黒法師岳( 黒法師岳:2,067.4m ) 2010.05.08 登山



【PHOTO & 記録 黒法師岳 1】

7連休となった今年のゴールデンウィークだが、高速道路の混雑が嫌で、 結局奥秩父の鶏冠山 (とさかやま) にしか登らなかった。 折角 好天が続いたのにもったいない話であり、自分としても物足りない気がしている。そこで、高速道路の混雑もなくなったと思われる 5月8日の土曜日、 南アルプス深南部の山である黒法師岳にトライすることにした。
つい最近までこの山の存在など全く知らなかったのだが、昨年の 11月に寸又三山の一つ朝日岳に登って以来、 その周辺の山を学び、同じく寸又三山である前黒法師岳への登山を経て、 この黒法師岳へのトライに至った次第である。
実を言えば、切っ掛けとなったその朝日岳自体も、机の上に散らかっていた 山と高原地図の 『 塩見・赤石・聖岳 』 をかたづける際、 偶然地図の裏にあった寸又三山に興味を引かれて初めて知ったのであり、そこからドンドン登る範囲が拡大していったという状況である。

さて、この黒法師岳に登るには、今回 辿ろうとしている戸中山 (とちゅうざん) 林道から等高尾根を登るルートの他、 先般 登った前黒法師岳からさらに先に進み黒法師岳を目指すルート、そして水窪 (みさくぼ) 町にある自然休養林野鳥の森から麻布山、 前黒法師山 (= 前黒法師岳ではない。少々分かりにくいが、この地域には前黒法師岳、前黒法師山、そして黒法師岳が存在する。前黒法師山は 1,781.7m) を経て、 バラ谷の頭に至り、そこからさらに黒法師岳へと進むルートがあるようだ。
尤も、前黒法師岳を経てのルートは日帰りが難しく、さらにルートも分かりにくいようである。従って、一番ポピュラーとされている戸中山林道から登るルートか、 野鳥の森からのルートかというところだが、野鳥の森からのルートはバラ谷の頭までは行けても、さらにその先に進む体力があるか という問題が残るらしい。
ということで、戸中山林道からのルートに決めたのだが、最後までどちらのルートにしようか迷ったのだった。
というのは、先ほどからその名前を出しているバラ谷の頭に結構 惹かれるからである。バラ谷の頭は、『 本邦 最南の 2,000mの地 』ということらしく、 そう書かれた標示板が頂上近くに立てられているという。そうなるとその地を踏みたくなるではないか。 散々迷った末、戸中山林道から黒法師岳に登り、余力があったらバラ谷の頭にトライする。 余力がなかったら、別の機会に野鳥の森からバラ谷の頭を目指す山行を行う ということにしたのだった。
しかし、何故 これほど迷うかというと、この地域に関する山と高原地図 がないからで、大凡のコースタイムが掴めないからである。 結局ネットからの情報に頼らざるを得ないのだが、コースタイムは人によって大きく違っており、参考にはなっても登り切れるという確信までには至らないからである。
それでも手ぶらで行く訳にもいかず、山と渓谷社から出ている 『 新分県登山ガイド (改訂版) 静岡の山 』 を購入し、 さらにネットから国土地理院の 2万5千分の1地形図をダウンロードして出かけたのであった。

家が東名高速道横浜ICの近くにあるとは言え、今回 目指すICは浜松IC。 さらにそこから水窪ダム、そして戸中山林道ゲートまでは 2時間以上かかるらしいので、家を 3時50分に出発。 もっと早く出発したかったのだが、春眠暁を覚えず ということでなかなか寝床から出られずに この時間になってしまった次第。
浜松ICまで順調に進み、そこからまずは水窪ダムを目指す。これが結構遠い。 ナビに従って、笠井街道を北上し、途中で秋葉街道 (国道152号線) に入る。 天竜川に沿って進み、船明ダム、秋葉ダムを過ぎ、やがて天竜川と分かれて水窪町へ。ここから秋葉街道を離れ、細い山道を進んで水窪ダムを目指す。 水窪ダムからはすぐに舗装道と分かれて、水窪湖沿いの林道 (戸中山林道) を進む。
この道がすごい道である。前日までの雨で道路には大きな水溜まりが沢山できており、さらには途中の崖から落ちてきた岩が林道にばらまかれていて、 下手をすると尖った岩にタイヤがパンクしかねない状況である。
従って、運転にかなり気を遣うことになる。しかも、この林道がかなり長い。
一向に現れない林道ゲートに少々不安が増してくる。しかし、こんな辺鄙なところであるにも拘わらず、突如 道の左手に有形文化財云々の標示板が現れたからビックリ。 何でも、『 宝篋印塔(ほうきょういんとう = 供養塔 or 墓碑) 』 がこの近くに建っているとのこと。 俄には信じがたいが、車を降りて確かめる余裕もなく先に進む。

そして 7時45分。ようやく先のほうに目指すゲートが見えてきたのであった。 道の傍らに車が駐まっていたので先達がいることが分かり、これまた一安心であった。
しかし、ここまで約4時間かかっており、陽はかなり高く昇ってしまっている。本日の登山、時間切れが心配である。


車を Uターンさせて少し戻り、広くなっている林道脇に駐める。身支度をして 7時54分に出発。
先に駐まっていた車は浜松ナンバー。地元の人ということになるので、もうかなり先に進んでいるに違いない。
ゲート横には 『 登山情報 』 と赤い字で書かれた掲示板があり、登山届のポストもある。 また、その掲示板の横には遭難者を捜している旨の立て看板もあり、少々気が引き締まる。
ゲートを抜けるとすぐに道は二手に分かれる。左は河原に降りる道。林道はまっすぐである。2つの道の間にある水窪森林事務所の建物を左に見ながら林道を進む。

この林道はかなり長い。 長い林道歩きと言えば、昨年の鋸岳を思い出すが、 あの時の林道は 約9.5km。本日は 6kmほどなので、こちらの方が楽なはずだが、鋸岳の時は早朝 5時半に歩いており、 こちらはもう陽がかなり高くなっている分、苦痛に感じる。しかも、緩やかとは言え、登り勾配となっているので、これもまたやや苦痛である。
林道の傍らには先ほどのゲートを起点に、0.5km毎に標示板が立てられている。これは鋸岳の時と同じである。
道は東俣沢沿いを進む。従って、右側が山の斜面、左側が谷という状況がずっと続く。右側の斜面から流れ落ちる水がいくつもの滝を作り出しており、 これだけは見ていて楽しい。

途中、林道脇にいくつもの小屋が現れる。林道工事の飯場だったのだろうか。かなりの費用をかけて作った林道であろうが、 維持する方がもっと費用がかかるはず。そういえば、ネットで黒法師岳を調べている時、昨年この林道は治山工事中で、 登山口まで行けなかったとの記事を見た覚えがある。
林道を歩いて 50分ほど経った頃、右の斜面脇に 『 シブロク歩道 』 と書かれた標識が現れた。 目を凝らすと、斜面に沿って道らしきものがある。これはどういう道なのであろうか。
長かった林道歩きもやがて右手に小屋が現れ、その裏手に延びる林道支線を見送ると、すぐに黒法師岳登山口であった。時刻は 9時8分。 先の支線は旧の登山道へと続くらしい。

登山道は立派な標柱の反対側にある。 斜面を斜めに登る。道はしっかり踏まれている。
周囲は灌木帯となり、両側に生えた木々の枝が上方で合わさり、新緑のトンネルを作っている。陽は高く、緑の葉が輝いている。
登り始めて12分程で、緑のトンネルを抜け出し、少しずつ展望が広がり始め、木々の間から周囲の山々が見え始める。
さらに少し高度を上げれば、左方前方に、山々が壁のように並ぶ稜線が見えてきた。逆光気味のため少々見にくいが、かなりガレた斜面も見えるので、 あれは鎌崩 (かまなぎ) かもしれない。

暫く尾根筋を進む。
大きなツガ ?の木の横を通り過ぎると、やがてヒノキ (杉ではなかったと思う) の植林帯が現れて少々ガッカリする。 暫くは右がヒノキの植林帯、左側が自然林といった状況が続く。
しかし、ヒノキの植林帯も一旦 ヒノキ林の中を少し下って登り返すと、周囲はツガなどの自然林に変わる。
途中、102、103 と書かれた標識が現れるが、これは林班を表しているのだろうか ?
周囲は完全に自然林となり、ツガやヒメシャラの中を登っていくことになる。なかなか雰囲気の良い場所である。

緩やかな登りが暫く続いていたが、 やがて岩屑混じりの急斜面の登りとなる。足下は崩れやすく、木々の根がむき出しになった斜面をジグザグに登っていく。
時刻は 9時40分を廻り、もう 4時間近く何も食べていないので、良い休憩場所があったら休もう と思いながら登るが、 休憩に適した場所がなかなか見つからない。
斜面を登り切って少々平坦な場所となるが、さらに先にまた高みがあるので、そちらまで行って休憩場所を探すことにする。 着いた場所はかなり平坦な場所になったが、苔むした倒木などが多く、ダニやヒルがいるような雰囲気があり、そこも通過してしまう。 時刻は10時を過ぎ、空腹感が募る。



黒法師岳登山データ

上記登山のデータ登山日:2010.05.08 天候:晴単独行日帰り
登山路:戸中山林道ゲート前−黒法師岳登山口−鞍部−弁当転がし−主脈尾根出合−バラ谷の頭分岐− 黒法師岳−バラ谷の頭分岐−黒バラ平−バラ谷の頭−本邦最南2000mの地 標識−バラ谷の頭−黒バラ平−バラ谷の頭分岐−黒法師岳−バラ谷の頭分岐− 主脈尾根出合−弁当転がし−鞍部−黒法師岳登山口−戸中山林道ゲート前
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道)−浜松IC−(笠井街道)−国道152号線(秋葉街道) −水窪−水窪ダム−戸中林道ゲート (車にて)
交通復路:戸中林道ゲート−水窪ダム−水窪−国道152号線(秋葉街道)−(笠井街道)−浜松IC −(東名高速道)−横浜IC−瀬谷 (車にて)

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