ボケって英語でもbokehなんですって。ボケという表現は日本から流行ったそうです。
の、ボケの話
今までこのHPでもF値を開くと被写界深度が浅くなる。そしてボケると書いてきました。
ここではもう少し深く話します。
F値を開けると被写界深度が浅くなり、ボケる。これは正しいです。
しかし・・・
ボケ=浅い被写界深度は間違いです。

F16
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F22
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F13
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F27
F値は絞っています。被写界深度は深いです。でもボケがあります。
被写界深度が深いのにボケるの??????
被写界深度が深くてもボケは作れます。浅い被写界深度以外の要因があるのです。
距離の差。これは僕の造語です。
被写体のピントが合っている所から背景がどれだけ奥行きが深いか?手前に近いものが写っているか?背景部分と被写体の間の距離の差分の事です。
写真の中に距離の差があるとそこががボケます。
被写界深度が深くピントが深く合っていても、それよりめっちゃ離れてる所が写せばそこはボケるのです。
●距離の差が大きければ、ボケが大きくなります。
●距離の差が小さければ、ボケは小さくなります。
| 距離の差の図解 |
この距離の差で作るボケは、手前にボケる物がある場合が有効です。2〜4枚目の写真は前ボケです。少しの距離の差でもカメラに近ければ見事に前ボケします。
被写体とカメラの間にある普段は邪魔な物、それをわざと写し込んでボケを作るのです。
1枚目のアオベニハゼのように奥行きで後ボケを作るには、しっかりとした距離の差が必要です。距離の差を探すのです。
| 前ボケの図解 |
『ボケ=被写界深度+距離の差』
この距離の差を見つけるのはロケハンの時です。ロケハンする時にどの方向から撮ると後ボケを作るため距離の差が大きく生まれるか?どこに手前ボケを作れる位の距離の差を持ったものが手前にあるか?それをどこから撮ればうまく構図に入れられるか?
やはりここでもロケハン命です。ロケハン無しにすぐに写真を撮ってはいけないのです。
第三の要素もあるのです。撮影距離です。
撮影距離、つまり、カメラと被写体の間が近いか?遠いか?が被写界深度に関係があるのです。
カメラと被写体の間が近いと被写界深度が浅くなり、よりボケます。
カメラと被写体の間が遠いと被写界深度が深くなり、ボケなくなります。
近寄って撮れば被写界深度が浅くなりよくボケます。ボケさせたければ近寄れ!
| 被写界深度浅い | 被写界深度深い | |
| F値 | 開ける | 絞る |
| 撮影距離 (カメラと被写体の間) |
近い | 遠い |
| 撮影距離の図解 |
ボケ=被写界深度+距離の差
被写界深度=F値+撮影距離
ボケと被写界深度はホントは違うものです。
被写界深度とF値もホントは違うものなのです。
ボケは、F値と撮影距離と距離の差の3つの要素で決まります。
よく、『ボカしたいから絞り開放でしか撮らない』 『F5.6以下はピント合いにくいから使わない』とか言っている人がいます。
今すぐやめましょうね。恥ずかしいですよ〜
だって・・・・・
『ボカしたいから絞り開放でしか撮らない』人は、被写体との近さが変わってもF値は同じなのですか?被写界深度が変わりますけど気にしませんか?距離の差が大きい時も開放で撮るのでしょうか?ボケ量が変わりますけど・・・
『F5.6以下はピント合いにくいから使わない』人は、遠い所から撮る時でも開放を使わないのでしょうか?被写界深度深くなってますけど、そこは気にしないんですか?
その絵コンテってめちゃくちゃじゃないの?ボケ量や被写界深度なんてどうでもいい絵コンテって事ですよ。やっぱり恥ずかしい〜
『ボケ量が多い写真が撮りたい』
『被写界深度の極度に浅い写真は、ピントが合い難いから撮らない』
とか言いましょう〜
ボケ量と被写界深度は3つの要素を総合して考えましょう。
考え方の例としては・・・
●ボケ量を大きくしたい時、撮る方向を変えて距離の差を生み出せればF値を絞って被写界深度は深いまま、ボケます。
●ボケ量を大きくしたい時、F値を開ける以外にも被写体に近づいて被写界深度を浅くする、という選択肢もあります。
●共生ハゼに近寄りながら撮影している時、同じF値ではどんどん被写界深度が浅くなります。ヒレまで深い被写界深度をキープしたければ近寄りながら絞っていかなければいけません。
●背景部分の面積を大きくしようと思った。絵コンテは「ぽつんと寂しく」です。後に下がって撮影したが、ボケ量は変えたくなかったのでF値を開けた。

F16

F5.6

さて、どちらがあなたの絵コンテですか?背景のボケは、両方ともありますよ。
距離の差があってボケ量は距離の差で作れます。
被写界深度は浅い方がいいのですか?
距離の差でボケ量が作れるならば、F値は絞って被写界深度は深いままの方が被写体の表現は残るんじゃないですか?
どちらがあなたの絵コンテですか?このように背景部分が大きい場合は、距離の差でボケ量を多くして被写界深度は深い方がより良い写真になりませんか?
僕はこの写真場合、結局この2枚の間のF11を採用しました。やはり被写界深度を浅くして表情を消す意味はこの絵コンテではないと判断しました。しかしF16は少し背景のボケが雑然としてきます。従ってここには写真はありませんが、中間のF11を落としどころにして採用しました。

この上の写真の場合、絵コンテは被写体はハゼではなく目の水晶体です。
従って背景のみならずハゼ自身を、ぼかして消したいです。顔の表情は不要です、眼だけが絵コンテだからです。
この場合は、距離の差が使えません。F値を開けて被写界深度を浅くしなければいけません。被写界深度が薄い事が目標です。結局F4を採用しました。
●背景をボカすベニハゼと前景からボカす水晶体。この2枚の写真の差がわかりますか?絵コンテの違いが判りますか?F値の設定がF11とF4と異なるのがわかりますか?
被写体までの距離が同じ場合、撮影者が同じ場所にいる場合
●ボケを作りたいのですか???それならば距離の差を作るまたはF値を開けるの2つの方法があります。
●被写界深度が浅い写真が撮りたいのですか?それならばF値を開けるしかありません。
その二つは異なる事です。しっかり整理して下さい。
『ボカす写真』と言いますが
あなたの絵コンテは被写界深度が浅い写真ですか?
それともボケ量が多い写真ですか?
この2つを使い分けられますか?
このページを読んでこの使い分けが出来るようになって欲しいのですが、大丈夫ですか?ここは何度も読んで理解して下さいね。

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