黒法師岳( 黒法師岳:2,067.4m ) 2010.05.08 登山



【PHOTO & 記録 黒法師岳 3】

主脈尾根に立って右前方を見れば、やや鈍角をした山が見える。あれが目指す黒法師岳に違いない。しかし、あそこまではまだかなり距離があるように見えるし、 しかも右手から回り込まねばならないようなので、まだまだアルバイトが必要そうである。少々ゲンナリする。
左手に目をやり、主脈尾根が続く方向を見れば、丸盆岳と思われる高みが見え、頂上まで気持ちの良さそうなササ原の斜面が続いている。 しかし、先にも述べたように、丸盆岳より先、というより、丸盆岳を頂上から半分に切った左側は、荒涼とした岩稜地帯となっており、 明らかに異なる 2つの顔が覗いていて興味深い。

尾根を右に折れ、ササ原の気持ちの良い尾根道を進む。 手元の 『 新分県登山ガイド 静岡県の山 』 によれば、この辺はシロヤシオの群落とのことで、 確かに周囲にはそれらしい木々が多く見られるが、どれもまだ枝の先に赤い芽しかついていない (聞けば、 花も葉も 1つの花芽に入っているとのこと)

尾根道ゆえ展望は良く、右手にはバラ谷の頭が見える。 こちらも緑の絨毯のようなササ原の斜面が魅力的である。但し、その右側は大きくガレている。
左手には、形の良いピラミダルな山が見える。先般登った前黒法師岳である。 そしてその左には朝日岳も見える。

また、朝日岳のさらに左には、 風イラズ (何と 魅力的な名であろう)、大無間山が見える。
少し登って振り返れば、丸盆岳とそれより先の山が見える。丸盆岳から一旦下った尾根は、再び 鎌崩の頭へと盛り上がっている。 そして、丸盆岳と鎌崩の頭とが作り出す Vの字の間には、不動岳と思われる高みが見える。
前に目を戻せば、目指す黒法師岳が今度はやや台形をした姿を見せている。そして、右に目をやれば、完全に台形をしたバラ谷の頭が見える。 しかも、そこから黒法師岳へと続く尾根道までも見えるではないか。これがまた緑のハイウェイのようで、大変魅力的である。 これは是非行かねばならない。

短いササの道を進む。 展望も良く、また周囲には立ち枯れなどもあり、とても雰囲気が良い。
再び振り返れば、丸盆岳から鎌崩へと続く斜面と不動岳とが作り出す V字型の間に白い頂がチラリと見える。 恐らく聖岳であろう。 もっと高度が上がれば、聖岳もハッキリと見えるようになるに違いない。楽しみである。

それにしても、丸盆岳から先の斜面は凄まじいばかりの崩壊状態である。 穏やかに見えるササ原と凄まじい崩壊地が隣り合わせになっているのが、山の持つ二面性 (美しさ・楽しみ ←→ 危険性・苦しさ) を象徴しているようで、 何とも面白い。

東北方面を見れば、先ほども述べたように大無間山、風イラズが見える。この大無間山には一度トライしようとしたものの、 寝坊して家を出発したのが遅く、さらに富士見峠経由の道が通行止め、そして千頭経由で井川に向かう道が分からずに時間を食い、 結局、登山口である田代についたのは、8時を過ぎていたのだった。そのため、 小無間山までで時間切れとなり、 大無間山の頂上を踏むことはできていないのである。
少々悔しくはあるものの、小無間山までの行程も厳しく、さらに途中、これといった魅力的な場所もなかったことから、 もう一度トライする気にはなれないでいる。しかし、こうして遠くから眺めると、やはり登ってみたくなる。

さて、周囲の素晴らしい景色に見とれていたのであろうか。 本来は尾根通しで進むべき道を、ササ原の中にある踏み跡に釣られて、尾根下の斜面を進んでしまい、少々 煩いササに苦労しながら写真のガレ場に飛び出したのだった。
そして、そこで右側を見てビックリ。しっかりした道が尾根上につけられているではないか。ちょっとした油断であった。
このガレ場に出てからは、凄まじく崩れかけた斜面の縁を進むことになる。足下が滑りやすいので、気をつける必要があるが、 もっと気をつけねばならなかったのは、強く吹く風であった。先程まで尾根下を通っていたので気づかなかったが、 裸尾根上に吹く風は強く、メガネに取り付けた偏光サングラスや帽子が飛ばされないように、手で押さえながらの登りであった。



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