黒法師岳( 黒法師岳:2,067.4m ) 2010.05.08 登山



【PHOTO & 記録 黒法師岳 5】

頂上に転がっている石を座り易い場所に移動し、腰掛けて食事をする。
その後、小広い頂上を少し歩き回る。頂上は周囲をシラビソ (と思う) などに囲まれていてあまり展望が利かないが、 よく見ると木々の間から聖岳が見える。
そうそう、もう一つ忘れてならないのが、三角点である。この黒法師岳頂上には一等三角点があるが、普通 三角点の標石には + が刻まれているものの、 ここの標石にはどういう訳か × が刻まれているのである。これはここだけのものらしい。三角点マニアの垂涎の標石だとか・・・。
12時12分、先の人に別れを告げ、バラ谷の頭へと向かう。

1分程で、先程のバラ谷の頭、 丸盆岳の方向を示す標識の前に到着。
そこから左に折れて、黒法師岳の斜面を下る。こちら側の斜面は完全にササに覆われている。総じてササの背丈は高くないが、 所々で胸元までの箇所もある。
いや、それよりも何よりも、斜面が急である上に、足下が濡れた土で滑りやすい。ササに捉まりながらスピードを抑えるようにして下る。
前方を見れば、バラ谷の頭までの尾根道がグリーンの絨毯のように続いている。 早くあの尾根を歩いてみたい気になる。

斜面を下り終え、地面が平らになってくると、短いササの原を進むことになる。 ここにはいくつもの踏み跡があり、恐らく鹿などの獣道もあると思われる。しかし、ガスにでも巻かれない限り道は間違えようが無く、 どの道を進んでも大丈夫である。
ササ原にはまばらにツガやモミ ? の木が生えている他、まだ冬の体制のまま葉も付いていないブナやミズナラ (いずれも推測) の木や、 立ち枯れが目立つ。その風情がとても良い。
この広い原は通称 黒バラ平と言うらしいが、それは東京の国立 (くにたち) が国分寺と立川の間にあることからその名がついたように、 黒法師岳とバラ谷の間にあることに由来しているのだろう。ただ、その名は格好良いがイメージを誤らせる。

振り返れば、 今 下ってきた黒法師岳が見える。
驚いたことに、下ってきたササ原斜面の左側は、想像以上に大きくガレている。かつてはそこも美しいササ原の斜面だったに違いないが、 今は恐ろしいばかりの崩れ方である。
先に述べたように、浸食・風化は進んでいるようなので、少々心配である。

ササ原はどこを進んでも問題ないが、できるだけ景色を得られるようにと、 右側の尾根筋を進む。ここも右下の斜面はガレている。左側はササ原が広がるが、船窪のようになっている。

前を向けば、バラ谷の頭が見える。こちらも遠目で見た以上に、右側は崩れているようである。

時折、左側の船窪状の原の方を歩いてみる。無数の踏み跡が交錯する中に、 鹿の糞が沢山落ちている。ここも不動岳手前にある鹿ノ平と同じく、鹿たちの天国なのだろう。 ニホンオオカミが絶滅してしまった現在、鹿には天敵がいないことから爆発的にその数が増えていくことが考えられる。 丹沢などのように鹿による植生破壊が進み、土が剥き出しとなって、今度は土壌破壊、浸食へと進むことが考えられる。 既に浸食・風化が起こっている地域だけに、鹿の食害も心配である。

ササ原を歩く中、 途中に 写真のような水溜まりが現れた。雪融け水が溜まっているのかと思ったが、小生が近づくとなにやら水面で動きがある。
善く善く見ると、どうやらヒキガエルが棲んでいるらしい。それも 1匹や 2匹というのではなく、沢山の数である。 こんな山奥、それもこのように 2,000m近い場所に、地上と同じような営みがあることにビックリである。
行きの段階では、水の中だけの動きであったが、帰りにここを通った時には、ササ原、そして登山道に数匹のヒキガエルが出てきていたので、 さらに驚かされたのであった。



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