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かなり高度を上げてきて、強い風に体を振られつつ後ろを振り返れば、丸盆岳、鎌崩 (かまなぎ)、
鎌崩の頭へと続く稜線が見渡せるようになった。そして、丸盆岳と鎌崩の頭を結ぶ稜線の後方には、不動岳も見え、
不動岳の右には未だ白い頂を有する聖岳も見える。
鎌崩の頭の左後方に見える双耳峰は、恐らく池口岳であろう。ドンドン南アルプス深南部の山を知るようになり、はまってしまいそうである。
自宅から遠いのでちょっと厳しいが、日帰りという枠を外して、是非とももっとトライしたい山域である。 |
前を向き直れば、
ガレ場の縁の登りが待っている。
何遍も言うが、この黒法師岳、バラ谷の頭、丸盆岳、鎌崩の頭と、皆、ササ原の美しい斜面とともに、大きく崩れた斜面を持っている。
これが南アルプス深南部の山々の特徴なのだろうか。
しかも、斜面の崩壊はドンドン進んでいるように見える。大丈夫だろうか。ただ、これを人間が止めようとしても、それは大変な力と金が必要である。
まだ、大谷崩れのように人里に近いのならまだしも、
このような山奥では工事も難しいであろう。
それにしても風が強い。 |  |
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再び目をバラ谷の頭に向ければ、こちらからバラ谷の頭へと続くグリーンの道が見える。
何とも気持ちの良さそうな尾根道である。これを見れば、例え時間が掛かっても行かざるを得ないという気持ちにさせられる。
そして、『 本邦 最南の 2,000mの地 』 を踏むという楽しみもある。
しかし、バラ谷の頭への登り、また 黒法師岳への登り返し、ともに 厳しそうである。下山にとりかかってからも、
林道ゲートまでの道程を考えると少々イヤになるが・・・。
とは言え、まずは黒法師岳の頂上を踏むことが先である。時計を見れば、11時52分。
できれば 12時までに頂上に着きたいところであるが、この先の時間が全く読めない。 |
ガレ場沿いの道も、
途中からササの斜面に入る。風も避けられるようになってきたので振り返れば、高度が上がってきただけあって、
丸盆岳の後方に白い峰々が浮き上がっている。
写真 真ん中右の白い峰は上河内岳。
そして、少し見にくいが、上河内岳の手前右下の黒い山が茶臼岳。
茶臼岳の左斜面下の烏帽子の様な山は仁田岳であろう。
そしてその左には白さが目立つ聖岳があり、
聖岳の左下にある頂上だけが白い山はイザルヶ岳と思われる。
そして、間に百俣沢の頭 (と思う) を挟んで、光岳ということになろう。
同じような光景を先日の前黒法師岳頂上手前の展望所からも見たが、
今回見える範囲が広がったため、迫力が全く違う。 |  |
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聖岳、
上河内岳の眺めを楽しんだ後、
ササ原を少し登れば、斜面はほとんど平らになって、写真のような標識が現れた。
標識には、バラ谷の頭、丸盆岳と書かれているが、肝心の黒法師岳を指していない。この標識の前提は、
黒法師岳を既に登ったというところにあるようだ。時刻は 11時57 分。
ほぼ平らな道をさらに奥へと進めば、先の方に頂上らしきものが見える。
これは先に思ったように、12時前に頂上に着けそうである。時間を見るとギリギリなので駆け足で進む。 |
そして、11時59分、
ようやく黒法師岳頂上に到着。ゲートから、ほぼ 4時間、林道歩きの後の登山口からは 2時間50分のアルバイトであった。
頂上には、ゲート前に車を駐めていた方であろう、食事中の方が 1人おられた。
少し言葉を交わす。やはり 件 (くだん) の車の方であった。その際、
ゲート前に駐めてあった軽自動車の方ですか ? と尋ねてしまい、大変失礼を申し上げた。帰りに車を見てみると、
トヨタの 普通車 SIENTAであった。その方は、その前の週に野鳥の森からバラ谷の頭に登られたそうである。
その話を聞いて、バラ谷の頭に向かう決意をさらに強くする。 |  |