^s + 1/6^s +・・・)
=ζ(s) - 2/2^s・(1 + 1/2^s + 1/3^s +・・・)
=ζ(s) - 1/2^(s-1)・ζ(s)
=(1- 1/2^(s-1))・ζ(s)
これと、log2=1- 1/2 + 1/3 - 1/4 + 1/5 - 1/6 +・・・・という事実と合わせます。すなわち、上式でs=1として
log2=(1- 1/2^0)・ζ(1) ----E
となります。
こういうふうに極ζ(1)と関係し合っている。
よって、log2=(1-1/2^0)ζ(1)であり、log2=(1-2^0)ζ(1)ではないということになります。
公式を使う場合はこれに注意して式を変形していくとゼータ世界では正解に到達できます。
したがって、@の公式の左辺は(1-1/2^s)・(1-1/2^(s-1))ζ(s) という形がよく、(1-2^(-s))・(1-2^(1-s))ζ(s) とすると
危ういことになります。この辺はゼータのデリケートな面が出ていると言えるでしょう。
しかし、これはテイラーシステムの”公式”を使う場合の話であって、テイラーシステムを忠実に手計算でやる場合は、
自然にlog2が出てきてくれるので心配要りません。
log2=2^2{(1-1/2^2)・1!・ζ(2)/(2!・2^2)
+ (1-1/2^4)・3!・ζ(4)/(4!・2^4)
+ (1-1/2^6)・5!・ζ(6)/(6!・2^6)
+ (1-1/2^8)・7!・ζ(8)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } ----D
ともあれ、log2が[偶数ゼータの無限和]で表されるのはとても面白い。
ただし、この事実は「ゼータ関数のいくつかの点について」シリーズで、ζ(3)などの奇数ゼータの表示式をたくさん
見つけていたときに、間接的にわかっていた事実であります。なぜなら、それらのいつくかを組み合わせること
により、[log2=偶数ゼータの無限和]が簡単に出るからです。
しかし、そうはいっても、テイラーシステムでは直接的に[log2=偶数ゼータの無限和]が出るわけですから、
非常に面白いことです。テイラーシステムはなんでも知っているといえるでしょうか。
D右辺の収束は非常に速く、電卓で数項たたくだけで左辺への収束を確認できます。
上で公式からlog2を求める場合は微妙な議論が必要になりました。その際、私は「テイラーシステムを忠実に
手計算でやる場合は、自然にlog2が出てきてくれるので心配要りません。」と書いたので、ここでは手計算で直接的
にやってみましょう。もちろん、こちらが本道であることはいうまでもありません。
条件Cos[ s=1, π/2代入, πテイラー]で出します。
[log2を導出する] Cos[s=1, π/2代入、πテイラー]
まず
f(x)=(cosx)/1 + (cos2x)/2 + (cos3x)/3 + (cos4x)/4 + ・・・ -------@
という母関数を考えます。
まず@で x=π/2を代入します。すると
f(π/2) =-1/2 + 1/4 - 1/6 + 1/8 - ・・・
=-1/2・(1 - 1/2 + 1/3 - 1/4 + ・・・)
=-1/2・log2 ------A
となり、log2が現れます。
次に@の右辺をx=πの周りでテイラー展開します。すると、次のようになります。
f(x)=- log2 + (1-2^2)・ζ(-1)・(x-π)^2 /2!
- (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^4 /4!+ (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^6 /6!
- (1-2^8)・ζ(-7)・(x-π)^8 /8!+ (1-2^10)・ζ(-9)・(x-π)^10 /10!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -------B
こちらでもlog2 が出ました。
ζ(s)の関数等式
ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
を用いBをまとめ直すと
f(x)=- log2 + 2{(1-1/2^2)・1!ζ(2)・(x-π)^2 /(π^2・2!)
+ (1-1/2^4)・3!ζ(4)・(x-π)^4 /(π^4・4!)
+ (1-1/2^6)・5!ζ(6)・(x-π)^6 /(π^6・6!)
+ (1-1/2^8)・7!ζ(8)・(x-π)^8 /(π^8・8!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } -----C
Cにπ/2を代入して
f(π/2)=- log2 + 2{(1-1/2^2)・1!ζ(2)/(2^2・2!) + (1-1/2^4)・3!ζ(4)/(2^4・4!)
+ (1-1/2^6)・5!ζ(6)/(2^6・6!) + (1-1/2^8)・7!ζ(8)/(2^8・8!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } -----D
DとAは等しいのでまとめると次のようになる。
log2=4{(1-1/2^2)・1!・ζ(2)/(2!・2^2) + (1-1/2^4)・3!・ζ(4)/(4!・2^4)
+ (1-1/2^6)・5!・ζ(6)/(6!・2^6) + (1-1/2^8)・7!・ζ(8)/(8!・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
もちろん、次のようにも表示できる。
log2=4{(1-1/2^2)ζ(2)/(2・2^2) + (1-1/2^4)ζ(4)/(4・2^4)
+ (1-1/2^6)ζ(6)/(6・2^6) + (1-1/2^8)ζ(8)/(8・2^8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ }
当然ながら、一つ上で公式から出した式と一致している。
以上。
log2を見ているので、せっかくですから、今度は別条件Cos[ s=1, π代入, π/2テイラー]でもlog2を出しておき
ましょう。(一つ上はCos[ s=1, π/2代入, πテイラー]でした)
[log2を導出する] Cos[s=1, π/2代入、πテイラー]
まず
f(x)=(cosx)/1 + (cos2x)/2 + (cos3x)/3 + (cos4x)/4 + ・・・ -------@
という母関数を考えます。
まず@で x=πを代入します。すると
f(π/2) =-1 + 1/2 - 1/3 + 1/4 - ・・・
=-(1 - 1/2 + 1/3 - 1/4 + ・・・)
=-log2 ------A
となりlog2が現れます。
次に@の右辺をx=π/2の周りでテイラー展開します。すると、次のようになります。
f(x)=- log2 /2 - L(0)・(x-π)^1/1!+ 2^1(1-2^2)・ζ(-1)・(x-π/2)^2 /2!
+ L(-2)・(x-π/2)^3/3!- 2^3(1-2^4)・ζ(-3)・(x-π/2)^4 /4!
- L(-4)・(x-π/2)^5/5!+ 2^5(1-2^6)・ζ(-5)・(x-π/2)^6 /6!
+ L(-6)・(x-π/2)^7/7!- 2^7(1-2^8)・ζ(-7)・(x-π/2)^8 /8!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -------B
こちらでもlog2 が出ました。L(s)は
L(s)= 1 - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・
というゼータ関数です。
L(s)は、古典的ゼータであるディリクレのL関数L(χ,s)というゼータ関数の一種で、L(1)=π/4であることはよく知られ
ている。ちなみに、リーマン・ゼータζ(s)もL(χ,s)の一種です。L(χ,s)から無限に多くのゼータが生み出されます。
ζ(s)とL(s)の関数等式
ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
と
L(1-s)=π^(-s)・2^s・Γ(s)・sin(sπ/2)・L(s)
を用いBをまとめ直すと
f(x)=- log2 /2 - 2^1・0!L(1)・(x-π/2)^1/(π^1・1!) + (2^2-1)・1!ζ(2)・(x-π/2)^2 /(π^2・2!)
- 2^3・2!L(3)・(x-π/2)^3/(π^3・3!) + (2^4-1)・3!ζ(4)・(x-π/2)^4 /(π^4・4!)
- 2^5・4!L(5)・(x-π/2)^5/(π^5・5!) + (2^6-1)・5!ζ(6)・(x-π/2)^6 /(π^6・6!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -----C
Cにπを代入して
f(π)=- log2 /2 - 0!L(1)/1! + (1-1/2^2)・1!ζ(2)/2!
- 2!L(3)/3! + (1-1/2^4)・3!ζ(4)/4!
- 4!L(5)/5! + (1-1/2^6)・5!ζ(6)/6!
- 6!L(7)/7! + (1-1/2^8)・7!ζ(8)/8!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -----D
これは、もちろん次のように表すこともできます。
f(π)=- log2 /2 - L(1)/1 + (1-1/2^2)ζ(2)/2
- L(3)/3 + (1-1/2^4)ζ(4)/4
- L(5)/5 + (1-1/2^6)ζ(6)/6
- L(7)/7 + (1-1/2^8)ζ(8)/8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -----D-2
ちなみにL(1)=π/4,L(3)=π^3/32,L(5)=5π^5/1536,L(7)=61π^7/184320 であることが知られています。
またζ(2)=π^2/6,ζ(4)=π^4/90,ζ(6)=π^6/945,ζ(8)=π^8/9450であることはいうまでもありません。
D-2とAは等しいのでまとめると次のようになる。
log2=2{ L(1)/1 - (1-1/2^2)ζ(2)/2
+ L(3)/3 - (1-1/2^4)ζ(4)/4
+ L(5)/5 - (1-1/2^6)ζ(6)/6
+ L(7)/7 - (1-1/2^8)ζ(8)/8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ } -------E
なんというシンプルで美しい式でしょうか!
収束は遅いのですが右辺は各項の大きさが徐々に小さくなっている交代級数ですから確実に収束し、左辺の
値(log2=0.69314718・・)に向かっていきます。
以上。
一つ上の別条件でのlog2と合わせてまとめておきましょう。
これまでテイラーシステムのCos[ s=2n+1,π/2代入, πテイラー]の条件でいろいろなζ(2n+1)を導出しまし
たが、ちょっと面白い秩序が出ていますので見てみましょう。
を使いました。(ただし、表示をn!の出るものにすべて変えています)
赤字のπ^nに注目してください。眺めだけで、美しい秩序が出ていることがわかります。
上方で説明したとおり、log2=(1-1/2^0)ζ(1)ですから、その観点で見ると調和と秩序が余計に際立つ。
さらに上へ下へとこの秩序はもちろん続いていきます。
全く美しいものです。
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