笊ヶ岳( 笊ヶ岳:2,629.0m ) 2010.07.19 登山



【PHOTO & 記録 笊ヶ岳 1】

このところ、登山口を出発してから戻ってくるまでに 10時間を超えるような山行が続いている。 さすがにこの年になると、最後の方はバテバテであり、できたらもう少し楽な山行にしたいと思っているのだが、 登りたい山は皆 楽をさせてくれるような状況になく、かような山には体力のあったもっと若い頃に挑戦しておくべきだったと反省している次第である。
先の八ヶ岳キレット (美し森 たかね荘−真教寺尾根−赤岳− キレット−権現岳 −天女山−八ヶ岳横断自然歩道−美し森 たかね荘) を縦走した後もクタクタに疲れてしまったので、 このようなロングコースを選ぶことはもう止めようと心から思った次第。しかし、八ヶ岳キレット縦走から 1週間しか経っていないこの 3連休、 梅雨明けしたこともあって、日帰りでまたまたロングコースに挑戦してしまったのであった。
登ってきた山は南アルプスの笊ヶ岳。雨畑からのピストン登山である。
この山は、南アルプス周辺の山々を登るとその特徴的な双耳峰故に、すぐにそれと分かる山である。特に、一昨年の 4月、 七面山からさらに先にある希望峰まで進んで南アルプスの山々を眺めた際、 真っ白な荒川三山聖岳の間に見えた黒々とした布引山と笊ヶ岳は印象的で、 この時、笊ヶ岳にはいつかは登りたいと思ったのであった。
しかし、昭文社の地図 『 山と高原地図 塩見・赤石・聖岳 』 では、雨畑から頂上までの所要時間が 10時間10分、 笊ヶ岳頂上から雨畑までが 6時間25分、往復 16時間35分となっており、とても日帰りなど無理な山ということになる。 従って、山中テント泊しかない訳で、そうなるとテント泊までして登るのならもっと他の山へということになってしまい、 手の届かない登頂を諦めていた山でもあったのだった。
ところがである、ネットで見ると日帰りの人がかなりいるではないか。さらには、重いテント泊用の荷物を持ってきつい行程を登るのなら、 日帰りの方が絶対お薦めの記述も見ることができる。となると、いつも昭文社の地図に記載してある時間の凡そ 3/4ほどの時間で登っている小生にとっては、 12時間 〜 13時間の覚悟さえあれば理論的には日帰りで登ることが出来る訳で、ネット上の日帰りの先例に勇気づけられ、 俄然 笊ヶ岳登山が登りたい山の上位にリストアップされてきたという訳である。
そして、梅雨明けが重なったこの 3連休、意を決して笊ヶ岳に出かけることにしたのであった。
本当は、次の日を休養に充てられる 18日の日曜日に登りたかったのだが、生憎 その日は妻が車を使用するとのことで車が空いておらず、 やむなく 19日の月曜日に山に向かった次第。 次の日は当然勤めがあり、体力的に厳しいコースを登ることに少々躊躇いがあったが、挑戦したいと思ったら他の山への代替など全く考えられず、 梅雨明け後の安定した天候が約束されたこのチャンスに決行したのであった。

朝というか、夜中の 2時に起床、睡眠時間は 3時間ほど。
2時半過ぎに横浜の自宅を出て、雨畑に向かう。カーナビは当然ながら中央高速道を使うルートを第一候補に上げたが、 いつも言うように、八王子ICまでの国道16号線を走るのがあまり好きではないことから、自宅近くの横浜ICからすぐに乗れる東名高速道を使ったルートを選ぶ。
富士ICで東名高速を下り、西富士道路に入って小泉ICへと向かう。小泉ICからは国道139号線に入り、朝霧高原を抜けてやがて本栖湖の入口である本栖へ。 本栖からは お馴染みの本栖みち (国道300号線) を進み、そのまま身延道との交差点である上沢を抜けて雨畑へと進む。
家を出た時には上空に星が瞬いており、また、途中でその横を通った 富士山は黒々とした姿が ハッキリとしていたので (しかも五合目から上に明かりが点在しているのが見えた)、本日の晴天を確信したのだった。 ところがである、朝霧高原を通過中は濃霧。雨のように水滴がウィンドウを濡らす。そして本栖みちにて下部温泉に向かう山道では、 南アルプス方面は完全に雲の中。
裏切られた思いでガッカリしながら雨畑へと向かったのだった。しかし、 雨畑が近づくに連れ、上空の雲は徐々に無くなり始め、 青い空が広がるようになってきたので一安心であった。本当に天候にはヤキモキさせられた。
七面山登山口への道を左にやり過ごし、 奈良田方面へと向かう。現在、奈良田への道であるこの県道南アルプス公園線は、途中の蓬莱橋から新青崖トンネル間で土砂崩落があり、 通行止め。白根三山へのリベンジ登山は、当面チャレンジが難しい状況である。
そして、すぐに雨畑への道が現れるので、道を左に折れる。クネクネした山道を進むと、やがて雨畑ダム。 道は暫く先で二つに分かれるので、右へと進む。着いた先が駐車場のある老平 (おいだいら) であった。 時刻は 5時を少し回ったところである。


老平の駐車場は、6台程しか駐められないはず。駐車場が満車だったらどうしようか と心配していたのだが、ラッキーなことに 1台分のスペースが空いていたのだった。
やはり、この笊ヶ岳は遠いこともあって、3連休、しかも梅雨が明けたばかりとは言っても、人が殺到する山ではないようである。
尤も、周辺のスペースにはかなり車が駐まっている。身支度をしていると、人が寄ってきて、釣りですか、山ですかと聞かれたので、 周辺で釣りをする人が多いようである。逆に言えば、この入漁券を販売する人が、駐車場が満杯でも駐車スペースの差配をしてくれたのかもしれない。
5時13分に駐車場を出発。

車道を少し進み、上方を見上げれば、 山と山が作り出す V字型スペースの向こうにどっしりとした山が見える。
もしかしたら、あれは布引山かもしれない。ということは、笊ヶ岳はもっと右ということになるが、さすがにこの辺からは見ることができないようだ。
それにしても、空の雲は一掃され、青空が広がっている。本栖みちの途中にある南アルプス展望台を通る頃、南アルプス方面は完全に雲の中。 その時のショックは大きかったが、こうして青空が広がり、本当に嬉しい。

車止めのゲートを越えて、林道を進む。

林道は未舗装であるものの、ガードレールもしっかり設置されていて、かなり立派な林道である。 今も、車の通る部分だけ草が生えておらず、まだまだこの道が林業などで頻繁に使われていることが分かる。
やがて、岩を刳り貫いたトンネルが現れた。なかなか風情がある。右側の斜面からは水が流れ落ちてきており、 何となく 黒法師岳不動岳に登る際に通った戸中山林道を思い出す。
岩を刳り貫いたトンネルを抜けると、またまた V字型のスペースの向こうに布引山らしき山が見えた。 山の左側からこちらの方に尾根が下りてきているので、どうやらあの尾根を登るようだ。かなり遠そうである。

やがて、林道の脇には苔むした立派な石垣が現れた。 ここまで立派に整備する必要があるのかと不思議に思う。
暫く先で道は 2つに分かれる。笊ヶ岳は右側の上りとなった道を進むことになる。
そして、先のゲートから 25分ほど歩いたであろうか、林道が右の斜面へと大きく曲がって上って行くところで、 写真のような 『 山火事注意 』 の大きな注意看板が現れた。 よく見ると、その注意看板の左側に、笊ヶ岳・布引山方向を示す表示板も付いており、注意看板の左に山道が見える。
表示板に従って、その山道を登る。時刻は 5時39分。

いよいよ山に取り付くことになったかと覚悟して山道を登る。
右手の斜面には石積みの石垣も見え、何となく 寸又三山 前黒法師岳山中にあった湯山集落跡を思い出させてくれる。
と、思っていたら、突然小さな茶畑が現れたので、少々ビックリ。さらには、杉の植林帯をジグザグに登って行くと、 目の前に立派な石垣とともに家が現れたのでもっと驚かされた。そういえば、地図に廃屋の記載があったのだった。忘れていた。
それにしても、老平からかなり進んだ山奥にこのような立派な家があることは驚きである。電気は無論のこと、ガス、水道もなかろう。 林業を生業にしていた方の住処かもしれないが、それにしても昔の人の生きる力には脱帽である。

廃屋を過ぎて少し登ると、 道から少し外れた所に、石碑があった。石碑には 山王、山住といった文字が見えたが、 大山積神 ( おおやまずみのかみ = 大山大権現 = 山王大権現 ) を祭神として祀っている山住神社 黒法師岳不動岳に近い水窪 = ミサクボにある) と関係があるのだろうか。

道は山の奥へと進む。途中、いくつかの沢を渡るが、アルミ板の橋が架けられていたり、 左側が切れ落ちている所には柵が設けられていたりと、かなり整備されている。
やがて、タケ沢に架かる吊り橋 (写真) を 5時56分に通過。 その後も、良く整備された道が続く。登山道というよりは作業道という方が当たっているかもしれない。



笊ヶ岳登山データ

上記登山のデータ登山日:2010.07.19 天候:快晴のちやや曇り単独行日帰り
登山路:老平−林道終点−廃屋−広河原−山の神−桧横手山−布引大崩れ−布引山− 笊ヶ岳−(往路を戻る)−老平
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道)−富士IC−(西富士道路)−小泉IC−(国道139号線)− 本栖−(国道300号線 本栖みち)−上沢−(県道 南アルプス公園線)−大島−雨畑ダム−老平 (車にて)
交通復路:往路を戻る (車にて)

笊ヶ岳 1、  笊ヶ岳 2、  笊ヶ岳 3、  笊ヶ岳 4、  笊ヶ岳 5、  笊ヶ岳 6、  笊ヶ岳 7、  笊ヶ岳 8 もご覧下さい。

百名山以外の山に戻る   ホームページに戻る