7連休となった今年のゴールデンウィークだが、高速道路の混雑が嫌で、
結局奥秩父の鶏冠山 (とさかやま) にしか登らなかった。
折角 好天が続いたのにもったいない話であり、自分としても物足りない気がしている。そこで、高速道路の混雑もなくなったと思われる 5月8日の土曜日、
南アルプス深南部の山である黒法師岳にトライすることにした。
つい最近までこの山の存在など全く知らなかったのだが、昨年の 11月に寸又三山の一つ朝日岳に登って以来、
その周辺の山を学び、同じく寸又三山である前黒法師岳への登山を経て、
この黒法師岳へのトライに至った次第である。
実を言えば、切っ掛けとなったその朝日岳自体も、机の上に散らかっていた 山と高原地図の 『 塩見・赤石・聖岳 』 をかたづける際、
偶然地図の裏にあった寸又三山に興味を引かれて初めて知ったのであり、そこからドンドン登る範囲が拡大していったという状況である。
さて、この黒法師岳に登るには、今回 辿ろうとしている戸中山 (とちゅうざん) 林道から等高尾根を登るルートの他、
先般 登った前黒法師岳からさらに先に進み黒法師岳を目指すルート、そして水窪 (みさくぼ) 町にある自然休養林野鳥の森から麻布山、
前黒法師山 (= 前黒法師岳ではない。少々分かりにくいが、この地域には前黒法師岳、前黒法師山、そして黒法師岳が存在する。前黒法師山は 1,781.7m) を経て、
バラ谷の頭に至り、そこからさらに黒法師岳へと進むルートがあるようだ。
尤も、前黒法師岳を経てのルートは日帰りが難しく、さらにルートも分かりにくいようである。従って、一番ポピュラーとされている戸中山林道から登るルートか、
野鳥の森からのルートかというところだが、野鳥の森からのルートはバラ谷の頭までは行けても、さらにその先に進む体力があるか という問題が残るらしい。
ということで、戸中山林道からのルートに決めたのだが、最後までどちらのルートにしようか迷ったのだった。
というのは、先ほどからその名前を出しているバラ谷の頭に結構 惹かれるからである。バラ谷の頭は、『 本邦 最南の 2,000mの地 』ということらしく、
そう書かれた標示板が頂上近くに立てられているという。そうなるとその地を踏みたくなるではないか。
散々迷った末、戸中山林道から黒法師岳に登り、余力があったらバラ谷の頭にトライする。
余力がなかったら、別の機会に野鳥の森からバラ谷の頭を目指す山行を行う ということにしたのだった。
しかし、何故 これほど迷うかというと、この地域に関する山と高原地図 がないからで、大凡のコースタイムが掴めないからである。
結局ネットからの情報に頼らざるを得ないのだが、コースタイムは人によって大きく違っており、参考にはなっても登り切れるという確信までには至らないからである。
それでも手ぶらで行く訳にもいかず、山と渓谷社から出ている 『 新分県登山ガイド (改訂版) 静岡の山 』 を購入し、
さらにネットから国土地理院の 2万5千分の1地形図をダウンロードして出かけたのであった。
家が東名高速道横浜ICの近くにあるとは言え、今回 目指すICは浜松IC。
さらにそこから水窪ダム、そして戸中山林道ゲートまでは 2時間以上かかるらしいので、家を 3時50分に出発。
もっと早く出発したかったのだが、春眠暁を覚えず ということでなかなか寝床から出られずに この時間になってしまった次第。
浜松ICまで順調に進み、そこからまずは水窪ダムを目指す。これが結構遠い。
ナビに従って、笠井街道を北上し、途中で秋葉街道 (国道152号線) に入る。
天竜川に沿って進み、船明ダム、秋葉ダムを過ぎ、やがて天竜川と分かれて水窪町へ。ここから秋葉街道を離れ、細い山道を進んで水窪ダムを目指す。
水窪ダムからはすぐに舗装道と分かれて、水窪湖沿いの林道 (戸中山林道) を進む。
この道がすごい道である。前日までの雨で道路には大きな水溜まりが沢山できており、さらには途中の崖から落ちてきた岩が林道にばらまかれていて、
下手をすると尖った岩にタイヤがパンクしかねない状況である。
従って、運転にかなり気を遣うことになる。しかも、この林道がかなり長い。
一向に現れない林道ゲートに少々不安が増してくる。しかし、こんな辺鄙なところであるにも拘わらず、突如 道の左手に有形文化財云々の標示板が現れたからビックリ。
何でも、『 宝篋印塔(ほうきょういんとう = 供養塔 or 墓碑) 』 がこの近くに建っているとのこと。
俄には信じがたいが、車を降りて確かめる余裕もなく先に進む。
そして 7時45分。ようやく先のほうに目指すゲートが見えてきたのであった。
道の傍らに車が駐まっていたので先達がいることが分かり、これまた一安心であった。
しかし、ここまで約4時間かかっており、陽はかなり高く昇ってしまっている。本日の登山、時間切れが心配である。