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頂上で 5分程休み、地図を見てこの後の行程を読む。
先にも述べたように、ここから布引山まで 2時間40分。笊ヶ岳までは 4時間5分。ということは笊ヶ岳到着は 13時を過ぎることになるが、
できたら 12時半位までには着きたいものである。
桧横手山からは下りに入るが、鞍部に着いたらすぐに急登が始まった。考えたら、桧横手山は 2,021m。布引山が 2,583.7mであるから、
560mを一気に登ることになる。きついはずである。シラビソ中心の樹林の中をひたすら登り続ける。
先程も述べたように、上を見上げた時、左右に青い空が見えていても、進む道はひたすら先へ先へと続いていて、いつまで経っても終わらない。
道は明瞭で、印もしっかり付けられている。もう少し分かりにくいと思っていたので、これだけは嬉しい誤算であった。 |
桧横手山から小一時間ほど登り続ける。
さすがに急登の連続は厳しく、休まずにはいられない。全くと言って良い程 展望の無い樹林の中の登りであるが、
振り返った時に樹林越しに富士山が見えたのを機に休憩することにする。
本日は暑くなるだろうと、500mlのペットボトル 5本のお茶を持ってきたが、これまでに飲みきったのは 1本のみ。
しかし、この時点では身体がかなり水を欲しており、一気にボトル半分を空ける。
5分程休憩。再び登り始めると、本日 4人目となる登山者が下りてきた。少し話をして、この人が朝 3時に老平を出発した人と分かる。
小生も ピストンのつもりと言うと、少し驚いていた。他の 2人も無理というような反応であったので悔しいが、
今のペースなら理論的に可能なはず。逆に、こういう反応が負けん気をかき立てる。
時刻は 10時30分を少し回ったところ。 | |
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苦しかった登りも、徐々に傾斜が緩やかになる。見回せば、広かった斜面も徐々に狭くなり始めている。
また、日も当たりやすいからであろう、周囲の下草も今までのような羊歯類からイネ科の雑草のような草が見られるようになる。
尾根も近いに違いない。
そして、今度こそ本当に見上げた先に青い空がちらつき始める。ようやく長い登りも終わりのようだ。少し元気が出てきて、足が速まる。 |
そして、10時45分、
ついに尾根上に飛び出した。
当然、今まで見えなかった斜面の反対側 (つまり西方) が見える。
まず目に飛び込んできたのは、見覚えのあるピラミダルな形の山。濃い緑と灰色の岩場、そこに残雪が絡んで、いかにも夏山らしい。
一瞬、何という山か思い出せなかったのだが、すぐに思い出した。一昨年に登った上河内岳である。
そうなると、その左側に見える突起は茶臼岳か。
ついに見えた南アルプス南部の山々に些か興奮し、もっとよく見たいと先を急ぐ。
道はこの尾根に到達したところで右に進み、展望の良い斜面を登っていくことになる。 | |
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上河内岳が見えれば、当然ではあるが、
次に見えてくるのが聖岳ということになる。
ここから見る聖岳は、キチンとした台形の形をしていて、左側の高い方が前聖岳、右側の方が奥聖岳となる。
これだけハッキリした台形を見るのは余り記憶にないような気がする。
ところで、最近、黒法師岳や
前黒法師岳からも
聖岳を見たが、その時は、方角の関係から、聖岳の右側に
上河内岳が見えたのだった。
やはり、聖岳の左側に上河内岳、茶臼岳と続くと、
以前に縦走した順番なので、スンナリと理解できる。 |
さらに斜面を登っていくと、
もっと南側の山も見えてきた。
写真において、手前に並ぶ 2つの大きな山は、稲又山 (右) と青薙山であろう。
青薙山の左手 奥に見えるのは大無間山。そしてその左が小無間山と思われる。
大無間山と小無間山とを結ぶ稜線上にチョコッと頭を覗かせているのはもしかしたら朝日岳かもしれない。
戻って、青薙山と稲又山の間に見えるのは大根沢山と思われる。そして、その大根沢山の右奥に見えるのが黒法師岳、
そしてさらに右が不動岳といったところであろうか。
昨年ならばほとんど知らなかった南アルプス 深南部の山も、最近登ったばかりなので一応同定でき、嬉しい限りである。 | |